営業KPIとは、受注や売上といった最終目標(KGI)に向かう途中の営業活動を、数字で確かめる指標です。架電数などの行動量(先行指標)、商談化率などの歩留まり(中間指標)、受注数などの成果(遅行指標)の3階層に分け、KGIから逆算してつなぐと、数字が足りないときにどこを直せばよいかが分かります。行動量だけをKPIにすると、目標の件数は達成しているのに受注が増えない状態になりがちです。この記事では、3階層の分け方と営業の進め方別の指標例、KGIから逆算してKPIツリーを作る手順を順に説明します。

  • 営業KPIとKGI・KSFの違いと、先行・中間・遅行の3階層の分け方
  • 新規開拓・既存顧客・受注と単価など、営業の進め方別のKPI例一覧
  • KGIから逆算してKPIツリーを作る5ステップと、見る頻度・見直し方

営業KPIとは|KGI・KSFとの違いを先に押さえる

営業KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)とは、営業の最終目標に向かって、途中の活動が順調に進んでいるかを数字で確かめる指標です。最終目標そのものはKGI(Key Goal Indicator、重要目標達成指標)と呼び、「今期の受注金額」「月の新規受注件数」のように置きます。KGIは期間が終わるまで確定しないので、月末に未達が分かっても打つ手が残っていません。そこで途中の数字をKPIとして追い、早い段階で軌道を直します。

KGI・KSF・KPIの関係

3つの言葉は「ゴール」「勝ち筋」「進み具合」という関係で並びます。KSF(Key Success Factor、重要成功要因)は、KGIを達成するために何がうまくいけばよいかという要因のことで、たとえば「決裁者と初回の商談で会えること」「既存顧客から追加の受注を取ること」が当たります。KPIは、そのKSFが実際に進んでいるかを測る数字です。

用語 意味 営業での例
KGI(重要目標達成指標) 最終的に達成したいゴール 月の新規受注件数、四半期の受注金額
KSF(重要成功要因) ゴールに届くために押さえる要因 決裁者との商談を増やす、既存顧客の追加受注を取る
KPI(重要業績評価指標) 要因が進んでいるかを測る数字 決裁者との商談数、提案件数、受注率

注: 用語の説明と例は、一般的な使われ方をもとにした整理です(数値は含みません)。

KSFを考えずにKPIを決めると、「数えやすい数字」がそのまま目標になります。架電数や訪問数が真っ先に選ばれるのはこのためです。数えやすい数字が悪いわけではありませんが、それが受注にどうつながるかを決めておかないと、数字を追うこと自体が目的になってしまいます。

営業KPIを置く目的|感覚ではなく共通の数字で話す

営業の会議で「今月は厳しい」「手応えはある」といった言葉が続くと、何を直すかが決まりません。KPIを置く目的は、担当者と責任者が同じ数字を見て、足りないのが量なのか質なのかを話し合える状態をつくることです。担当者それぞれが頭の中で持っていた数字の見方をチームでそろえることは、特定の人に頼った営業から抜け出す手がかりにもなります。担当者が抜けると営業が止まる状態の見つけ方は営業の属人化を解消する4ステップで扱っています。

先行・中間・遅行の3階層で分ける|動かせる数字と答え合わせの数字

営業KPIは、先行指標・中間指標・遅行指標の3階層に分けると設計しやすくなります。先行指標は架電数・訪問件数・提案件数のように、担当者が今日から増やせる行動量です。遅行指標は受注件数・受注金額のように、後から確定する成果です。その間にあるのが、行動がどれだけ次の段階に進んだかを示す歩留まり、つまり中間指標です。まずは自社でいま追っている数字が、どの階層に当たるかを仕分けてみてください。

営業KPIの3階層モデルの対応図 先行指標が中間指標を通って遅行指標に変わる流れと、各階層の役割・見る頻度。 営業KPIの3階層/打ち手をぶつける場所と答え合わせの場所は違う 先行指標(行動量) 架電数・送信数 商談数・提案数 中間指標(歩留まり) 接触率・商談化率 受注率 遅行指標(成果) 受注数・受注金額 売上 打ち手をぶつける 日次・週次で見る 詰まりを特定する 週次・月次で見る 答え合わせをする 月次で見る 遅行指標は直接操作できない。動かせるのは先行指標と歩留まりだけ。
図1: 営業KPIの3階層モデル。

