営業の属人化とは、成果の出し方が特定の担当者の頭の中にだけあり、ほかの人が同じ手順をたどっても同じ結果を再現できない状態のことです。解消の出発点はマニュアルづくりでもツール導入でもなく、「誰が明日抜けたら、どの工程が止まるか」を書き出して度合いを測ることです。測らずに標準化を始めると、勝ちパターンが確定していない工程まで型に固めてしまい、たまたま当たっただけのやり方が正解として定着してしまいます。

この記事では、営業の属人化を4つの層に分けて見る方法から始めて、属人化が起こる原因、紙1枚でできるチェック方法、放置したときのリスク、標準化してはいけない領域の線引き、そして型を作る順番までを、実際に手を動かせる形で整理します。

  • 営業の属人化を「リスト・訴求・追客・記録」の4層で見分ける方法
  • 30分で属人化の度合いを測る「止まりテスト」の手順と判定の目安
  • 標準化してよい工程と、あえて個人に任せたほうがよい領域の線引き

営業の属人化とは|営業活動を4つの層に分けて見る

営業の属人化は、営業活動を①誰に当てるか(リスト)、②何を言うか(訴求)、③どう追うか(追客)、④どう数えるか(記録)の4層に分けると、どこが個人に閉じているのかが見えてきます。訴求とは相手に伝える価値の中身、追客とは返事がない相手へのその後の接触を指します。

「うちの営業は属人化している」という言い方だけでは、打ち手が決まりません。どの層が個人の頭の中にあり、外からは中身が見えないブラックボックスになっているかによって、直す場所が変わるからです。たとえばリスト(①)だけが個人の勘に頼っている組織では、トークをいくら磨いても成果は動きません。当てる相手が違えば、良い話し方も刺さらないためです。

属人化は「全部が個人依存」か「全部が仕組み化済み」かの二択ではなく、層ごとに濃淡があります。層ごとの濃淡として捉えると、どこから直すかの順番が決まります。図1は、4つの層それぞれについて、個人の頭の中にある状態と、組織の記録にある状態を並べたものです。

営業の属人化を見る4つの層と、個人の頭の中にある状態と組織の記録にある状態の対比 リスト・訴求・追客・記録の4層で、個人に閉じた状態と組織で共有された状態を並べた対比図。 営業の属人化は4つの層に分けて見る(上から順に直す) 個人の頭の中にある状態 組織の記録にある状態 ① リスト 誰に当てるか 「たぶんこの業種が合う」 条件を書いた1枚がある ② 訴求 何を言うか 初回文面が全員バラバラ 初回接点の型が1つある ③ 追客 どう追うか 返事待ちが担当者の中で止まる 次の一歩と間隔にルール ④ 記録 どう数えるか 数字が人によって違う 同じ列を週次で全員が付ける
図1: 営業の属人化を見る4層。上の層がずれていると、下の層を磨いても結果は動かない(エイギョウブ編集部作成)。

経験と勘(暗黙知)に頼る判断は、そのままでは引き継げない

感覚に頼った判断は、一部の組織だけの話ではありません。HubSpot Japanが2024年2月19日に発表した「日本の営業に関する意識・実態調査2024」では、営業組織の意思決定について「感覚重視派」が55.5%、「データ重視派」が44.5%とほぼ半々でした(売り手1,545名が対象。従業員数51〜5,000名の企業に絞り、2023年11月24日〜27日にオンラインで実施)。

感覚は本人の中にしか存在しないため、そのままでは後任に渡せません。営業の属人化を解消するとは、この感覚(暗黙知)を、他人が使える言葉と数字(形式知)に置き換えていく作業のことです。ただし、感覚そのものが悪いわけではありません。置き換える前に、その感覚がどの層の判断なのかを見分けることが先になります。

営業の属人化が起こる4つの原因|ノウハウが個人に閉じる理由

営業が属人化する原因は、①型を作る工数が誰にも割かれていない、②共有すると本人が損をする評価になっている、③勝ちパターンがまだ1つも確定していない、④共有する場が設計されていない、の4つに整理できます。「ベテランが共有してくれない」という個人の姿勢の問題に見えても、実際は組織の設計に理由があることが少なくありません。

