人材紹介の法人開拓(求人開拓)は、企業から求人票を受け取る営業ではなく、自社の候補者に説明して推薦できる求人をつくる仕事です。止まる原因の多くは営業力ではなく、求職者対応に時間を吸われて専任を置けないことと、狙う企業の選び方や初回に聞く内容の型がないことにあります。電話やフォームの件数を増やす前に、今ある求人がどの経路から入り、どれだけ推薦に進んだかを書き出し、7つのステップを上流から固めていくと、決まらない求人ばかりが積み上がる状態を避けられます。

この記事で分かること

  • 法人開拓の完了条件と、人材紹介の業務フロー8工程の中での位置づけ(RAとCAの分担)
  • 法人開拓が苦戦する3つの原因と、30分でできる求人棚卸しのやり方
  • 開拓する企業の選び方、対象選定からCAへの引き継ぎまでの7ステップ、営業代行に任せる範囲

この記事は、人材紹介会社が求人企業を開拓する流れ全体を扱います。特定技能の外国人材を紹介する場合は制度に固有の確認事項が加わるため、特定技能の受入企業を開拓する方法で別に整理しています。

人材紹介の法人開拓(求人開拓)とは|求人票をもらう営業ではない

人材紹介の法人開拓とは、採用ニーズのある企業を見つけ、初回の接点、採用課題の聞き取り、紹介できるかどうかの判断、契約を経て、候補者を推薦できる求人に変えるまでの一連の活動です。「求人開拓」とも呼ばれ、求人企業側を担当するリクルーティングアドバイザー(RA)の仕事として扱われるのが一般的です。完了条件は求人票を受け取ることではなく、候補者に仕事の中身を説明し、推薦できる状態をつくることに置きます。

職業安定法では、職業紹介とは求人と求職の申込みを受け、求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんすることと定義されています(職業安定法第4条第1項、厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」令和8年9月)。求人の申込みを受けることは紹介の出発点ですが、それだけでは雇用関係の成立に近づきません。求人と求職者を結びつけられるだけの情報がそろって、はじめて次の工程に渡せる状態になります。

求人票を受け取るだけでは何が足りないか

「採用を進めていますか」と聞いて求人票を受け取るだけでは、必須条件を置いた理由、選考で重く見る点、入社後に任せる仕事の範囲が分かりません。CAは候補者に仕事の魅力や懸念を説明できず、推薦しても書類で見送られた理由を学べないまま、次の推薦に進むことになります。法人開拓は取引企業の数を競う仕事ではなく、預かった求人の解像度を上げる仕事だと捉え直すと、やるべきことの順番が変わります。

アウトバウンド・インバウンド・提携の3つの入口

法人開拓の入口は、大きく3つに分けられます。自社から企業に接点をつくるアウトバウンド(電話、メールや問い合わせフォーム、訪問、手紙など)、企業のほうから問い合わせや紹介が来るインバウンド(自社サイト、特化領域での発信、既存企業や候補者からの紹介)、そして求人データベースの活用や同業との提携です。どの入口を選んでも、狙う相手と初回に確認することが決まっていなければ、求人は受け取れても推薦には進みません。

業務フローの中で法人開拓はどこにあたるか|8工程とRA・CAの分担

人材紹介の業務フローは、①求人開拓、②求人票化、③候補者集客、④推薦、⑤選考調整、⑥内定・条件調整、⑦入社と請求、⑧入社後のフォローの8工程で整理できます。法人開拓はこのうち①と②にあたり、後ろの6工程すべてに材料を渡す工程です。分業型の会社では、求人企業を担当するRAが①と②を持ち、候補者を担当するキャリアアドバイザー(CA)が③から候補者側の工程を受け持つのが基本の形です。④から⑥で企業との連絡をRAとCAのどちらが持つかは、会社によって分け方が違います。

