2026年8月の営業職業従事者の有効求人倍率(常用・パートを含む、原数値)は2.05倍で、職業計の1.06倍の約2倍です。営業の人手不足は公的統計でも確かめられ、ハローワークでは営業の仕事を探す人1人に対して求人がおよそ2件ある計算になります。ただし前年同月からは0.06ポイント下がっており、統計から「年々厳しくなっている」とまでは言えません。

この記事は、営業職の求人を出しても応募が来ない、採用しても人が定着しないと悩んでいるBtoB企業の経営者・営業責任者・人事担当者に向けて書いています。自社の苦戦が市場全体の傾向なのかを、厚生労働省・各労働局・白書の数字で定義つきで確かめ、そのうえで採用を続けるか、代理店・営業代行・業務委託で外の力を借りるかを決める順番を整理します。営業職に転職したい方向けの内容ではありません。

この記事で分かること

  • 営業職の有効求人倍率が職業計や営業事務、ほかの職種と比べてどれくらい高いか(2026年8月、定義つき)
  • 職種別・都道府県別の有効求人倍率の一覧と、労働局の資料で分かる地域の営業職の倍率の読み方
  • 採用・代理店・営業代行・業務委託の違いと、自社に合う手を選ぶ順番

数字で見る営業職の人手不足|求人は求職者の約2倍

有効求人倍率は、ハローワークに出ている有効求人数を、仕事を探して登録している有効求職者数で割った数字です。1倍を超えると求人のほうが多く、1倍を下回ると求職者のほうが多いことを表します。厚生労働省の「一般職業紹介状況」は毎月公表され、職業別の値は季節による増減をならしていない原数値で出ています。

ニュースで「有効求人倍率」として報じられるのは、季節調整値の全国の値です。2026年8月は1.18倍でした。この値は季節の動きをならして作った数字なので、この記事で扱う職業別の原数値とは作り方が違い、そのまま比べることはできません。以下では、職業別の原数値どうしだけを並べます。

職業別に見ると営業職は職業計の約2倍

2026年8月の全国の値を、常用(パートを含む)で並べたのが表1です。営業職業従事者の有効求人数は7万2,132件、有効求職者数は3万5,167人で、倍率は2.05倍でした。職業計の1.06倍と比べると約2倍にあたります。

営業職を含む大きなくくりの販売従事者は1.85倍、店頭などで商品を売る商品販売従事者は1.72倍です。販売の仕事のなかでも、営業職の倍率は高い側にあります。ほかの職種まで広げた一覧は、次の節の表2・表3にまとめています。

職業 有効求人数 有効求職者数 有効求人倍率 前年同月差
職業計 202万8,673件 191万4,602人 1.06倍 0.03ポイント低下
販売従事者 17万8,093件 9万6,461人 1.85倍 0.06ポイント低下
営業職業従事者 7万2,132件 3万5,167人 2.05倍 0.06ポイント低下
商品販売従事者 10万1,258件 5万8,921人 1.72倍 0.06ポイント低下
営業・販売事務従事者 1万6,607件 1万8,864人 0.88倍 0.09ポイント低下

出典: 厚生労働省『一般職業紹介状況(職業安定業務統計)令和8年8月分』参考統計表7-1・7-2(2026年10月2日公表)。2026年8月、全国、常用(パートタイムを含む)、新規学卒者を除く、原数値。職業分類は平成21年12月改定の日本標準職業分類に基づく区分。取得日 2026-10-19

パートを除いても営業職は2倍を超える

パートタイムを除いた常用だけで見ても、傾向は変わりません。営業職業従事者は2.20倍で、職業計の1.17倍を大きく上回っています。正社員など、フルタイムで営業を担う人を探している会社にとっては、こちらの数字のほうが実感に近いかもしれません。

職業(パートを除く常用) 有効求人数 有効求職者数 有効求人倍率 前年同月差
職業計 133万1,230件 114万1,889人 1.17倍 0.01ポイント低下
営業職業従事者 7万239件 3万1,911人 2.20倍 0.05ポイント低下
営業・販売事務従事者 1万2,894件 1万4,701人 0.88倍 0.08ポイント低下

出典: 厚生労働省『一般職業紹介状況(職業安定業務統計)令和8年8月分』参考統計表8-1・8-2(2026年10月2日公表)。2026年8月、全国、常用(パートタイムを除く)、新規学卒者を除く、原数値。取得日 2026-10-19

