営業代行の費用は、料金体系でおおよそ決まります。固定報酬型は月50〜60万円/人が中心(体制により30万円台〜140万円超)、成果報酬(アポ獲得)型は1件1.5万〜2万円が中心、成果報酬(成約)型は売上の30〜50%が目安、テレアポ代行は1コール100〜300円です。本記事では、①料金体系別の相場早見表、②体系ごとの詳細と向き不向き、③相場が記事によって違う理由、④正社員雇用とのフルコスト比較、⑤費用対効果の見極め方、⑥契約前の注意点、⑦費用を抑える方法、⑧当社31契約の実データ、の順に整理します。読み終えたときに「自社ならいくらが妥当で、外注すべきか」を判断できる状態を目指します。
営業代行とは、自社の営業活動(新規開拓のリスト作成・アポ獲得・商談・クロージングなど)の一部または全部を、外部の専門会社に委託するサービスです。委託する工程と料金体系の組み合わせで費用が決まるため、まず「どこまで任せるか」を決めることが、相場を正しく読む出発点になります。
営業代行の費用相場【料金体系別の早見表】
営業代行の相場は、固定報酬型が月50〜60万円/人、成果報酬(アポ獲得)型が1件1.5万〜2万円、成果報酬(成約)型が売上の30〜50%が目安です。営業代行の見積もりは「どの体系で、どこまでの業務を任せるか」でほぼ決まります。金額の幅が広い体系ほど、業務範囲の確認が重要になります。
| 料金体系 | 相場(目安) | 課金の単位 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 固定報酬型 | 月50〜60万円/人が中心 下限は30万円台、専門商材は100万円超、戦略設計込みチームは140万円〜 |
月額固定(人員・稼働時間) | アポ〜商談まで継続的に任せたい/件数が安定して見込める |
| 成果報酬型(アポ獲得) | 1件1.5万〜2万円が中心 媒体により1万〜5万円の幅、決裁者指定は3万円以上になることも |
獲得アポ1件ごと | 初期費用を抑えて試したい/件数が読みにくい立ち上げ期 |
| 成果報酬型(成約) | 売上の30〜50%が目安 商材により大きく変わり、料率を公開しない会社も多い |
受注・売上ごと | 単価が高くクロージングまで任せたい/成果に完全連動させたい |
| 複合型(固定+成果) | 固定10〜50万円/月+成果分が典型 例: 固定10〜40万円+アポ1件1〜2万円 |
月額固定+成果分 | 固定と成果のリスクを分け合いたい |
| テレアポ代行(コール課金) | 1コール100〜300円が中心 月額固定型は30〜70万円、10万円台のパッケージもある |
架電数、または月額 | まず量をこなして反応を見たい/リストが手元にある |
| インサイドセールス代行 | 月50〜70万円/人 戦略設計まで含むチーム型は膨らみやすい |
月額固定 | 検討中の層を継続的に育てて商談化したい |
各相場は複数の比較メディアの2025〜2026年時点の掲載値をもとにしています(固定報酬型はLISKUL・グランドセントラル・アイミツほか。いずれも比較メディアの掲載値=二次情報のため「おおよその目安」として読んでください)。参考として、当社で進行中の固定報酬型17契約の実額は月22万〜176万円(税込)・中心帯は33万円前後と、公表相場より低い帯に分布しています(内訳は記事後半の実データで説明します)。数字の幅の広さそのものが、営業代行の見積もりを読むうえで最初に理解しておくべきポイントです。
相場の幅を理解するには、営業代行の費用が何で決まるかを押さえておくと便利です。費用を左右するのは、主に次の3つです。1つ目は稼働量(何人が何時間動くか)、2つ目は業務の質(架電をこなすだけか、戦略設計や振り返り・改善まで含むか)、3つ目は成果の定義(アポで測るのか、商談で測るのか、受注で測るのか)です。このうちどれを重く見る契約かによって、同じ「営業代行」でも金額の桁が変わります。早見表の数字を見るときは、必ずこの3要素とセットで読むと、なぜその価格になるのかが腑に落ちます。
どの料金体系を選ぶべきか?体系別の詳細と向き不向き
結論から言えば、成果件数が安定して読めるなら固定報酬型、読みにくい立ち上げ期は成果報酬型、その中間なら複合型が向いています。同じ「営業代行」でも、料金体系が変われば、リスクの持ち方も向いている会社もまったく異なります。ここでは6つの体系について、費用の考え方と「どんなときに選ぶべきか」を整理します。
固定報酬型:月50〜60万円/人が中心
固定報酬型は、成果の有無にかかわらず月額を支払う契約です。相場は月50〜60万円/人が中心で(アイミツも同水準)、下限は30万円台、専門性の高い商材では100万円以上になることもあります。オペレーター中心の依頼なら月50〜70万円、戦略設計やチーム体制まで含む支援になると月140万円以上になるケースもあります(出典)。