人材紹介の業務フロー8工程と、法人開拓(求人開拓)が担う範囲 求人開拓・求人票化・候補者集客・推薦・選考調整・内定と条件調整・入社と請求・入社後フォローの8工程を並べ、最初の2工程が法人開拓でRAが担当し、以降は候補者側の工程であることと、最初の2工程で聞き漏らすと後の工程で問題が表面化することを示した図。 人材紹介の業務フロー8工程と法人開拓の範囲(分業型の例) ① 求人開拓 企業との接点・採用課題 ② 求人票化 要件と背景を言葉にする ③ 候補者集客 登録・面談 ④ 推薦 候補者を企業へ → → → ⑤ 選考調整 面接日程・結果の連絡 ⑥ 内定・条件調整 条件のすり合わせ ⑦ 入社と請求 契約の条件どおりに ⑧ 入社後フォロー 定着の確認 → → → 法人開拓の工程(分業型ではRAが担当) 候補者と選考を動かす工程(候補者側はCAが担当) ①②で聞けていないことは、後の工程で表面化する 必須条件の理由が分からない → ④で推薦する人を選べない 採用期限・面接担当が曖昧 → ⑤で選考が滞る 任せる仕事が求人票と実態で違う → ⑧で早期離職につながりかねない
図1: 人材紹介の業務フロー8工程(編集部作成)。法人開拓は①②で、後の6工程に材料を渡す。④〜⑥で企業との連絡をRAとCAのどちらが持つかは会社によって違う。

①と②で確認できなかったことは、③以降で表面化します。必須条件の理由を聞けていなければ④で推薦する人を選べず、採用期限や面接担当者が曖昧なら⑤で日程が決まらず選考が滞ります。任せる仕事の範囲が求人票と実態で食い違っていれば、⑧で早期離職につながりかねません。法人開拓は、後ろの工程が困らない情報を最初にそろえる工程として設計します。

工程 主な担当(分業型の例) 法人開拓の段階で確認しておくこと
① 求人開拓 RA 採用理由、採用期限、採用の決定に関わる人
② 求人票化 RA 必須条件の理由、選考で見る点、任せる仕事の範囲
③ 候補者集客 CA 候補者に伝える仕事の魅力と懸念
④ 推薦 CA(企業への提出はRAが持つ会社もある) 推薦を止める条件、書類で見られる点
⑤ 選考調整 RAとCA 面接担当者、選考の回数と日数
⑥ 内定・条件調整 RAとCA 条件の幅、内定を出すかを決める人
⑦ 入社と請求 RA(経理と分担する会社もある) 基本契約で決めた請求の条件
⑧ 入社後のフォロー CAとRA 入社後に任せる仕事、受け入れの体制

表は編集部による整理です(数字の出典はありません)。分担の線引きは、会社の規模や体制によって異なります。

分業型と両面型で変わるのは工程ではなく検証する人

RAとCAを分ける分業型と、1人の担当者が企業と候補者の両方を受け持つ両面型の違いは、工程の数ではなく、求人として受けてよいかの判断を検証する人がいるかどうかです。分業型では、CAが「この求人票では候補者に説明できない」と不足を指摘するため、判断に別の人の目が入ります。両面型では、企業の話を聞いた本人がそのまま候補者に紹介するので、聞き漏らしに気づく人がいません。

両面型には、企業の温度感を候補者に直接伝えられる良さがあります。一方で、忙しくなって聞き取りが浅くなっても、誰にも止められません。工程を減らすのではなく、求人として受ける条件を求人メモに書き出し、記憶ではなく文書で判定する運用に置き換えます。後で紹介する「求人化判定」の4区分をメモの定型にしておくと、担当者の忙しさで判断がぶれるのを抑えられます。

法人開拓が苦戦する構造と3つの原因|営業力ではなく時間と型の問題

人材紹介の法人開拓が止まるのは、①法人開拓の時間が取れない、②既存企業と紹介に頼り、取りに行く力が育っていない、③新しい企業を取りに行く型(対象の条件と初回に聞くこと)がない、の3つが重なった結果です。3つがそろうと、求人を受け取っても推薦できる求人にならず、慌てて外に頼んでも採用の話が通じない営業に任せてしまい、企業の信頼をさらに落とします。上の層が下の層を塞いでいるため、施策を1つ足しただけでは動きません。

