オンライン営業代行は、非対面で①アポを取る、②Web商談を行う、③商談後の追客や見積もり対応まで行う、の3つの範囲に分けて考えると整理しやすくなります。範囲に加えて、Web会議の主催者名義・録画・顧客情報を誰が持つかと、対面に切り替える条件を契約前に決めておくと揉めにくくなります。どこまで外に出すかは、自社に残したい判断(価格や納期を決める権限など)から逆算して決めます。

この記事は、Web商談を含む非対面の営業を外部に任せたい法人の経営者・営業責任者に向けて書いています。在宅や副業でオンライン営業の仕事を探している方向けの内容ではありません。また、オンライン商談の普及率や成約率を示す統計は、この記事を書いた時点で確かめられる出典が見つからなかったため、割合の数字は載せていません。

この記事で分かること

  • オンライン営業代行で任せられる3つの範囲と、それぞれで発注側に残る仕事
  • Web商談だけで進めてよい場面と、訪問に切り替えたほうがよい場面の見分け方
  • 主催者名義・録画・顧客情報の持ち主など、契約前に決めておく5つのこと

オンライン営業代行で任せられる範囲|アポ、Web商談、商談後の3つに分ける

「オンライン営業代行」という言葉は、電話やメールでアポを取るだけのサービスにも、Web会議で商談そのものを行うサービスにも使われています。同じ言葉で見積もりを取っても、各社が想定している仕事の範囲が違えば金額も成果の数え方も比べられません。まずは任せたい仕事を、アポ、Web商談、商談後の対応の3つに分けて書き出すところから始めます。

範囲 代行側がやること 発注側に残ること 成果の地点
①非対面でアポを取る 電話、問い合わせフォーム、メール、SNSのいずれかで接触し、Web商談の日時を決めて招待を送る 狙う会社の条件、商材の説明資料、アポとして数える条件の決定 条件を満たすWeb商談の日時が確定した時点
②Web商談を行う 画面共有での説明、課題のヒアリング、議事メモの作成、次回の約束の取り付け 提案内容と価格の決定、専門的な質問への回答、同席するかどうかの判断 商談を実施し、次の約束(再商談・見積もり依頼など)が取れた時点
③商談後の追客・見積もり対応 お礼と資料の送付、質問の取り次ぎ、見積もり提出までの段取り、再商談の日程調整 見積もり金額の承認、契約条件の判断、契約の締結 見積もり提出、または受注の時点

出典: 編集部による一般的な整理(統計にもとづく数字はありません)

①だけを頼む場合は、アポとして数える条件を先に決めておくことが大切です。相手の役職や、課題の有無の確認まで含めるかで、同じ「アポ1件」でも中身が変わります。条件の決め方はテレアポ代行の成果報酬型と有効アポの定義の決め方で整理しています。

②まで頼む場合は、代行側の担当者が自社の商材を説明できる状態にする準備が発注側に残ります。よく聞かれる質問とその答え、答えてはいけない質問の一覧を渡しておくと、商談の質がそろいやすくなります。商談を任せる場合の費用や成果の数え方は、商談代行・アポ獲得代行の費用と成果定義で詳しく扱っています。

③まで頼むと、商談から見積もりまでの間で相手を待たせる時間を減らしやすくなります。一方で、見積もりの金額や契約条件は自社の判断が必要なため、代行側から自社へ質問を渡してから相手に返すまでの日数を決めておかないと、かえって返事が遅れることがあります。

似た呼び方のサービスとの違い|名前ではなく工程で比べる

オンライン営業代行に近い呼び方には、インサイドセールス代行のほか、商談代行やテレアポ代行があります。どの呼び方も媒体や会社ごとに使い方が揺れていて、決まった定義はありません。インサイドセールスの代行を名乗りながら商談の実施まで引き受ける会社もあれば、オンライン営業の代行を名乗りながらアポ獲得だけを行う会社もあります。

そのため、サービスの名前で選ぶより、先ほどの3つの範囲のどこからどこまでを請け負うかで比べるほうが確実です。見積もりを頼むときは、「①から③のどこまでを、どの手段で行い、何を成果として数えるか」を同じ書式で各社に聞くと、答えを横に並べて比べられます。

おおまかな傾向としては、見込み客との接点づくりとアポ獲得が中心ならインサイドセールスやテレアポの代行、商談の実施が中心なら商談代行と呼ばれやすい、という程度に考えておけば十分です。そのうえで、Web会議での実施を前提にしているものが、オンライン営業代行と呼ばれる傾向にあります。接点づくりから任せる会社を比べるときの判断材料は、インサイドセールス代行会社の選び方にまとめています。