メリットは、成果が出た件数に費用が跳ね上がらないため、予算が読みやすいことです。一定量のアポや商談が安定して見込める場合は、1件あたりの実質単価が成果報酬型より下がることが多く、割安になります。向いているのは、外注する業務量がある程度見えていて、アポ獲得から商談化まで継続的に任せたい会社です。逆に、成果が出るか読めない立ち上げ期にいきなり固定で契約すると、成果ゼロでも費用だけ発生するリスクを負う点に注意が必要です。
成果報酬型(アポ獲得):1件1.5万〜2万円が中心
成果報酬型(アポ獲得)は、獲得したアポイント1件ごとに費用を支払う契約です。相場は1件1.5万〜2万円が中心で、媒体によって1万〜3万円、2万〜5万円とする掲載もあり幅があります。決裁者を指定する場合は1件3万円以上になることもあります(出典)。
メリットは、成果が出た分だけ支払うため、初期費用を抑えて小さく試せることです。向いているのは、獲得できる件数が読みにくい立ち上げ期や、まず勝ち筋(刺さるターゲットとトーク)を検証したい段階の会社です。一方、注意点は「有効なアポ」の定義です。担当者につながっただけで課金されるのか、決裁者との商談が設定されて初めて課金されるのかで、実質的なコストは大きく変わります。件数が積み上がると固定報酬型より割高になることもあるため、想定件数で固定型と比較して選ぶのが賢明です。成果報酬型の費用構造や成果定義(有効アポ)の落とし穴は成果報酬型営業代行の相場と成果定義で詳しく整理しています。
成果報酬型(成約):売上の30〜50%が目安
成果報酬型(成約)は、実際に受注や売上が発生したときに、その一定割合を支払う契約です。相場は売上金額の30〜50%程度とされます。ただし比較サイトのBOXILは「受注・契約の獲得報酬は契約金額の数割程度が相場ですが、商材の単価や契約条件によって大きく変動するため、公開されていないケースがほとんどです」と指摘しています(出典)。この体系の料率は商材によって大きく異なり、一律の数字では表せません。商材・単価・営業の難易度によって適正な割合が変わるため、提示された料率が妥当かは、自社の粗利率と照らして判断する必要があります。
メリットは、費用が完全に成果連動するため、受注が出るまでの支払いリスクが小さいことです。向いているのは、単価が高く、クロージングまで任せたい商材や、費用を成果に完全連動させたい会社です。ただし、代行会社側も受注できなければ報酬ゼロになるため、受注確度の低い商材や説明の難しい商材は、そもそも引き受けてもらえないこともあります。料率が高めに設定される場合、受注1件あたりの手残り(粗利−報酬)が薄くならないかを事前に試算しておくことが欠かせません。
複合型(固定+成果):固定10〜50万円+成果分
複合型は、月額固定に成果連動分を組み合わせた契約です。固定部分は月10〜50万円が目安で、たとえば固定10〜40万円+アポ1件1〜2万円という構成が典型です(固定20〜50万円+成果分とする媒体もあります)。固定報酬型と成果報酬型の中間に位置します。
メリットは、固定費を抑えつつ成果へのインセンティブも持たせられるため、発注側と受託側でリスクを分け合える点です。固定分があることで代行会社側も安定して人員を配置でき、成果分があることで成果への動機づけも働きます。向いているのは、完全固定はリスクが高いが、完全成果報酬だと安定稼働に不安がある、という中間を取りたい会社です。費用を見るときは、固定分と成果単価を分けて、想定件数を入れた月額総額でシミュレーションすることが大切です。
テレアポ代行(コール課金):1コール100〜300円が中心
テレアポ代行は、架電そのものを外注する体系です。相場は1コール100〜300円が中心で、月額固定型では月30〜70万円が目安です。月額10万円台から始められるパッケージもあります。
メリットは、架電量を確保して市場の反応を素早く見られることです。向いているのは、リストが手元にあり、まず量をこなして「どのセグメントに反応があるか」を確かめたい会社です。注意点として、コール課金はあくまで「電話をかけた数」に対する費用であり、アポ獲得を保証するものではありません。反応の悪いリストに大量架電しても、費用だけがかさむことになります。量を投下する前に、ターゲットとトークの精度を上げておくことが、テレアポ代行を無駄にしないコツです。
インサイドセールス代行:月50〜70万円/人
インサイドセールス代行は、単発の架電ではなく、検討中の見込み客と複数回の接点を持って商談化まで育てる体系です。相場は月50〜70万円/人が目安で、戦略設計やチーム体制まで含めると、固定報酬型のチーム型支援と同じように金額は膨らみます。
向いているのは、比較検討に時間がかかる商材で、今すぐではない層を取りこぼさず育てたい会社です。テレアポが「今すぐ客を素早く拾う」のに対し、インサイドセールスは「検討中の層を継続的に育てる」役割で、KPIの置き方も費用の考え方も異なります。外注と内製の使い分けや、自社で立ち上げる場合の手順はインサイドセールスの立ち上げ方で詳しく整理しています。外注で早く回して勝ち筋を見つけ、型ができてから内製に寄せる、という進め方も有効です。
なぜ記事によって相場が違うのか?
