建設業の飛び込み営業は、現場で会える人と発注を決める人が違う前提で組み立てます。現場では協力会社の窓口と時期を聞くだけにし、支店・営業所の工事部や本社の調達へ次の約束をつなぎます。訪問先ごとに聞くことと次の一手を決めておくと、断られた訪問でも記録が残り、飛び込みを続けるかどうかを自社の数字で判断できるようになります。

この記事は、元請け・ゼネコン・サブコン・管理会社への新規開拓で、約束なしの訪問を続けるか迷っている専門工事会社・工務店・建材メーカーの経営者や営業責任者に向けて書いています。建設業に限った飛び込み営業の成功率やアポ率の統計は確認できなかったため、率の数字は載せていません。

この記事で分かること

  • 現場・支店や営業所の工事部・本社の購買や調達・管理会社で、会える人と聞くことがどう違うか
  • 飛び込みを続けるかどうかを決めるために、訪問ごとに残す記録の項目
  • 訪問営業代行に任せやすい工程と、見積や現場調査のように社内に残す工程

建設業の飛び込み営業とは|会える人と決める人が違う

ここでいう飛び込み営業は、面談の約束を取らずに、取引先になってほしい建設会社や管理会社の現場・事務所を訪ねる営業を指します。建設業では、訪ねた先で会える人が、協力会社を選んだり見積を頼んだりする人とは限りません。工事現場にいるのは目の前の工事を進める責任者や作業にあたる人で、次の工事でどの協力会社に声をかけるかには、支店・営業所の工事部や本社の購買・調達の部署が関わることがあります。

決め方は会社ごとに違うので、訪問で最初に確かめたいのは「協力会社の相談をどの部署が受けているか」です。1回の訪問で取引の話をまとめようとするより、訪問ごとに「窓口」「時期」「次の約束」のどれかを持ち帰るほうが、建設業の商流に合っています。会えなかった、断られたという結果も、窓口が分かった、次に声をかけてよい時期が分かったという情報に置き換えられれば、次の電話や訪問の材料になります。

個人宅を訪ねるリフォームや外壁塗装の営業は、この記事では扱いません。特定商取引法でいう「訪問販売」は、販売業者や役務提供事業者が営業所等以外の場所で契約の申込みを受けたり契約を締結したりして行う販売・役務の提供などをいい、個人向けの訪問はこの法律の規定を確かめたうえで進める話になるためです。

訪問先別のやり方|現場・支店・本社・管理会社で聞くことを変える

同じ会社を開拓する場合でも、どこを訪ねるかで会える人と持ち帰れる情報が変わります。次の表は、訪問先ごとに会える人、訪ね方の考え方、聞くこと、訪問のあとの一手を並べた一般的な整理です。

訪問先 会える人 訪問の考え方 聞くこと 次の一手
現場・現場事務所 現場の責任者、現場事務所の職員 作業や打合せを止めない時間を選ぶ。敷地の中には入らず、入口か現場事務所の受付で用件を短く伝える 協力会社の相談を受ける部署(支店・営業所か本社か)、声がかかりやすい工種 聞いた部署へ電話し、資料の送付か面談の約束を取る
支店・営業所の工事部 受付の職員、工事部の担当者 受付で工事部の担当に取り次げるかを尋ねる。不在なら会社案内と施工実績を預けられるかを確かめる 協力会社の窓口と担当者名、対象の工種とエリア、次の工事が動き出す時期 聞いた時期に合わせて、担当者へ面談の約束を電話で取る
本社の購買・調達 受付の職員、購買・調達の担当者 取引先の受け付け方を決めている会社もあるので、その手順に従う 取引先登録の受け付け方、必要な書類、登録後に案件の相談を受ける部署 手順どおりに登録や資料の提出を進め、支店や工事部の窓口も並行して確かめる
管理会社(ビル・マンションなど) 受付の職員、修繕や工事を受け持つ部署の職員 来客や入居者の対応を妨げない時間を選ぶ 修繕や工事の依頼を受け持つ部署、声がかかる工種とエリアの条件、依頼先を見直す時期 担当部署へ施工実績と対応エリアを送り、届いたかを電話で確かめて面談につなぐ