原因によって最初の打ち手が変わるので、症状と見分け方を表にしました。自社に当てはまる行がいくつあるかを数えるだけでも、話し合いの出発点になります。

原因 現場で出ている症状 見分け方(自問する) 最初の打ち手
① 型を作る工数がない 「やったほうがいい」が半年続いている 今月のカレンダーに、型を作る時間が入っているか 1工程だけ選び、30分の枠を先に押さえる
② 共有すると損をする 成績上位者ほど自分のリストや文面を出さない 共有した人が評価される仕組みがあるか 提供者を「標準の作成者」として明示する
③ 勝ちパターンが未確定 うまくいった月の理由を誰も説明できない 直近の受注3件に共通した条件を言えるか 標準化より先に、勝ち筋の検証に絞る
④ 共有する場がない 日報は書かれているが、誰も読んでいない 案件について全員で話す時間が週にあるか 30分の案件レビューを週1回で固定する

出典: エイギョウブ編集部が整理(2026-09-14)。数値データではなく、原因ごとの見分け方の枠組みです。

4つの原因は同時に起きていることが多く、とくに②と④は組み合わさりやすい関係です。共有しても評価されない組織で共有の場だけを作ると、会議は開かれても中身のある話が出てきません。逆に、③の勝ちパターンが未確定の段階で②の評価を変えても、共有されるのは「まだ正解か分からないやり方」です。表の上から順に、自社で一番強く当てはまる原因を1つだけ選んで手を付けるのが現実的です。

中小企業ほど「教える時間」が取りにくい

とくに原因①は、担当者のやる気ではなく会社の規模に左右されやすい問題です。労働政策研究・研修機構(JILPT)が2025年11月19日に公表した「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)」(調査シリーズNo.257)では、2023年度に通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練(OFF-JT)を実施した企業は、従業員9人以下で16.2%にとどまり、300人以上の76.1%と大きな差がありました。

教える時間そのものが確保されていない組織では、ノウハウは自然に個人の中へ沈んでいきます。だからこそ、分厚い研修や大がかりな仕組みではなく、30分単位で終わる小さな作業から始める設計が必要になります。

営業の属人化をチェックする方法|30分でできる「止まりテスト」

止まりテスト(当メディアでの呼び方)とは、「この人が明日から1か月いなくなったら、どの工程が止まるか」を工程と担当者のマス目に書き出し、属人化の度合いを見える形にする作業です。新しいツールは要りません。紙1枚かスプレッドシート1枚があれば、30分ほどで終わります。

属人化の話し合いが空回りするのは、「なんとなく属人化している気がする」という感覚のまま対策を議論してしまうからです。止まりテストは、その感覚を工程ごとの人数と○×に置き換え、どこから直すかを決めるための下準備です。

止まりテストのやり方(3つの手順)

  1. 工程を6つに割る:リスト作成、初回接触、返信・反応対応、アポ設定、商談、受注後の引き継ぎの6つに分けます。自社の営業の流れに合わせて名前を変えてもかまいません。
  2. 各工程に「実際にできる人」の名前を全員書く:やったことがある人ではなく、明日から一人で回せる人だけを書きます。1名しか書けない工程が、属人化している工程です。
  3. 手順が言葉で残っているかに○×を付ける:文書やシートに残っていれば○、本人の記憶の中だけなら×です。×かつ1名だけの工程が、最優先で直す場所になります。

手順2で迷いやすいのは、「一人で回せる」の基準です。上司の確認なしで判断し、次の工程へ渡せる人だけを数えると、実態に近い数字になります。遠慮して名前を多めに書くと、止まりテストの意味が薄れてしまいます。

判定の目安|6工程の半分以上が「1名だけ」なら赤信号

6工程のうち3工程以上が「1名だけ」なら、その組織は特定の担当者が在籍し続けることを前提にした計画しか立てられない状態です(当メディアの目安)。これは担当者の能力の問題ではなく、仕事の割り振りと記録の設計の問題です。

図2は、営業4名の会社を想定した記入例です。リスト作成と商談が「1名かつ×」なので、この2工程が最優先になります。工程ごとの数字がどこで落ちているかの切り分けは、商談数が増えない原因と、4工程のどこで詰まるかの特定方法で整理しています。