オンラインで足りる場面と訪問に切り替えたい場面

Web商談は移動がいらず、1日に多くの商談を入れられます。一方で、画面越しでは得にくい情報もあります。どちらが向くかは商材だけでなく案件ごとに変わるため、次のような目安で考えます。ここに挙げるのは一般的な整理で、統計にもとづく基準ではありません。

Web商談だけで進みやすい場面

  • 説明が資料と画面共有で足り、実物や現場を見る必要がない
  • 導入を決める人が少なく、関係者が1回の商談にそろいやすい
  • 相手がWeb会議での打ち合わせを望んでいる
  • 導入の手間や金額が小さく、何度も会って信頼を積み上げる必要が薄い

訪問に切り替えたい場面

  • 設備や売り場、施工現場などを見ないと提案が作れない
  • 複数の部署が導入に関わり、画面越しでは関係者がそろわない
  • 取引の規模が大きく、相手がこちらの体制や人を確かめたがっている
  • Web商談を重ねても、相手の社内事情や本当の課題が聞き出せない

訪問が効きやすい商材の特徴は訪問営業が有効な商材の特徴で、訪問という手段を今どう位置づけるかは訪問営業は時代遅れかを法人営業で確かめた記事で扱っています。

顧客が遠方にいる場合も、最初から全部を訪問でまかなう必要はありません。初回はWeb商談で課題を確かめ、見込みが高い案件だけ現地に行く、という組み合わせ方もあります。支社を置かずに他県の顧客へ営業する方法の比べ方は、拠点を持たずに地方・他県へ営業する方法を参考にしてください。

契約前に決める5つのこと|主催者名義・録画・記録の持ち主まで

オンライン営業代行では、商談の場がWeb会議のアカウントや録画ファイルといったデジタルの形で残ります。誰の名前で会議を開き、その記録を誰が持つのかを決めずに始めると、契約を終えるときに顧客とのやりとりが手元に残らない、といった行き違いが起きやすくなります。次の5つは、契約書か業務の取り決めの書面に書いておくことをおすすめします。

項目 決めること 決めないと起きること
①Web会議の主催者名義と招待の送り方 どちらのアカウントで会議を作るか、招待メールの差出人、商談での名乗り方 相手がどの会社と話しているのか分からなくなる。契約終了後に予定済みの商談を引き継げない
②録画・議事録の扱い 録画するか、相手への伝え方、保存先、共有してよい範囲、保存期間 相手に伝えずに録画して信頼を損ねる。録画が代行側の個人の端末などに散らばる
③顧客リストと商談記録の持ち主と返却 渡したリストと、商談で得た情報を誰のものとするか、契約終了時の返却・消去の方法 契約終了後、自社に顧客とのやりとりの履歴が残らない。情報の管理状況が確かめられない
④代行側が約束してよい範囲 値引き、納期、導入時期、仕様の可否について、その場で答えてよいことと自社に持ち帰ることの線引き 自社が認めていない値引きや納期を相手に伝えてしまい、受注後に取り消せない
⑤訪問に切り替える条件と費用 どんな案件で訪問に切り替えるか、誰が行くか、交通費や追加費用の扱い、成果の数え方 訪問が必要な案件がWeb商談のまま止まる。訪問の費用が後から請求されて揉める

出典: 編集部による一般的な整理。③の法令の記述は個人情報保護法第25条、個人情報保護委員会Q&A Q1-4(本文の出典欄を参照)

①主催者名義と②録画は、商談の相手から見える形で決める

Web会議を発注側のアカウントで作るか、代行会社のアカウントで作るかは、商談の相手から見える部分です。招待メールの差出人、会議の表示名、商談の冒頭での名乗り方がばらばらだと、相手はどの会社と話しているのか迷います。どちらの形にするにしても、相手に誤解を与えない名乗り方にそろえ、契約を終えたあとに予定済みの商談をどう引き継ぐかまで決めておきます。

録画や文字起こしは、商談の中身を自社で確かめるのに役立ちます。ただし、録画してよいかを法令の面からどう判断するかは、この記事では扱いません。実務としては、録画する場合は商談の冒頭で相手に伝えて了承を得ること、保存先を発注側が管理する場所に決めること、社外への共有を誰が認めるかを決めることを、取り決めに書いておくと行き違いを防ぎやすくなります。扱いに迷う場合は、弁護士に相談してください。