出典: 数字を含まない一般的な整理です。窓口の名前や取引を始める手順は会社ごとに違います。

現場・現場事務所では、窓口と時期を聞くだけにする

現場の責任者は、目の前の工事の工程や安全を見ている立場です。営業の話を聞く時間を取れるとは限らず、協力会社を増やすかどうかをその場で決められる立場でもないことがあります。現場での目的は売り込みではなく、協力会社の相談を受けている部署がどこかと、声がかかりやすい工種や時期を聞くことに絞ります。担当外と言われたら、部署名だけを教えてもらい、個人の連絡先を強く求めずに引き返します。受付での最初の言い方や、現場・工事部・経営者それぞれとの会話の流れは、建設業の訪問営業トーク|現場・工事部・経営者別の会話例にまとめています。

支店・営業所の工事部では、次の工事が動く時期を聞く

支店や営業所の工事部は、その地域で進む工事の協力会社を手配する立場にあることがある訪問先です。受付で担当に取り次いでもらえた場合は、対応できる工種とエリアを短く伝え、次の工事が動き出す時期と、協力会社の相談を受ける担当者名を聞きます。「今は足りている」と言われた場合も、次に声をかけてよい時期を聞けば、訪問は次の電話の予定に変わります。担当者が不在なら、会社案内と施工実績を預けられるかを尋ね、預けた日付を記録に残しておきます。

本社の購買・調達では、取引先登録の手順を確かめる

本社の購買・調達の部署は、取引先の登録や条件を扱うことがある訪問先です。取引先の受け付け方を会社として決めている場合は、訪問で押し切るより、その手順に沿って書類や資料を出すほうが先に進みます。聞くことは、登録の受け付け方、必要な書類、登録したあとに案件の相談を受けるのがどの部署か、の3つです。本社で登録の手順が分かっても、実際に声をかけるのは支店や工事部という会社もあるため、両方の窓口を並べて記録します。

管理会社では、修繕や工事を受け持つ部署を確かめる

ビルやマンションの管理会社は、修繕や改修の工事を外部に頼む立場になる訪問先です。受付で聞くのは、修繕や工事の依頼を受け持つ部署と、どんな工種やエリアの条件で声がかかるか、依頼先を見直す時期があるかです。管理会社には来客や入居者の対応もあるので、窓口が混んでいる様子なら資料だけを預けて引き返し、届いたかどうかは後日の電話で確かめます。

現場を訪ねるときの注意|立入のルールと作業を優先する

工事現場は、現場を管理する会社のルールのもとで作業が進む場所です。関係者以外の立入を断る掲示がある現場や、入場の手続きが決まっている現場もあります。営業の都合より現場のルールと安全を優先し、次の点を守ります。

  • 許可なく敷地やゲートの中に入らない。声をかけるのは入口か現場事務所の受付までにする
  • 誘導の係の人や現場の責任者から立つ場所や通る道を指示されたら、その場で従う
  • 重機や車両が出入りしているとき、作業の合図が出ているときに人を呼び止めない
  • 忙しい様子なら用件を切り出さずに引き返し、事務所への電話で改めて連絡する
  • 現場の写真を撮らない。掲示物から個人の連絡先を書き写して営業に使わない

現場で話す時間をもらえなかった場合でも、ルールを守って短く引き返し、窓口の部署名だけでも聞けていれば、訪問の目的は果たせています。反対に、作業を止めてまで話を続けると、その会社の支店や工事部に改めて連絡するときに不利になりかねません。現場は窓口を聞く場所、取引の話をする場所は事務所、と役割を分けて考えると判断に迷いにくくなります。

飛び込みを続けるか決める記録|率は自社の訪問記録から出す

建設業の飛び込みで、何件訪ねれば何件の面談につながるかを示した統計は確認できませんでした。他社や他業種の率を借りて判断するより、自社の訪問を一定期間記録し、その記録から率を出すほうが、続けるかどうかの判断に使えます。

訪ねる候補が多いことも、記録が要る理由です。令和6年経済センサス‐基礎調査では、2024年6月1日現在、全国の民営事業所(雇用者のいない個人経営を除く)のうち建設業は400,342事業所で、全体の9.9%です(同調査の数値をもとに算出)。候補が多いぶん、どの訪問先の種類が次の約束につながったかを残しておかないと、回る先を絞れません。そもそもどの会社を訪ねるかの絞り方は、訪問営業リストの作り方|会うべき企業を絞る6条件で整理しています。