営業代行の相場が記事ごとに違うのは、料金の裏にある「業務範囲」の定義が記事ごとに違うからです。同じ「固定報酬型の相場」でも、想定している中身が「架電をこなすオペレーター1人」なのか、「戦略設計から商談・改善まで担うチーム」なのかで、金額は倍以上変わります。この定義差が明示されないまま数字だけが並ぶため、営業代行の費用を調べると、記事ごとに相場が食い違って見えるのです。
「オペレーター単体」か「戦略設計込みチーム」かで倍以上変わる
営業代行の費用は、大きく分けて次の2つで決まります。ひとつは「誰が何時間動くか」という稼働量、もうひとつは「どこまでの頭脳労働を含むか」という業務の質です。架電を代行するだけのオペレーター単体なら月30万円台に収まることもありますが、ターゲット設計・トーク設計・リスト精査・商談・振り返りと改善まで含むチーム型になると、月140万円を超えることもあります(出典)。複数フェーズをまとめて任せる「フルファネル型」は月100万〜300万円規模になることもあり、同じ体系でも業界・商材の単価で相場は動きます(検討期間の長い食品・卸やヘルスケアはSaaS向けより高め)。同じ「営業代行」という言葉でも、この2つは別物です。相場表を見るときは、金額そのものより「その金額でどこまでやってくれるのか」を必ずセットで確認してください。
相互引用で数字が固定化されやすい構造
もうひとつの理由は、比較メディアの多くが独自の媒体調査を持たず、他社記事の数字を相互に引用し合う構造になっていることです。ある記事の「月50〜70万円」という数字が、出典をたどると別の記事、さらにその先の記事…と続き、一次的な調査にたどり着かないことも珍しくありません。その結果、実勢とは少しずれた数字が「相場」として固定化されやすくなります。だからこそ、公表相場は「おおよその目安」として受け取り、最終的には複数社から自社の条件で見積もりを取って確かめることが、判断を誤らないための基本になります。
実例:当社の固定報酬型は「業務範囲を絞る」と中心が月33万円前後
この「業務範囲の定義差」は、当社(LongWave)の実際の契約でも表れています。現在進行中の固定報酬型の営業支援契約17件の月額は、22万円〜176万円(税込)と大きな幅があります。中心帯は月額33万円前後で、公表相場の「50〜60万円/人」より低い契約が多いのが実態です。これは、フルチーム型ではなく、業務範囲を「新規接点づくり」などに絞った支援が中心のためです。つまり、相場より安く見えても手を抜いているわけではなく、任せる範囲が違うだけ、というケースが現場には多くあります。見積もりを比べるときは、金額の高低だけでなく「その範囲は自社が本当に外注したい工程か」を突き合わせることが、価格の妥当性を見極める近道です。
正社員雇用と営業代行のフルコスト比較
正社員1人にかかる本当のコストは、社会保険・採用・教育まで含めると年収の約1.4倍にのぼります。「営業代行は高い」と感じるかどうかは、比較対象しだいです。多くの場合、代行の比較対象は「営業を1人採用すること」になりますが、正社員のコストは月給や年収だけでは測れません。ここでは公的データを使って、正社員1人にかかる「フルコスト」を積み上げ、営業代行と並べて比較します。
正社員1人のフルコストは「年収の約1.4倍」
ここでは、中小企業でイメージしやすい「年収500万円の中途営業1人」を例に、フルコストを積み上げてみます。
正社員には、給与に加えて社会保険料の会社負担分(法定福利費)がかかります。これは給与の約15.7〜16.5%(協会けんぽ令和8年度・東京、厚生年金・雇用保険・労災等の積算)です。さらに、法定外福利や退職金の積立などを含めた「労働費用総額」は、現金給与の約1.22倍になります(令和3年就労条件総合調査。労働費用総額408,140円/月のうち現金給与額の割合は82.0%)。加えて、採用時には1人あたり平均103.3万円の中途採用コストがかかり(就職白書2020。ただし2019年度実績の調査であり、現在はこれより高い可能性がある点に注意)、教育研修費も1人あたり年36,036円かかります(産労総合研究所2025年度調査・2024年度実績)。