③顧客リストと商談記録は、渡す前に持ち主と返し方を決める

顧客リストや商談記録には、担当者の氏名やメールアドレスが含まれることが多くあります。個人情報保護委員会のQ&Aでは、ユーザー名とドメイン名から特定の個人を識別できるメールアドレスは、それだけで個人情報に当たるとされています。また、顧客リストなどの個人データの取扱いを営業代行会社に委託する場合、委託元は委託先に対して必要かつ適切な監督を行わなければなりません(個人情報保護法第25条)。

そのため、リストを渡す前に、代行側での保存場所と閲覧できる人、商談で得た情報を自社のものとして受け取る方法、契約終了時にリストや記録を返却するのか消去するのかを決めておきます。消去する場合は、消去したことを書面で報告してもらう形にしておくと、自社で管理状況を確かめやすくなります。

④約束してよい範囲と⑤訪問への切り替えは、指示の通り道とあわせて決める

Web商談では、相手からその場で値引きや納期を聞かれることがよくあります。代行側の担当者がその場で答えてよいことと、「確認して回答します」と持ち帰ることを一覧にして渡しておくと、自社が認めていない約束を防げます。

このとき、商談の進め方についての要望は、代行会社の責任者を通して伝える形にしておきます。厚生労働省の疑義応答集では、営業を請け負ったスタッフからの問い合わせに発注者が業務に必要な範囲で情報を提供するだけなら、直ちに労働者派遣事業とはされない一方、発注者が顧客への営業上の対応方針などをスタッフに直接指示している場合は、労働者派遣事業と判断されるとしています。契約の形と指示の出し方の考え方は、営業を業務委託で頼む方法と偽装請負を避ける条件で整理しています。

訪問への切り替えは、「現場を見ないと見積もりが出せない」「決裁者が対面での打ち合わせを希望した」など、条件を具体的に書いておくと判断がぶれません。訪問するのが自社の営業担当なのか代行会社なのか、交通費を実費で払うのか、訪問した商談も成果として数えるのかも、あわせて決めておきます。

費用の目安|「オンライン営業代行」という呼び方だけの料金の目安は見当たらない

この記事を書くにあたって料金の出典を確かめた範囲では、「オンライン営業代行」という呼び方に限って料金の目安を示した資料は見つかっていません。そのため、仕事の範囲が近い接点づくり中心の代行(インサイドセールス代行)の月額と、成果報酬型で商談1件ごとに支払う報酬を、参考の値として示します。

参考にする料金 掲載されている目安 近い範囲
インサイドセールス代行の月額(固定型) 月40万〜80万円(InsideSales Magazine)、月50万〜70万円(BizFocus)。業務範囲を広げると月60万〜120万円(グランドセントラル) ①アポ獲得を中心に、依頼内容によって②③まで
成果報酬型の商談1件 商談1件あたり1万5,000円〜3万円(BOXIL) ②商談の実施

出典: InsideSales Magazine「インサイドセールス代行の費用相場」(更新2026-08-27)、BizFocus(更新2026-06-17)、グランドセントラル「営業代行の費用相場」(更新2026-07-31)、BOXIL「成果報酬型の営業代行」(最終更新2026-04-23。同記事で紹介したサービスの料金をもとにした数字)。いずれも税区分の記載なし。確認日 2026-09-15

表の数字はそれぞれの媒体が示した目安で、1つに決まった相場ではありません。月額固定型か成果報酬型かによって、発注側が負う費用の出方も変わります。月額固定型は成果の数にかかわらず費用がかかる一方、成果報酬型は何を「商談1件」と数えるかで実際の支払いが大きく変わります。見積もりを比べるときは、3つの範囲のどこまでが料金に含まれるか、録画や議事録の作成、見積もり対応が別料金になっていないかを確かめてください。インサイドセールス代行の料金体系ごとの目安と成果の測り方は、インサイドセールス代行の費用相場で詳しく扱っています。

成果の見方|段ごとの数字と記録を分けて受け取る

オンライン営業代行の成果は、アポの数だけで見ると判断を誤りやすくなります。アポが多くても商談が実施されていなかったり、商談をしても次の約束が取れていなかったりすれば、受注にはつながりません。報告は、接触した数、アポの数、実施したWeb商談の数、次の約束が取れた数、見積もりを出した数、というように段ごとに分けて受け取ると、どこで止まっているかが見えます。

