製造業の営業代行は、ターゲットリストの作成、アポイント獲得、展示会後のフォローまでは任せやすく、技術打合せでの回答、見積もり、図面のやりとりは自社に残す分け方が進めやすい形です。そのうえで、何を成果として数えるか(アポ、技術打合せ、見積依頼、試作依頼)を契約前に決めておくと、費用が妥当かどうかを判断できます。

この記事は、部品・素材・設備などを作る中小製造業で、技術の分かる営業が足りず、新しい取引先の開拓を外に出すか迷っている経営者・営業責任者に向けたものです。

この記事で分かること

  • 製造業の営業で、営業代行に任せられる工程と、自社に残したほうがよい工程の線引き
  • アポ・技術打合せ・見積依頼・試作依頼のうち、どこを成果として数えるかの決め方と、公開されている料金相場の範囲
  • 既存顧客・代理店・展示会との使い分けと、発注前に準備しておくもの

製造業の営業が止まりやすい理由|技術を話せる人ほど営業に回れない

製造業の新規開拓が止まる原因は、会社ごとに違います。ただ、部品や設備を作る中小企業で起きやすい形はいくつかあり、その多くは「技術と営業を同じ人が抱えている」ことにつながっています。ここでは、公的統計で確かめられる数字と、構造として起きやすいことを分けて整理します。

技術が分かる人の時間が、既存の仕事で埋まる

製造業の商談では、相手から「この材質で加工できるか」「この公差は出せるか」「月にどれくらいの数量まで対応できるか」といった質問が早い段階で出ます。答えられるのは設計・生産技術・品質の担当者や経営者本人であることが多く、その人たちは既存の取引先の対応や社内の段取りで手一杯になりがちです。結果として、新しい取引先へ電話をかけたり、訪問先を選んだりする時間が後回しになります。

既存の取引先からの受注が中心で、新規開拓の型が社内に無い

長く付き合いのある取引先からの注文で工場が回っている間は、新規開拓の手順を社内で決める必要がありません。そのため、受注が減ってから開拓を始めようとしても、誰に、どの順番で、何を伝えるかという型がなく、担当者の経験に頼ることになります。営業のやり方が特定の人に依存している状態は、その人が抜けると止まります。

営業職の採用で埋めるのが難しい

足りない営業を採用で補おうとしても、営業職は、仕事を探している人の数に比べて求人の数が多い職種です。厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、2026年7月の全国の「営業職業従事者」の有効求人倍率は2.05倍(常用、パートを含む、原数値)で、職業計の1.05倍を大きく上回っています。この数字は業種を問わない営業職全体の値で、製造業の営業だけを取り出したものではありません。

中小企業庁の「2026年版 小規模企業白書」でも、最も重視する経営課題として、中規模企業では「人材確保」(44.7%)、小規模事業者では「受注・販売の拡大」(36.6%)を挙げた割合が最も高くなっています。こちらも業種を問わない調査です。

似た加工を請け負う会社が多く、違いを言葉にしないと選ばれにくい

経済産業省「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査」では、全国の製造業の事業所は21万4,719(2025年6月1日現在)で、事業所数が多い業種は金属製品製造業(約13.8%)、食料品製造業(約11.1%)、生産用機械器具製造業(約10.5%)の順です(構成比は同調査の数字をもとに算出)。発注する側から見ると候補の会社が多いということでもあるので、営業を誰が担うにしても「なぜ自社に頼むとよいのか」を先に言葉にしておく必要があります。

業種ごとの営業代行の向き不向きをまとめて確認したい場合は、営業代行が向いている業種・向かない業種で、商材の条件から見分ける方法を整理しています。

製造業で営業代行に任せられる工程・任せにくい工程

「技術営業を外注する」と考えると、全部を任せるか、まったく任せないかの二択になりがちです。実際には、営業の工程を細かく分けると、社外の人に任せても質が落ちにくい工程と、自社の技術者が持つべき工程に分かれます。次の表は、製造業で新規開拓をするときの主な工程を並べたものです。

