法人への飛び込み営業は、訪問先が近くに集まっていて、担当者が現場にいて、1回目で決めずに次の約束を取りに行く場合に成り立ちます。この3つがそろわないなら、電話・DM・問い合わせフォームで先に接点を作り、会う約束を取ってから訪問するほうが、会えないまま帰る訪問を減らしやすくなります。

この記事は、法人を相手にした飛び込み営業を続けるか、別の進め方に切り替えるかを判断したいBtoB企業の経営者・営業責任者に向けたものです。個人宅への訪問販売(外壁塗装やリフォームなど)の話は扱いません。

この記事で分かること

  • 法人への飛び込み営業が成り立つ条件と、成り立ちにくい条件の見分け方
  • 怪しい、迷惑だと受け取られる理由と、特定商取引法との関係
  • 成果を自社の数字で測る記録の取り方と、事前接点を作ってから訪問する代わりの進め方

法人への飛び込み営業が成り立つ条件・成り立たない条件|訪問先の密度と担当者の居場所で決まる

飛び込み営業が効くかどうかは、手法そのものより、訪ねる相手の置かれた状況で変わります。同じ営業担当者が同じ商材を持って回っても、店舗が並ぶ通りを回る日と、オフィスビルに入る企業を回る日とでは、担当者と話せる機会の数が大きく違います。判断に使う観点を5つに分けると、次のようになります。

観点 成り立ちやすい 成り立ちにくい
訪問先の密度 対象の企業が同じ地域に集まっていて、1社で会えなくてもすぐ次へ移れる 対象の企業が広い地域に点在していて、1社ごとの移動に時間がかかる
担当者の居場所 店舗・工場・事業所など、判断に関わる人が普段その場で働いている 担当者が本社や別の拠点にいて、訪ねた場所では話が進まない
受付のルール 店頭や現場の入口で、責任者に直接声をかけられる 入館や来客の受付でアポイントの有無を確認され、取り次ぎを断られやすい
商材を見せて伝わるか 実物・サンプル・写真を見せれば、短い時間で興味の有無を判断してもらえる 仕組みや費用対効果の説明に資料と時間が必要で、立ち話では伝わらない
1回目の訪問の目的 窓口の確認や次に会う約束など、小さな前進を取りに行く 1回の訪問で契約や導入の判断まで求める

この表は公的な統計にもとづくものではありません。訪問の段取り(移動・受付・面談・次の約束)から、判断の観点を整理したものです。

成り立ちやすいのは、移動が短く担当者がその場にいる場合

飛び込み営業で時間を取られるのは、移動と空振りです。訪問先が集まっていれば、1社で会えなくてもすぐ次に移れます。店舗の店長や工場長のように判断に関わる人がその場で働いている業態なら、アポイントがなくても話せる可能性があり、商材を見せて伝わるなら短い会話でも興味の有無を判断してもらえます。

成り立ちにくいのは、受付で止まり、1回で決めようとする場合

担当者が本社のオフィスにいて、受付でアポイントの有無を確認される企業では、担当者に取り次がれないまま終わりやすくなります。説明に資料や時間が必要な商材を1回目で売り込もうとすると、相手は時間を取られたと感じ、次の約束につながりにくくなります。

判断に迷ったら、1回目の訪問の目的を小さくする

条件の一部しか当てはまらない場合は、飛び込みを売り込みの場ではなく、窓口と次の連絡先を確かめる場と位置づけると、成り立つ範囲が広がります。1回目で得たい結果を、担当部署の名前、担当者の役割、次に連絡してよい方法のどれかに絞るやり方です。訪問営業全体の段取りのなかで飛び込みをどう使うかは、訪問営業のやり方|7ステップで商談化まで設計で整理しています。自社の商材がそもそも対面の営業に向くかを先に確かめたい場合は、訪問営業が有効な商材の条件が参考になります。

飛び込み営業が怪しまれる・迷惑と思われる理由|突然・目的が分からない・長居

飛び込み営業が怪しい、迷惑だと感じられる理由を分けると、多くは次の3つに当てはまります。どれも手法そのものより訪ね方の問題なので、進め方を決めておくことで小さくできます。

突然来るので、相手の予定を崩す

法人の担当者は、就業時間中に自分の業務を抱えています。店舗なら接客中、工場なら稼働中の時間帯に訪ねると、話の中身を聞く前に「今は困る」と受け取られます。訪問する時間帯を相手の業態に合わせるだけでも、受け取られ方は変わります。

