特定技能の受入企業開拓は、企業リストの件数を増やすより、制度上の受入れ適合と採用課題を先に判定し、「候補者を推薦できる求人」ができた時点を営業の完了条件にすると進みます。この記事では、特定技能人材を紹介する会社や登録支援機関の営業責任者に向けて、営業の前に整えること、7つの手順、業界ごとの要点、よくある失敗をまとめます。制度の記述は、2026年9月15日時点で出入国在留管理庁の公表資料と法令を確認した内容です。
この記事で分かること
- 受入企業開拓のゴールを「アポ」ではなく「紹介可能な求人」に置く理由と、紹介会社・登録支援機関・受入企業の役割の分け方
- 営業前に受入れ適合を判定する4項目と、対象を絞ってから引き継ぐまでの7つの手順
- 受入企業の不安と決裁者が見る点、介護・建設・飲食料品製造業・外食業ごとの要点、よくある失敗5つ
受入企業開拓のゴール|アポではなく紹介可能な求人
受入企業開拓の完了条件は、担当者と話せたことでも基本契約を結んだことでもなく、候補者担当が条件を説明して推薦できる求人ができたことです。アポイントだけを成果にすると、対象業務が制度に合わない、支援の担い手が決まらないといった案件も成果に混ざり、引き継いだ先で確認のやり直しが増えます。
出入国在留管理庁は、特定技能制度には技能実習のような監理団体がなく、受入れ機関が直接採用活動を行うか、国内外の職業紹介機関を活用して採用すると説明しています。あわせて、受入れ機関が外国人を受け入れるための基準として、外国人と結ぶ雇用契約が適切であること、受入れ機関自体が適切であること、外国人を支援する体制があること、支援の計画が適切であることを挙げています(出典:出入国在留管理庁「受入れ機関の方」、出入国在留管理庁「雇用における注意点」)。営業で採用意欲を見つけるだけでは足りず、受入れが成り立つ条件まで一緒に確かめる必要があります。
人材紹介の法人開拓全体で求人が増えない構造については、人材紹介会社が法人開拓で苦戦する理由で扱っています。この記事は特定技能に固有の確認事項に絞ります。
「契約済み」と「紹介可能」を分ける
基本契約は取引条件の合意であり、個別求人の解像度を保証しません。配属先、具体的な業務、勤務時間、報酬、住居や通勤、選考方法、採用期限が曖昧なら、候補者へ説明できないからです。契約社数を追う場合も、「個別求人あり」「推薦条件確定」「推薦開始」の状態を別に記録し、動きのない契約が積み上がらないようにします。
紹介会社・登録支援機関・受入企業の役割を混ぜない
受入企業は雇用主として、雇用契約を確実に履行し、外国人への支援を適切に実施し、出入国在留管理庁とハローワークへ各種の届出を行う立場です。紹介会社は、求人と求職の申込みを受けて雇用関係の成立をあっせんする立場で、有料で職業紹介事業を行うには厚生労働大臣の許可が必要です。登録支援機関は、受入企業から委託を受けて1号特定技能外国人支援計画の実施を担う機関で、出入国在留管理庁長官の登録を受けています。
入管庁の運用要領は、雇用契約の成立をあっせんする者がいる場合、その者が職業安定法に基づく有料職業紹介事業の許可、または無料職業紹介の許可・届出を得ていることを、受入企業側の確認事項にしています。登録支援機関の登録と職業紹介の許可・届出は別の手続なので、紹介と支援の両方を一社で提案する場合も、「どの許可・登録に基づいて、誰が、何を行うか」を分けて書きます。支援には雇用契約の締結後、在留資格の申請前に行う事前ガイダンスも含まれるため、「紹介は採用前、支援は採用後」と単純に分ける説明は避けます。
特定技能の営業で最初に整える3つ|誰に・何を・どう伝えるか
営業を始める前に整えるのは、候補者の数ではなく、誰を開拓するか、何を伝えるか、どう接点をつくるかの3つです。特定技能の受入企業開拓が件数だけで進まないのは、採用ニーズがある企業と、特定技能で受け入れられる企業が同じではないからです。人手不足が強くても、募集する業務が対象分野の業務に当たらなければ求人化できません。対象業務でも、雇用条件や支援体制が整わなければ申請へ進めません。外国人の採用に慣れていない企業ほど、制度の理解や受入れ後の運用に対する心理的な壁も高くなります。
