安い営業代行の見積もりは、頼む範囲、稼働する人と時間、リストと台本、報告、成果の数え方のうち、どれかを削って金額を下げていることが多くあります。月額ではなく、初期費用と最低契約期間を含めた総額を出し、成果1件あたりに直して比べると損をしにくくなります。削られた部分を自社で補えるなら、安い見積もりでも困らずに頼めます。

この記事は、営業代行をなるべく安く頼みたいBtoB企業の経営者・営業責任者に向けて、安い見積もりの中身の見分け方をまとめたものです。格安の会社を並べて紹介するのではなく、手元の見積書と契約書案で確かめられる行に置き換えて説明します。料金体系ごとの目安を一覧で見たい場合は、営業代行の費用相場と費用対効果の見極め方を先に読んでください。

この記事で分かること

  • 営業代行が「安い」かどうかを判断する前にそろえる、料金の数え方
  • 見積もりが安くなる5つの理由と、見積書・契約書案で確かめる行
  • 初期費用と最低契約期間を含めた総額の出し方と、安く頼む前に決めておく3つのこと

営業代行が「安い」かどうかは、数え方をそろえてから判断する

営業代行の料金には、各社に共通する定価はありません。料金を条件をそろえて集計した公的な統計や業界団体の数字も、この記事の調査では見つかりませんでした。そのため「安い」の基準は、比較メディアの記載を数え方ごとに読み分けて持つことになります。

固定報酬型については、営業担当者1人あたり月50万〜60万円程度とするメディアが多くあります(Sales Marker、PRONIアイミツほか。税区分の記載はありません)。これは、営業担当者1人の稼働を月単位で頼む前提の数字です。

一方、BOXILが営業代行の主要34サービスを調べた結果では、月額固定プランを公開している7社の月額の中央値は約27万円でした。これは各社の最安プランで比べた値で、稼働時間を区切ったプランも含むため、上の「1人あたり月50万〜60万円」とは数え方が違います。BOXILは、税区分が分からない製品を税抜として計算したと注記しています。

固定費に成果報酬を上乗せする複合型では、固定部分を月10万〜50万円とする形が一般的とされています(Sales Marker、PRONIアイミツ、BowNow。税区分の記載はありません)。複合型の月額は成果報酬が乗る前の金額なので、固定報酬型の月額と並べて安いとは判断できません。

つまり、月20万円台の見積もりを受け取っても、それが1人分の月額なのか、時間を区切ったプランなのか、成果報酬が別に乗る固定部分なのかによって、比べる相手が変わります。見積もりの金額を見るときは、まずどの数え方の金額かを確かめてください。

見積もりが安くなる5つの理由|見積書のどの行で確かめるか

安い見積もりは、どこかの作業や条件を減らして金額を下げていることがあります。減らすこと自体は悪くありませんが、何が減っているかを知らないまま契約すると、あとから追加の費用や手戻りが出てきます。見積書と契約書案で、次の行を確かめてください。

安くなる理由 削られやすいもの 見積書・契約書案で確かめる行
①頼む範囲が狭い 商談への同席、商談後のフォロー、受注までの対応 「業務範囲」「対象外の業務」
②稼働する人数・時間が少ない 1人がまとまって動く時間、専任の担当者 「月の稼働時間」「担当人数」「専任か兼任か」
③リスト・台本が別料金か、発注側の準備物 営業先リストの作成、トークスクリプトの作成 「初期費用の内訳」「オプション」「発注者が用意するもの」
④報告が件数だけ 断られた理由、相手の反応、通話や訪問の記録 「報告の頻度」「報告の項目」「記録・録音の共有」
⑤課金される地点が手前で、成果の数え方が緩い 決裁者との面談か、日時が確定しているか、キャンセルの扱い 「成果の定義」「成果に数えない条件」

出典: 見積書で確かめる項目としてエイギョウブ編集部が整理(特定の調査の数字ではありません。2026-09-15作成)。

範囲と、人・時間が削られている場合

①は、アポイントを取るところまでで、商談への同席や商談後のフォローは含まない見積もりです。自社に商談を担う人がいれば問題になりませんが、いなければアポイントだけが積み上がります。「業務範囲」と、書かれていれば「対象外の業務」の行を読み、どの工程で代行会社が手を離すかを確かめます。