これらを積み上げると、次のようになります。
| 費用項目 | 金額(年収500万円の場合) | 備考 |
|---|---|---|
| 現金給与 | 約500万円/年 | 基本給+賞与など |
| 法定福利費 | 約80万円/年 | 給与の約16%(社会保険等の会社負担) |
| 法定外福利・退職金積立等 | 約26万円/年 | 労働費用総額(現金給与の約1.22倍)から法定福利費・教育研修費を除いた残り |
| 教育研修費 | 約3.6万円/年 | 1人あたり年36,036円 |
| 小計(2年目以降・年間) | 約610万円/年 | 現金給与の約1.22倍 |
| + 中途採用コスト(初年度のみ) | 約103万円 | 求人広告・人材紹介手数料など |
| 初年度合計 | 約713万円 | 年収の約1.4倍 |
つまり、年収500万円で採用しても、初年度に会社が負担する実額は約713万円(年収の約1.4倍)、2年目以降も約610万円にのぼります。給与だけを見て「代行より安い」と判断すると、この付随コストを見落とすことになります。なお、中途採用コストの調査は2019年度実績と古く、採用難が進む現在はこれより高い可能性があります。
正社員と営業代行を横に並べると
この正社員フルコストと、営業代行(固定報酬型・月50〜60万円=年600〜720万円)を並べると、金額だけでは大きくは変わりません。差が出るのは、金額以外の要素です。
| 観点 | 正社員1人(年収500万円) | 営業代行(固定報酬型・月50〜60万円) |
|---|---|---|
| 年間の総コスト | 初年度 約713万円/2年目以降 約610万円 | 約600〜720万円 |
| 付随コスト | 社会保険・採用・教育・管理コストが別途発生 | 原則として費用に内包(別途は初期費用・実費程度) |
| 立ち上がりの早さ | 採用〜戦力化まで数ヶ月かかる | 契約後すぐに稼働できる |
| やめやすさ | 解雇規制があり縮小・撤退が難しい | 契約期間満了で終了できる(最低契約期間あり) |
| ノウハウの蓄積 | 社内に残り、資産になる | 社外に残るため、内製化の設計が別途必要 |
金額が近いのであれば、判断の軸は「早さ」「やめやすさ」「ノウハウをどこに残したいか」に移ります。すぐに立ち上げたい・まず検証したい・撤退の柔軟性が欲しいなら代行が、社内に営業力を資産として残したいなら採用が向きます。どちらを選ぶべきかの判断基準は営業代行を使うべき会社・使うべきでない会社で整理しているので、あわせてご覧ください。
ここで見落とされがちなのが、採用にはお金だけでなく「時間」と「不確実性」もかかることです。求人を出しても応募が来る保証はなく、採用できても早期に辞めてしまえば、採用コストとそれまでの育成が無駄になります。営業代行なら、契約後すぐに稼働が始まり、合わなければ契約期間の満了で見直せます。金額が近い場合、この「立ち上がりの速さ」と「撤退のしやすさ」をどう評価するかが、実質的な判断の分かれ目になります。まず外注で早く回して勝ち筋を確かめ、成果の型ができてから採用に踏み切る、という順番も現実的な選択肢です。
費用対効果の見極め方
営業代行の費用対効果は「代行費用 ÷ 見込める粗利」で判断します。「高いか安いか」は金額の絶対値ではなく、その費用でどれだけの粗利が見込めるかで決まります。ここでは、費用対効果を判断するための簡単な試算式と、損益分岐の考え方を示します。
試算式:代行費用 ÷ 見込める粗利で見る
費用対効果は、次の3ステップで概算できます。
- ①想定成果を置く:月あたりに見込めるアポ数、そこからの商談化率、受注率を、控えめな数字で置きます(例:月20アポ×商談化50%×受注率20%=月2件受注)。
- ②売上と粗利を出す:受注1件あたりの売上と粗利率をかけます(例:受注単価50万円×粗利率40%=1件あたり粗利20万円。月2件で粗利40万円)。継続課金の商材なら、初回だけでなく契約期間全体の粗利(LTV)で見ます。
