営業代行が「やめとけ」と言われるのには、費用が先に出ていく、アポの質がぶれる、活動の中身が見えない、終わると社内に何も残らない、という実際に起こりうる理由があります。ただしその多くは、発注前に「何を成果と数えるか」「誰に当てるか」「契約に何を書くか」を決めないまま始めたときに起きます。この記事では、「やめとけ」と言われる理由を正直に並べたうえで、よくある失敗パターンと原因、発注前に決めておくこと、営業代行を使うべきでない会社・まだ早い会社、それでも使う場合に契約前に確認することを順に整理します。

  • 「やめとけ」と言われる5つの理由と、それぞれが起きる原因・避ける条件
  • 失敗が表面化するのは稼働後でも、原因の多くが発注前と契約時にある理由
  • 営業代行を使うべきでない会社・まだ早い会社の見分け方と、契約前の確認項目

営業代行を使うかどうか自体を迷っている段階なら営業代行を使うべき会社・使うべきでない会社の判断基準を、費用の目安から確認したい方は営業代行の費用相場と費用対効果の見極め方もあわせてご覧ください。

営業代行が「やめとけ」と言われる理由|当たっている面もある

「やめとけ」という声には、根拠のある部分があります。営業代行は、お金を払えば売上が増える仕組みではありません。自社の商材を、自社の社員ではない人が、自社の顧客候補に説明する仕組みです。発注する側が準備を省くと、費用だけが出ていき、成果かどうかの評価もできないという状態になりやすいのは事実です。

一方で、業務を外部に任せる流れそのものは広がっています。矢野経済研究所の調査では、営業代行を含むBPO(業務の外部委託)サービスの2024年度の国内市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比4.0%増の5兆786億5,000万円と推計されています。営業代行だけの数字は公表サマリーに載っていませんが、外注を使う会社が増えれば、「頼んだのにうまくいかなかった」という声も増えます。まずは、よく挙がる理由を1つずつ見ていきます。

「やめとけ」と言われる理由 起きる原因 避ける条件
費用に見合う成果が出ない 成果地点を決めずに稼働し、成果かどうかを判断できない。立ち上げの期間を見込んでいない アポ・有効商談・成約のどれを成果と数えるかを1つ決め、契約期間の中で月ごとに見る指標を決める
アポの数は増えても質が低い 「アポ1件いくら」の設計で件数だけが追われる。決裁への関与や検討時期の条件を渡していない 有効な商談の条件(決裁への関与・課題・検討時期など)を文章にして契約に書く
活動の中身が見えない 報告の頻度と様式を決めずに始め、数字が出ない原因を切り分けられない リスト消化数・接触数・アポ数・商談数を、決まった様式で週ごとに報告してもらう
終わると社内に何も残らない 終了時のリスト・トーク・録音データの扱いを決めていない 終了時に何を引き渡し、何を消去するかを契約に書く
契約期間と月額以外の費用が重い 最低契約期間・中途解約・初期費用・リスト作成費などを確かめずに契約する 見積もりの段階で、月額以外にかかる費用と解約の条件を一覧で出してもらう

出典: 編集部作成(2026-09-14)。数字を含まない整理表です。

費用は毎月出ていき、成果はすぐには見えない

いちばん多く聞かれる不満は「高いのに成果が出ない」というものです。料金の目安を見ると、その感覚が生まれる理由が分かります。固定報酬型は、営業担当者1人あたり月50万〜60万円程度とするメディアが多く(Sales Marker、PRONIアイミツほか。税区分の記載なし)、テレアポ中心なら月50万〜70万円とする例もあります(ローカルマーケティングパートナーズ)。BOXILが主要34サービスを調べた結果では、月額固定プランを公開している7社の月額中央値は約27万円でした。こちらは各社の最安プランで比べた数字なので、1人あたりの月額とは数え方が違います。

固定報酬型は、成果の件数ではなく稼働に対して月額が決まる料金体系です。リストの準備やトークの調整をしている立ち上げの時期にも、同じ月額がかかります。最初の1〜2か月を成約数だけで評価すると、「費用を払っただけで何も起きていない」ように見えます。「やめとけ」と感じる典型的な場面です。