8月どうしで並べると、2倍前後の高い水準が続いている

原数値は季節によって動くので、比べるときは同じ月どうしに限ります。各年8月の営業職の倍率を並べると、2023年2.15倍、2024年2.16倍、2025年2.11倍と2.1倍台が続き、2026年は2.05倍とやや下がりました。2021年8月は1.57倍、2022年8月は1.87倍でしたが、この2年は当時の区分名「営業の職業」で集計されており、2023年分から職業分類が変わっています。2021年と2026年を比べるときは、分類の改定をまたいでいることに注意してください。

もう一つ読み取れるのは、求人と求職者の両方が減っていることです。営業職の有効求人数は2023年8月の8万2,213件から2026年8月は7万2,132件に、有効求職者数は3万8,284人から3万5,167人になりました。求人が減っても、営業の仕事を探す人も減っているため、倍率は2倍前後の高い水準にとどまっています。

各年8月 区分名 営業職の倍率(パート含む) 前年同月差(表の記載) 営業職の倍率(パート除く) 職業計の倍率(パート含む)
2021年 営業の職業(旧分類) 1.57倍 0.10ポイント上昇 1.64倍 1.03倍
2022年 営業の職業(旧分類) 1.87倍 0.30ポイント上昇 1.97倍 1.18倍
2023年 営業職業従事者 2.15倍 0.28ポイント上昇 2.26倍 1.17倍
2024年 営業職業従事者 2.16倍 0.01ポイント上昇 2.30倍 1.13倍
2025年 営業職業従事者 2.11倍 0.05ポイント低下 2.25倍 1.09倍
2026年 営業職業従事者 2.05倍 0.06ポイント低下 2.20倍 1.06倍

出典: 厚生労働省『一般職業紹介状況(職業安定業務統計)』令和3年〜令和8年の各8月分 参考統計表7-1・7-2・8-1(全国、常用、新規学卒者を除く、原数値)。2021年・2022年は平成23年改定の厚生労働省編職業分類に基づく「営業の職業」、2023年以降は平成21年12月改定の日本標準職業分類に基づく「営業職業従事者」で、分類の改定をまたぎます。取得日 2026-10-19

この数字を読むときに、もう一つ押さえておきたい前提があります。有効求人倍率はハローワークに出された求人と、ハローワークに登録した求職者だけを数えたものです。民間の転職サイトや人材紹介会社を通じた求人・求職は入っていません。「営業職の転職市場全体で求人が2倍ある」という意味ではなく、公的な窓口で見たときの需給の偏りを示す数字として使ってください。

職種別・都道府県別の有効求人倍率一覧(2026年8月)|営業職の位置を全体の中で見る

営業職の倍率が高いのか低いのかは、ほかの職種と並べると判断しやすくなります。ここでは、厚生労働省の「一般職業紹介状況」から、職種別の有効求人倍率(参考統計表、原数値)と、都道府県別の有効求人倍率(報道発表資料、季節調整値)を一覧にしました。2つは作り方が違う数字なので、別々の表にしています。

職業大分類で見ると、販売従事者は11区分のうち5番目

表2は、職業の一番大きなくくり(大分類)の11区分を、パートを含む常用の倍率が高い順に並べたものです。最も高いのは保安職業従事者の6.99倍で、建設・採掘従事者の5.10倍、サービス職業従事者の2.63倍が続きます。営業職を含む販売従事者は1.85倍で、11区分のうち5番目でした。最も低いのは事務従事者の0.37倍で、求職者のほうが求人より大幅に多い状態です。

職業(大分類) 有効求人倍率(パート含む常用) 前年同月差(パート含む) 有効求人倍率(パート除く常用)
保安職業従事者 6.99倍 0.23ポイント上昇 6.92倍
建設・採掘従事者 5.10倍 同水準(0.00ポイント) 5.74倍
サービス職業従事者 2.63倍 0.11ポイント低下 2.34倍
輸送・機械運転従事者 2.08倍 0.08ポイント低下 2.26倍
販売従事者(営業職を含む) 1.85倍 0.06ポイント低下 2.06倍
専門的・技術的職業従事者 1.73倍 0.03ポイント低下 1.87倍
生産工程従事者 1.60倍 0.11ポイント上昇 1.76倍
(参考)職業計 1.06倍 0.03ポイント低下 1.17倍
農林漁業従事者 1.02倍 0.02ポイント低下 1.07倍
管理的職業従事者 0.81倍 0.13ポイント低下 0.93倍
運搬・清掃・包装等従事者 0.66倍 0.04ポイント低下 0.69倍
事務従事者 0.37倍 0.03ポイント低下 0.37倍