誰を開拓するか:自社の候補者から逆算して業界と課題を絞る
対象は「人手不足の業界」から選ぶのではなく、自社が継続して接点を持てる候補者の分野、経験のある業務、日本語の水準、就業を始められる時期から逆算します。そのうえで業界を一つ選びます。分野によっては受入れの扱いそのものが変わっているため(外食業分野の在留資格認定証明書の交付停止など。後述)、狙う業界は制度の現状も見て決めます。架電やフォーム送信の優先順位のつけ方は、インサイドセールスのリスト作成を参考にしてください。
何を伝えるか:候補者の数を「安心して検討できる材料」に変える
候補者の人数だけでは企業の不安は解消されません。伝える材料は、受入れまでの流れ、支援の担い手と範囲、配属後の連絡体制、自社が説明できる範囲と専門家へつなぐ範囲の4つに整理します。「すぐ戦力になる」「辞めない」のような根拠のない約束は、検討を早めるように見えても、受入れ後の不信につながるので使いません。
どう接点をつくるか:チャネルごとに役割を分ける
特定技能は説明の量が多いため、初回の接点ですべてを伝えようとすると失敗します。電話、フォームやメール、紹介、訪問、SNSのどれか一つを万能とせず、相手の接触しにくさと必要な説明量で組み合わせます。各チャネルの使い分けは、後の手順3で扱います。
営業前に準備しておく情報
- 対象業界ごとの採用課題の仮説と、確かめるための質問
- 受入れまでの流れを1枚で示す説明資料
- 支援の内容と担い手(自社で行うか、登録支援機関へ委託するか)の整理
- よくある質問への回答集(根拠の出典と確認日つき)
- 候補者属性の整理(国籍、経験のある業務、日本語の水準、就業を始められる時期など)
回答集に確認日を書くのは、制度の運用が変わるからです。たとえば受入れ機関の定期届出は、2025年4月1日施行の省令改正で四半期ごとから1年に1回に変わりました。古い資料のままでは信頼を下げます。
受入れ適合を4項目で判定する
営業対象に入れる前に、分野と業務、雇用条件、受入企業の体制、支援体制の4項目を確認できる見込みがあるかを判定します。これは法的な適否を営業担当だけで断定する作業ではありません。明らかな対象外を避け、商談で何を確認すべきかを決める一次判定です。個別の事情は、最新の運用要領、分野を所管する省庁、行政書士や弁護士などの専門家へ確認します。
判定1:分野と実際の業務が合うか
会社の業種名ではなく、外国人が実際に従事する業務で見ます。入管庁は、事業者が特定産業分野に当たるかを分野別運用方針の「従事する業務」で確認し、詳細は分野を所管する省庁に問い合わせるよう案内しています。「製造会社だから対象」と決めず、予定する仕事を動詞で書き出して照合します。対象分野は改正で追加されているため、最新の受入れ可能な分野は入管庁の「分野別情報」で確かめ、営業リストに「想定業務」「根拠URL」「確認が必要な点」の欄を持たせます。
判定2:雇用条件を確認できるか
報酬、労働時間、雇用形態、勤務地、休日などは求人化の土台です。特定技能の雇用契約には基準があり、報酬の額が日本人が従事する場合と同等以上であること、外国人であることを理由に報酬や教育訓練、福利厚生施設の利用などで差別的な取扱いをしないことが含まれます。雇用形態は原則として直接雇用で、派遣が認められているのは農業分野と漁業分野だけです。営業担当は外国人向けの別条件を先に作るのではなく、同じ業務に従事する日本人との比較根拠を企業側が説明できるかを確かめます。
判定3:受入企業として求められる体制があるか
受入企業には、法令を守り欠格事由に当たらないこと、保証金の徴収や違約金契約をしていないことなどの基準があり、受入れ後は雇用契約の履行、支援の実施、各種の届出が求められます。分野を所管する省庁が設ける協議会の構成員になる必要もあり、在留諸申請の前に加入していなければなりません。事前に入管庁の認定を受ける仕組みではなく、外国人本人の在留諸申請の審査の中で基準を満たすかが見られます。初回の電話で詳しく審査する必要はありませんが、過去の受入れ経験と手続を担当する部署は確認し、判断できない論点は誰がいつまでに回答するかを宿題として残します。