3階層の役割と見る頻度

種類 営業での具体例 性質 見る頻度と使い方
先行指標(行動量) 架電数・送信数・訪問件数・商談数・提案件数 担当者が今日から動かせる。結果がすぐ数字に出る 日次・週次。打ち手を直接ぶつける対象
中間指標(歩留まり) 接触率・商談化率・受注率・失注率 質を映す。量と成果をつなぐ変換の割合 週次・月次。どの段階で詰まっているかを特定する
遅行指標(成果) 受注件数・受注金額・売上・継続率 後から確定する。直接は操作できない 月次。先行指標の設計が正しかったかを確かめる

注: 指標の区分と見る頻度は、一般的な営業プロセスをもとにした整理です(数値は含みません)。

打ち手をぶつける先は先行指標と中間指標で、遅行指標は結果を確かめる場所です。受注件数を「増やせ」と号令しても、行動量と歩留まりのどちらも変わらなければ受注は増えません。3階層をそろえて持っておくと、未達のときに「量が足りないのか、途中の段階で落ちているのか、その両方か」を切り分けられます。

同じ数字でも担当によって階層が変わる

商談数は、アポイントを取る担当から見れば自分の成果ですが、商談のあとに提案と受注を担う担当から見れば入口の数字です。どの階層に置くかは指標の名前ではなく、誰がその数字を動かすかで決めます。営業を分業している組織では、担当ごとに「自分で動かせる先行指標」と「次の担当に渡す成果」を分けて持たせると、責任の範囲がはっきりします。

営業KPIの例一覧|営業の進め方別に指標を選ぶ

指標の候補はたくさんありますが、全部を追う必要はありません。自社の営業の進め方に近いものから、各階層で1〜2個ずつ選んでください。下の表は、指標名と数え方の例です。「有効接触とは誰と話せた場合か」「商談とは何分の打合せを指すか」といった数え方の定義を社内で文字にして決めておくと、担当者によって数字の意味がずれません。

新規開拓(電話・訪問)のKPI例

階層 指標 数え方の例 注意すること
先行 架電数・訪問件数 1日・1週間に発信または訪問した件数 件数だけを追うと、つながりやすい相手に偏りやすい
先行 未接触リストの残り件数 条件に合い、まだ接触していない企業の数 残りが少ないと、翌月の行動量を確保できない
中間 接触率 担当者や決裁者と話せた件数÷発信・訪問件数 受付で止まった件数と、担当者と話せた件数を分けて数える
中間 アポ率・商談化率 接触した相手のうち、商談の約束が取れた割合 分母を何にするかを先に決めて固定する
遅行 新規商談の実施件数 期間内に実際に行われた初回商談の件数 約束した件数と、実施できた件数を分ける

注: 指標名と数え方は、一般的な新規開拓の流れをもとにした例です(数値は含みません)。

訪問営業では、訪問の前に電話やDMで接点をつくってから訪ねるかどうかで、訪問件数あたりの商談数が変わります。訪問の段取りの組み方は訪問営業のやり方(7ステップで商談化まで設計)、最初の接点から商談に進む割合の上げ方と計算の仕方は商談化率を上げる初回アプローチの設計で扱っています。

インサイドセールスのKPI例

電話やメールで商談をつくるインサイドセールスでは、架電数、接続数、有効会話数、商談設定数、商談実施数のように、工程ごとに分母を変えて数字を並べるのが基本です。工程が細かく分かれるぶん、指標の数も増えやすくなります。工程別の指標一覧と、商談数から架電数を逆算する方法はインサイドセールスのKPI設計(架電・接続・商談化を分けて追う指標一覧)にまとめています。

既存顧客・ルート営業のKPI例

階層 指標 数え方の例 注意すること
先行 計画した訪問・連絡の実施件数 期初に決めた訪問・連絡の予定のうち、実施できた件数 先にどの顧客をどの頻度で訪ねるかを決めておく
先行 追加・切り替えの提案件数 既存顧客に出した提案や見積の件数 口頭の案内と、見積を出した提案を分けて数える
中間 休眠顧客の再接触件数 一定期間取引がない顧客と話せた件数 「休眠」を何か月取引なしとするかを決める
中間 提案からの受注率 受注件数÷提案件数 新規の受注率と混ぜずに分けて見る
遅行 継続率・解約件数 期首の取引顧客のうち、期末も取引が続いている割合 解約の理由も合わせて記録する
遅行 顧客あたり売上 期間内の売上÷取引顧客数 大口の1社に引っ張られていないかを確かめる