- ③代行費用と比べる:見込める粗利が代行費用を上回っていれば、投資として成立します(例:月の見込み粗利40万円に対し、代行費用が月33万円なら黒字)。
ポイントは、成果の前提を「うまくいった場合」ではなく「控えめな場合」で置くことです。楽観値で計算すると、実績が出たときに「割に合わない」となりがちです。まず保守的に置いて、それでも成立するかを確認します。
試算の具体例(月33万円の固定報酬型の場合)
数字を入れて具体的に見てみます。あくまで例として、月額33万円の固定報酬型で新規接点づくりを任せ、次のような控えめな前提を置いたとします。
- 月の獲得アポ:15件
- アポからの商談化率:50%(=月7.5件の商談)
- 商談からの受注率:20%(=月1.5件の受注)
- 受注1件あたりの粗利:受注単価50万円×粗利率40%=20万円
この前提だと、月の見込み粗利は「1.5件×20万円=30万円」です。代行費用33万円をわずかに下回るため、この前提のままでは損益分岐ぎりぎりで、やや持ち出しになります。ここから黒字化するには、アポの質を上げて商談化率・受注率を改善するか、受注単価や粗利率の高いターゲットに寄せる、といった打ち手が必要だと分かります。逆に、受注が月2件に増えれば粗利40万円となり、費用を上回ります。このように控えめな前提で一度試算しておくと、「どの数字がどれだけ動けば黒字になるのか」まで見えてくるのが、費用対効果を数字で押さえる価値です。上の数字はあくまで説明用の例であり、実際の商談化率や受注率は商材とターゲットによって大きく変わります。
損益分岐:何件受注できれば元が取れるか
もうひとつの見方が、損益分岐点です。「代行費用 ÷ 受注1件あたりの粗利」で、月に何件受注できれば元が取れるかが分かります。たとえば代行費用が月60万円、受注1件あたりの粗利が20万円なら、月3件受注できれば損益分岐に達します。この「必要件数」が、自社の商談化率・受注率から見て現実的かどうかが判断の分かれ目です。必要件数が明らかに高すぎる場合は、料金体系の見直し(固定→成果報酬など)や、依頼範囲の縮小を検討します。
成果報酬型を選ぶ場合も同じで、アポ1件1.5万〜2万円の単価に対し、そのアポから見込める粗利が上回っているかを確認します。単価の安さだけで選ぶのではなく、「アポの質(=商談化・受注につながるか)」まで含めて費用対効果を測ることが重要です。
もう一点、忘れてはいけないのが「時間軸」です。営業代行の成果は初月から満額出るわけではなく、リストとトークが噛み合うまでに数ヶ月かかるのが通常です。損益分岐を初月だけで判断すると、立ち上がる前に撤退してしまいかねません。最低契約期間(3〜6ヶ月)を1つの検証期間ととらえ、その期間トータルの粗利と費用で費用対効果を見るのが現実的です。継続課金型の商材であれば、初回の売上だけでなく、契約が続く期間全体で見込める粗利まで含めて判断すると、実態に近い評価ができます。
営業代行の契約時に注意すべきこと
契約前に確認すべきは、最低契約期間・初期費用・解約条件・有効アポの定義・指揮命令の線引きの5点です。費用対効果の試算で「いける」と判断できても、契約条件を確認せずに進めると、想定外のコストやトラブルにつながります。
| 確認項目 | 目安・相場 | 確認しないと起きること |
|---|---|---|
| 最低契約期間 | 3ヶ月からが通例(6ヶ月以上の会社も) | 成果が出なくても期間内は解約できず費用が発生 |
| 初期費用 | 0円〜30万円前後(大手の設計込みは50万〜100万円も) | 月額だけで比較し、初月の総額を見誤る |
| 解約条件 | 事前通知が通例(期限は会社ごとに異なる) | やめたいタイミングで即やめられない |
| 有効アポの定義 | 契約書で明文化する | 質の低いアポにも課金され、実質単価が上がる |
| 指揮命令の線引き | 手段・労務は受託側が管理 | 偽装請負に該当するリスク |
最低契約期間・初期費用・解約条件