判定4:1号の支援を誰が担うか
1号特定技能外国人を受け入れる企業は、職業生活上・日常生活上・社会生活上の支援の計画を作り、在留申請のときに提出して、計画に基づいて支援しなければなりません。支援計画の実施は、企業が自ら行うほか、登録支援機関に全部または一部を委託できます。全部を委託した場合、企業は支援体制の基準を満たしたものとみなされます。一方で、登録支援機関は委託を受けた支援業務をさらに別の者へ委託できません。営業の時点で、自社支援か委託か、委託先の候補、社内の責任者を確かめます。支援責任者や支援担当者の要件を見直す省令改正が2027年4月1日に施行予定である点も伝えます(出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」)。
| 判定項目 | 営業前の仮説 | 商談で確定すること | 不明な場合 |
|---|---|---|---|
| 分野・業務 | 事業内容と採用情報から想定し、分野別運用方針の「従事する業務」と照らす | 実際の配属先と業務 | 対象外とせず、所管省庁や専門家への確認事項にする |
| 雇用条件 | 公開求人の条件を参照 | 日本人との比較根拠、直接雇用、勤務と報酬 | 求人化を保留 |
| 企業の体制 | 受入れ経験と担当部署を推定 | 責任者、協議会への加入、届出、現場との連携 | 確認担当と期限を設定 |
| 支援 | 自社支援か委託かの可能性 | 実施者、委託の範囲、連絡経路 | 支援の設計が決まってから求人化 |
出典: 出入国在留管理庁「雇用における注意点」「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」「特定技能制度に関するQ&A」をもとにエイギョウブ編集部作成(2026-09-15確認)
特定技能の受入企業を開拓する7つの手順
実行の順番は、対象を絞る、仮説を付ける、接点をつくる、課題を確認する、受入条件を確かめる、求人化する、担当間で引き継ぐ、の7段階です。各段階に通過条件を置くと、「架電した」「商談した」という活動の記録から、「何が揃えば次へ進むか」という案件の管理へ変わります。
対象と仮説を決める(手順1・2)
手順1:紹介できる人材の側から1業界1課題へ絞る。最初に、自社が継続して接点を持てる人材の分野、業務、居住地や渡航元、経験、日本語の水準、就業開始の条件を整理します。そのうえで企業側の業界を一つ選び、「夜勤を含む現場の欠員」「繁忙期を過ぎても続く製造ラインの欠員」のように課題を一つに絞ります。人材の条件と企業の課題が重なるところが営業のセグメントです。
手順2:企業ごとに採用仮説を一文つける。リストは社名と電話番号の集まりではありません。「どの拠点で」「どの業務に」「なぜ今」欠員がありそうかを一文で記録します。採用ページ、新しい拠点、営業時間、求人の再掲載などの公開情報を手がかりにします。仮説は事実として断定せず、電話で確かめる質問に変えます。たとえば「求人が長く掲載されているため、夜勤帯の充足に課題があるか確認する」のように書きます。
接点をつくり、課題を聞く(手順3・4)
手順3:相手と仮説に合わせて接点を選ぶ。電話は短時間で仮説を確かめやすく、フォームやメールは概要を正確に残せます。紹介は信頼の壁を越えやすく、訪問は現場の条件の確認に向きます。フォームには長い制度説明を貼らず、「対象業務の採用状況を伺いたい」と用件を限定します。電話がつながらない場合の見直し方は、テレアポが繋がらない3つの原因にまとめています。