出典: 厚生労働省『一般職業紹介状況(職業安定業務統計)令和8年8月分』参考統計表7-1・7-2・8-1(2026年10月2日公表)。2026年8月、全国、新規学卒者を除く、原数値。前年同月差はパートを含む常用の値。分類不能の職業を除く。職業分類は平成21年12月改定の日本標準職業分類に基づく区分。取得日 2026-10-19

中分類で見ると、営業職業従事者は建設・介護より低く、事務より高い

表3は、大分類の中の区分(中分類)から、営業職と比べられることが多い職業を中心に17区分を選び、倍率の高い順に並べたものです。建設躯体工事従事者の8.25倍、土木作業従事者の6.71倍、建築・土木・測量技術者の5.71倍と建設にかかわる仕事が上位に並び、介護サービス職業従事者の3.89倍が続きます。営業職業従事者の2.05倍はこれらより低いものの、職業計の1.06倍の約2倍で、商品販売従事者の1.72倍や情報処理・通信技術者の1.33倍を上回っています。一般事務従事者は0.29倍、営業・販売事務従事者は0.88倍で、事務の仕事は1倍を下回っています。

職業(中分類) 有効求人倍率(パート含む常用) 前年同月差(パート含む) 有効求人倍率(パート除く常用)
建設躯体工事従事者 8.25倍 0.56ポイント上昇 8.95倍
土木作業従事者 6.71倍 0.37ポイント上昇 7.53倍
建築・土木・測量技術者 5.71倍 0.12ポイント上昇 6.86倍
介護サービス職業従事者 3.89倍 0.05ポイント低下 3.50倍
電気工事従事者 3.23倍 0.17ポイント低下 3.63倍
自動車運転従事者 2.54倍 0.05ポイント低下 2.75倍
社会福祉専門職業従事者 2.50倍 0.06ポイント低下 2.75倍
接客・給仕職業従事者 2.31倍 0.11ポイント低下 1.64倍
飲食物調理従事者 2.21倍 0.16ポイント低下 1.85倍
営業職業従事者 2.05倍 0.06ポイント低下 2.20倍
保健師,助産師,看護師 2.00倍 0.02ポイント上昇 2.29倍
商品販売従事者 1.72倍 0.06ポイント低下 1.92倍
情報処理・通信技術者 1.33倍 0.09ポイント低下 1.48倍
清掃従事者 1.12倍 0.15ポイント低下 0.93倍
(参考)職業計 1.06倍 0.03ポイント低下 1.17倍
営業・販売事務従事者 0.88倍 0.09ポイント低下 0.88倍
会計事務従事者 0.55倍 0.06ポイント低下 0.51倍
一般事務従事者 0.29倍 0.03ポイント低下 0.29倍

出典: 厚生労働省『一般職業紹介状況(職業安定業務統計)令和8年8月分』参考統計表7-1・7-2・8-1(2026年10月2日公表)。2026年8月、全国、新規学卒者を除く、原数値。前年同月差はパートを含む常用の値。中分類は17区分を選んで掲載。取得日 2026-10-19

パートを除く常用で見ると、介護サービス職業従事者(3.50倍)や接客・給仕職業従事者(1.64倍)のようにパートを含む値より下がる職業がある一方、営業職業従事者は2.20倍に上がります。営業職業従事者の有効求人7万2,132件のうち、7万239件はパートを除く常用の求人です。正社員などフルタイムで営業を採りたい会社は、2.20倍のほうを目安にするとよいでしょう。

都道府県別は、就業地別と受理地別で値が大きく違う

表4は、47都道府県の有効求人倍率(季節調整値)を、就業地別と受理地別の2つの列で並べたものです。営業職だけの値ではなく、すべての職業を合わせた職業計の倍率です。2026年8月は全国が1.18倍で、就業地別では福井県の1.72倍が最も高く大阪府の0.95倍が最も低く、受理地別では東京都の1.70倍が最も高く神奈川県の0.83倍が最も低くなっています。