②は、月額に含まれる稼働が月に何時間までと決まっている、または担当者がほかの案件と兼任している見積もりです。月額が安くても、1時間あたりや成果1件あたりに直すと高くなることがあります。「月の稼働時間」「担当人数」「専任か兼任か」が書かれていなければ、見積もりの段階で書き足してもらいましょう。

リスト・台本と報告が削られている場合

③は、営業先のリストや話す台本を月額に含めず、別料金にしているか、発注側の準備物にしている見積もりです。テレアポ代行の費用を扱う記事には、ターゲットリスト作成費やスクリプト作成費を基本料金とは別にかかる費用として挙げるものもあります(BowNow)。自社で用意できるものがあれば、その分を見積もりから外せるかも聞いてみましょう。

④は、報告が「架電何件・アポイント何件」という件数だけで、断られた理由や相手の反応が出てこない見積もりです。件数だけでは、成果が出ない原因がリストにあるのか台本にあるのかを判断できません。「報告の頻度」「報告の項目」「記録や録音を共有するか」の行を確かめます。

成果の数え方が緩い場合

成果報酬型や複合型で単価が安く見えるときは、⑤の課金される地点と成果の定義を読みます。電話がつながった時点やアポイントが取れた時点のように、受注から遠い地点で課金されるほど1件の単価は下がりますが、受注までに必要な件数は増えます。担当者と話せただけの面談、日時が決まっていないアポイント、直前にキャンセルされたアポイントまで1件に数える契約なら、単価が安くても商談に進む件数は少なくなります。「成果の定義」と「成果に数えない条件」が契約書案に書かれているかを確かめてください。

安さを優先したときに起きやすいこと|あとで費用以上に困る4つの場面

見積もりで削られた部分を誰も補わないまま動き出すと、次のようなことが起きやすくなります。どれも安い会社だけに起きることではありませんが、前の章の5つの理由と直接つながっています。

アポイントの数はあるのに、商談にならない

成果の定義が緩い契約や、商談以降を誰も持たない契約では、アポイント件数は報告されるのに、商談や受注に進まないことがあります。支払った総額を、実際に商談に進んだ件数で割り直すと、見積もりのときの単価よりも高くなります。

相手先からの苦情が、自社の評判に返ってくる

代行会社のスタッフは、営業先から見れば発注した会社の名前で連絡してくる人です。台本の作り込みや、断られたときの対応ルールが省かれていると、しつこい連絡への不満が発注した会社の評判に向かいかねません。

法人向けの営業でも、特定商取引法の適用除外は契約の目的・内容が営業のためのものかで判断され、相手が事業者や法人であることだけで一律に除外されるわけではない、と消費者庁の通達は示しています。

リストを代行会社が用意する場合は、その出どころも聞いておきましょう。名簿業者から個人の名簿を買うこと自体は禁止されていませんが、相手が個人データを取得した経緯などを確認・記録する必要があると、個人情報保護委員会のQ&Aは説明しています。

活動が見えず、直す手がかりがない

報告が件数だけだと、成果が出ない月に何を変えればよいかを決められません。変える材料がないまま月額を払い続けることになり、安く始めたつもりでも、成果が出るまでの期間が延びることがあります。

やめたくても、最低契約期間が残っている

月額固定型の最低契約期間は3〜6か月が一般的とされています(BOXIL、BowNow、ローカルマーケティングパートナーズ)。途中でやめるときの違約金の有無や金額は会社ごとに違うため、月額の安さより先に、最低契約期間と中途解約の条件を確かめてください。

営業代行そのものが持つ制約は営業代行のデメリットと回避策、発注で起きやすい失敗の流れは営業代行でよくある失敗とトラブル、契約前に相手の会社を確かめる方法は営業代行が怪しいと感じたら確認する7項目で詳しく説明しています。