手順4:採用課題と、いまの代替策を聞く。初回の会話では、欠員の人数より先に、欠員が起きる理由、現在の募集手段、採用できない条件、現場への影響を聞きます。すでに派遣、アルバイト、技能実習、国内採用などで補えているなら、特定技能を急いで提案する必要はありません。技能実習については、育成就労制度が2027年4月1日に運用を始める予定なので(2026年9月時点では未施行)、今後の扱いを入管庁の公表で確認します。いまの代替策で困っている点が見えたときに、特定技能が選択肢になる条件を説明します。検討の時期が先の企業は、リードナーチャリングの基本の考え方で関係を保ちます。次の場を合意する初回の組み立ては、商談化率を上げる初回アプローチの設計が参考になります。
条件を確かめて求人にする(手順5・6)
手順5:業務・雇用・支援の受入条件を確認する。課題があっても、業務区分、雇用条件、支援体制が不明なら求人化しません。配属先の現場責任者、採用責任者、手続や支援の担当者を特定し、それぞれに必要な確認を分けます。制度や法務の確認は、専門の担当へ渡す前提で記録します。
手順6:求人化の条件と次回の合意を文書にする。求人化では、募集の背景、採用人数、業務内容、勤務条件、選考基準、採用期限、支援の役割分担、契約や申請に必要な確認を文書にします。「外国人なら誰でもよい」は求人の条件ではないので、どの業務を、どの水準で任せるのかへ分解し、未確定の項目には担当者と確認期限を書きます。
候補者担当・支援担当へ引き継ぐ(手順7)
手順7:候補者担当と支援担当へ同じ情報を渡す。営業、候補者担当、支援担当が別の人なら、三者が同じ求人化シートを見ます。候補者担当には仕事内容、勤務条件、選考の理由、候補者に伝える魅力を渡します。支援担当には、住居の確保、生活オリエンテーション、相談対応、現場との連絡などの体制の確認を渡します。引き継ぎの品質は、「確認のやり直しなく推薦を始められたか」で見ます。
案件の管理では、「接触」「課題確認済み」「適合確認済み」「求人化済み」「推薦開始」の5つの状態を分けて件数を記録すると、どの段階で止まっているかが見えます。
受入企業の不安と決裁者が見る点
企業が最初に抱く不安には先回りして答え、決裁者には現場の欠員を経営への影響に置き換えて伝えると、検討が前へ進みます。不安を打ち消そうとして根拠のない約束をすると、受入れ後に信頼を失うので、答えられる事実と確認が必要な点を分けて示します。
受入企業が最初に抱く5つの不安と、先回りする論点
| 企業の不安 | 先回りして用意する材料 | 避けたい言い方 |
|---|---|---|
| 本当に現場で働けるか | 候補者が経験した業務、試験の合格状況、配属予定の業務との対応 | 「すぐ戦力になります」 |
| 日本語やコミュニケーションは大丈夫か | 日本語の水準、現場での指示の出し方の工夫、支援計画に含まれる日本語学習の機会の提供 | 「日本語は問題ありません」 |
| すぐ辞めないか | 定期的な面談や相談対応などの支援の中身、配属後の連絡体制 | 「辞めません」「転職はできません」 |
| 手続が難しくないか | 受入れまでの流れ、協議会への加入など企業が行う手続、誰が何を担うかの分担 | 「手続はすべてこちらで済みます」 |
| 現場の教育負担が増えないか | 配属後の立ち上がりの段取り、現場との連絡役、生活面の支援の担い手 | 「現場の負担は増えません」 |
出典: 支援の内容は出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」、転職の扱いは同「特定技能制度に関するQ&A」(2026-09-15確認)。表の構成はエイギョウブ編集部作成
とくに離職の不安には正直に答えます。特定技能では同じ業務区分の中などで転職が認められているので、「転職できない」とは言えません。転職があり得る前提で、面談や相談対応などの支援と、働き続けたいと思える条件づくりを一緒に考えます。手続も、企業自身が行う届出や協議会への加入があるため、企業の作業と、紹介会社や登録支援機関が手伝える範囲を分けて見せます。
決裁者が見る4つの点