止まりテストの記入例。6工程それぞれに一人で回せる人数と手順が言葉で残っているかを記入した表 6工程について一人で回せる人数と文書化の有無を並べ、1名かつ未文書の工程を最優先とする記入例。 止まりテストの記入例(営業4名の会社) 工程 一人で回せる人数 手順が言葉で残っているか リスト作成 1名 × 残っていない ← 最優先 初回接触 2名 × 残っていない 返信・反応対応 2名 ○ 残っている アポ設定 4名 ○ 残っている 商談 1名 × 残っていない ← 最優先 受注後の引き継ぎ 2名 ○ 残っている 判定:6工程中3工程以上が「1名だけ」なら赤信号。×かつ1名の工程から着手する
図2: 止まりテストの記入例。人数と○×は説明のために想定した値で、実在の会社のデータではありません(エイギョウブ編集部作成)。

記入が終わったら、結果を営業メンバー全員で見る時間を15分だけ取ってください。本人たちは「自分しかできない工程」を自覚していないことも多く、表を見て初めて「この工程は自分が休むと止まる」と気づく場面が出てきます。責める材料ではなく、仕事の渡し先を決める材料として扱うのがコツです。

営業の属人化を放置したときの4つのリスク

属人化を放置すると、①担当者の不在で対応が遅れて失注につながる、②案件の進み具合が見えずマネジメントも改善もできない、③ノウハウが組織に残らず新人が育たない、④退職や異動のたびに売上が落ちる、という4つのリスクが表に出てきます。いずれも、止まりテストで「1名だけ」と書いた工程から先に現れます。

  • ① 担当者の不在で対応が遅れ、失注につながる:経緯を知る人が1人しかいないため、休暇や退職の当日から返答が止まります。商談を1名で回している組織で最初に出やすいリスクです。顧客から見ると「担当が休むと話が進まない会社」になり、比較検討の場面で不利になります。
  • ② 案件の進み具合が見えず、マネジメントできない:数え方が人によって違うと、どこで落ちているのかが分からず、上司の指示が「もっと頑張ろう」という精神論になりがちです。記録(④の層)が個人任せの組織で出ます。
  • ③ ノウハウが組織に残らず、新人が育たない:手順が言葉で残っていないため、教育がベテランへの同行頼みになります。ベテランの時間が教育に取られ、ベテラン自身の成果も下がるという二重の負担が生まれます。
  • ④ 退職・異動のたびに売上が落ちる:リスト(①)と訴求(②)が個人に閉じていると、後任は同じ相手に同じ話ができません。引き継ぎ資料を作ろうとしても、何を書けばよいのかを本人も説明できないことがあります。

4つのうち①と④は、担当者がいなくなった瞬間に一度に表に出るため、気づいたときには手遅れになりやすいリスクです。②と③はじわじわ進むので、数字の悪化として見えるまで時間がかかります。

そのうえで、抜けた穴を採用ですぐに埋め直せる前提は、以前ほど当てにできません。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」(2026年5月19日公表。全国2万3,083社が対象で有効回答1万538社)によると、正社員が不足していると感じている企業は50.6%で、4月としては4年連続で5割を超えました。「辞めたら採ればいい」を前提にした計画は立てにくくなっています。営業に限った人手不足の状況は、営業の人手不足はどれくらい深刻かで詳しく扱います。

営業の標準化・マニュアル化をしてはいけない領域

標準化してよいのは、勝ちパターンが1つでも確定していて、判断の基準を言葉にできる工程だけです。区別せずに「全部マニュアル化しよう」と始めると、検証中のやり方が正解として固定され、現場からは「意味のない書類仕事」と受け止められて定着しません。

標準化しないほうがよい2つの領域|人柄に依存する部分と立ち上げ期

標準化しないほうがよい領域は2つあります。1つは、関係づくりの言い回しや雑談のように、人柄に依存する部分です。ここを一字一句の型にすると会話が不自然になり、かえって相手との距離が開いてしまうことがあります。

もう1つは、新しい商材や新しい市場の立ち上げ期です。何が効くか分からない段階では、1人が最後まで担当して勝ち筋を探すほうが速く進みます。この時期の属人化は、後で型にするための材料を集めている状態と考えられます。ただし、材料として使えるように、誰に当てて何を言い、どう反応されたかだけは記録に残しておく必要があります。

標準化すべき領域|人によって変える理由がない4つ

逆に、誰に当てるかの条件、初回に渡す内容の骨格、返事がないときの間隔、数え方の4つは、担当者によって変える理由がありません。ここがばらばらだと、成果の差が「人の差」なのか「条件の差」なのかを区別できなくなります。