工程 任せやすさ 営業代行に任せる範囲の例 自社に残す範囲の例
ターゲットリストの作成 任せやすい 業種・地域・規模で候補企業を抽出し、連絡すべき部署(購買・設計・生産技術など)の当たりをつける 既存の取引先、競合、代理店が担当している先など、連絡しない先の指定
アポイント獲得(電話・フォーム・DM) 任せやすい 対応できる加工や製品の用途を短く伝え、打合せの日程を取る トークに入れる技術表現の監修、言ってはいけないことの指定
展示会後のフォロー 任せやすい 名刺を交換した相手に連絡し、関心の度合いと検討時期を聞いて打合せにつなぐ ブースで具体的な相談を受けた相手の優先対応
初回の面談(課題の聞き取り) 条件つき 用途、必要な数量、時期、現在の調達方法など、決めておいた項目の聞き取り 対応の可否に関わる判断(聞き取った内容をもとに社内で判断)
技術打合せ 自社で持つ 日程調整、同席、議事メモの作成 仕様の可否、工法の提案、技術的な質問への回答
見積もり 自社で持つ 見積もりに必要な情報(図面の有無、数量、希望納期)がそろっているかの確認と、社内への受け渡し 価格と納期の回答
図面のやりとり・試作 自社で持つ 図面の送り先を相手に案内する 図面の受け取りと確認、秘密保持の手続き、試作条件の決定

表は工程の分け方の一例です。任せる範囲は商材と代行会社の体制によって変わるため、契約前に工程ごとに合意してください。

表の上半分は、相手と接点を作るまでの工程です。ここは連絡の量と続ける仕組みが成果を左右するので、社外の人手を使う効果が出やすくなります。下半分は、自社の技術と価格が問われる工程です。ここを代行会社の担当者が答えてしまうと、あとで「できると言われたのに」という行き違いが起きます。

技術の質問にどこまで答えるかの線引き

いちばん揉めやすいのは、アポイント獲得や初回面談の途中で、相手から技術的な質問が出たときです。次の3段階で線を引いておくと、代行会社の担当者も迷わずに済みます。

  1. 答えてよいこと:カタログ、会社案内、ウェブサイトなど、すでに公開している資料に書いてあること(対応できる材質の種類、設備の一覧、主な納入実績の業種など)。
  2. 持ち帰ること:「できる・できない」の判断が必要な質問(特定の公差、数量、納期、表面処理の組み合わせなど)。「技術担当から回答します」と伝え、質問の内容をそのまま記録して社内に渡します。
  3. 言わないこと:価格、値引き、納期の約束、他社製品との優劣の断定、公開していない取引先の名前。

2番目の「持ち帰る質問」は、そのまま次の技術打合せを設定する理由になります。質問が出たら打合せの日程を取る、という流れを最初から決めておくと、線引きが営業の機会を減らすことにはなりません。

図面と見積もりは、自社の窓口に集める

図面や見積もりの依頼が代行会社の担当者のメールや電話に散らばると、誰がいつ回答するのかが分からなくなります。図面は自社の窓口のアドレスに直接送ってもらい、代行会社の担当者はその案内だけをする形にしておくと、秘密保持の面でも管理しやすくなります。代行会社には「見積依頼を受けた」という事実と日付だけを報告してもらえば、成果の数え方にも使えます。

成果の決め方と費用の考え方|見積依頼や試作依頼をどう数えるか

営業代行の報告でよく使われる成果はアポイントの件数です。ただ、製造業では、アポイントの先に技術打合せ、見積依頼、試作・サンプル依頼があり、受注までの距離が長くなりがちです。どこを成果として数えるかによって、代行会社が力を入れる工程も、費用の妥当性の見え方も変わります。

製造業らしい成果地点は5つある

成果地点 数え方の例 代行会社だけで結果を左右できるか 契約で決めておくこと
アポイント(面談の設定) 日時が確定し、相手の部署と役職が分かっている面談 左右しやすい 対象にする部署・役職、情報収集だけの面談を含めるか
技術打合せの実施 自社の技術担当が出席し、具体的な部品や工程について話した打合せ 一部左右できる(自社側の日程にも左右される) 相手が日程を変更・中止した場合の扱い
見積依頼の受領 図面や仕様、数量が付いた見積依頼を自社の窓口が受け取った件数 左右しにくい(技術回答の速さと内容に左右される) 「概算だけ知りたい」という問い合わせを含めるか
試作・サンプル依頼 試作やサンプル提供の依頼を受けた件数 左右しにくい 有償・無償の区別、試作に至るまでの期間
受注(初回の発注) 注文書を受け取った件数や金額 左右しにくい いつまでの受注を代行の成果とみなすか、継続発注を含めるか