誰が何のために来たのかが分からない

会社名を名乗らない訪問や、名乗っても用件が最初に伝わらない訪問は、相手に警戒されます。法人の受付担当者には、見知らぬ来訪者を取り次いでよいかを判断する役割があるため、目的が分からない相手ほど断るのが自然です。会社名、訪問の目的、どのくらいの時間をもらいたいかを先に伝え、名刺や会社案内など身元が分かるものを渡せるようにしておくと、何者か分からないという不安は減らせます。

断られても帰らない、話が長い

一度断られたのに説明を続ける、伝えた時間を超えて話し続けるといった振る舞いは、商材の良し悪しとは関係なく会社の評判を下げます。飛び込み営業を外部に任せた場合も、相手の記憶に残るのは代行会社ではなく発注した会社の名前です。断られたら退出する、次の連絡の可否だけを確認して切り上げる、というルールを最初に決めておくと、迷惑だと受け取られる訪問を減らせます。受付や担当者の前で何をどう話すかの具体例は、飛び込み営業のトーク例とスクリプトにまとめています。

法人への飛び込み営業は違法か|特定商取引法の適用除外と、その例外

飛び込み営業が違法ではないかを考えるとき、まず確認したいのが特定商取引法(以下、特商法)です。特商法の「訪問販売」は、事業者が営業所等以外の場所で契約の申込みを受けたり契約を結んだりする販売や役務の提供を指し、路上で呼び止めて営業所に同行させるなどした相手との取引も含みます。

相手が「営業のために」結ぶ契約は、訪問販売の規定が適用除外

特商法第26条第1項第1号は、申込みをした人や購入者が「営業のために若しくは営業として」結ぶ契約には、訪問販売・通信販売・電話勧誘販売の規定を適用しないと定めています。法人向けの訪問営業で、相手の会社が事業のために契約する場合は、この適用除外に当たります。

法人や個人事業主が相手でも、一律に除外されるわけではない

一方で、消費者庁と経済産業省が出している特商法の施行通達(令和6年11月19日)は、この適用除外は契約の目的や内容が営業のためのものかで判断するもので、相手が事業者や法人であることだけで一律に除外するものではないとしています。事業者名で契約していても、購入した商品や役務が主に個人用・家庭用に使うためのものであれば原則として規定が適用され、実質的に廃業している、事業実態がほとんどない零細事業者の場合は適用される可能性が高いとされています。

同じ通達は、お金を稼ぐ意思があるというだけで「営業のため」に当たるわけではないとも述べています。取引の種類、利益活動との関連性、必要な設備の準備状況などから、その人がその取引に習熟しているかを総合的に検討するという考え方です。

違法か合法かは、訪ねる相手と契約の中身で変わる

このため、飛び込み営業が法律上どう扱われるかは「法人向けだから関係ない」とは決められず、誰を訪ね、何をどんな目的で契約してもらうのかによって変わります。この記事では、個別のケースが違法か合法かを断定しません。訪問先に個人事業主が多い、商材が家庭でも使えるといった心当たりがあるときは、販売の流れや契約書を専門家に確認してから進めてください。

飛び込み営業の成果を同じ定義で数える|訪問数から商談までを記録する

法人への飛び込み営業の成功率やアポイント獲得率を示した公的な統計は見当たりません。インターネット上の数字も、何を成功と数えたのかがそろっていないため、自社の判断には使いにくいのが実情です。続けるかやめるかを決める材料は、自社の訪問を同じ定義で記録して作るのが近道です。

訪問1件ごとに4つの段階で残す

記録は、訪問1件ごとに、どの段階まで進んだかを残します。次の表の定義は一例です。自社の商材に合わせて言葉を決め、全員が同じ基準で数えることを優先してください。

段階 数える条件の例 一緒に残す項目
訪問数 実際に訪ねて、受付や店頭で誰かと接した件数(不在・休業は別に数える) 訪問日時、会社名、所在地、断られた理由
面談 担当者か判断に関わる人に、用件を伝えて話せた件数 話した相手の役割、話した時間
次回約束 次に会う日時、または資料を送ったあとに連絡する期日が決まった件数 約束の内容と期日
商談 課題と検討の時期を確認したうえで、提案や見積もりの場を設定できた件数 課題、検討時期、決裁に関わる人