都道府県 就業地別 受理地別
全国 1.18倍 1.18倍
北海道 0.98倍 0.91倍
青森県 1.20倍 1.08倍
岩手県 1.29倍 1.21倍
宮城県 1.14倍 1.11倍
秋田県 1.27倍 1.13倍
山形県 1.47倍 1.36倍
福島県 1.37倍 1.24倍
茨城県 1.34倍 1.13倍
栃木県 1.21倍 1.09倍
群馬県 1.43倍 1.28倍
埼玉県 1.13倍 0.99倍
千葉県 1.27倍 0.99倍
東京都 1.07倍 1.70倍
神奈川県 1.02倍 0.83倍
新潟県 1.40倍 1.36倍
富山県 1.68倍 1.48倍
石川県 1.41倍 1.44倍
福井県 1.72倍 1.57倍
山梨県 1.71倍 1.50倍
長野県 1.43倍 1.30倍
岐阜県 1.44倍 1.39倍
静岡県 1.20倍 1.08倍
愛知県 1.18倍 1.20倍
三重県 1.40倍 1.20倍
滋賀県 1.34倍 1.04倍
京都府 1.19倍 1.21倍
大阪府 0.95倍 1.11倍
兵庫県 1.05倍 0.92倍
奈良県 1.23倍 1.12倍
和歌山県 1.05倍 0.95倍
鳥取県 1.37倍 1.23倍
島根県 1.60倍 1.42倍
岡山県 1.29倍 1.29倍
広島県 1.29倍 1.32倍
山口県 1.42倍 1.24倍
徳島県 1.30倍 1.22倍
香川県 1.53倍 1.38倍
愛媛県 1.43倍 1.36倍
高知県 1.19倍 1.15倍
福岡県 0.97倍 1.06倍
佐賀県 1.37倍 1.22倍
長崎県 1.17倍 1.04倍
熊本県 1.31倍 1.17倍
大分県 1.28倍 1.13倍
宮崎県 1.25倍 1.17倍
鹿児島県 1.09倍 1.02倍
沖縄県 1.06倍 0.92倍

出典: 厚生労働省『一般職業紹介状況(職業安定業務統計)令和8年8月分』報道発表資料 第6表-1(就業地別)・第6表-2(受理地別)(2026年10月2日公表)。2026年8月、季節調整値、新規学卒者を除きパートタイムを含む、職業計。都道府県コード順。取得日 2026-10-19

就業地別は求人票に書かれた働く場所の都道府県で、受理地別は求人を受け付けたハローワークのある都道府県で数えた値です。47都道府県のうち2つの値の差が最も大きいのは東京都で、受理地別1.70倍に対して就業地別は1.07倍でした。季節調整値は季節による増減をならした数字なので、表1〜表3の原数値とはそのまま比べられません。どちらの表も、ハローワークに出された求人と登録した求職者だけを数えた数字です。地域ごとの営業職の倍率は次の節で労働局の資料をもとに扱いますが、定義が労働局ごとに違うため、表4のように都道府県を並べて比べることはできません。

営業職の中で起きていること|営業は足りず、営業事務は求職者のほうが多い

表1をもう一度見ると、同じ「営業」という言葉が付く仕事でも、需給の向きが逆になっていることが分かります。顧客と会って商談を進める営業職業従事者は2.05倍ですが、見積書や受発注の処理などを担う営業・販売事務従事者は0.88倍で、1倍を下回っています。パートを除いた常用で見ても、営業・販売事務は0.88倍でした。

件数で見ると、営業職は求人が3万件以上多い

2026年8月の営業職業従事者は、有効求人数7万2,132件に対して有効求職者数3万5,167人でした。この2つの数字をもとに算出すると、求人のほうが3万6,965件多いことになります。これに対して営業・販売事務従事者は、有効求人数1万6,607件、有効求職者数1万8,864人で、求職者のほうが多い状態です。

統計が示しているのは、求人と求職者の数の偏りまでです。なぜ営業職に応募が集まりにくいのか、なぜ営業事務を希望する人が多いのかといった理由は、この統計からは分かりません。仕事のイメージや働き方の条件が影響しているという見方もあります。

前年より少し緩んだが、それでも職業計の約2倍

営業職の倍率は前年同月から0.06ポイント低下しています。職業計も0.03ポイント低下しており、全体として求人の勢いはやや弱まっています。とはいえ、営業職は2.05倍で職業計の約2倍にあたり、営業の人材を集める難しさが解消に向かっていると言える水準ではありません。