表は成果地点の整理の一例です。各地点の定義は、発注側と代行会社の合意で決めます。

見積依頼から先は、自社の技術者がどれだけ早く、的確に回答するかで結果が変わります。そのため、代行会社への報酬はアポイントや技術打合せの実施で数え、見積依頼・試作依頼・受注は双方で追いかける指標として毎週の報告に入れる、という分け方にすると、責任の範囲がはっきりします。反対に、見積依頼を報酬の条件にする場合は、自社側が回答までに何営業日かけるかも一緒に決めておかないと、成果が出ない理由を互いに相手へ求めることになります。

成果報酬の相場は、アポイントと商談までしか公開されていない

営業代行の成果報酬について、比較メディアや代行会社のコラムが載せている単価は、アポイントや商談の1件あたりの金額、または成約時の売上に対する割合です。アポイント1件あたりは1万5,000円〜2万円程度(Sales Marker、PRONIアイミツ)から、1万〜3万円(グランドセントラル)、決裁者アポなど難易度が高いと3万〜5万円以上(アイドマ・ホールディングス、ローカルマーケティングパートナーズ)まで幅があります。商談1件あたりは1万5,000円〜3万円(BOXIL)という掲載があります。いずれも税区分の記載はありません。

成約時の報酬は、売上の20〜30%(グランドセントラル、アイドマ・ホールディングス)とする媒体と、30〜50%(Sales Marker、PRONIアイミツ)とする媒体があり、定まった相場はありません。

一方で、技術打合せ・見積依頼・試作依頼の1件あたりの単価や、製造業に限った営業代行の相場を示した公開データは、この記事の調査では見つかりませんでした。見積依頼1件にいくら払うかは、商材の単価と受注率から自社で逆算して代行会社と話し合うことになります。成果報酬の仕組みと成果定義の注意点は、営業代行の成果報酬型の相場で詳しく説明しています。

固定報酬型・複合型の相場と、エイギョウブの料金の目安

固定報酬型は、営業担当者1人あたり月50万〜60万円程度とするメディアが多く(Sales Marker、PRONIアイミツ。税区分の記載なし)、戦略設計まで含むと月100万〜150万円(ローカルマーケティングパートナーズ)と、依頼範囲によって大きく上がります。月額の固定費に成果報酬を上乗せする複合型は、固定部分を月10万〜50万円とする媒体が複数あります(Sales Marker、PRONIアイミツ、BowNow)。

料金体系 公開されている相場の例 製造業で使うときの考え方
固定報酬型 営業担当者1人あたり月50万〜60万円程度(Sales Marker、PRONIアイミツ)。戦略設計込みで月100万〜150万円(ローカルマーケティングパートナーズ) 受注までの期間が長い商材や、見積依頼の手前までを継続して任せたい場合に比べやすい
成果報酬型 アポイント1件1万5,000円〜2万円程度(Sales Marker、PRONIアイミツ)から1万〜3万円(グランドセントラル)。成約時は売上の20〜30%または30〜50%と媒体で割れる アポイントの定義(相手の部署・役職)を細かく決められる場合に向く
複合型 月10万〜50万円の固定費に成果報酬を上乗せ(Sales Marker、PRONIアイミツ、BowNow) 固定部分でリスト作成や報告を、成果部分でアポイントや技術打合せを払う分け方がしやすい

出典: Sales Marker、PRONIアイミツ、グランドセントラル、ローカルマーケティングパートナーズ、BowNowの各ページ(いずれも税区分の記載なし。取得日 2026-09-14)。1社の料金ではなく、各媒体が相場として掲載している値です。