現場責任者が気にするのは日々の運用ですが、決裁者は次の4つで判断します。1つ目は、人員の不足が売上や稼働にどう影響しているかです。2つ目は、採用にかかる費用と定着の見込みです。1号の支援にかかる費用は受入れ機関などが負担し、外国人本人に負担させてはならないので、委託する場合の費用も含めて考えてもらいます。3つ目は、届出や支援を社内の誰が担うかという運用の負荷です。4つ目は、中長期で人員を確保し続けられるかです。
決裁者には、「この欠員が続くとどの業務が止まるか」を企業側の数字で語ってもらい、特定技能がその穴を埋める選択肢になるかを示します。担当者との面談止まりで決裁者に届かない場合の到達経路は、決裁者に会えない営業を変える4つの到達経路で整理しています。
業界別の要点|介護・建設・飲食料品製造業・外食業
業界ごとに、商談で出やすい質問と、営業の前に押さえる制度上の条件が違います。下の表は、商談で想定しておきたい質問と、営業担当が確認しておく条件をまとめたものです。各業界の人手不足の程度は、この記事では数字で扱いません。
| 業界 | 商談で想定しておきたい質問 | 伝える論点 | 営業前に確認する制度上の条件 |
|---|---|---|---|
| 介護 | 日本語はどの程度か/夜勤に入れるか/定着するか | シフトと夜勤の組み方、教育の段取り、現場責任者と決裁者の不安を分けた説明 | 直接雇用。事業所ごとの1号の受入れ数は日本人等の常勤介護職員の総数が上限。介護分野の協議会への加入。2号の対象分野ではない |
| 建設 | 安全面は大丈夫か/現場で意思疎通できるか/定着するか | 工種と現場の特性に合う人材の提案、安全教育の段取り、長く働いてもらうまでの流れ | 直接雇用。建設業許可、建設キャリアアップシステムへの登録、受入事業実施法人への所属、建設特定技能受入計画の認定など。1号の受入れ数は常勤職員の総数が上限 |
| 飲食料品製造業 | 立ち上がりにどのくらいかかるか/工場のルールに適応できるか/長く働けるか | どの工程の欠員か、配属後の立ち上がり支援、ルールの伝え方と運用面の体制 | 直接雇用。食品産業特定技能協議会への加入。支援を委託するなら協議会の構成員である登録支援機関に委託する |
| 外食業 | 接客はどこまでできるか/繁忙時間帯に対応できるか/店舗ごとの違いに合わせられるか | 接客・厨房などどの役割か、本部と店舗の論点の違い、現在の受入れ停止措置の説明 | 直接雇用。食品産業特定技能協議会への加入。2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付が一時停止(2026年9月10日掲載の審査状況でも継続) |
出典: 制度上の条件は出入国在留管理庁「介護分野」(2025年4月21日現在)「建設分野」(2024年4月1日現在)「飲食料品製造業分野」(2026年9月4日現在)「外食業分野」(2025年5月30日現在)、外食業の措置は同「在留資格認定証明書交付の一時停止措置について」(令和8年4月13日)「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」(2026年9月10日掲載)。質問と論点はエイギョウブ編集部の整理(2026-09-15確認)
介護:現場の運用への不安に、段取りで答える
介護の商談では、シフトや夜勤の組み方、教育の進め方など、現場の運用への不安が中心になりやすいので、どの事業所のどの業務の欠員かを先に聞きます。特定技能2号の対象分野ではなく、事業所ごとの1号の受入れ数にも上限がある点は、長期の人員計画を話す前に押さえます。
建設:工種と受入れの要件を先に確かめる
どの工種のどの現場に配属するかが分からないと、安全や意思疎通への不安に答えられません。建設業許可や建設特定技能受入計画の認定など受入れ機関の要件も多いので、準備状況を早めに聞き、見込みが立たない企業を無理に求人化しないようにします。
飲食料品製造業:どの工程の欠員かを具体にする
製造の現場では、ラインに乗れるか、ルールに適応して長く働けるかが見られます。どの工程のどの時間帯に人が足りないかを聞き、立ち上がりの段取りを一緒に描きます。支援の委託先が食品産業特定技能協議会の構成員かどうかも、営業の段階で確かめます。