アポの件数は増えても、商談の質が伴わないことがある

成果報酬型を「成果が出なければ払わないから安心」と考えて選び、別の困りごとを抱えるケースもあります。成果を「アポ1件」とだけ決めると、代行会社にとっては件数を取ることが最も合理的な動きになります。決裁に関わらない担当者との面談や、検討時期がずっと先の相手も1件に数えられ、社内の営業担当は中身の薄い商談の対応に追われます。これは代行会社の悪意ではなく、契約の設計どおりに動いた結果です。

成果報酬の単価にも幅があります。アポイント1件あたり1万5,000円〜2万円程度とする出典(Sales Marker、PRONIアイミツ、BOXILの34サービス調査)から、1万〜3万円とする出典(グランドセントラル)、決裁者アポなど難易度が高いと3万〜5万円以上とする出典(アイドマ、ローカルマーケティングパートナーズ)まであります(いずれも税区分の記載なし)。単価の安さだけで選ぶと、何を1件と数えるかの定義が緩い契約を選んでしまうことがあります。成果報酬型の仕組みと成果の定義の決め方は営業代行の成果報酬型の相場と成果定義の注意点で詳しく扱っています。

活動の中身が見えず、終わると社内に何も残らない

「何をやっているのか分からない」「契約が終わったら何も残らなかった」という不満も、この言葉の背景にあります。報告が月に1回、アポの件数だけという形だと、アポが少なかった月に、原因がリストなのか、トークなのか、当てている相手なのかを切り分けられません。改善の打ち手も代行会社任せになり、発注側は続けるかやめるかを数字で判断できなくなります。

終了時の扱いも同じです。どの企業に何回接触し、どんな反応だったか、どのトークで話が進んだかは、次に自社で営業するときの資産になります。引き渡しの範囲を決めていなければ、その情報は代行会社の側に残ったまま契約が終わります。

契約期間の縛りと、月額以外の費用がある

月額固定型の最低契約期間は3〜6か月が一般的です(BOXIL、BowNow、ローカルマーケティングパートナーズ)。コール課金型や成果報酬型には、1か月単位や1件から頼める会社もあります。初期費用は0円の会社から数十万円の会社まであり、BOXILの34サービス調査では、初期費用を公開している6社の中央値が16万2,500円(幅は0〜100万円)でした。BowNowは、テレアポ代行で見落としやすい費用として、リスト作成費(1件あたり5〜30円)、スクリプト作成費(3万〜10万円)、最低契約期間中の解約金(残存期間の50〜100%)などを挙げています。解約金の数字を載せている出典はこの1つだけで、中途解約の違約金の有無と金額は会社ごとに違います。契約前に必ず確かめてください。

なお、「やめとけ」と似た言葉に「怪しい」があります。こちらは代行会社そのものが信頼できるかを疑う話で、確かめるポイントが違うため、営業代行が怪しいと感じたら確認する7項目で別に整理しています。

営業代行でよくある失敗パターンと原因|見えるのは稼働後、原因は発注前

成果が出ない失敗は無数にあるように見えて、原因は5つの型にほぼ収まります。「よく言われる形」と「根本の原因」を並べると、対策をどこに当てればよいかが見えてきます。

失敗パターン よく言われる形 根本の原因(多くは発注前)
①丸投げ アポは増えたが質が低い/社内が精査に追われる 成果の定義・ターゲット・商談の基準を共有せずに任せた
②成果地点があいまい 動いているが評価できない どのアポ・商談を成果と数えるかを決めていない
③短期での見切り 1〜2か月で「効果がない」と撤退する 見る指標と判断の時期を共有していない
④ターゲット・訴求があいまい 誰に当てても刺さらず、量だけが増える 当てる相手と、初回に渡す「次に進む理由」を絞っていない
⑤ノウハウが残らない 契約終了後、社内に何も残らない 終了時のリスト・トークの引き渡しを契約で決めていない

出典: 編集部作成(2026-09-14)。数字を含まない整理表です。

5つの失敗は稼働後に表面化しますが、原因の多くは発注前と契約時に埋まっています。発注前、契約時、稼働後の3つの層に分けて眺めると、自社がどこで失敗の種をまいているかを特定しやすくなります。