定義はこの記事で示す一例で、数字の目安ではありません。

率は自社の記録から出す

4つの段階がそろうと、面談数÷訪問数(面談率)、次回約束数÷面談数、商談数÷次回約束数という3つの率を出せます。計算の形だけを仮の数字で示すと、1か月に200社を訪ねて面談が30社、次回約束が10社、商談が4社だった場合、面談率は15%、面談から次回約束に進んだ割合は約33%、次回約束から商談に進んだ割合は40%です。これは計算方法を示すための仮の数字で、平均や目安ではありません。

率を分けて見ると、どこで止まっているかが分かります。面談率が低いなら訪問先や時間帯の選び方を、次回約束に進まないなら1回目の訪問の目的を見直します。事前に電話やDMで接点を作ってから訪問した分も同じ段階で記録すれば、飛び込みとどちらが会える件数を増やしているかを同じ物差しで比べられます。

代わりの進め方|事前接点を作ってから「会える訪問」にする

飛び込みが成り立つ条件がそろわないときは、訪問そのものをやめるのではなく、訪問の前に接点を作る順番に変える方法があります。約束があれば相手は在席して時間を空けているので、受付で止まったり不在で帰ったりする空振りを減らしやすくなります。進め方は次の4段階です。

1. 訪問する価値の高い企業から順に並べる

業種、規模、エリア、決裁の仕組み(誰が導入を決めるか)で企業を整理し、訪問の優先度が高い順に並べます。近くに集まっている企業をまとめて回れるようにエリアで区切っておくと、移動の無駄も減ります。会うべき企業の絞り方は、訪問営業リストの作り方|会うべき企業を絞る6条件で詳しく説明しています。

2. 電話・DM・フォームで先に接点を作る

絞った企業に、電話、郵送のDM、問い合わせフォームで連絡し、担当部署と担当者、訪問してよいかを確かめます。電話は担当者と直接話して日時まで決められる反面、つながらない原因を直さないと件数が伸びないので、テレアポが繋がらない原因と直す順番を先に確認しておくと準備が進みます。フォームは担当者の手が空いたときに読んでもらえる一方で返信を待つ時間が生じるため、送信後を電話や訪問にどうつなぐかはフォーム営業代行の費用と進め方が参考になります。

3. 会う約束を取ってから訪問する

接点ができた企業には、訪問の日時と目的を合意してから訪ねます。約束まで進まなかった企業も、担当者の名前と連絡方法が分かっていれば、近くを回る日に合わせて訪問を打診できます。飛び込みを残す場合は、この流れの一部として「窓口を確かめる訪問」に役割を限ります。

4. 訪問結果を決まった間隔で見直す

4つの段階で結果を記録し、週ごとなど決まった間隔で見直します。面談や次回約束が取れている業種・エリアが見えてきたら、1の優先順位を入れ替えます。

飛び込み営業を外部に任せるときに決めること|エリア・対象・記録・約束の定義

社内に訪問する人手がなく、飛び込みや訪問を営業代行会社に任せる場合は、次の4点を発注前に決めて書面に残しておくと、稼働後の報告を自社の記録と同じ物差しで読めます。

訪問エリアと対象

どの地域を回るか、どの業種・規模の企業を訪ねるか、訪問しない企業(既存の取引先や、過去に断られた企業など)をどう伝えるかを決めます。エリアを広げすぎると移動が増えるので、最初は範囲を絞るのが無難です。

記録の項目と報告の形

訪問数・面談・次回約束・商談の4段階と、話した相手の役割、断られた理由を、どの形式で、どの間隔で受け取るかを決めます。件数だけの報告では、どの段階で止まっているかが分からないためです。

次回約束と商談の定義、要望の伝え方

何を次回約束や商談と数えるかを、発注側と代行会社で同じ言葉にそろえます。成果報酬で頼む場合は、この定義がそのまま費用に関わります。また、訪問の進め方への要望は、代行会社のスタッフに直接指示するのではなく、代行会社を通して伝えてください。厚生労働省の疑義応答集は、発注者が顧客への営業上の対応方針などを請け負った会社のスタッフに直接指示している場合は、労働者派遣事業と判断されるとしています。

費用の目安と比べ方

比較ビズは、訪問営業の代行を固定報酬型で月50万〜60万円、成果報酬型で成約売上の30〜50%としています。訪問・クロージングまで含むと固定報酬型で月80万〜150万円、成果報酬型で受注額の30〜50%とする媒体もあります(ローカルマーケティングパートナーズ、グランドセントラル。いずれも税区分の記載はありません)。飛び込み訪問だけを頼むのか、アポイント獲得から商談まで任せるのかで見積もりの前提が変わります。委託範囲をそろえて比べる方法と契約前の確認項目は訪問営業代行の費用と選び方|契約前に確認する8項目を、商談そのものを任せる範囲の線引きは商談代行・アポ獲得代行の費用と成果定義を確認してください。