総額で比べる計算|月額×最低契約期間と、成果1件あたり

見積もりを比べるときは、月額ではなく、契約したら最低でも払うことになる金額を先に出します。計算は次の3つです。

  • 月額固定型の総額 = 初期費用 + 月額 × 最低契約期間
  • 成果報酬型の総額 = 初期費用 + 成果1件の単価 × 想定件数(固定費がある複合型は、月額 × 期間も足す)
  • 成果1件あたりの費用 = 総額 ÷ 同じ期間の想定成果件数

初期費用は0円の会社から数十万円の会社まであり、BOXILの34サービス調査では、初期費用を公開している6社の中央値が16万2,500円(幅は0円〜100万円)でした。月額が安くても初期費用が高ければ、短い期間で比べたときの総額は逆転することがあります。

次の表は、計算の手順を示すための仮の数字です。実在する会社の料金ではなく、税も考えていません。

項目(仮の数字) 見積もりA(月額固定型) 見積もりB(成果報酬型)
料金 月額25万円 アポイント1件2万円
初期費用 0円 20万円
比べる期間 6か月(最低契約期間) 6か月
6か月の想定アポイント件数 30件 30件
6か月の総額 25万円 × 6か月 = 150万円 20万円 + 2万円 × 30件 = 80万円
アポイント1件あたり 150万円 ÷ 30件 = 5万円 80万円 ÷ 30件 = 約2万6,700円
Aの件数が60件だった場合 150万円 ÷ 60件 = 2万5,000円 60件なら総額も140万円に増え、1件あたり約2万3,300円

出典: 計算の手順を示すための仮の数字(エイギョウブ編集部作成・税は考慮していません)。

見積もりAの月額25万円は、「1人あたり月50万〜60万円程度」という比較メディアの記載より安く見えます。それでも最低契約期間が6か月なら、契約した時点で150万円を払う約束をしたことになります。成果1件あたりで見ると、同じ30件ならBのほうが安く、Aで60件取れるなら差は小さくなります。どちらが安いかは、月額ではなく想定件数と成果の定義で変わります。

そのため、候補の会社には「この金額で、どの成果を、何件くらい見込んでいるか」を同じ条件で聞き、Aの1件とBの1件が同じ意味かを確かめてから割り算してください。契約期間を長くする代わりに月額を下げる提案を受けることもあります(ローカルマーケティングパートナーズ)。月額が下がっても最低契約期間が延びれば総額は増えるので、同じ式で計算し直します。

固定報酬型と成果報酬型のどちらが安くなるかの分かれ目は成果報酬型と固定報酬型の損益分岐、複数社の見積もりを同じ行で並べる表は営業代行の比較表と相見積もりの質問リストで紹介しています。

安く頼んでも困らないために、先に決めておく3つのこと

安いプランは、範囲や時間を絞ることで金額を抑えていることがあります。発注する側が次の3つを先に決めておくと、削られた部分と自社の担当がつながり、安いプランでも使いこなしやすくなります。

外に出す工程を1つに決める

営業の仕事は、当てる相手を決めるリスト作り、最初の声かけ、日程を取り付ける段階、商談、受注後のフォローというように、いくつかの段階に分かれます。どの段階を外に出し、どこから自社が引き取るかを先に決めておくと、見積もりの「業務範囲」の行と照らし合わせやすくなります。ホームページの問い合わせ窓口から送る最初の声かけだけを切り出して頼む方法は、フォーム営業代行の費用と進め方で扱っています。

営業先のリストを自社で出せるか確かめる

既存の取引先の周辺や過去の問い合わせ、展示会で交換した名刺などから当てる相手を自社で出せるなら、リスト作成を見積もりに入れずに済みます。出せない場合は、リストを誰が作り、どこから集めるのかを見積もりに書いてもらい、前の章で触れた取得経緯の確認もあわせて行ってください。

試す期間と、続けるかどうかの基準を数字で決める

最低契約期間の中で、何を見て続けるかを発注前に決めます。たとえば「3か月目までに、決めた定義の商談が何件あれば続ける」のように、件数と成果の定義をセットにしておくと、安いプランが自社に合っているかを数字で判断できます。

費用を抑える工夫の全体は、冒頭で案内した費用相場の記事に譲ります。個人の営業フリーランスに直接頼むときの進め方は、営業代行をフリーランスに依頼するときの探し方と報酬の目安で説明しています。