とくに①は、人材紹介に固有の構造です。人材紹介は求職者集客と法人開拓の両輪で回りますが、求職者対応は面談の日程や選考の締め切りがあって待ったなしのため、時間は先にそちらへ吸われます。その結果、法人開拓は「手が空いたらやる」扱いになり、専任も型もないまま、既存企業のリピートと紹介に頼る状態が固定されます。既存企業や紹介は相手の都合で増えたり減ったりするので、そこが細ったときに差し込む経路が社内に残っていません。

3つの原因の見分け方と最初の一手

原因 現場で出ている症状 見分け方(自問する) 最初の一手
① 法人開拓の時間がない 「求人も開拓しないと」が何か月も言われ続けている 今週のカレンダーに法人開拓の時間が入っているか 週に1コマ、求職者対応に触らない開拓の時間を先に固定する
② 取りに行く力が育っていない 既存企業や紹介が減ると打ち手がなく、条件の値引きで対応する 既存・紹介以外から取った直近の稼働求人を1件言えるか 新規で取れた過去の求人の「きっかけ」を1つ書き出す
③ 新規の型がない 担当者ごとに狙う相手も初回に聞く内容もばらばら 対象の条件と求人ヒアリングの項目が1枚にまとまっているか 強い職種・業界・エリアと初回の質問を1枚に書き出す

表は編集部による整理です(数字の出典はありません)。

①の時間の問題は、少人数の紹介会社ほど、意志ではなく構造の問題になります。求職者対応を持つ担当者が法人開拓も兼ねていると、開拓や求人ヒアリングのやり方を振り返る時間そのものが取れず、うまくいった聞き方が個人の頭の中に残ったまま、会社の型になりません。

②の取りに行く力の弱さは、判断が経験と勘に寄りやすいことにも表れます。勘は本人の中にしかないため、既存企業や紹介が細ったときに「次にどの企業に当てるか」を組織で決められません。③の型がない状態では、担当者ごとに狙う相手も初回に聞く内容も違い、うまくいった月の理由を誰も説明できないまま、翌月を迎えることになります。

原因を残したまま外に頼むと起きること

3つの原因を残したまま法人開拓を外部に頼むと、採用要件・選考基準・受け入れの体制という前提を共有しないまま、件数だけを約束する営業に任せることになりがちです。すると初回の会話で企業の質問に答えられず、かえって信頼を失います。企業の採用担当者は「この会社に任せて、自社の欠員に合う人が来るのか」を見ているため、紹介できる候補者層や決定までの進め方を説明できない相手には、求人を預ける理由がありません。

詰まりを測る求人棚卸し|30分で経路と稼働を見る

求人棚卸しとは、直近の新規求人を「既存企業のリピート/紹介・リファラル/インバウンド/新規アウトバウンド」の4経路に仕分け、あわせて受け取った求人のうち何割が稼働求人(要件が固まり、推薦や選考に進んだ求人)になったかを1枚で見える形にする作業です。新しいツールは要りません。求人一覧と30分あれば終わります。下の図2がその記入例です。

人材紹介会社の求人を4経路に分け、既存・紹介に偏り新規アウトバウンドが空白であること、稼働求人は一部であることを示した図 求人の入口を4経路に分け、既存リピートと紹介に偏り新規アウトバウンドがほぼ空白で、受け取った求人のうち稼働求人になるのは一部であることを示した記入例の対比図。 求人は「経路」と「稼働」で見ると詰まりが見える(記入例) 求人の入口 直近の新規求人に占める割合(イメージ) 増減を決めるもの ① 既存企業のリピート 多い 相手次第 ② 紹介・リファラル 中 相手次第 ③ インバウンド(問い合わせ) 中〜少 露出次第 ④ 新規アウトバウンド開拓 ほぼゼロ ← ここが空白 自社の行動 読み方:①②に偏り④が空白=既存と紹介が細った瞬間に求人在庫が枯れる構造。 自社でコントロールできるのは④だけ。ここに求人の経路を1本つくることが法人開拓の目的。 さらに、受け取った求人のうち、要件が固まり推薦に進む「稼働求人」は一部だけ ← 稼働求人(推薦に進んだ) 時間がない(原因①)/既存・紹介頼みで取りに行く力が弱い(原因②)/新規の型がない(原因③)
図2: 求人棚卸しの記入例(編集部作成・割合はイメージ)。自社でコントロールできるのは新規アウトバウンド開拓(④)で、ここが空白だと既存・紹介が細った瞬間に求人在庫が枯れる。受け取った求人のうち稼働求人がどれだけかも合わせて見る。
  1. 直近3〜6か月の新規求人を全部書き出す:ポジション単位で並べます。多すぎる場合は、直近の20件で構いません。
  2. 各求人を4経路のどれかに仕分ける:既存企業のリピート/紹介・リファラル/インバウンド(問い合わせ経由)/新規アウトバウンド(自社が初めて接点をつくって獲得した求人)。
  3. 新規アウトバウンド(④)の件数と、全体の稼働の割合を数える:直近で④がゼロから1件なら、求人在庫は取引先の都合と景気に委ねられている状態です。さらに「受け取ったが動かなかった求人」が多ければ、開拓の量ではなく、求人ヒアリングの質に詰まりがあります。