営業代行は成果が出るまでに一定の期間を要するため、最低契約期間は3ヶ月からが通例で(大手営業代行でも3ヶ月を最小パッケージとする例があります)、基本6〜12ヶ月とする会社もあります。期間内の中途解約には違約金が生じることがあります。初期費用は30万円前後とする会社が多い一方、無料の事業者や、戦略設計まで含めて50万〜100万円という会社もあります。解約には事前通知を求める契約が一般的です。見積もりを比較するときは、月額だけでなく「初期費用+最低契約期間分の月額」を含めた総額で並べると、実際の負担が正しく見えます。
「有効アポの定義」を必ず明文化する
成果報酬型・複合型で特に重要なのが、「何をもって課金対象のアポとするか」の定義です。「担当者と話せた」だけで課金されるのか、「決裁者との商談が設定され、日程が確定した」時点で課金されるのかで、実質単価はまったく変わります。ここが曖昧なまま契約すると、確度の低いアポにも課金され、費用対効果が想定より大きく悪化します。「役職・部署の条件」「商談の実施が確認できること」「キャンセル時の扱い」まで、契約書に明記してもらいましょう。
偽装請負の線引き(厚労省告示37号)
見落とされがちですが、発注側にとって重要なのが偽装請負のリスクです。営業代行会社の営業パーソンに対して、発注側が勤務時間・トーク内容・当てるターゲットを直接指示すると、「請負」ではなく実質的な労働者派遣(偽装請負)とみなされるおそれがあります。請負が請負として成立するための独立性の要件は、昭和61年労働省告示第37号(厚生労働省)で定められています。
原則はシンプルで、「成果と要件は発注側が決め、手段と労務管理は受託側が担う」ことです。発注側が伝えてよいのは「どんな成果が欲しいか(例:この業種の決裁者アポ)」までで、「誰がどの時間に何件かけるか」「どう話すか」といった手段や勤怠の管理は受託側に委ねます。この線引きを守ることが、法的リスクを避けるうえでも、成果に集中してもらううえでも大切です。契約前に、業務の指示系統がどうなるかを受託側と確認しておくと安心です。
見積もりを比べるときは「条件」をそろえる
複数社から見積もりを取るときに最も大切なのは、各社に同じ条件を提示することです。ターゲットの定義、リストの提供有無、有効アポの基準、稼働量、レポートの頻度がバラバラだと、金額だけを並べても比較になりません。依頼したい要件を1枚のシートにまとめ、各社に同じ条件で見積もってもらうと、価格差が「任せる範囲の差」なのか「単価そのものの差」なのかを切り分けられます。安い見積もりが本当に割安なのか、単に範囲が狭いだけなのかは、条件をそろえて初めて見えてきます。相見積もりは、最も安い1社を選ぶためではなく、各社が同じ言葉で何を指しているのかを確かめるために取る、と考えると失敗しにくくなります。
失敗しない営業代行会社の選び方(チェックリスト)
費用の妥当性を見極めたら、最後は「どの会社に任せるか」です。価格の安さだけで決めず、次の6点を各社で確認すると費用対効果を落とさずに選べます。これらは営業代行で起きがちな失敗の裏返しでもあります。
- 業務範囲が提案書に明示されているか:「どこからどこまでを誰がやるか」が書かれているか。範囲が曖昧な見積もりは総額がぶれる。
- 有効アポ・成果の定義が契約書にあるか:成果報酬型・複合型では、課金対象のアポの条件が文章で定義されているか。
- レポート頻度と改善サイクルがあるか:定例で数値を共有し、トークやターゲットを一緒に見直してくれるか。PDCAが回る体制かで成果は変わる。
- 実務担当者の経験と、面談の機会があるか:営業の品質は担当者の力量に左右される。契約前に実際に動く担当者と話せるか。
- 最低契約期間と解約条件が納得できるか:検証に必要な期間と、合わなかったときの抜け方が明確か。
- 同じ条件で相見積もりを取ったか:各社に同一要件を渡し、価格差が「範囲の差」か「単価の差」かを切り分けたか。
契約前に避けたい落とし穴は営業代行でよくある失敗と回避策で具体的に整理しています。
営業代行の費用は経費にできる?勘定科目は?