エイギョウブの料金|月額の目安と、見積もりで確かめること

エイギョウブは、LongWave株式会社が運営する営業支援サービスです。サービスページに載せている料金は、いずれも月額の目安(税別)で、支援範囲や体制に応じて提案する形です。

サービス トライアル 標準 上位
エイギョウブ(総合) 月30万円〜(税別) 月50万円〜(税別) 個別見積り
訪問エイギョウブ 月20万円〜(税別) 月40万円〜(税別) 個別見積り
建設のエイギョウブ 月20万円〜(税別) 月40万円〜(税別) 記載なし
エイギョウブ for 不動産 月20万円〜(税別) 月40万円〜(税別) 個別見積り

出典: エイギョウブ各サービスページの料金表(2026-09-14取得)。いずれも月額料金の目安(税別)で、支援範囲・体制に応じて提案される形です。

実際の契約では、2026年7月時点で進行中の月額固定型17件の月額は22万〜176万円(税込)で、業務範囲を絞った契約は月22万円台からです。こちらは当社の実契約の金額で税込のため、上の表の税別の目安とはそのまま比べられません。

初期費用、最低契約期間、中途解約の条件はサービスページに載せていないため、お見積りの際にご確認ください。エイギョウブ(総合)では、ヒアリングのあと、KPIや損益の設計と体制の提案を含む支援計画を作ってから契約に進みます。計画と見積もりを受け取ったら、この記事の5つの行と総額の式に当てはめて確かめてください。

まとめ|安さは月額ではなく、総額と成果1件あたりで判断する

営業代行の見積もりが安いときは、頼む範囲、稼働する人と時間、リストと台本、報告、成果の数え方のどれが削られているかを、見積書と契約書案の行で確かめます。削られた部分を自社で補えるなら、安い見積もりは十分に選べます。

比べるときは、初期費用と最低契約期間を含めた総額を出し、同じ定義の成果1件あたりに直してください。そのうえで、外に出す工程、リストの持ち主、続けるかどうかの基準を先に決めておくと、安く頼んでも困る場面を減らせます。

よくある質問(FAQ)

いちばん安い営業代行はいくらですか?
条件をそろえた最安の料金を示す公的な統計は、この記事の調査では見つかりませんでした。参考になるのは、BOXILの主要34サービス調査で、月額固定プランを公開している7社の最安プランの月額中央値が約27万円という数字です。ただし稼働時間を区切ったプランも含むため、営業担当者1人あたりの月額とは数え方が違います。最安の数字を探すより、候補の見積もりを総額と成果1件あたりに直して比べるほうが確かです。
初期費用0円の営業代行なら安いですか?
初期費用が0円というだけでは安いとは言えません。初期費用は0円の会社から数十万円の会社まであり、BOXILの34サービス調査では公開6社の中央値が16万2,500円でした。0円でも、リストや台本の作成が別料金だったり、最低契約期間が長かったりすれば、総額は下がりません。初期費用、月額または成果単価、最低契約期間を足した総額で比べてください。
成果報酬型の営業代行なら安く済みますか?
成果が少ない期間は安く済みますが、件数が増えるほど総額も増えるため、固定報酬型より高くなることがあります。また、課金される地点が受注から遠いほど1件の単価は安く見えますが、商談や受注に進む件数は少なくなりがちです。キャンセルや決裁者以外との面談を成果に数えるかを契約書案で確かめ、想定件数で総額を出してから比べてください。
フリーランスに頼めば営業代行会社より安いですか?
月額で見ると、必ず安いとは言えません。営業のフリーランスに固定報酬で頼む場合を、1日2万5,000〜3万円・月50万〜70万円程度(営業幹事)、日額3万〜5万円・月30万〜70万円程度(ITプロパートナーズ)とする記事があります(いずれも税区分の記載なし)。個人に頼むと、リストや台本、進み具合の管理を自社で持つ場面が増えやすくなります。また、発注する側にはフリーランス法により、報酬の額や支払期日などの取引条件を書面などで示す義務があります。

出典

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