営業代行の失敗が生まれる3つの層を示す概念図 3層に失敗の原因を配置し、表面化は稼働後だが原因は前の層にあることを示した概念図。 営業代行の失敗が生まれる3つの層(見えるのは稼働後、原因は前にある) 発注前 ・目的/成果地点が曖昧(「とにかくアポを増やしたい」) ・当てる相手/訴求が決まっていない → 失敗②④の種 契約時 ・「何を成果とするか」の定義を握らない ・報告頻度/ノウハウ移管を決めない → 失敗②⑤の種 稼働後(ここで失敗が「見える」) ・丸投げ/放置でアポの質が不安定 ・成果が見えず短期で見切る → 失敗①③が表面化 原因 表面化 失敗の大半は「稼働後の頑張り」では取り返しにくい。原因が前の層にあるため。 対策は発注前・契約時の決めごとに寄せる。
図1: 失敗が生まれる3つの層。表面化するのは稼働後ですが、原因の多くは発注前・契約時に埋まっています。

①丸投げで、アポの質が安定しない

営業活動を「あとはお任せで」と丸ごと外部に委ねてしまう失敗です。成果の定義、ターゲット像、商談に進める基準を共有しないまま任せると、担当者ごとに狙う相手も伝える内容もばらつき、アポの質が安定しません。件数は増えても決裁権のない相手が混ざり、社内の営業担当が一件ずつ精査することになります。丸投げは「楽をする」選択に見えて、実際には「評価できない状態を自分で作る」選択です。任せる範囲の分け方は営業BPOとは|業務範囲・料金の目安・営業代行との違いで整理しています。

②成果地点を決めないまま契約する

固定報酬型でも成果報酬型でも、「何を成果と数えるか」を決めていなければ評価はできません。固定報酬型なら「毎月払っているが、この活動が良いのか悪いのか分からない」状態になり、成果報酬型なら前の章で見たとおり、件数は取れているのに受注へ進まない状態になります。アポ、有効商談、成約のどこを成果とするかを1つに決めると、リストの条件、トーク、報告の中身、続けるかどうかの判断まで、すべての基準がそこから逆算できます。

③成果が出る前に短期で見切る

稼働の初めは、リストの精査、トークの修正、当てる相手の見直しが続きます。成約までに複数回の商談が必要な商材なら、アポから受注までの時間も加わります。接触数、アポ数、商談数といった途中の指標を月ごとの目標として共有していないと、数字が出ない期間に良し悪しを判断できず、軌道に乗る前に撤退してしまいます。逆に、月ごとに見る指標と判断する時期を先に決めておけば、「続ける」「条件を変える」「やめる」を根拠を持って選べます。途中の指標の置き方は営業KPIの設計|行動量と成果を分けて管理する、導入のタイミングそのものに迷う場合は営業代行を入れるべきタイミングの見極め方が参考になります。

④当てる相手が広すぎる、⑤ノウハウが残らない

残る2つも根っこは同じです。④は、当てる相手と初回の訴求を絞れていないために、誰に話しても刺さらず量だけが増える失敗です。「業種を問わず従業員数の多い会社に」のような依頼では、代行会社は仮説を立てられません。⑤は、終了時のリストやトークの引き渡しを契約で決めていないために、費用をかけて得た知見が社内に残らない失敗です。どちらも稼働後の努力では取り返しにくく、発注前と契約時の決めごとで防げます。

発注前に決めておくこと|3つの決めごと

5つの失敗は、ばらばらに対策するより、発注前に「3つの決めごと」を埋めるほうがまとめて防げます。①成果地点を1つに決める、②当てる相手と初回の「次に進む理由」を絞る、③KPIと報告の様式・解約の条件を契約に書く、の3つです。

失敗を発注前に防ぐ決めごとの時系列を示すプロセス図 3段階で何を決めれば失敗を防げるかを並べたプロセス図。 失敗を「発注前に防ぐ」決めごとの順番 発注前 ① 成果地点を1つ決める (アポ/有効商談/成約) ② 当てる相手・訴求を絞る 「次に進む理由」を1つ ③ 渡す材料をそろえる 契約時 ④ 成果の定義・最低契約期間 ⑤ KPIと報告頻度・様式 (プロセス指標を主指標に) ⑥ 解約予告・情報の返還 (リスト・録音・ノウハウ移管) 稼働後 ⑦ プロセス指標を 週次・月次で見る ⑧ 月次で一緒に改善 当てる相手・訴求を 微調整する ○ 前から順に埋めるほど、5つの失敗はまとめて起きにくくなる。 とくに①成果地点は、②〜⑧すべての判断の基準になる。 × ①成果地点を飛ばすと、KPIも改善も基準が定まらず、丸投げに戻る。 「とにかく稼働」から入ると、評価できないまま短期で見切りやすい。
図2: 失敗を防ぐ決めごとの順番。前から埋めるほど起きにくくなり、①成果地点がすべての基準になります。