注: 指標名と数え方は、一般的な既存顧客営業の流れをもとにした例です(数値は含みません)。

既存顧客の営業は、新規開拓ほど行動量を増やしにくい一方で、取引が続くかどうかや追加の受注が売上を大きく左右します。先行指標は「何件訪問したか」よりも「計画どおりに接点を持てたか」で測ると、忙しい月に後回しにされがちな顧客を見落としにくくなります。

受注と単価のKPI例

階層 指標 数え方の例 注意すること
中間 受注率 受注件数÷商談件数(または提案件数) 分母を商談にするか提案にするかを決めて固定する
中間 失注理由の内訳 価格・時期・競合・機能など、理由ごとの件数 自由記述だけにせず、選択肢で記録する
中間 商談から受注までの日数 初回商談の日から受注日までの日数 長くかかる案件が月末に集中していないかを見る
遅行 受注件数・受注金額 期間内に契約した件数と金額 契約日と売上計上日のどちらで数えるかを決める
遅行 平均受注単価 受注金額÷受注件数 値引きで件数を取っていないかを確かめる

注: 指標名と数え方は、一般的な受注管理の項目をもとにした例です(数値は含みません)。

売上は「受注件数×平均受注単価」で決まるので、件数だけでなく単価も遅行指標として並べておきます。受注件数は目標に届いているのに売上が足りない場合は、行動量を増やす前に、単価や値引きの状況を確認します。

行動量KPIだけでは成果が動かない理由

行動量だけをKPIにしても成果が動かないのは、行動と受注の間に「誰に当てるか」「何を伝えるか」という質と、次の段階へ進む割合があるからです。当てる相手が自社の商材に合っていなければ、アプローチを増やしても商談にも受注にもつながりません。受注件数は行動量と各段階の歩留まりの掛け算で決まります。どこか1つの段階の歩留まりがゼロに近いと、行動量をいくら増やしても結果は大きくなりません。

行動量には上限もあります。担当者の勤務時間には、社内の会議や報告、見積書の作成、移動といった時間も含まれるので、号令だけで行動量を積み増せる余地は限られています。限られた行動をどの相手とどの段階に向けるかを決めることが、KPI設計の中心になります。

それでも行動量KPIが選ばれやすい理由

行動量が選ばれやすいのは、毎日数えられて、未達が本人の努力不足に見えやすいからです。一方で「なぜ商談に進まないのか」は、リストの条件、最初の接点で伝えた内容、連絡のタイミングなど複数の原因が絡むので、分解に手間がかかります。行動量KPIは打ち手の入口であって、成果の代わりにはなりません。行動量を増やしても商談が増えないときの原因の見分け方は、商談数が増えない原因と増やす方法(4工程のどこで詰まるかを特定する)で工程別に整理しています。

行動量KPIを捨てる必要はない

行動量KPIそのものが悪いわけではありません。営業を立ち上げた直後で歩留まりのデータがまだ無い時期は、まず行動量を記録しないと中間指標も計算できません。気をつけたいのは、行動量の目標を中間指標や成果とセットで置き、行動量だけで良し悪しを判断しないことです。

営業KPIの決め方5ステップ|KGIから逆算してKPIツリーを作る

KPIは行動量から積み上げるのではなく、成果(KGI)から逆算して決めます。逆の順番で決めると、現場が動かせる数字と最終目標がつながらず、「行動量の目標は達成したのに受注が足りない」状態になりやすくなります。次の5つのステップで進めます。

ステップ1|KGIを1つに決める

「月の新規受注5件」「四半期の受注金額◯円」など、最終成果を1つ選びます。ゴールが複数あると、割り戻した先の行動量も分散し、担当者が何を優先すればよいか判断できなくなります。新規顧客と既存顧客の両方を追う場合も、まず売上全体を1つのKGIに置き、ステップ4で新規と既存の枝に分けます。

ステップ2|受注までの営業プロセスを分解する

アプローチ、有効接触、商談、提案、受注のように、自社の営業が実際にたどる段階に区切ります。一般的な型をそのまま当てはめるのではなく、自社で記録している段階の名前で並べると、あとで実績を集めやすくなります。