棚卸しの目的は良し悪しを判定することではなく、自社でコントロールできる経路(④)がどれだけ細いか、受け取った求人がどれだけ動いているかを直視することです。既存企業や紹介は相手の都合で増減しますが、④は自社の行動で太くできます。棚卸しをすると、「法人開拓をしていない」のか、「④にまとまった時間を割いていない」のかが、はっきり分かれて見えてきます。

棚卸しの結果から次の一手を決める

棚卸しの結果 読み取れること 見直すステップ
④がゼロ〜1件で、受けた求人はよく動いている 決まる求人の聞き方はあるが、新しい経路がない ステップ1〜3(対象選定・仮説準備・初回接点)に時間を割く
④はあるが、動かない求人が多い 接点の量はあるが、聞き取りと求人化の判断が浅い ステップ4〜5(採用課題の確認・求人化判定)
推薦には進むが、書類や面接で見送りが続く 選考で見る点がCAに渡っていない ステップ7(CAへの引き継ぎ)の項目をそろえる
①②に偏り、求人が特定の数社に集中している 取引先が減った時点で求人在庫が枯れる 開拓する企業のタイプを1つ決め、④を1本つくる

表は編集部による整理です(数字の出典はありません)。

棚卸しのあとで継続して追う3つの数字

棚卸しは一度で終わらせず、月に1回ほど同じ形で見直します。そのときは求人の件数ではなく、次の3つを追うと、詰まりの場所が分かります。

  • 有効求人化率:受け取った求人のうち、紹介できると判定して候補者探しに入った求人の割合です。低ければ、対象選定か採用課題の聞き取りに問題があります。
  • 推薦可能率:候補者探しに入った求人のうち、実際に1人以上を推薦できた求人の割合です。低ければ、自社の候補者層と求人の条件が合っていません。
  • 初回推薦までの日数:求人を受けてから最初の推薦までにかかった日数です。長ければ、CAへの引き継ぎで情報が欠けているか、候補者層から外れた求人を受けています。

3つとも、自社の求人一覧に「受けた日」「判定」「初回推薦日」の列を足せば数えられます。目安になる値は職種や候補者層によって変わるため、他社の数字と比べるより、自社の先月との差を見るほうが打ち手につながります。

開拓する企業の選び方|求人掲載の有無より候補者層との適合で決める

開拓する企業の優先順位は、採用ニーズの強さだけでなく、自社が紹介できる候補者層と重なるかどうかで決めます。求人媒体に掲載している企業は見つけやすい一方で、同じ時期に多くの紹介会社が連絡します。掲載の有無だけで並べると、競合が多く、自社では候補者を集めにくい企業に工数を使いがちです。次の4つの判断軸で並べ直します。

判断軸 優先する状態 保留する状態 確認する情報
候補者層との適合 得意な職種・地域・条件と重なる 候補者を探す経路を持たない職種 過去の登録者の傾向、候補者の集客経路
採用理由 欠員・増員の背景が読める 通年募集だけで期限が分からない 事業の変化、募集の開始・終了の時期
条件の現実性 市場と条件に大きな開きがない 必須条件が多く、年収とつり合わない 必須・歓迎の条件、年収、働き方
決定に関わる人との接点 採用責任者に確認できる 受付の情報だけで担当者が分からない 人事、現場の責任者、契約を決める人