線引きは、その仕事が繰り返し起きるか、判断の基準を言葉にできるか、の2つの問いで決まります。両方に「はい」と答えられる工程から型にしていけば、現場の自由を奪わずに属人化を減らせます。

営業の属人化を解消する4ステップ|リスト→訴求→追客→記録の順に型を作る

着手の順番は、①リスト(誰に当てるか)、②訴求(何を言うか)、③追客(どう追うか)、④記録(どう数えるか)です。上の層がずれていると、下の層をどれだけ磨いても結果は変わりません。止まりテストで見つかった「1名かつ×」の工程がどの層に当たるかを確かめてから、その層までの型を順に作ります。

各ステップで作る成果物は1つに絞ります。分厚いマニュアルは作るのに時間がかかり、作った後も更新されずに読まれなくなりがちです。1枚で始めて、運用しながら書き足していくほうが定着しやすくなります。

ステップ 作る成果物(1つだけ) 作業量の目安 できたと判定できる状態
① リスト
誰に当てるか
ターゲット条件の1枚(業種・規模・部署・困っている状態) 半日 新人が同じ条件で同じリストを作れる
② 訴求
何を言うか
初回接点の骨格(なぜあなたか→課題の仮説→根拠→次の一歩) 1日 2人が別々に書いた文面が同じ骨格になる
③ 追客
どう追うか
次の一歩と間隔のルール(いつ・何を送り・何回で止めるか) 半日 返事がない案件の扱いが人によって変わらない
④ 記録
どう数えるか
6列のシート(日付・担当・接触数・有効接触数・商談化数・次の一歩) 1時間 週次で全員が同じ定義の数字を出せる

出典: エイギョウブ編集部が整理(2026-09-14)。作業量は1枚目を作るまでのおおよその想定で、調査に基づく数字ではありません。

ステップ1 リスト|ターゲット条件を1枚に書き出す

条件は想像で書かず、直近の受注先に共通する業種・規模・部署・困っている状態を拾って1枚にまとめます。原因③の見分け方で挙げた「直近の受注3件に共通した条件」を言葉にする作業です。受注が少なく共通点が見えない場合は、商談まで進んだ相手や、話を聞いてくれた相手まで範囲を広げて拾います。絞り込み条件の立て方は、インサイドセールスのリスト作成と、架電前の絞り込み条件で扱っています。

ステップ2・3 訴求と追客|初回の骨格と、返事がない相手の扱いを決める

訴求では、成績上位者が実際に使っている初回の文面やトークを並べ、共通する骨格(なぜあなたか→課題の仮説→根拠→次の一歩)を抜き出します。そろえるのは骨格だけで、言い回しまで統一する必要はありません。言い回しは前の節で触れた「人柄に依存する部分」に当たるからです。初回アプローチの組み立て方は、商談化率を上げる初回アプローチの設計にまとめています。

追客では、返事待ちの案件が担当者の中で止まらないように、次の一歩・間隔・止める回数の3点だけを決めます。細かいシナリオを作り込むより、「何回連絡して反応がなければいったん止める」という終わりの線を決めるほうが、人による差が小さくなります。今すぐ動かない見込み客への接触の続け方は、ツールなしで始めるリードナーチャリングの基本で扱っています。

ステップ4 記録|SFA・CRMより先に、6列のシートで数え方をそろえる

最初はスプレッドシートで足ります。大事なのは列の定義で、たとえば有効接触数は「担当者本人と会話または返信が成立した件数(不在や受付止まりは含めない)」のように、誰が数えても同じになる言葉で決めておきます。指標の置き方と見る頻度は、行動量と成果を分けて管理する営業KPIの設計にまとめています。

SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)は、属人化を「見えるようにする」道具であって、「型を作る」道具ではありません。何を入力項目にするかは、営業の工程を分けて言葉にした結果として決まります。この順番が逆になると、入力欄が担当者ごとの解釈で埋まり、「入力が定着しない」という悩みにつながります。まず1枚のシートで数え方を決め、しばらく回して定義が固まってからツールに載せ替える順番のほうが、入力項目と現場の判断が結びつきます。