記録する項目 書く中身 使い道
訪問先の種類 現場・支店や営業所・本社・管理会社のどれか、訪問日 訪問先の種類ごとに結果を比べる
会えた相手 受付、現場の責任者、工事部の担当者など。会えなかったときもそう書く 誰に会えると次に進みやすいかを見る
分かった窓口 協力会社の相談を受ける部署名、担当者名、受け付け方 次に連絡する先を決める
時期 次の工事が動く時期、次に声をかけてよい時期 再訪や電話の日を決める
次回の約束 面談の日時、資料送付、電話の約束があるか 飛び込みから約束に進んだ割合を出す
見積依頼・協力会社の案内 見積の依頼を受けたか、協力会社登録の案内や書類を受け取ったか 取引に近づいた訪問を数える

出典: 数字を含まない一般的な整理です。

記録がたまったら、訪問件数を分母にして「窓口が分かった件数」「次回の約束が取れた件数」「見積依頼や協力会社の案内を受けた件数」をそれぞれ数え、訪問先の種類ごとに比べます。たとえば現場では窓口は分かるが約束につながらず、支店の工事部では約束が取れているなら、現場は窓口を聞くだけの立ち寄りにし、約束は工事部への電話と訪問で取る、というように訪問先ごとの役割を決め直せます。どの訪問先でも約束に進まない状態が続くなら、飛び込みの件数を減らし、電話や資料送付の比重を上げる判断材料になります。訪問件数のような行動の量と、約束や見積依頼のような成果を分けて追う考え方は、営業KPIの正しい設計|行動量と成果を分けて管理するを参考にしてください。

飛び込みだけに頼らない組み合わせ|電話で窓口を確かめてから訪ねる

飛び込みを続ける場合も、訪問だけで開拓の全部をまかなう必要はありません。窓口が分からない会社には、先に電話で協力会社の相談を受ける部署を確かめ、担当者が分かってから訪ねると、不在や取り次ぎ不可で終わる訪問を減らせます。電話でつながりにくい相手には、対応工種・対応エリア・主な施工実績を1枚にまとめた資料をDMや問い合わせフォームで先に届け、訪問や電話のときに「お送りした資料の件で」と切り出す組み合わせもあります。

飛び込みは、近くの現場や支店にまとめて立ち寄れるときや、電話では部署名すら分からない会社の窓口を確かめるときに使い、約束を取る役割は電話に寄せる、という分担も考えられます。建設業に限らず法人への飛び込み営業が成り立つ条件は、法人への飛び込み営業で整理しています。紹介や付き合いの長い元請けに受注が偏っていて、新しい接点をつくる導線そのものを見直したい場合は、建設業の新規開拓|紹介依存から抜けて元請け接点をゼロからつくる営業導線が参考になります。新規開拓が進まない原因を先に確かめたい場合は、建設業が新規開拓できない理由と抜け方もあわせて読んでください。

訪問営業代行の使いどころ|外に出す工程と社内に残す工程

飛び込みを続けたいが、現場調査や積算で社内の人が訪問に回れないときは、訪問営業代行に工程の一部を任せる方法があります。任せやすいのは、聞くことや手順を先に決めやすく、結果を記録で確かめられる工程です。反対に、金額や工期、施工できるかどうかの判断を伴う工程は社内に残します。

工程 扱い 理由
訪問リストの作成 外に出しやすい 対応工種・エリア・規模の条件を渡せば作業にできる
事前の電話(窓口と時期の確認) 外に出しやすい 聞くことが決まっていて、結果を記録で確かめられる
訪問(窓口の確認・資料の手渡し) 外に出しやすい 訪問先ごとに聞くことと次の一手を決めておけば任せられる
訪問記録と報告 外に出しやすい 前の節の記録項目を、そのまま報告の書式にできる
見積 社内に残す 金額や工期は、自社の職人の手配や技術で決まる
技術的な質問への回答 社内に残す その場で答えると、後から訂正が必要になることがある
現場調査 社内に残す 施工できるかどうかの判断を伴う

出典: 数字を含まない一般的な整理です。

任せる場合は、代行側に「その場で答えてよいこと」と「持ち帰って社内から回答すること」を先に分けて渡します。見積や現場調査の話が出たら、相手の部署名と担当者名、希望の時期を添えて社内の窓口へ引き継いでもらう形にしておくと、同じ会社に二重に連絡する混乱を避けやすくなります。

費用の目安として、比較ビズは訪問営業の代行を固定報酬型で月50万〜60万円、成果報酬型で成約売上の30〜50%としており、訪問・クロージングまで含むと月80万〜150万円とする媒体もあります(ローカルマーケティングパートナーズ、グランドセントラル)。いずれも税区分の記載はなく、建設業に限った数字ではありません。代行会社を比べるときの確認項目は訪問営業代行会社の選び方|契約前に確認する8項目、建設業で営業代行に任せる範囲や成果の数え方は建設業の営業代行で詳しく扱っています。