当メディアを運営するLongWave株式会社のサービス「エイギョウブ」(総合)の料金は、月額の目安でトライアル30万円〜(税別)、標準50万円〜(税別)、上位プランは個別見積りです。いずれも目安で、支援範囲・体制に応じて提案する形です。相場と費用対効果の計算のしかたは、営業代行の費用相場と費用対効果の見極め方にまとめています。

既存顧客・代理店・展示会との使い分け

製造業の新規開拓には、営業代行のほかに、展示会への出展、既存の取引先からの紹介や深耕、代理店・商社の販路があります。営業代行はこれらを置き換えるものではなく、それぞれが苦手な部分を埋める使い方をすると無駄が出にくくなります。

手段 得意なこと 苦手なこと 営業代行との組み合わせ方
展示会 関心のある相手と短期間に多く会える。実物を見せられる 会期後のフォローが追いつかず、名刺が残ったままになりやすい 会期後の連絡と打合せ設定を任せる
既存の取引先 信頼関係があり、別部署や別工場の紹介につながる 取引のない業界や地域には広がりにくい 既存先は自社の営業が担当し、代行は取引のない先だけに絞る
代理店・商社 すでに販路と取引口座を持っている 扱う商品が多く、自社製品の説明に割ける時間が限られる 代理店の担当先を除外リストに入れ、重ならない領域を代行に任せる

表は使い分けの考え方の整理です。統計や調査の数字にもとづくものではありません。

とくに注意したいのは代理店との重なりです。代理店がすでに担当している会社に営業代行から連絡が入ると、相手からは同じ製品について別々の窓口から声がかかったように見え、代理店との関係にも影響します。営業代行に渡すリストから代理店の担当先を外しておくのは、発注側にしかできない準備です。

展示会で交換した名刺にメールで案内を送るときは、特定電子メール法のルールにも触れておきます。名刺などの書面でメールアドレスを知らせてきた相手への広告・宣伝メールは、事前の同意を求める規制の例外とされています。ただし、相手から送らないよう求められたら、それ以降は送れません。展示会の出展から会期後のフォローまでをまとめて外に出す方法は、展示会の営業代行で整理します。

また、製品を実際に見せたり、工場や設備の現場で話したりしないと伝わりにくい商材では、電話やオンラインだけでなく訪問を組み合わせるかどうかも検討材料になります。訪問が効く商材の条件は、訪問営業が有効な商材の特徴で説明しています。

公開事例|建材メーカーの元請け開拓

LongWaveのサービスページ(訪問営業・建設)には、レンガ建材を扱うメーカーの支援事例が掲載されています(社名は伏せています)。建材を作って売る会社の新規開拓なので、この記事では製造業の参考事例として取り上げます。

支援の内容は、大手ハウスメーカーや元請けへの販路の再構築です。テレアポと訪問を組み合わせて、稼働を始めた最初の月から有力な元請けとの接点を作り、商談の獲得数は従来と比べて約10倍になったと掲載しています。

この事例で注目したいのは、電話と訪問のどちらか一方ではなく、テレアポと訪問を組み合わせている点です。訪問先を選ばずに回ると時間がかかるため、電話で相手の関心と担当者を確かめてから訪問に進む順番は、他の製造業の新規開拓でも考え方として参考になります。ただし、約10倍という数字はこの会社の支援での結果で、商材や市場の状況が違えば同じ結果になるとは限りません。

元請けや紹介に頼った取引から抜け出すときの課題は、建設業の側から見た記事建設業が新規開拓できない理由と抜け方でも扱っています。建材メーカーにとっては販売先の事情を知る材料になります。

東海・関西で開拓するとき|愛知県と大阪府の製造業の数字

愛知県は製造品出荷額等が全国1位、大阪府は製造業の事業所数が全国1位の地域です。ここでは、開拓先のリストを作るときの材料として、両府県の製造業の公的統計を並べます。数字は経済産業省「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査」によるもので、事業所数・従業者数は2025年6月1日現在、製造品出荷額等は2024年1〜12月の実績です。