外食業:受入れ停止措置を先に伝える
外食業分野では、1号の在留者数が受入れの上限を超える見込みとなったため、2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付が一時停止され、同日以降に受理された交付申請は不交付とされています。他の在留資格から外食業分野の1号への変更申請も、同日以降の受理分は原則として不許可です(外食業分野内での転職などの例外があります)。2026年9月10日掲載の審査状況でも続いているため、海外から新たに人材を呼ぶ提案は現状では難しいことを最初に伝え、商談のたびに入管庁の最新の掲載を確認します。
よくある失敗|5つのパターンと防ぎ方
受入企業開拓の失敗は、営業の努力不足よりも、入口の設計と引き継ぎの設計が抜けていることから起きます。下の5つは、営業の入口で起きるものと、商談の後で起きるものに分かれます。
営業の入口で起きる失敗(失敗1〜3)
失敗1:人手不足の業界を広く集めすぎる。「介護」「製造」「外食」のような業界名だけでリストを作ると、事業所ごとの業務、勤務地、勤務形態、採用権限の違いが消えます。接触した後で対象外と分かる企業が増え、トークも一般論になります。業界を選んだら、「どの業務で」「どの拠点に」「どんな欠員があるか」まで仮説を細くします。
失敗2:「外国人材がいます」から会話を始める。候補者の情報を入口にすると、企業は国籍、日本語の力、経験、入社時期を質問します。しかし業務の条件を確認する前では、合うかどうかを判断できません。初回の接点では「対象業務の欠員をどう補っているか」を聞き、候補者の話は求人条件と照らせる段階で行います。
失敗3:受入れ経験のない企業に前提知識を求める。特定技能に慣れていない企業ほど、用語や流れの理解に時間がかかります。登録支援機関や協議会といった言葉を説明なしに使わず、相手の理解度を確かめてから、判断に必要な骨格だけを平易に伝えます。
商談の後で起きる失敗(失敗4・5)
失敗4:制度説明を長くして、次の合意がない。初回の目的は、制度を理解してもらうことではなく、採用課題と受入れの可能性を確認する次の場を合意することです。「制度資料を送ります」で終えず、「対象業務と受入体制を30分で確認する」「現場責任者も交えて勤務条件を見る」のように次の判断を置きます。
失敗5:営業と支援が分断し、採用だけ決まって運用が決まらない。営業が取ってきた案件を候補者担当や支援担当がうまく受けられないと、配属後に問題が表に出ます。対象業務と人数、教育と支援の担い手、紹介会社と登録支援機関の役割、現場責任者と決裁者の認識の4つを、求人化の段階で同じシートで確認します。
よくある質問(FAQ)
- 特定技能の受入企業開拓は、どの業界から狙えばよいですか?
- 自社が継続して紹介できる候補者の分野と業務から逆算して、1業界に絞るのが近道です。人手不足の業界を広く追うと、トークも資料も一般論になります。そのうえで業界ごとの制度の状況を確認します。たとえば外食業分野は2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付が一時停止されており、介護と建設には1号の受入れ数の上限があります。対象分野は改正で追加されているので、最新の受入れ可能な分野は出入国在留管理庁の「分野別情報」で確かめてください。
- 商談で特定技能の制度説明はどこまでするべきですか?
- 初回は、相手が受け入れられるかを判断するのに必要な骨格だけに絞ります。具体的には、実際に従事する業務が対象分野の業務に当たるか、原則として直接雇用であること、報酬が日本人と同等以上であること、1号には支援計画が必要で登録支援機関へ委託もできること、分野ごとの協議会への加入が必要なことです。個別の適否は運用要領や所管省庁、行政書士などの専門家に確認する前提で伝え、運用が変わる情報は確認日を添えて説明します。
- 登録支援機関と人材紹介会社の違いは何ですか?