ステップ3|各段階の歩留まりを実績から出す

直近3か月などの実データで、段階ごとに次へ進んだ割合を計算します。推測の数字で目標を置くと、未達のときに量と質のどちらが原因なのかを特定できません。記録が無い段階があれば、まず1〜2か月記録を取ってから数字を入れます。

ステップ4|ゴールから行動量を割り戻し、KPIツリーに描く

目標の受注件数を各段階の歩留まりで順に割り、必要な提案件数・商談数・接触数・アプローチ数を出します。こうして成果から行動量までを枝分かれで描いたものがKPIツリーです。下の図2は、月4件の受注をKGIにしたときの計算例です。

計算例: 月4件の受注から必要な行動量を割り戻す逆算フロー図 受注4件から歩留まりで順に割り戻し、必要なアプローチ数1,600件を算出する流れ。歩留まりは説明用の仮の数字で、業界の平均ではない。 計算例: KGIから先行指標へ割り戻す(歩留まりは仮の数字) 受注 4件 提案 16件 商談 32件 有効接触 160件 アプローチ 1,600件 ÷受注率25% ÷提案化率50% ÷商談化率20% ÷接触率10% 設計はKGI(左)から右へ割り戻す。歩留まりは直近3か月の実測値に置き換えて使う。
図2: 成果から逆算するKPI設計の計算例(歩留まりは説明用の仮の数字で、業界の平均や目安ではありません)。

図2の歩留まり(受注率25%・提案化率50%・商談化率20%・接触率10%)は、計算の流れを示すために置いた仮の数字です。業界の平均や目安ではないので、自社の実績に置き換えて使ってください。この計算例では、受注4件÷25%で提案16件、16件÷50%で商談32件、32件÷20%で有効接触160件、160件÷10%でアプローチ1,600件になります。

実際のKPIツリーは一本の線ではなく、売上をいくつかの枝に分けて描きます。新規顧客と既存顧客の両方がある場合の例は次のとおりです。

  • 売上(KGI)
    • 新規顧客の売上=新規受注件数×平均受注単価
      • 新規受注件数=商談数×受注率
      • 商談数=有効接触数×商談化率
      • 有効接触数=アプローチ数×接触率
    • 既存顧客の売上=取引顧客数×顧客あたり売上
      • 取引顧客数=期首の取引顧客数×継続率+取引を再開した顧客数
      • 顧客あたり売上は、追加・切り替えの提案件数と提案からの受注率で動かす

枝ごとに担当者を決めると、誰がどの数字を動かすのかがはっきりします。新規の枝で数字が足りないのか、既存の枝で解約が増えたのかも、売上全体を眺めるより早く見つけられます。

ステップ5|担当者が動かせる指標に割り当て、測れる形で書く

最後に、KPIツリーの末端の数字を担当者ごとに割り当てます。このとき、担当者が自分の行動で動かせない数字を、その人のKPIにしないようにします。目標の書き方は、具体的か(Specific)、測れるか(Measurable)、達成できるか(Achievable)、KGIと関係があるか(Relevant)、期限があるか(Time-bound)の5つの観点で点検する「SMART」という考え方がよく使われます。たとえば「もっと電話する」は測れませんが、「9月末まで週200件発信する」なら週ごとに達成を確かめられます。

逆算しておくと、行動量が成果と一本の線でつながります。「今月は受注が足りない」となったとき、アプローチ件数が足りなかったのか、途中の商談化率が下がったのかで、打つ手はまったく変わります。逆算が無いと、この切り分けができず「とにかく件数を増やす」に落ち着いてしまいます。営業の立ち上げ期で、段階ごとの記録をこれから整える場合の進め方はインサイドセールスの立ち上げ方(7ステップと90日の進め方)も参考になります。

営業KPIを見る頻度と見直し方

KPIは、決めたあとの運用で役に立つかどうかが分かれます。階層ごとに見る頻度を分け、数字が悪化したときに確認する順番と、指標そのものを見直す時期を先に決めておきます。