決めごと1|成果地点を1つに決める

最初に、アポ、有効商談、成約のどこを成果と数えるかを1つに決めます。選び方の目安は、「自社の営業担当が次の打ち合わせで受注に近づけられる商談の状態」です。たとえばアポを成果にするなら、「相手の役職」「課題を持っているか」「検討の時期」のうち何を満たせば1件と数えるかまで文章にします。ここがあいまいなままだと、KPIも改善も基準がぶれ、結局は丸投げに戻ります。

決めごと2|当てる相手と初回の「次に進む理由」を絞る

量を追う前に、当てる相手(業種・規模・エリア・除外する条件)と、初回の接触で渡す「次に進む理由」を1つに絞ります。「誰に当てても刺さらない」失敗は、ターゲットと訴求が広すぎることから起きます。過去に受注した顧客の共通点、反応が良かった言い回し、失注した理由を代行会社に渡すと、仮説を早く立ててもらえます。反対に、こうした材料が社内にまったくない場合は、後で触れる「まだ早い」状態に当たるかもしれません。材料が少しでもあれば、完璧に整っていなくても渡すほうが、代行会社との最初の打ち合わせが具体的になります。

決めごと3|KPI・報告の様式・解約の条件を契約に書く

稼働後の「放置」「想定外の請求」「解約できない」は、契約時の数行で防げるものが多くあります。途中の指標を主に置いたKPI、報告の頻度と様式、最低契約期間と解約予告、経費の負担者、終了時のリスト・録音データ・トークの扱いを契約に書きます。秘密保持、再委託の可否、競合する会社の案件を同時に受けるかどうかも同じ場所で確認しておくと、情報の扱いに関する不安も減らせます。確認する項目は、この後の「それでも使うなら確認すること」で一覧にしています。

営業代行を使うべきでない会社・まだ早い会社

「やめとけ」が当てはまるのは、営業代行という手段そのものより、自社の状態が営業代行に合っていない場合です。次のどれかに当てはまるなら、発注の前に別の手を打つか、発注の形を変えたほうが結果的に費用を無駄にせずに済みます。

自社の状態 起きやすいこと 先にやること・別の選択肢
営業スタッフに直接、細かく指示しながら動かしたい 業務委託の形のまま直接指示を続けると、偽装請負と判断されるおそれがある 採用や労働者派遣など、自社が指示を出せる形を検討する
アポが入っても商談を受ける人も時間もない 取れたアポが放置され、受注に進まない 商談を担当する人を決める。または商談から任せられる範囲で依頼する
最低契約期間の費用を「検証の費用」として確保できない 途中で止めて、費用だけが残る 任せる工程を絞って小さく始める。予算が取れる時期まで待つ
誰に何を売るかを自社で説明できない 代行会社が仮説を立てられず、量だけが増える 既存顧客の共通点と受注理由を先に整理する
1〜2か月で結論を出さなければならない 立ち上げの途中で判断することになり、見切りの失敗になる 判断の時期と、それまでに見る途中の指標を先に決める
説明に時間がかかる商材を短い電話だけで売ろうとしている 接触はできても、次の商談に進む理由を渡せない 訪問や資料送付など、商材に合った手段を組み合わせる

出典: 編集部作成(2026-09-14)。偽装請負の判断は厚生労働省「37号告示関係疑義応答集」に基づきます(詳しくは下の「営業スタッフへの指示は代行会社を通す」)。

使わないほうがよい会社

1つ目は、営業スタッフに直接、細かく指示を出しながら動かしたい会社です。営業代行は多くの場合、業務委託(請負や準委任)の形で契約します。この形で発注者が代行会社のスタッフに直接、営業上の対応方針などを指示し続けると、偽装請負と判断されるおそれがあります。自社の方針どおりに人を動かしたいという要望は自然なものですが、それなら採用や労働者派遣など、自社が指示を出せる形のほうが合っています。

2つ目は、アポが入っても商談を受ける人も時間もない会社です。代行会社がアポを取っても、社内の誰も商談に行けなければ、受注には進みません。アポの獲得だけを頼むのか、商談や受注まで任せるのかで、必要な社内体制は大きく変わります。

3つ目は、最低契約期間分の費用を確保できない会社です。月額固定型の最低契約期間は3〜6か月が一般的とされているので(BOXIL、BowNow、ローカルマーケティングパートナーズ)、前の章で見た月額の目安と掛け合わせた金額を、結果が出るかどうかを確かめるための費用として見込めるかを考えます。途中で予算が尽きて止めると、立ち上げにかけた費用がそのまま失われます。