表は編集部による整理です(数字の出典はありません)。

自社の候補者層から逆算する

最初に、自社が継続して接点を持てる候補者の職種、経験、地域、希望年収、働き方の条件を整理します。「IT人材」のような広い括りではなく、「首都圏で自社開発企業を希望するWebエンジニア」のように、企業リストと照らし合わせられる粒度にします。これは候補者がいるように見せるための整理ではなく、自社が継続して集められる領域を示すための整理です。条件を企業リストに落とし込み、優先順位をつける手順はインサイドセールスのリスト作成|優先順位づけと架電前の絞り込み条件が参考になります。

採用ニーズが生まれる理由を探す

求人媒体への掲載は、採用ニーズのシグナルの1つにすぎません。新しい拠点の開設、新規サービスの立ち上げ、資金調達、受注の増加、退職による欠員など、採用が必要になる理由はほかにもあります。企業名だけのリストではなく、「なぜ今採用する可能性があるか」を1文添えておくと、初回の連絡で相手が答えやすい問いを立てられます。

求人を掲載している企業を狙うべきか

求人掲載の直後は採用意欲が見える反面、紹介会社からの連絡が集中します。連絡の時期を掲載中だけに固定せず、掲載が終わって採用の結果を見直す時期も仮説に入れておくと、連絡が重なりにくい時期に話を聞いてもらえることがあります。どちらが正解という決まりはないため、自社の棚卸しに「どの時期に連絡した企業から稼働求人が出たか」を記録し、自社の候補者層に合う狙い方を判断します。

相手のタイプで接点と初回の用件を変える

「求人企業を開拓する」とひとくくりにせず、相手を採用課題の質で分けると、接点のつくり方も初回の用件も変わります。すべてを同時に狙うと、どれも中途半端になります。自社の強い職種・業界・エリアが最も活きる相手を1つ選ぶところから始めます。

開拓する相手 特徴・採用課題 主な接点のつくり方 最初の一歩
事業会社(一般企業) 採用担当者が窓口。要件を決めるのは事業部や経営者 フォーム、紹介、採用媒体経由の問い合わせ 強い職種の候補者像を1枚にして採用担当者へ届ける
採用強化フェーズの成長企業 複数のポジションを急いで埋めたい。決定が速い 経営者・人事責任者への直接の接点、紹介 今すぐ動ける候補者像を具体的に見せる
採用の経路が弱い中小・地方企業 求人媒体だけでは集まらない。連絡してくる紹介会社が少ない 電話、訪問、地域の紹介 その地域・職種で紹介できる候補者層の厚みを伝える
同業・採用代行会社との提携 求人を持っているが、候補者が足りない相手と組む 提携、求人の共有 自社が埋められる職種・エリアの範囲を示す

表は編集部による整理です(数字の出典はありません)。

相手によって「誰に会えばよいか」も違います。事業会社では採用担当者が入口ですが、要件を決めるのは事業部長や経営者で、採用担当者止まりだと求人の優先度も条件も固まりません。いきなり決裁者を狙うより、情報を持つ採用担当者と一緒に、事業側が本当に困っている採用課題を引き出して次につなぐほうが現実的です。担当者止まりから抜ける経路は決裁者に会えない営業を変える4つの到達経路にまとめています。

法人開拓の7ステップ|対象選定からCAへの引き継ぎまで

法人開拓は、①対象選定、②仮説準備、③初回接点、④採用課題の確認、⑤求人化判定、⑥契約・求人受理、⑦CAへの引き継ぎの7ステップで進めます。接点を得てから求人を受け取るまでの間に「紹介できるか」の判定を置くことで、使われない求人票が積み上がるのを防げます。