当社の記録から|同じ定義で数えた数字は、合計しても比べても意味を持つ

当社(LongWave)の人材紹介事業では、2026年6月に担当5名が送った候補者向けの初回スカウトが約794通で、返信率は13.5%でした(概数・自社集計)。5名分をまとめて1つの返信率として示すには、送信数と返信数を全員が同じ定義で数えている必要があります。担当者ごとに「返信」の数え方が違えば、合計した数字は意味を持たなくなります。

営業支援では、2026年4〜6月の3か月に初回商談115件、6月だけで57件を創出しました(支援先全体の合計・自社集計)。こうした数字も、「初回商談」を何と数えるかが決まっていて初めて月ごとに比べられます。

型を作る工数が社内でどうしても取れない場合は、分業や外部の力を借りる選択肢もあります。インサイドセールスとフィールドセールスの分業(電話やメールで商談を作る役割と、商談から受注までを担う役割を分けること)は、型ができた後に効く打ち手です。手順はインサイドセールスの立ち上げ方、外に任せるかどうかの見極めは営業代行を入れるべきタイミングの見極め方で扱っています。

外部に任せる場合も、誰に当てて何を言うかを先に決めておくと、成果を比べられます。当社のLPに掲載している事例では、家賃保証サービスを提供する企業の全国の不動産会社開拓で、テレアポによる新規開拓を代行し、月35件以上の商談獲得を継続、アポからの受注率40%以上を維持しています(数値は対象期間・条件により異なります)。

まとめ|営業の属人化は「測る→線を引く→上の層から型にする」の順で解消する

営業の属人化は、担当者の姿勢の問題ではなく、型を作る工数、評価の仕組み、勝ちパターンの確定度、共有の場という組織の設計から生まれます。いきなりマニュアルやツールに手を付けるのではなく、次の順番で進めてください。

  1. 測る:止まりテストで6工程ごとに「一人で回せる人数」と「手順が言葉で残っているか」を書き出し、「1名かつ×」の工程を特定します。
  2. 線を引く:人柄に依存する部分と立ち上げ期は無理に標準化せず、繰り返し起きて判断基準を言葉にできる工程だけを型の対象にします。
  3. 上の層から型にする:リスト→訴求→追客→記録の順に、各1枚の成果物を作ります。ツールへの載せ替えは、数え方の定義が固まってからで間に合います。

属人化は、測って初めて直せる対象になります。まずは30分だけ時間を取り、自社の6工程に名前と○×を書き込むところから始めてみてください。

よくある質問(FAQ)

営業の属人化とはどういうことですか?
営業の属人化とは、成果の出し方が特定の担当者の頭の中にだけあり、ほかの人が同じ手順をたどっても同じ結果を再現できない状態のことです。誰に当てるか(リスト)、何を言うか(訴求)、どう追うか(追客)、どう数えるか(記録)の4層に分けると、どの部分が個人に閉じているのかが分かります。全部が個人依存というより、層ごとに濃淡があるのが普通です。
営業が属人化する原因は何ですか?
主な原因は、型を作る工数が誰にも割かれていない、共有すると本人が損をする評価になっている、勝ちパターンがまだ確定していない、共有する場が設計されていない、の4つです。個人のやる気の問題に見えても、多くは組織の設計に理由があります。JILPTの企業調査では、2023年度にOFF-JTを実施した企業は従業員9人以下で16.2%にとどまっており、規模が小さいほど教える時間を取りにくい傾向があります。
SFAやCRMを導入すれば、営業の属人化は解消できますか?
ツールを入れるだけでは解消しません。SFAやCRMは属人化を見えるようにする道具で、型そのものを作る道具ではないからです。何を入力項目にするかは、営業の工程を分けて言葉にした結果として決まります。先に1枚のシートで数え方の定義をそろえ、しばらく運用して定義が固まってからツールに載せ替えると、入力が現場の判断と結びつきやすくなります。
標準化しないほうがよい営業の業務はありますか?
あります。関係づくりの言い回しや雑談のように人柄に依存する部分と、新しい商材や市場の立ち上げ期の2つです。前者は型にすると会話が不自然になりやすく、後者は何が効くか分からない段階なので、1人が最後まで担当して勝ち筋を探すほうが速く進みます。ただし立ち上げ期でも、誰に当てて何を言い、どう反応されたかは記録に残しておくと、後で型にする材料になります。

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