まだ早い会社と、先にやること

誰に何を売るかを自社で説明できない段階なら、営業代行より先に、既存顧客の共通点と受注した理由を整理するほうが効果的です。営業代行はすでにある勝ち筋を広げるのが得意で、勝ち筋そのものを代行会社がゼロから見つけるのは簡単ではありません。提案書や価格表、導入事例など、代行会社に渡す材料がそろっていない場合も同じです。

1〜2か月で結論を出さなければならない事情がある場合も、少し待つか、判断の時期と見る指標を先に決めてから始めます。また、商材によって向く営業手段は違います。説明に時間がかかる商材を短い電話だけで売ろうとしていないかは、営業代行が向いている業種・向かない業種で商材の条件から確かめられます。

それでも使うなら確認すること

ここまでの状態をクリアしていて、それでも営業代行を使うと決めたら、契約書と見積もり、日々のやりとり、会社選びの3つの場面で確認を入れます。稼働後に交渉すると角が立つ内容でも、契約前なら当然の確認事項として話せます。

契約書と見積もりで確認する項目

項目 確認すること 決めていないと起きること
成果の定義 何を満たせば成果1件と数えるか(相手の役職・課題・検討時期など) 件数は取れているのに受注に進まない。成果報酬の請求で食い違う
報告 頻度、様式、含める指標(リスト消化数・接触数・アポ数・商談数) 数字が出ない原因を切り分けられない
最低契約期間と中途解約 最低契約期間、解約予告の期限、違約金の有無と金額 合わないと分かっても止められない
月額以外の費用 初期費用、リスト作成費、スクリプト作成費、交通費などの有無と負担者 想定外の請求になる
トークと架電禁止先 トークの承認の手順、連絡してほしくない取引先の共有方法 既存の取引先に営業電話がかかり、自社に苦情が来る
終了時の情報の扱い リスト・接触履歴・録音データ・トークを返還するか、消去するか 知見が社内に残らない。情報の扱いで揉める
秘密保持と再委託 秘密保持の範囲、別会社や個人への再委託の可否、競合する会社の案件を同時に受けるか 誰が自社の情報を扱っているか分からなくなる

出典: 編集部作成(2026-09-14)。料金の数字は本文と出典欄を参照してください。

確認した内容は、契約書にそのまま入れられる文にしておくと、稼働後に食い違いが出にくくなります。例えば次のような書き方です。

  • 「週次でリストの消化数・接触率・アポ・有効商談を所定の様式で報告する」
  • 「架電禁止リストを共有し、トークと訴求の変更は事前の承認を要する」
  • 「成果1件を〈有効商談の条件〉とし、リスト購入費・交通費の負担者を定める」
  • 「解約の予告は◯日前とし、終了時にリストと録音データを返還または消去する」

とくに最低契約期間と中途解約は、料金の比較記事でも会社ごとに違うとされている項目です。月額の安さだけで比べず、「3か月で合わないと分かったら、いくらかかって止められるか」まで見積もりの段階で出してもらうと、比較の軸がそろいます。

営業スタッフへの指示は代行会社を通す

契約後に見落としやすいのが、偽装請負の問題です。厚生労働省の疑義応答集は、委任や準委任(いわゆる業務委託)の形でも、実態として発注者と受注者側の労働者との間に指揮命令関係があれば、契約の形式を問わず労働者派遣事業に当たるとしています。営業の請負を例にした問答では、スタッフからの問い合わせに業務に必要な範囲で情報提供するだけなら直ちに派遣とはされない一方、発注者が顧客への営業上の対応方針などをスタッフに直接指示している場合は、労働者派遣事業と判断されると示されています。

作業の見直しなど発注に関わる要望を、代行会社(受注会社)に対して伝えること自体は問題ありません。実務では、トークの変更や当てる相手の見直しは代行会社の責任者に伝え、責任者からスタッフに指示してもらう形にしておくと安心です。なお労働者派遣法には、法律の適用を免れる目的で請負などの名目で契約して派遣を受けた場合に、発注者がその労働者に労働契約の申込みをしたものとみなされる規定もあります(第40条の6。知らず、かつ知らないことに過失がなかった場合を除く)。発注側だけは無関係、とは言えません。依頼から稼働後のやりとりまでの具体的な進め方は、営業代行を依頼する流れで扱っています。