ステップ やること つくるもの
① 対象選定 決めきれる領域を整理し、判断軸で企業を絞る 強みの1枚、対象30社ほどの一覧
② 仮説準備 採用理由の仮説と確認したい問いを企業ごとに書く 1社1行の仮説メモ
③ 初回接点 チャネルを選び、採用状況を聞く許可を得る 連絡の履歴、追客のルール
④ 採用課題の確認 募集の背景、期限、必須条件の理由、選考を聞く 求人ヒアリングの記録
⑤ 求人化判定 自社の候補者層と照らし、4つに分ける 判定と理由
⑥ 契約・求人受理 基本契約の項目を確認し、求人を受ける 基本契約、求人票
⑦ CAへの引き継ぎ 求人票にない情報をそろえて渡す 引き継ぎメモ

表は編集部による整理です(数字の出典はありません)。

ステップ1〜2|対象を選び、確認したいことを1文にする

まず、自社が決めきれる領域を1枚にまとめます。強い職種・業界・対応エリア、直近の決定実績、決定までにかかった期間を並べると、企業が自社の欠員に当てはめて考えやすくなります。企業が知りたいのは会社の沿革ではなく、「任せたら、どの職種を、どれくらいの期間で決めてくれそうか」です。そのうえで、前の節の判断軸と相手のタイプで、狙う企業を30社ほどに絞ります。

対象ごとに、企業名、募集職種、採用理由の仮説、自社が対応できそうな候補者層、確認したい問いを1行にまとめます。「求人を見たので連絡しました」だけでなく、「新拠点の立ち上げに伴う増員と見ていますが、即戦力の採用か、育成前提の採用かを伺いたい」のように、相手が答えやすい仮説にしておきます。

ステップ3|初回接点では、話を聞かせてもらう理由を渡す

電話、メールや問い合わせフォーム、紹介、訪問のどれを使っても、初回の目的は契約をその場で決めることではありません。自社が支援できる領域を短く伝え、採用状況を聞かせてもらう許可を得ることです。チャネルは相手と接点を持つ手段にすぎず、誰に何を確認するかが先に決まっている必要があります。

チャネルは優劣ではなく、足りないものが「接点の量」か「接点の質」かで選びます。求人がほとんどない立ち上げの時期は量を、求人はあるのに推薦につながらない時期は質を優先します。

チャネル 向く状況 接点までの速さ 主な負荷・注意点
電話 求人が少なく、接点の数をつくりたい 速い 件数に比例して工数が増える。受付を通る用件の設計が要る
メール・問い合わせフォーム 対象が明確で、仮説を書ける 中くらい 定型文は読まれにくい。1社ごとの記述が要る
既存企業・候補者からの紹介 推薦や決定の実績がすでにある 遅い 量を計画できない。実績がないと成り立たない
求人データベース・同業との提携 候補者は集まるが、求人が足りない 速い 報酬の配分と責任の範囲を契約で明らかにする
自社サイトでの発信・セミナー 特化した領域で指名されたい 遅い 立ち上がりに時間がかかり、目先の求人不足は埋まらない

表は編集部による整理です(数字の出典はありません)。

チャネル全体の比較は中小企業の新規開拓方法を比較|テレアポ・フォーム・紹介・広告・代行、電話が担当者につながらない場合の見直しはテレアポが繋がらない3つの原因で扱っています。

一度の接点で求人が出ることは多くありません。いつ、何を、何回まで連絡するかを先に決め、返事がない企業の扱いを担当者任せにしないことも、この段階で決めておきます。誰がどの企業にいつ連絡したかを1つのリストで管理しておくと、担当者どうしが同じ企業に重ねて連絡してしまうことを防げ、企業からの印象を損なわずに連絡を続けられます。

ステップ4〜5|採用課題を聞き、紹介できるかを判定する

聞き取りでは、募集の背景、採用期限、必須条件、条件を満たさない候補者を見送る理由、面接担当者、選考の回数と日数を確認します。抽象的な「良い人がいれば」ではなく、要件と背景を具体的な言葉にできると、推薦の精度が上がり、求人が前に進みます。

聞き取りのあと、自社の候補者層と照らし合わせて、求人を次の4つに分けます。

  • すぐ紹介できる:今の登録者の中に推薦できる人がいる
  • 探してから判断する:候補者層は合うが、今は該当者がいない
  • 条件の調整が必要:必須条件や年収が市場と離れていて、このままでは推薦しにくい
  • 対象外:自社の候補者層と重ならない