採用計画を考えるうえでは、この差が一つの材料になります。社内の営業の仕事を「顧客と会って提案する仕事」と「資料や受発注を整える仕事」に分けてみると、後者は統計上は求職者が集まりやすい側に入ります。すべてを「営業職」の1枠で募集するより、仕事を分けて考えたほうが、どこに人手の穴があるのかを具体的に把握しやすくなります。

労働局の資料で見る地域の営業職の倍率|定義がそろっていないので並べ方に注意

厚生労働省の全国資料には、都道府県別かつ職業別の表はありません。地域の営業職の倍率は、各都道府県の労働局が独自に出している資料で確認できます。ただし、パートタイムを含むか除くかといった定義が労働局ごとに違うため、都府県どうしを並べて高い低いを比べることはできません。表5では、同じ定義の全国値がある場合だけ、その値を横に置いています。

労働局(資料) 定義 職業の区分 2026年8月の倍率 比べてよい全国値
東京労働局(求人・求職バランスシート) 一般常用(資料の区分名。パート常用は別掲) 営業職業従事者 2.64倍 対応する全国値を資料から特定できないため置かない
愛知労働局(最近の雇用情勢 表9) パートタイムを含む常用 営業職業従事者 3.43倍 パート含む 2.05倍
大阪労働局(大阪労働市場ニュース 第6表) パートタイムを含む常用 販売(営業単独の区分なし) 販売 1.41倍(前年同月差0.17ポイント低下) 営業単独の値が公表資料に無いため置かない
福岡労働局(職業安定月報) 常用パート含む 営業の職業 1.32倍 パート含む 2.05倍
広島労働局(職業別有効求人・求職及び賃金の状況) パートを除く常用(学卒、臨時・季節を含まない) 営業職業従事者 2.29倍 パート除く 2.20倍
千葉労働局(求人・求職・賃金バランスシート) 常用的フルタイム+常用的パートタイム(パート含む/除くの別掲なし) 営業職業従事者 0.84倍 全国資料と定義が同じか確認できないため置かない

出典: 東京労働局「求人・求職バランスシート(2026年8月分)」、愛知労働局「最近の雇用情勢(令和8年8月分)」表9、大阪労働局「大阪労働市場ニュース(令和8年8月分)」第6表、福岡労働局「職業安定月報(職業紹介の状況)2026年8月度」6、広島労働局「職業別有効求人・求職及び賃金の状況(令和8年8月分)」、千葉労働局「求人・求職・賃金バランスシート(2026年08月)」。いずれも2026年8月、原数値、各労働局管内のハローワークの取扱い分。全国値は厚生労働省『一般職業紹介状況(令和8年8月分)』参考統計表7-1・8-1。都府県どうしは定義が違うため比べられません。取得日 2026-10-19

同じ定義の全国値とだけ比べる

パートタイムを含む常用で集計している愛知労働局の3.43倍は、同じ定義の全国値2.05倍を上回っています。同じくパートを含む福岡労働局の1.32倍は、全国値2.05倍を下回っています。パートを除く常用で集計している広島労働局の2.29倍は、パートを除く全国値2.20倍を上回っています。

東京労働局の2.64倍は「一般常用」という区分の値で、全国資料のパートを含む値と除く値のどちらに近い定義かが資料から確かめられないため、全国との比較はしていません。千葉労働局の0.84倍も、パートを含むか除くかの別掲が無いため同じ扱いにしました。大阪労働局の公表資料は「販売」の職業までで、営業だけを取り出した倍率は載っていません。

県全体の倍率とは基準が違う

表5の値は、各労働局管内のハローワークが受け付けた求人・求職をもとにした原数値です。報道で使われる都道府県の有効求人倍率は表4の季節調整値で、就業地別か受理地別かでも値が変わります。基準が違うため、表5の営業職の倍率と表4の県全体の倍率は、同じ表や同じ文では並べないでください。地域の事業所数や産業の特徴は、この記事では扱っていません。

中小企業の経営課題としての人材確保|「営業人材」に限った統計は少ない

ここまでの有効求人倍率は、求人と求職者の数から見た人手不足です。企業の側がどれくらい人材確保を課題と感じているかは、白書や商工会議所の調査で確認できます。先に断っておくと、2026年版の中小企業白書と小規模企業白書には、営業人材の不足だけを直接扱った図表はありませんでした。以下は、企業全体や職種の大きなくくりで見た数字です。