- 人材紹介会社は求人と求職の申込みを受けて雇用関係の成立をあっせんし、登録支援機関は受入れ機関から委託を受けて1号特定技能外国人支援計画を実施します。紹介を有料で事業として行うには職業安定法に基づく厚生労働大臣の許可が必要で、登録支援機関の登録は出入国在留管理庁長官の登録という別の手続です。支援には雇用契約の締結後で在留資格の申請前に行う事前ガイダンスも含まれるため、「紹介は採用前、支援は採用後」と単純に分けないほうが正確です。
- 受入企業開拓の営業を外に任せる場合、社内に何を残すべきですか?
- 受入れ適合の判定基準、求人化の最終的な合意、候補者担当と支援担当への引き継ぎ、制度や法務の確認窓口の4つは社内に残します。外に任せやすいのは、判定基準に沿った対象リストへの初回の接点づくりや、採用課題を聞くヒアリングです。求人の申込みを受けて雇用関係の成立をあっせんする部分は職業紹介に当たるため、許可を持つ自社の業務として残し、委託先に任せる範囲を契約書に書いておきます。委託先には、記録の項目と通過条件を最初に共有します。
まとめ
特定技能の受入企業開拓は、企業リストの件数を増やすことより、「候補者を推薦できる求人」を営業の完了条件に置くことで前へ進みます。営業の前に、誰を開拓するか、何を伝えるか、どう接点をつくるかの3つを整え、分野と業務、雇用条件、受入企業の体制、支援体制の4項目で受入れ適合を一次判定します。そのうえで、対象を絞る、仮説を付ける、接点をつくる、課題を確認する、受入条件を確かめる、求人化する、引き継ぐ、の7つの手順に通過条件を置きます。
商談では根拠のない約束をせず、答えられる事実と確認が必要な点を分けて示します。外食業分野の受入れ停止措置など業界ごとの条件は営業の前に確かめ、紹介会社と登録支援機関の役割は、許可と登録が別の手続であることを踏まえて説明してください。
出典
- 受入れ機関の方(出入国在留管理庁) 確認日 2026-09-15
- 雇用における注意点(出入国在留管理庁) 確認日 2026-09-15
- 1号特定技能外国人支援・登録支援機関について(出入国在留管理庁) 確認日 2026-09-15
- 特定技能制度に関するQ&A(出入国在留管理庁) 確認日 2026-09-15
- 特定技能外国人受入れに関する運用要領(出入国在留管理庁・令和8年8月) 確認日 2026-09-15
- 特定技能制度 制度説明資料(出入国在留管理庁・令和8年7月1日更新) 確認日 2026-09-15
- 令和7年4月1日施行の省令改正について(出入国在留管理庁) 確認日 2026-09-15
- 1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について(令和9年4月1日施行)(出入国在留管理庁) 確認日 2026-09-15
- 分野別情報(出入国在留管理庁) 確認日 2026-09-15
- 介護分野(出入国在留管理庁・2025年4月21日現在) 確認日 2026-09-15
- 建設分野(出入国在留管理庁・2024年4月1日現在) 確認日 2026-09-15
- 飲食料品製造業分野(出入国在留管理庁・2026年9月4日現在) 確認日 2026-09-15
- 外食業分野(出入国在留管理庁・2025年5月30日現在) 確認日 2026-09-15
- 特定技能「外食業分野」における在留資格認定証明書交付の一時停止措置について(出入国在留管理庁・令和8年4月13日) 確認日 2026-09-15
- 特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況(出入国在留管理庁・2026年9月10日掲載) 確認日 2026-09-15
- 育成就労制度(出入国在留管理庁) 確認日 2026-09-15
- 職業安定法(e-Gov法令検索) 確認日 2026-09-14