求人を受けない判断も、法人開拓の質の一部です。対象外の求人を無理に受けると、推薦できない求人が一覧に残り、企業からは「動いてくれない紹介会社」に見えてしまいます。条件の調整が必要な求人は、推薦しにくい理由を企業に伝え、どこまで調整できるかを確認してから受けます。

ステップ6〜7|契約で確認する項目とCAへの引き継ぎ

基本契約では、紹介手数料の条件、入社後早期に退職した場合の返金の条件、候補者の個人情報の取り扱い、推薦と選考の進め方を確認します。

求人を受けたら、求人票だけでなく、次の情報をCAに渡します。

  • 採用理由と採用期限
  • 候補者に伝える仕事の魅力
  • 企業側の懸念と、候補者に前もって伝えておくべきこと
  • 選考で重く見る点と、見送りの理由になりやすい点
  • 推薦を止める条件

引き継ぎで欠けている情報があれば、CAが推測で埋めるのではなく、RAが企業に戻って確認します。両面型の会社では、この項目を求人メモの定型にしておき、自分で自分に引き継ぐつもりで書き出します。

営業代行を使う判断と任せる範囲|接点づくりは外、求人化の判断は社内に

法人開拓の時間が社内でどうしても取れないときは、営業代行で補う選択肢があります。任せやすいのは求人企業との接点づくりで、求人を受けるかどうかの判断と候補者側の業務は社内に残すのが基本です。開拓の人員を採用で増やす前提も簡単ではなく、2026年7月の「営業職業従事者」の有効求人倍率は2.05倍でした(パートタイムを含む常用、原数値。厚生労働省「一般職業紹介状況」で、ハローワークの求人・求職だけの数字です)。営業職の採用状況の詳細は営業の人手不足はどれくらい深刻か|公的統計で見る営業職の有効求人倍率で整理しています。

外に頼むかどうかは、棚卸しで「新規アウトバウンドに時間を割けていない」ことがはっきりし、ステップ1〜2の対象条件と仮説を社内で決められる状態になってから検討すると、依頼の中身がぶれません。内製の限界を見極める目安は営業代行を入れるべきタイミングの見極め方で扱っています。

外に任せやすい工程と社内に残す工程

ステップ 外に任せやすいこと 社内に残すこと
対象選定・仮説準備 条件に沿ったリスト作成、企業情報の収集 狙う職種・業界・エリアと、受けない求人の条件
初回接点 電話・フォーム・手紙などでの窓口確認と初回の連絡、日程調整 自社の支援領域と、紹介できる候補者層の伝え方
採用課題の確認・求人化判定 決めた項目に沿った一次の聞き取り 条件の背景の深掘りと、求人として受けるかの判定
契約・引き継ぎ 連絡履歴の記録と共有 基本契約の締結、CAへの引き継ぎ、候補者側の業務

表は編集部による整理です(数字の出典はありません)。

候補者側の業務を外に広げるときは、別の確認が要ります。求人者に紹介するために求職者を探し、就職を勧め、応じた人をあっせんする「スカウト行為」を事業として行う場合は職業紹介事業に含まれ、許可等が必要とされています(厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」令和8年9月)。営業代行に頼む範囲を求人企業への接点づくりに絞る場合も、どこまでを任せるかを契約書に書いておくと、双方の役割が曖昧になりません。

依頼先を選ぶときに確かめること

依頼先を比べるときは、件数の約束より、採用や人材紹介の流れを理解しているかを確かめます。具体的には、求人ヒアリングの項目を共有したうえで一次の聞き取りができるか、連絡の履歴を自社と同じ形式で残せるか、対象外と判断した企業についてその理由を返してくれるか、の3点です。初回の会話で採用要件の話が通じない相手に任せると、ステップ3の段階で企業の信頼を落とすことがあります。

エイギョウブ(総合)の実行支援メニューには、電話営業(BDR/SDR)、フォームDM(1日最大500件のアプローチ)、SNS運用(LinkedIn)、交流会・展示会、即戦力人材のアサイン(最短数日で稼働)があります。アポイント獲得だけでなく、商談から成約までを一括で請け負うこともできます。エイギョウブの営業支援全体では、2026年4〜6月の3か月に初回商談115件を創出しました(支援先全体の合計・自社集計で、人材紹介会社に限った数字ではありません)。