中規模企業では人材確保が最も重視される課題

2026年版小規模企業白書の第1-1-13図「最も重視する経営課題(企業規模別)」では、中規模企業(n=8,876)の44.7%が「人材確保」を挙げ、「受注・販売の拡大」の29.0%を上回っていました。小規模事業者(n=9,915)では「受注・販売の拡大」が36.6%で最も多く、「人材確保」は16.7%でした。資料は帝国データバンクとデロイト トーマツが2025年11〜12月に行った調査です。

この図は「人材確保」を職種を問わずに聞いたもので、営業人材の不足と同じ意味ではありません。一方で、小規模事業者では売上を伸ばすこと自体が最大の課題で、中規模企業になると人を集めることが最大の課題になる、という企業規模による違いは読み取れます。

中小企業の未充足求人に占める販売従事者は9.0%

2026年版中小企業白書の第1-1-12図「中小企業における不足している職種」では、中小企業の未充足求人のうち「専門的・技術的職業従事者」が26.0%で最も多く、「サービス職業従事者」が19.8%で続きます。営業職を含む「販売従事者」は9.0%でした。資料は厚生労働省「雇用動向調査」の令和7年上半期の結果で、中小企業は常用労働者数5〜299人の企業を指します。

この9.0%は、未充足求人全体に占める販売従事者の割合です。「販売従事者の9.0%が不足している」という意味ではありません。また、営業職だけを取り出した値はこの図にはありません。

商工会議所の会員企業の63.0%が人手不足と回答(2024年調査)

日本商工会議所と東京商工会議所が2024年7月に行った調査では、回答した中小企業2,392社のうち63.0%が人手が「不足している」と答えました。前年の同じ時期の調査は68.0%で、5ポイント低下しています。業種別では、卸売・小売業が55.2%、製造業が57.7%でした。この調査も職種を分けて聞いたものではないため、営業人材の不足率としては読まないでください。

採用・代理店・営業代行・業務委託の四択|費用の形と社内に残るものが違う

営業の人手が足りないときの手段は、大きく分けて4つあります。自社で人を採る「採用」、自社の商材を他社の販売網で売ってもらう「代理店」、営業の工程を会社に任せる「営業代行」、営業経験のある個人と契約する「業務委託」です。どれが優れているかではなく、自社の状況に合うかどうかで選ぶものなので、まず違いを表6で見てください。

選択肢 向く状況 立ち上がりまでの考え方 費用の形 社内に残るもの
採用(正社員など) 長く自社の商材を売り続ける人が必要で、教える人と育てる時間がある 応募・選考・入社・育成を経る。応募が集まるまでの期間が読みにくい 主に固定費(給与・社会保険料など)。採用活動の費用も別にかかる 人・ノウハウ・顧客との関係。退職すると一緒に抜けやすい
代理店 商材の売り方が固まっていて、代理店が持つ顧客網と相性がよい 代理店探し、契約、販売資料や勉強会の準備が要る。売る優先度は代理店側が決める 販売実績に応じた手数料で組むことが多く、変動費に寄る 売上。顧客との接点は代理店側に残りやすい
営業代行 売りたい相手と商材の強みはある程度決まっていて、商談の数を早く増やしたい 契約後に計画・リスト・トークを準備してから稼働する。準備の期間は会社と範囲で変わる 月額固定・成果報酬・複合型。固定報酬型は営業担当者1人あたり月50万〜60万円程度とするメディアが多い(Sales Marker、PRONIアイミツほか) 報告書・リスト・トークの記録。受け取り方を契約で決めないと残りにくい
業務委託(営業フリーランス) 任せる工程と成果物を契約で決められ、経験のある個人に頼みたい 人を探して条件を詰める。立ち上がりの早さは本人の経験によって差が出る 固定報酬なら月50万〜70万円程度(営業幹事、ページ更新日2023-12-06)、月30万〜70万円程度(ITプロパートナーズ) 契約で記録の提出を決めた分。決めないとノウハウは個人に残る

出典: 営業代行の固定報酬型はSales Marker「営業代行の費用相場」(更新2026-01-22)、PRONIアイミツ「営業代行の費用相場」(更新2026-03-03)ほか。営業フリーランスの固定報酬は営業幹事「フリーランスの営業代行へ依頼するときの費用相場と注意点」(更新2023-12-06)、ITプロパートナーズ ITプロマガジン(更新2026-01-23)。取得日 2026-09-14