項目 愛知県 大阪府
製造業の事業所数(全国順位) 1万7,695(2位) 1万7,995(1位)
従業者数 83万5,442人 43万8,245人
製造品出荷額等(全国順位) 59兆3,144億円(1位、全国の約15.5%) 19兆8,049億円(2位、全国の約5.2%)
出荷額の多い業種(構成比) 輸送用機械器具 約57.3%、鉄鋼業 約5.5%、電気機械器具 約5.4% 生産用機械器具 約12.0%、化学工業 約10.9%、石油製品・石炭製品 約9.3%
事業所数の多い業種(構成比) 生産用機械器具 約14.5%、金属製品 約14.2%、輸送用機械器具 約10.6% 金属製品 約20.5%、生産用機械器具 約11.7%、印刷・同関連業 約7.8%
政令市の製造業事業所数 名古屋市 4,609(金属製品 約15.9%、生産用機械器具 約14.2%) 大阪市 6,443(金属製品 約18.5%、印刷・同関連業 約13.7%)

出典: 経済産業省「2025年経済構造実態調査 製造業事業所調査」地域別統計表 第1表(2026年7月29日公表、e-Stat掲載。取得日 2026-09-14)。個人経営を含まない。金額は百万円単位の表を億円に換算。構成比と全国比は同調査の数字をもとに算出。

愛知県は出荷額の半分以上を輸送用機械器具製造業が占め、事業所の数では生産用機械器具と金属製品が上位に来ます。大阪府は製造業の事業所数が全国で最も多く、そのうち約5分の1が金属製品製造業です。自社の製品や加工が、どの業種のどの工程で使われるかを先に整理しておくと、こうした業種別の数字をリストの優先順位づけに使えます。たとえば、同じ「製造業」でも、出荷額の大きい業種を狙うのか、事業所数の多い業種を広く当たるのかで、リストの件数も連絡する部署も変わります。

営業を採用で補う場合の状況も、地域の資料で確かめられます。愛知労働局の資料では、2026年7月の愛知県の「営業職業従事者」の有効求人倍率は3.53倍(パートタイムを含む常用、原数値)で、同じ区分の全国値2.05倍(厚生労働省)を上回っています。大阪労働局の公表資料には「営業の職業」だけの倍率が載っていないため、大阪府の同じ比較はできません。大阪で営業代行を探すときの地域の事情は、大阪の営業代行で扱います。

発注前に準備するもの|製品資料・想定問答・NGワード・見積もりの引き継ぎ方

製造業の営業代行を早く立ち上げるには、代行会社の力量だけでなく、発注側が渡す材料もそろっている必要があります。稼働を始める前に、次の4つをそろえておくと、代行会社の担当者が自社の製品を説明できるまでの時間を短くできます。

製品資料と「どこで使われているか」の一覧

カタログや会社案内に加えて、「どの業種の、どの部品や工程に使われているか」を一覧にした資料を用意します。仕様表だけでは、技術者でない人は相手に何を聞けばよいか分かりません。公開してよい納入実績の範囲(業種名までか、社名まで出してよいか)も、この段階で決めておきます。

技術の想定問答

過去の商談で実際に聞かれた質問を書き出し、それぞれに「答えてよい回答」か「持ち帰る質問」かの印を付けます。前の章で説明した3段階の線引きを、具体的な質問に落とした形です。稼働後に代行会社から上がってくる「持ち帰った質問」を追加していくと、問答集が育っていきます。

NGワードと、言ってはいけない約束

「どんな材質でも加工できます」「最短で納品できます」のように、技術者でない人が言いがちな表現を先に禁止しておきます。価格、納期、品質保証の範囲、他社製品との比較は、代行会社の担当者が口にしないことを契約前の打合せで確認してください。取引先との秘密保持契約で名前を出せない会社がある場合も、この一覧に入れます。

見積もりの引き継ぎ方と、指示の出し方

見積依頼を受けたときに、誰に、どの形式で、何営業日以内に引き継ぐかを決めておきます。見積もりに必要な情報(図面の有無、材質、数量、希望納期、使われる製品)を聞き取り項目として代行会社に渡しておくと、社内で聞き直す手間が減ります。