訪問エイギョウブで頼める範囲|事前接点づくりから訪問・改善まで

訪問エイギョウブは、LongWave株式会社が運営する、訪問営業に特化した営業支援サービスです。サービスページでは、訪問営業の進め方として次の流れを掲載しています。

  • 業種・規模・エリア・決裁構造で、訪問優先度の高い企業を抽出する
  • 電話やDMで事前接点を作り、「会える商談」にしてから訪問する
  • 訪問トークを標準化する
  • 訪問結果を週次で分析し、アポ率・商談率・受注率を改善する

この記事の「代わりの進め方」は、この流れを一般的な形に整理したものです。また、総合のエイギョウブのサービスページでは、800人規模の訪問営業部隊を持つと掲載しています(ページ上の表記は「累計800人規模の部隊」)。

料金は、訪問エイギョウブのサービスページに月額の目安として、トライアル20万円〜/月、標準40万円〜/月(いずれも税別)と掲載しています。支援範囲・体制に応じて提案する形で、上位のプランは個別見積りです。

まとめ|飛び込みは条件で使い分け、続けるかは自社の記録で決める

法人への飛び込み営業は、訪問先が近くに集まり、担当者が現場にいて、1回目で決めずに次の約束を取りに行く場合に成り立ちます。受付で止まりやすいオフィス中心の企業を回る場合や、点在する訪問先に1回で契約を求める進め方では、会えないまま帰る訪問が増えます。

怪しい、迷惑だと受け取られる理由の多くは、突然来る、目的が分からない、長居するという訪ね方にあります。法律の面では、相手が営業のために結ぶ契約なら特商法の訪問販売の規定は適用除外ですが、法人や個人事業主が相手というだけで一律に除外されるわけではありません。

続けるかやめるかは、訪問数・面談・次回約束・商談を同じ定義で記録し、自社の率で判断してください。条件がそろわない場合は、電話・DM・フォームで事前に接点を作り、約束を取ってから訪問する形に切り替える選択肢があります。訪問営業という手法そのものの位置づけは、訪問営業は時代遅れかで整理しています。

よくある質問(FAQ)

法人への飛び込み営業は違法ですか?
相手が営業のために結ぶ契約であれば、特定商取引法の訪問販売の規定は適用されません(同法第26条第1項第1号)。ただし、消費者庁と経済産業省の施行通達は、相手が法人や事業者であることだけで一律に除外されるわけではないとしています。事業者名での契約でも主に個人用・家庭用に使う物なら原則として規定が適用され、事業実態がほとんどない零細事業者の場合は適用される可能性が高いとされています。違法かどうかは訪ねる相手と契約の中身で変わるため、心当たりがあれば専門家に確認してください。
飛び込み営業の成功率はどれくらいですか?
法人への飛び込み営業の成功率やアポイント獲得率を示した公的な統計は見当たらないため、この記事では数字を示していません。何を成功と数えるかで率は大きく変わるので、訪問数・面談・次回約束・商談の4つの段階を自社で定義し、訪問1件ごとに記録して率を出すのが現実的です。面談率が低いのか、面談から次回約束に進まないのかを分けて見ると、訪問先の選び方と1回目の訪問の目的のどちらを直すべきかが分かります。
テレアポと飛び込み営業はどちらがよいですか?
どちらかが常に有利というより、訪問先の条件で使い分けるのが現実的です。訪問先が近くに集まり、店舗や工場のように担当者が現場にいる業態なら、飛び込みでも話せる機会を作れます。担当者がオフィスにいて受付で止まりやすい企業や、訪問先が点在している場合は、電話で先に担当者と話し、訪問の約束を取ってから行くほうが空振りを減らしやすくなります。両方を試すときは、同じ記録の段階で結果を比べてください。
飛び込み営業で怪しまれないためにはどうすればよいですか?
会社名、訪問の目的、もらいたい時間を最初に伝え、名刺や会社案内など身元が分かるものを渡せるようにしておくことが基本です。相手が接客や作業で忙しい時間帯を避け、断られたら説明を続けずに、次に連絡してよい方法だけを確認して切り上げます。可能であれば電話やDMで事前に訪問を知らせておくと、突然来た知らない人という印象を避けやすくなります。外部に任せる場合も、相手に残るのは発注した会社の名前だと考えてルールを決めておきましょう。

出典

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