階層ごとに見る頻度を分ける

先行指標は日次または週次、中間指標は週次から月次、遅行指標は月次で確認します。受注件数を毎日見ても打つ手は変わりませんが、行動量を月末にまとめて見ると、足りないと分かったときには月が終わっています。週次の会議では、先行指標の実績と中間指標の変化を並べ、翌週の行動を決めるところまで進めると、会議が報告だけで終わりません。訪問営業に特化したエイギョウブ(訪問エイギョウブ)では、訪問結果を週次で分析し、アポ率・商談率・受注率を改善していく進め方をとっています。

数字が悪化したら中間指標から見る

受注が目標に届かないとき、最初に見るのは中間指標です。どの段階の歩留まりが下がったかが分かれば、リストの条件を見直すのか、最初の接点での伝え方を変えるのか、提案の中身を直すのかが決まります。どの段階の歩留まりも変わっていないのに受注が減っているなら、行動量が足りていない可能性が高いと判断できます。

指標そのものを見直すタイミング

商材、対象とする業界、営業の体制が変わったときは、KPIそのものも見直します。大きな変化が無くても、四半期や半期などの区切りで「このKPIは受注とつながっていたか」を確かめる時間を取ると、形だけの数字を追い続けることを防げます。追っているのに一度も判断に使わなかった指標は、外すか別の指標に置き換えます。

営業の一部を外部の会社に任せる場合も、何を成果として数え、どの数字を週ごとに報告してもらうかを契約前に決めておくと、社内のKPIツリーとつなげやすくなります。決め方は営業代行の成果定義とKPIで扱います。

よくある質問(FAQ)

営業KPIとKGIの違いは何ですか?
KGIは最終的に達成したいゴールで、KPIはそのゴールに向かう途中の進み具合を測る数字です。営業では、月の新規受注件数や四半期の受注金額をKGIに置き、商談数・提案件数・受注率などをKPIとして追う形が一般的です。KGIは期間が終わるまで確定しないので、途中で軌道を直すためにKPIを置きます。KPIを選ぶ前に、KGIに届くための要因(KSF)を考えておくと、KGIとつながったKPIになります。
営業KPIはいくつ置けばよいですか?
決まった数はありませんが、担当者が毎週追いきれる数に絞るのが基本です。この記事では、先行・中間・遅行の各階層から1〜2個ずつ選ぶ方法をすすめています。指標を増やすほど記録の手間が増え、どれを優先するかがぼやけます。組織全体のKPIツリーは大きくなっても、担当者1人が持つKPIは自分の行動で動かせる数字に限ります。追っていても判断に使わなかった指標は、見直しの時期に外してください。
行動量のKPIは不要ですか?
不要ではありません。架電数や訪問件数などの行動量は、担当者が自分の判断ですぐに増やせる数字で、記録しないと歩留まりも計算できません。問題になるのは、行動量だけを目標にして、それが受注にどうつながるかを決めていない場合です。行動量の目標は、商談化率や受注率などの中間指標と、受注件数などの成果とセットで置きます。行動量は達成しているのに成果が出ないときは、中間指標のどこが下がっているかを確認します。
営業KPIを人事評価に使ってもよいですか?
使うこと自体はできますが、評価に使う数字は慎重に選ぶ必要があります。担当者の行動では動かしにくい数字だけで評価すると不公平感が生まれやすく、行動量だけで評価すると件数を稼ぐための質の低い行動が増えやすくなります。一般的には、行動量・歩留まり・成果を組み合わせ、評価の基準と数え方を期初に示しておく方法がとられます。報酬や評価制度に結びつける場合は、就業規則や社内の評価制度との整合を、人事の担当者や専門家と確認してください。

まとめ|行動量・歩留まり・成果をつないで、直す場所を分かるようにする

営業KPIは、KGIに向かう途中の進み具合を測る数字です。架電数や訪問件数などの行動量だけを追うのではなく、先行・中間・遅行の3階層に分けてつなぐと、成果が足りないときに直す場所が分かります。

  • KGI・KSF・KPIの順に考え、数えやすい数字をそのまま目標にしない
  • 指標は先行(行動量)・中間(歩留まり)・遅行(成果)に分け、各階層から1〜2個ずつ選ぶ
  • KGIを実績の歩留まりで割り戻してKPIツリーを描き、担当者が動かせる数字を割り当てる
  • 先行指標は日次・週次、遅行指標は月次で見て、悪化したら中間指標から確認する
  • 商材や体制が変わったときと、四半期などの区切りで、KPIそのものを見直す

出典