建設のエイギョウブで頼める範囲

当メディアを運営するLongWave株式会社の「建設のエイギョウブ」では、ゼネコン・サブコン・地場工務店など、工種・工事区分に応じて攻める先を抽出し、建設現場が分かるメンバーがスクリプトを作成します。そのうえで、電話営業・訪問営業・DMやフォーム営業を組み合わせて開拓を進めます。

進め方は、無料相談のあと、ターゲット・チャネル・KPI・トークを決める営業設計と計画作成、契約とリスト・スクリプト・訪問体制の整備を経て、キックオフ後に稼働する流れです。約束なしの訪問をどこまで含めるかはチャネルの設計にかかわるので、無料相談の際に確認してください。

サービスページには、レンガ建材メーカーの支援事例として、大手ハウスメーカー・元請けへの販路を再構築し、テレアポと訪問を組み合わせて稼働初月から有力な元請けとの接点を創出し、商談獲得数が従来比で約10倍になった例を掲載しています。数値は対象期間や条件により異なり、ほかの会社で同じ結果になるとは限りません。

料金は、建設のエイギョウブのサービスページで月額の目安(税別)として、トライアル20万円〜/月、標準40万円〜/月と掲載しており、支援範囲・体制に応じて提案します。

まとめ|訪問先ごとに持ち帰るものを決め、記録で続けるかを判断する

建設業の飛び込み営業は、訪ねた先で会える人と協力会社を選ぶ人が違うことを前提に組み立てます。現場や現場事務所では作業を止めずに窓口と時期だけを聞き、支店・営業所の工事部では次の工事が動く時期と担当者を、本社の購買・調達では取引先登録の手順を、管理会社では修繕を受け持つ部署を確かめます。

訪問ごとに、会えた相手、分かった窓口、時期、次回の約束、見積依頼や協力会社の案内の有無を残しておけば、断られた訪問も次の電話や訪問の材料になります。率は他社の数字を借りずに自社の記録から出し、訪問先の種類ごとに役割を決め直してください。社内の人が訪問に回れない場合は、リスト作成・事前の電話・訪問・記録を外に出し、見積・技術の質問・現場調査は社内に残す分け方で、訪問営業代行を検討できます。

よくある質問(FAQ)

建設業の飛び込み営業とは?
面談の約束を取らずに、取引先になってほしい元請け・ゼネコン・サブコン・管理会社などの現場や事務所を訪ねる営業のことです。建設業では、訪ねた先で会える人と、協力会社を選んだり見積を頼んだりする人が違うことがあります。そのため、1回の訪問で取引をまとめるより、協力会社の相談を受ける窓口と次の工事の時期を聞き、支店・営業所の工事部や本社の調達への次の約束につなげる使い方が合っています。
ゼネコンの現場に直接訪ねて営業してよいですか?
現場のルールと安全が優先で、許可なく敷地に入ったり、作業中の人を呼び止めたりするのは避けます。関係者以外の立入を断る掲示がある現場や、入場の手続きが決まっている現場もあります。訪ねる場合は入口か現場事務所の受付で用件を短く伝え、指示に従い、協力会社の相談を受ける部署を聞いたら引き返します。窓口は支店や営業所の工事部、本社の購買・調達にある場合もあるので、電話で先に確かめる方法も使えます。
飛び込みとテレアポのどちらから始めればよいですか?
窓口が分からない会社が多いなら、先に電話で協力会社の相談を受ける部署を確かめてから訪ねる順番にすると、不在や取り次ぎ不可で終わる訪問を減らせます。近くの現場や支店にまとめて立ち寄れるなら、訪問で窓口と時期を聞くことから始めてもかまいません。どちらが自社に合うかは、電話と訪問それぞれで「窓口が分かった件数」「次回の約束が取れた件数」を一定期間記録し、比べて決めます。
建設業の飛び込み営業は外注できますか?
訪問リストの作成、事前の電話、訪問、訪問記録と報告は、外に出しやすい工程です。見積、技術的な質問への回答、現場調査は、自社の職人の手配や技術で決まるため社内に残します。任せる場合は、その場で答えてよいことと持ち帰ることを先に分け、見積や現場調査の話が出たら相手の部署名と担当者名を添えて社内に引き継いでもらう形にします。費用の目安は比較メディアによって幅があり、税区分の記載がないものが多いので、本文の出典と条件もあわせて確認してください。

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