Web商談の良いところは、議事メモや、了承を得て録画した記録が残ることです。数字が伸びない段があれば、その段の商談記録をいくつか見て、説明の順番や聞き出せていない情報を確かめると、改善の手がかりが見つかります。段ごとの数字の決め方と、週ごとの報告で見る項目は、営業代行の成果定義とKPIで整理しています。

エイギョウブに相談する場合

当メディアを運営するLongWave株式会社のエイギョウブは、電話営業(BDR/SDR)、フォームDM(1日最大500件のアプローチ)、SNS運用(LinkedIn)、交流会・展示会、即戦力人材アサイン(最短数日で稼働)、マルチチャネルを実行支援のメニューとしてサービスページに掲げています。営業のチャネルは、電話・DM・SNS・訪問・手紙・紹介・交流会の7以上です。

また、アポイント獲得だけでなく、商談から成約までを一括で請け負うことができます。ただし、Web会議での商談そのものを代行できるか、どの範囲まで任せられるかは、サービスページに記載がないため、お見積りの際にご確認ください。この記事で挙げた主催者名義・録画・顧客情報の扱いや訪問への切り替え条件も、相談の段階で一緒に確かめておくと、進め方をすり合わせやすくなります。

料金は、サービスページに月額料金の目安(税別)として、トライアル30万円〜/月、スタンダード50万円〜/月を掲載しており、エンタープライズは個別見積りです。実際の金額は支援範囲や体制に応じて変わります。

まとめ

オンライン営業代行は、①非対面でアポを取る、②Web商談を行う、③商談後の追客や見積もり対応まで行う、の3つの範囲に分けると、見積もりを比べやすくなります。サービスの呼び方は媒体によって揺れているため、名前ではなく、どの範囲をどの手段で行い、何を成果として数えるかで比べます。

そのうえで、Web会議の主催者名義と招待の送り方、録画・議事録の扱い、顧客リストと商談記録の持ち主と返却、代行側が約束してよい範囲、訪問に切り替える条件と費用の5つを契約前に決めておきます。商談の進め方の要望は代行会社の責任者を通して伝え、成果は段ごとの数字と商談記録で確かめると、外に出した営業を自社で把握し続けられます。

よくある質問(FAQ)

オンライン営業代行とは何ですか?
オンライン営業代行は、電話・メール・Web会議などの非対面の手段で行う営業を、外部の会社が代わりに行うサービスを指して使われる呼び方です。仕事の範囲は会社によって違い、アポ獲得だけのものから、Web商談の実施、商談後の追客や見積もり対応までを含むものまであります。決まった定義はないため、依頼する前に「アポ、Web商談、商談後の対応のどこまでを任せるか」と「何を成果として数えるか」を書き出して、各社に同じ条件で見積もりを頼むと比べやすくなります。
Web商談だけを任せることはできますか?
アポは自社で取り、Web商談の実施だけを外部に任せる形も考えられますが、受けるかどうかや条件は会社によって違うため、見積もりの際に確かめてください。商談だけを任せる場合は、代行側が商材を説明できるように資料とよくある質問への答えを渡すこと、値引きや納期などその場で答えてよい範囲を決めること、商談後の追客を自社と代行側のどちらが行うかを決めることが必要です。商談の進め方の要望は、代行会社の責任者を通して伝える形にしておきます。
商談の録画を代行会社と共有してよいですか?
録画を共有してよいかを法令の面から判断することは、この記事では扱っていません。実務では、録画する場合は商談の冒頭で相手に伝えて了承を得ること、保存先を発注側が管理する場所に決めること、誰が見てよいか、いつまで保存するか、契約終了時に返却・消去するかを契約前に書面で決めておくと、行き違いを防ぎやすくなります。録画には相手の名前や話した内容が残るため、顧客リストと同じように扱いを決めてください。扱いに迷う場合は弁護士に相談してください。
地方の顧客もオンラインだけで足りますか?
商材と案件によります。説明が資料と画面共有で足り、決める人が少なく、相手もWeb会議を望んでいる場合は、遠方の顧客でもオンラインで進むことがあります。一方で、現場や設備を見ないと提案が作れない場合や、複数の部署が導入に関わる場合は、訪問が必要になることがあります。初回はWeb商談で課題を確かめ、見込みが高い案件だけ訪問に切り替える組み合わせ方もあるため、切り替える条件と、誰が行くか、交通費などの費用の扱いを契約前に決めておくと安心です。

出典

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