採用

自社の社員として営業を担ってもらう方法で、ノウハウや顧客との関係が社内にたまりやすいのが強みです。一方で、営業職は求人が求職者の約2倍ある状況なので、求人を出してから戦力になるまでの時間は読みにくくなります。採用を続けながら、その間の商談づくりを別の手段で補う組み合わせも考えられます。人材紹介の手数料や戦力になるまでの期間まで足した採用の総額は、営業職1人を正社員で採る総額で試算しています。

代理店

代理店が持っている顧客網を使って、自社の商材を売ってもらう方法です。売れた分に応じて手数料を払う形で組むことが多く、固定費を増やさずに販路を広げられます。ただし、どの商材に力を入れるかは代理店が決めるため、自社の都合で動いてもらえるとは限りません。営業代行との違いは代理店と営業代行の違いで整理しています。

営業代行

テレアポや商談など、営業の工程を代行会社に任せる方法です。料金体系ごとの相場や、正社員と比べたときの費用対効果の考え方は営業代行の費用相場と費用対効果の見極め方にまとめています。営業事務やデータ管理まで含めて外に出したい場合は、営業BPOの業務範囲と料金の目安もあわせて確認してください。

業務委託

営業経験のある個人と、業務委託の契約を結んで仕事を任せる方法です。契約の名前ではなく実態で判断されるため、発注側が受託側の人に営業上の対応方針などを直接指示すると、準委任の契約でも労働者派遣事業と判断されることがあります。契約形態の選び方と注意点は営業を業務委託で頼む方法で詳しく扱います。

自社はどれを選ぶか|3つの問いで順番に絞る

四択のどれを選ぶかは、統計の数字だけでは決まりません。自社の状況を次の3つの問いに順番に当てはめると、候補を絞りやすくなります。外注に踏み切るタイミングそのものを見極めたい場合は、営業代行を入れるべきタイミングの見極め方も参考にしてください。

問い1: 営業職の求人は何か月埋まっていないか

最初に、営業職の求人を出してから今日まで何か月たったか、その間に応募と面接が何件あったかを数えます。統計上は営業職の求人が求職者の約2倍あるので、応募が少ないことは珍しくありません。大事なのは、自社の売上計画に対して、人が決まるまで待てる期間がどれくらい残っているかです。待てる期間を過ぎそうなら、採用は続けたまま、商談づくりだけを営業代行や業務委託で先に動かすという分け方ができます。営業の採用が決まりにくい理由と、採用以外に取れる手は営業の採用が難しい理由と、採用以外に取れる4つの手で詳しく整理しています。

問い2: 営業の型は言葉になっているか

誰に、どんな順番で、何を伝えて商談を進めるのかが、資料やトークとして書き出されているかを確認します。型が言葉になっていれば、代理店にも営業代行にも業務委託にも渡しやすく、新しく採用した人の立ち上がりも早くなります。型が特定のベテランの頭の中にしかない場合は、どの手段を選んでも最初につまずきやすいので、先に型を書き出す作業から始めてください。進め方は営業の属人化を解消する4ステップで紹介しています。

問い3: 営業のノウハウを社内に残したいか

数年先も自社の中で営業を回したいなら、採用を軸にするか、営業代行を使う場合でもリストやトーク、失注理由などの記録を受け取る契約にしておくのが向いています。新しい市場で試しに売ってみたい、特定の時期だけ手を増やしたいという目的なら、代理店や業務委託のように必要な分だけ使う形も選びやすくなります。

もう一つ確認しておきたいのが、日々の営業活動を自社の担当者が直接指示したいかどうかです。直接の指示を前提にするなら、業務委託や営業代行の契約とは合わず、採用など自社で指揮命令できる形を選ぶことになります。営業代行を使うべき会社かどうかをもう少し細かく判断したい場合は、営業代行を使うべき会社・使うべきでない会社をご覧ください。

エイギョウブに相談できること

当メディアを運営するLongWave株式会社は、営業支援サービス「エイギョウブ」を提供しています。ここでは、この記事の四択のうち営業代行と人材の活用にかかわる内容を、サービスページに載せている内容と運営会社が確認した数字の範囲で紹介します。

エイギョウブの実行支援メニューには、電話営業(BDR/SDR)、フォームDM(1日最大500件のアプローチ)、SNS運用(LinkedIn)、交流会・展示会、即戦力人材アサイン(最短数日で稼働)、マルチチャネルがあります。営業人材の登録は1,000名以上で、アポイント獲得だけでなく、商談から成約までを一括で請け負うこともできます。