営業代行の費用は、事業のための支出として経費に計上できます。仕訳の勘定科目に法律上の決まりはありませんが、実務では業務委託の対価として「外注費」、または手数料的な性質に着目して「支払手数料」で処理するのが一般的です(出典)。科目の選び方は源泉徴収の要否にも関わるため、継続する費用は科目を統一し、判断に迷う場合は顧問税理士に確認するのが安全です。
営業代行の費用を抑える4つの方法
費用を抑える方法は、①依頼範囲を絞る、②自社で用意できるものは提供する、③想定件数で料金体系を選び直す、④検証期間を区切って小さく始める、の4つです。値引き交渉よりも、契約の設計で総額を下げるほうが、成果を落とさずに費用を抑えられます。
①依頼範囲を絞る
最も効果が大きいのは、依頼範囲の設計です。リスト作成から架電、商談、クロージングまで丸ごと任せると費用は上がります。外注を「新規接点づくり」など1つの工程に絞れば、月額は大きく下がります。実際、当社でも業務範囲を絞った契約は月額22万円台からあります(中心帯が公表相場より低い理由は前述の実例のとおりです)。
②自社で用意できるものは提供する
ターゲットリストや過去の商談記録、トークの土台など、自社にある資産を提供すると、リスト購入費や立ち上げ工数分の費用を抑えられます。初期費用やツール利用料などの実費も、見積もり時に「何が含まれ、何が別料金か」を確認しておくと、月額以外の膨らみを防げます。
③想定件数で料金体系を選び直す
同じ業務でも、体系の選び方で総額は変わります。「成果単価×月の想定件数」と固定型の月額を並べ、件数が安定して多いなら固定型へ、読めないなら成果報酬型へ寄せます。契約後も、実績件数で年に1回計算し直すと、更新のたびに適正な体系へ近づけられます。
④検証期間を区切って小さく始める
最初から大きな体制で契約せず、最低契約期間(3〜6ヶ月)を検証期間と決めて小さく始め、勝ち筋が見えてから体制を広げるほうが、総投資額に対する無駄が減ります。検証で確かめるのは「どのターゲットに、どのトークが刺さるか」であり、これが見えれば増額の判断も根拠を持ってできます。
実データで見る営業代行の実際の相場|当社31契約の内訳
当社(LongWave)で現在進行中の営業支援契約は31件で、内訳は月額固定型17件・成果報酬型11件・アサイン型(人材を専属で稼働させる形)3件です。最後に、相場の背景として、実際に提供している営業支援の内訳を共有します。数字はいずれも現時点の進行中契約に基づく実績です。料金体系が3つに分かれているのは、前述のとおり「どの体系が向くか」が会社ごとに異なるためで、実務でも1つの型に寄せているわけではありません。成果報酬型が11件あるのも、立ち上げ期や検証段階の会社にとっては「成果が出た分だけ支払う」形が合うためです。契約を重ねるほど、会社の状況(成果の読みやすさ・予算の性質・任せたい工程)に応じて体系を使い分ける合理性が見えてきます。
固定報酬型17件の月額は、22万円〜176万円(税込)と幅があり、中心帯は月額33万円前後です。公表相場の「50〜60万円/人」より低い契約が多いのは、前述のとおり業務範囲を絞った支援が中心のためです。この事実は、相場表の金額をそのまま自社に当てはめる前に、「自社が外注したい範囲はどこか」を先に決めることの大切さを裏づけています。契約期間は、いずれも3〜6ヶ月を基本としています。
範囲を絞った支援の一例です。家賃保証サービス×不動産業界の新規開拓支援では、業務を「決裁者アポの創出」に絞り込むことで、月35件以上の商談を継続的に生み出し、そこからの受注率40%以上につなげられた設計もあります。ただしこれは特定の対象期間・商材・ターゲットにおける一例で、同等の成果を保証するものではありません。範囲を絞るほど費用対効果を高めやすい実例です。
これらから言えるのは、営業代行の適正費用は「相場いくらか」ではなく、「自社が任せたい工程を、いくらで、どこまでやってくれるか」で決まるということです。相場は出発点であって、最終的な判断材料ではありません。
よくある質問(FAQ)
- 営業代行の費用を抑えるにはどうすればいいですか?