営業リストの出どころを聞いておく

代行会社がリストを用意する場合は、どこから入手したリストかも確かめておきます。個人情報保護委員会のQ&Aでは、名簿業者から名簿を買うこと自体は禁止されていないものの、適正に取得する義務と、第三者から個人データを受け取る際の確認・記録の義務がかかるとされています。個人名から特定の個人が分かるメールアドレスは、それだけで個人情報に当たります。リストの出どころと、終了時にそのリストをどう扱うかは、セットで確認するのが確実です。

会社選びで確認する3点

失敗の型は、会社を選ぶ段階でもある程度見分けられます。1つは、近い商材や近い顧客層での受託実績が、過去だけでなく今も続いているか。2つ目は、実際に使っている報告の様式を見せてもらえるか。3つ目は、料金表に含まれない費用(リスト作成費・交通費・管理費など)をその場で説明できるか。この3点への答えがあいまいな場合は、稼働後に報告や請求で食い違いが出やすいと考え、契約前に書面で確認を重ねてください。

よくある質問(FAQ)

営業代行は「やめとけ」と言われますが、本当に使わないほうがいいですか?
一律に使わないほうがよいとは言えません。「やめとけ」と言われる理由は、費用が先に出ていく、アポの質がぶれる、活動が見えない、終わると何も残らない、といった点で、多くは成果の定義・当てる相手・契約の条件を決めずに始めたときに起きます。誰に何を売るかを説明でき、商談を受ける体制があり、最低契約期間の費用を見込めるなら、使う価値を検討できます。
営業代行で失敗しやすいのはどんな会社ですか?
成果地点を決めずに丸投げする会社と、自社の状態が営業代行に合っていない会社です。具体的には、誰に何を売るかを説明できない、アポが入っても商談を受ける人がいない、1〜2か月で結論を出さなければならない、営業スタッフに直接細かく指示したい、といった状態です。いずれも発注前に確認でき、先に社内で準備するか、依頼の範囲や契約の形を変えることで避けられます。
成果報酬型なら、失敗しても損はしませんか?
損がゼロになるとは限りません。成果を「アポ1件」とだけ決めると、受注につながらないアポにも費用がかかります。また、初期費用は0円の会社から数十万円の会社まであり、BOXILの34サービス調査では公開6社の中央値が16万2,500円でした。成果1件の定義と月額以外の費用を契約前に確かめることが、成果報酬型でも欠かせません。
契約してから、どれくらいの期間で続けるかを判断すればいいですか?
何か月と一律には言えませんが、判断の時期は契約前に決めておくべきです。月額固定型の最低契約期間は3〜6か月が一般的とされているので(BOXIL、BowNow、ローカルマーケティングパートナーズ)、その期間の中で、月ごとに見る途中の指標(接触数・アポ数・商談数)と、どの時点で続ける・条件を変える・やめるを決めるかを代行会社と共有しておきます。最初の1〜2か月を成約数だけで判断すると、立ち上げの途中で見切ることになりがちです。
代行会社の営業スタッフに、直接トークの修正を指示してもいいですか?
直接の指示は避け、代行会社の責任者を通すのが安全です。厚生労働省の疑義応答集では、業務委託の形でも、発注者が顧客への営業上の対応方針などをスタッフに直接指示している場合は労働者派遣事業と判断されるとしています。一方、業務に必要な範囲の情報提供や、代行会社に対して作業の見直しを求めることは問題ないとされています。

まとめ|「やめとけ」は、決めごとを飛ばした発注への警告

営業代行が「やめとけ」と言われるのには、費用が先に出ていく、アポの質がぶれる、活動が見えない、社内に何も残らない、契約期間と月額以外の費用が重い、という理由があり、どれも実際に起こりえます。ただし、その多くは稼働後に表面化するだけで、原因は発注前と契約時にあります。

発注前に、成果地点を1つに決め、当てる相手と初回の「次に進む理由」を絞り、KPI・報告・解約の条件を契約に書く。この3つを埋めてから始めれば、よくある失敗の大半は起きにくくなります。反対に、営業スタッフに直接指示したい、商談を受ける人がいない、最低契約期間の費用を見込めない、誰に何を売るかを説明できない、という状態なら、営業代行はまだ使わないほうがよいかもしれません。自社がどちらに当たるかを確かめてから、発注を判断してください。

出典

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