2026年7月時点で進行中の営業支援契約は31件で、月額固定型17件・成果報酬型11件・人材アサイン型3件です。進め方は、ヒアリングのあとに支援計画(KPI・PL設計、体制の提案)を作成し、契約、アサイン・稼働開始へと進みます。

総合のエイギョウブの料金は月額40万円〜です。支援範囲・体制に応じて提案しています。

まとめ

2026年8月の営業職業従事者の有効求人倍率は、パートを含む常用で2.05倍、パートを除く常用で2.20倍でした。職業計の約2倍にあたり、2023年から2025年まで8月の値は2.1倍台で推移しています。前年同月からは0.06ポイント下がりましたが、営業職の人手不足が解消に向かっていると言える水準ではありません。職種別に並べると、営業職は建設や介護の仕事よりは低く、事務の仕事よりは大幅に高い位置にあります。一方で、営業・販売事務従事者は0.88倍で求職者のほうが多く、同じ営業の周辺でも需給の向きは逆です。

都道府県別の倍率は職業計の値で、就業地別か受理地別かで大きく変わります。労働局の資料では地域の営業職の倍率も確認できますが、定義が労働局ごとに違うため、比べるのは同じ定義の全国値とだけにしてください。白書や商工会議所の調査からは中小企業の人材確保の課題が読み取れるものの、営業人材だけに絞った公的な数字は多くありません。

自社の苦戦が市場全体の傾向とも重なると分かったら、次は手段の選択です。求人が埋まらない期間、営業の型が言葉になっているか、ノウハウを社内に残したいかの3つを順に確かめ、採用・代理店・営業代行・業務委託から自社に合う組み合わせを選んでください。有効求人倍率は毎月更新されるので、判断の前に最新の月の値も確認することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

営業職の有効求人倍率はどれくらいですか?
2026年8月の全国の「営業職業従事者」の有効求人倍率は、パートを含む常用で2.05倍、パートを除く常用で2.20倍です(厚生労働省『一般職業紹介状況』、原数値)。職業計の1.06倍の約2倍にあたります。前年同月からは0.06ポイント低下しました。ハローワークの求人・求職だけを数えた数字で、毎月更新されます。
営業職の採用が難しいのはなぜですか?
統計で言えるのは、営業職の求人が求職者の約2倍あるということです。2026年8月は有効求人数7万2,132件に対して有効求職者数3万5,167人で、計算上は求職者1人を2件ほどの求人が取り合う状態にあります。なぜ営業職を希望する人が少ないのかという理由までは、この統計からは分かりません。採用を続ける場合は、求人を出してから何か月たったかと応募・面接の件数を数え、待てる期間を先に決めておくと判断しやすくなります。
営業事務も人手不足ですか?
全国の統計では、営業事務は求職者のほうが多い状態です。2026年8月の「営業・販売事務従事者」の有効求人倍率は、パートを含む常用で0.88倍、パートを除く常用でも0.88倍でした。顧客と商談を進める営業職業従事者の2.05倍とは、需給の向きが逆になっています。社内の営業の仕事を商談と事務に分けて募集を考えると、どこに人手の穴があるかを把握しやすくなります。
職種別の有効求人倍率はどこで見られますか?
厚生労働省が毎月公表している「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」の参考統計表で確認できます。職業別の有効求人数・有効求職者数・有効求人倍率が、パートを含む常用とパートを除く常用に分けて原数値で載っています。2026年8月分では、営業職業従事者がパートを含む常用で2.05倍、職業計が1.06倍でした。都道府県別の倍率は同じ資料の報道発表資料にありますが、季節調整値で職業別の内訳はありません。都道府県ごとの職業別の倍率は、各都道府県の労働局の資料で確かめます。
人手不足のとき、採用と外注のどちらを先に考えるべきですか?
どちらが先かは、自社の状況で変わります。営業職の求人が埋まらないまま売上計画に間に合わなくなりそうなら、採用を続けながら商談づくりを外注で先に動かす分け方があります。営業の型が言葉になっていない場合は、どちらを選ぶ前にも型を書き出す作業が必要です。ノウハウを社内に残したいなら、採用を軸にするか、記録を受け取る契約で外注を使うのが向いています。

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