費用は料金体系によって大きく変わります。固定報酬型の場合、営業担当者1人あたり月50万〜60万円程度とするメディアが多くなっています(Sales Marker、PRONIアイミツほか)。料金体系ごとの違いと費用対効果の見方は営業代行の費用相場と費用対効果の見極め方で詳しく整理しています。

よくある質問(FAQ)

求人開拓とは何ですか?法人開拓との違いはありますか?
求人開拓とは、人材紹介会社が採用ニーズのある企業を見つけ、採用課題を聞き取り、候補者を推薦できる求人として預かるまでの活動です。法人開拓とほぼ同じ意味で使われ、どちらも求人企業側を担当するRAの仕事として扱われるのが一般的です。職業安定法では、職業紹介を求人と求職の申込みを受けて雇用関係の成立をあっせんすることと定義しており、求人開拓はその求人側の入口にあたります。完了の目安は、求人票を受け取った時点ではなく、候補者に説明して推薦できる情報がそろった時点に置きます。
人材紹介のRAとCAはどう役割を分ければよいですか?
分業型では、求人企業を担当するRAが求人開拓と求人票化を持ち、候補者を担当するCAが候補者集客から候補者側の工程を受け持つのが基本の形です。推薦や選考調整で企業との連絡をどちらが持つかは会社によって違うため、社内で決めて文書にしておきます。分担そのものより大切なのは、RAからCAへ渡す情報の項目です。採用理由、候補者に伝える魅力と懸念、選考で見る点、推薦を止める条件をそろえて渡すと、CAが推測で補う部分が減ります。1人で両方を持つ両面型では、この項目を求人メモの定型にします。
求人を掲載している企業を狙うべきですか?
求人掲載中の企業は採用意欲が見えるので対象に入れてよいものの、掲載の有無だけで優先順位を決めないほうが、工数を無駄にしにくくなります。掲載直後は多くの紹介会社から連絡が集中し、自社の候補者層と合わない職種だと推薦にもつながりません。候補者層との適合、採用理由が読めるか、条件が市場と大きく離れていないか、採用責任者に確認できるかの4つで並べ直し、掲載が終わった後の見直しの時期も連絡の候補に入れます。どの時期に連絡した企業から稼働求人が出たかを記録すると、自社に合う狙い方が分かってきます。
人材紹介の法人開拓を営業代行に任せてよい範囲はどこまでですか?
任せやすいのは、条件に沿ったリスト作成、電話やフォームでの窓口確認と初回の連絡、日程調整、連絡履歴の記録といった、求人企業との接点づくりの工程です。狙う職種と受けない求人の条件、採用課題の深掘り、求人として受けるかの判定、基本契約、CAへの引き継ぎは社内に残します。求職者を探して就職を勧め、あっせんするスカウト行為を事業として行う場合は職業紹介事業に含まれ、許可等が必要とされています。候補者側の業務は営業代行の範囲に含めず、任せる範囲を契約書で明確にしておきます。

まとめ|完了条件を決め、棚卸しで詰まりを測り、7ステップを上流から固める

人材紹介の法人開拓は、求人票を受け取る営業ではなく、候補者を推薦できる求人をつくる仕事です。止まる原因は営業力より、時間が取れないこと、既存企業と紹介に頼ってきたこと、新規の型がないことの3つにあります。件数を増やす前に、次の順番で固めていきます。

  • 法人開拓の完了条件を「候補者に説明して推薦できる状態」に置き、業務フロー8工程のうち①②が後ろの工程に何を渡すかを決める
  • 直近の新規求人を4経路に仕分け、新規アウトバウンドの件数と、推薦に進んだ求人の割合を数える
  • 開拓する企業を、掲載の有無ではなく候補者層との適合、採用理由、条件の現実性、決定に関わる人との接点で選ぶ
  • 対象選定からCAへの引き継ぎまでの7ステップを上流から固め、外に頼むときは接点づくりに範囲を絞って求人化の判断を社内に残す

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