もうひとつ決めておきたいのが、営業のやり方を変えたいときに誰に伝えるかです。厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」の疑義応答集では、発注者が請負の営業スタッフに業務に必要な範囲で情報を提供するだけなら直ちに労働者派遣事業とはされない一方、顧客への営業上の対応方針などを直接指示している場合は労働者派遣事業と判断されるとしています。トークの変更や重点先の入れ替えは、代行会社の責任者に伝えて、代行会社から担当者に指示してもらう流れにしておくと、この線引きから外れにくくなります。

比較の段階で複数の代行会社にこの4つを見せ、どう使うかを聞くと、製造業の商材への理解度を比べる材料にもなります。代行会社の比べ方そのものは、営業代行の比較で順を追って説明します。

まとめ|任せる工程と成果の数え方を先に決める

製造業の営業代行を検討するときは、「技術営業を任せられるか」を一括りに考えるのではなく、工程ごとに分けて判断します。ターゲットリストの作成、アポイント獲得、展示会後のフォローは任せやすく、技術打合せでの回答、見積もり、図面のやりとりは自社に残すのが基本の形です。技術的な質問には「答えてよい」「持ち帰る」「言わない」の3段階で線を引き、持ち帰った質問を次の打合せにつなげます。

成果は、アポイント、技術打合せ、見積依頼、試作依頼、受注のどこで数えるかを契約前に決めます。見積依頼から先は自社の回答に左右されるので、報酬はアポイントや技術打合せで数え、見積依頼以降は双方で追う指標にする分け方が考えやすくなります。公開されている相場はアポイント・商談・成約までで、製造業に限った相場や見積依頼1件の相場は見つからなかったため、単価は自社の受注率から逆算してください。

よくある質問(FAQ)

製造業の営業代行は、技術的な質問にも答えてくれますか?
答えてよい範囲を発注側が決めておく必要があります。カタログや会社案内など公開済みの資料に書いてあることは代行会社の担当者が答え、公差・数量・納期など「できる・できない」の判断が必要な質問は持ち帰って自社の技術担当が回答する、という分け方が進めやすい形です。価格や納期の約束は代行会社にさせないことを契約前に確認してください。持ち帰った質問は、次の技術打合せを設定するきっかけとして使えます。
製造業向けの営業代行の費用相場はいくらですか?
製造業に限った相場を示した公開データは見つかりませんでした。営業代行全体では、固定報酬型が営業担当者1人あたり月50万〜60万円程度(Sales Marker、PRONIアイミツ)、成果報酬型のアポイント1件が1万5,000円〜2万円程度(同)から1万〜3万円(グランドセントラル)とする掲載があり、いずれも税区分の記載はありません。技術打合せや見積依頼の件数で払う場合の単価は、自社の受注率と商材の単価から逆算して決めます。
見積依頼や試作依頼の件数を成果報酬の条件にできますか?
契約で定義すれば条件にすること自体はできますが、注意点があります。見積依頼や試作依頼は、自社の技術者の回答の速さや内容によって件数が変わるため、代行会社だけでは結果を左右しにくい成果地点です。条件にする場合は、図面や数量が付いた依頼だけを数えるのか、自社側が何営業日以内に回答するのかも一緒に決めておいてください。報酬はアポイントや技術打合せで数え、見積依頼以降は共通の指標として追う方法もあります。
図面や見積もりの情報を営業代行会社に渡しても大丈夫ですか?
図面そのものは代行会社を経由せず、自社の窓口で直接受け取る形にしておくと管理しやすくなります。代行会社の担当者には、図面の送り先を相手に案内することと、見積依頼を受けた事実と日付を報告することだけを任せます。取引先との秘密保持契約で名前を出せない会社や、公開していない納入実績がある場合は、稼働前にNGワードの一覧に入れて代行会社と共有してください。
営業代行の契約期間はどのくらいが一般的ですか?
月額固定型は3〜6か月が中心とする調査や記事があります(BOXILの営業代行主要34サービス調査、ローカルマーケティングパートナーズ)。当メディアを運営するLongWaveでも、営業支援の契約は3〜6か月を基本にしています。製造業では技術打合せから見積もり、試作を経て受注に至るまで時間がかかる商材もあるため、契約期間の中でどの成果地点まで確認するかを先に決めておくと、継続するかどうかの判断がしやすくなります。

出典

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