- 費用を抑える最大のポイントは「依頼範囲を絞ること」です。リスト作成から架電、商談、クロージング、その後のフォローまで丸ごと任せると費用は上がります。自社でできる工程(リスト提供や商談後のフォローなど)を切り出し、外注を「新規接点づくり」だけに絞ると月額を下げられます。また、成果報酬型は初期の固定費を抑えられますが、成果が積み上がると割高になる場合があるため、想定件数で固定型と比べて選ぶことが大切です。
- 成果報酬型と固定報酬型はどちらが得ですか?
- 一概には言えず、想定する成果件数で分岐します。獲得できるアポや商談の件数が読みにくい立ち上げ期や、まず勝ち筋を検証したい段階では、成果が出た分だけ支払う成果報酬型がリスクを抑えられます。一方、月に一定数以上のアポが安定して見込める場合は、固定報酬型のほうが1件あたり単価が下がり割安になることが多いです。成果報酬型のアポ単価は1件1.5万〜2万円が中心(媒体により1万〜5万円の幅)なので、この単価に想定件数を掛けて固定型の月額と比べると判断しやすくなります。
- 営業代行は最低いくらから頼めますか?
- 料金体系によって下限が異なります。テレアポ代行の月額パッケージは10万円台から、成果報酬(アポ課金)型は1件1万円台から始められるものがあり、初期費用をかけずに小さく試すことも可能です。固定報酬型は月30万円台から、戦略設計やチーム体制まで含む支援は月100万円を超えることもあります。当社の営業支援でも、業務範囲を絞った契約では月額22万円台からの支援があり、必要な工程だけを切り出せば下限は下げられます。
- 提示された料金以外に追加費用はかかりますか?
- かかる場合があります。よくあるのは初期費用、リスト購入費、通話料やツール利用料、交通費などです。初期費用は無料の事業者から30万円前後とする会社まで幅があり、戦略設計まで含む大手では50万〜100万円という例もあります。成果報酬型では「有効なアポ」の定義によって課金対象が変わるため、どこからが課金対象かを契約前に必ず確認してください。見積もりを比べるときは、月額だけでなく初期費用と実費を含めた総額で比較することをおすすめします。
- 契約はすぐに解約できますか?
- すぐには解約できないのが一般的です。営業代行は成果が出るまでに一定の期間を要するため、最低契約期間を3ヶ月以上と定める事業者が多く(6ヶ月以上を求める会社もあります)、期間内の中途解約には違約金が生じることがあります。解約には事前通知を求める契約が一般的で、何ヶ月前かは会社によって異なります。契約前に「最低契約期間」「中途解約の可否と条件」「更新の扱い」を書面で確認しておくと、期待した成果が出なかったときのリスクを抑えられます。
まとめ
営業代行の費用は、料金体系と「業務範囲」で決まります。相場の数字はあくまで出発点であり、自社にとって妥当かどうかは、費用対効果の試算と契約条件の確認まで進めて初めて判断できます。要点を再掲します。
- 相場は体系別に理解する。固定報酬型は月50〜60万円/人が中心、アポ獲得型は1件1.5万〜2万円が中心、成約報酬は売上の30〜50%が目安(いずれも二次情報の掲載値=出発点)。
- 記事ごとに相場がブレるのは「業務範囲の定義差」が主因。オペレーター単体かチーム型かで金額は倍以上変わる。
- 正社員1人のフルコストは年収の約1.4倍(年収500万円で初年度約713万円)。代行と金額が近いなら、早さ・やめやすさ・ノウハウの残し方で選ぶ。
- 費用対効果は「代行費用 ÷ 見込める粗利」で、控えめな前提で試算する。損益分岐の必要件数が現実的かを確認する。
- 費用を抑えるなら値引きではなく契約設計で。依頼範囲を絞る・自社資産を提供する・想定件数で体系を選び直す・小さく検証する、の4つが効く。
- 契約前に、最低契約期間・初期費用・解約条件・有効アポの定義・偽装請負の線引き(告示37号)を押さえる。
次のアクション:まずは自社が外注したい工程を1つに絞り、その範囲で複数社から見積もりを取って、本記事の試算式(代行費用 ÷ 見込める粗利)に当てはめてみてください。自社の商材に合った料金体系や依頼範囲の設計を相談したい場合は、下記からお問い合わせいただけます。
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