営業代行と代理店の違いは、自社の方針で営業活動を任せるか、相手の顧客網で自社の商材を売ってもらうかにあります。代理店の費用は売れた分の手数料や、卸値と販売価格の差になりやすく、営業代行は稼働や成果に対して料金を払います。どちらを選ぶかは、顧客の情報と営業の記録を自社に残したいか、価格と売り方を自社で決めたいかで分かれます。この記事では、営業代行と代理店の違いを一覧表で整理したうえで、代理店の主な形、それぞれが向くケース、代理店開拓に営業代行を使う設計、地方へ広げるときの選び方、併用するときの線引きを、発注する側の目線でまとめます。

この記事は、商材を他の地域や新しい業界へ広げたいBtoB企業の経営者・営業責任者に向けたものです。代理店として商材を扱いたい方や、営業職の仕事を探している方に向けた内容ではありません。

この記事で分かること

  • 代理店と営業代行の違い(誰の顧客に売るか、契約の名義、価格の決め方、費用の形、顧客情報の行き先、立ち上げに要るもの)
  • 代理店が向くケースと営業代行が向くケース、代理店開拓そのものを営業代行に任せる進め方
  • 地方へ広げるときの選び方と、両方を併用するときに契約で決めておくこと

代理店と営業代行の違い|一覧表で見る6つの項目

代理店と営業代行は、どちらも「社外の力を借りて売上を広げる方法」ですが、仕組みは大きく違います。いちばん大きな違いは、売る相手が誰の顧客なのかと、営業のやり方を誰が決めるのかです。まず表1で6つの項目を並べます。

なお「代理店」という言葉は、会社によって指している契約の形が違います。この表では、次の章で説明する「販売店」と「取次」の2つをまとめて代理店と呼んでいます。

項目 代理店 営業代行
誰の顧客に売るか 代理店がすでに付き合っている顧客や、代理店の地域・業界の顧客網が中心 自社が決めたターゲットに、リストをもとに新しく接触する
顧客との契約の名義 販売店の形では代理店が顧客と契約する。取次の形では顧客との契約は自社が結ぶことが多い 顧客との契約は自社が結ぶ。営業代行会社と結ぶのは業務の委託契約
価格と売り方を決めるのは誰か 代理店側に任せる部分が大きい。どの商材に力を入れるかも代理店が決める。自社がどこまで関われるかは契約の形で変わる ターゲット・提案内容・価格は自社が決め、その方針に沿って営業してもらう
費用の形 売れた分の手数料や、卸値と販売価格の差になりやすい。率や金額は契約で決まる(裏付けのある相場は確認できなかった) 月額固定・成果報酬・複合型。固定報酬型は営業担当者1人あたり月50万〜60万円程度とするメディアが多い(Sales Marker、PRONIアイミツほか。税区分の記載なし)
顧客情報と営業記録の行き先 顧客との接点は代理店側に残りやすい。自社が受け取れる情報は契約で決めた範囲になる リスト・接触の記録・商談の報告を自社で受け取れる。受け取り方と形式は契約で決めておく
立ち上げに要るもの 代理店候補を探して口説くこと、取り分や担当範囲の条件、販売資料や勉強会の準備 ターゲットとリスト、トーク、何を成果と数えるかの設計、月々の費用

出典: 営業代行の固定報酬型は、Sales Marker「営業代行の費用相場」(更新2026-01-22)、PRONIアイミツ「営業代行の費用相場」(更新2026-03-03)ほか。いずれも税区分の記載なし。代理店の手数料率・卸値の水準は、公的な統計や複数媒体で裏付けられる数字を確認できなかったため載せていません。取得日 2026-09-15

表のとおり、代理店は「売る活動ごと相手に渡す」方法で、営業代行は「売る活動の手を借りる」方法だと考えると整理しやすくなります。代理店は相手の信用と顧客網に乗れる代わりに、顧客との距離が遠くなります。営業代行は顧客と記録が自社に残る代わりに、売れる前から費用がかかる形が中心です。

営業代行の成果報酬にも、受注時に売上の一定割合を払う形があります。その割合は、売上の20〜30%(グランドセントラル、アイドマ)とする媒体と、30〜50%(Sales Marker、PRONIアイミツ)とする媒体があり、定まった相場はありません。代理店の手数料と見た目が似ていても、顧客との契約の名義や記録の扱いは別物なので、率だけで比べないようにしてください。料金体系ごとの相場と費用対効果の考え方は営業代行の費用相場と費用対効果の見極め方に、営業事務まで含めて社外に出す場合との違いは営業BPOと営業代行の違いにまとめています。

代理店の主な形|仕入れて売る販売店と、紹介して手数料を得る取次

代理店と呼ばれる契約は、大きく分けると「販売店」と「取次」の2つの形があります。どちらを選ぶかで、顧客との契約の名義、代理店の取り分の出どころ、自社に残る情報が変わります。代理店を募る前に、自社がどちらの形で組みたいのかを決めておくと、候補の会社への説明がぶれにくくなります。

販売店|自社から仕入れて、自分の名前で顧客に売る

販売店の形では、代理店が自社から商材を仕入れ、自分の名前で顧客に販売します。顧客と契約するのは代理店で、請求や入金のやりとりも代理店と顧客の間で行われます。代理店の取り分は、自社から仕入れた価格と顧客に売った価格の差になるのが一般的です。

自社から見ると、売った先の顧客は代理店の顧客になるため、誰がどのくらい使っているかは、契約で報告を決めない限り見えにくくなります。その代わり、顧客への対応や代金の回収を代理店が担うので、自社の手間は小さくなりやすい形です。

取次|顧客を紹介し、成約に応じて手数料を受け取る

取次の形では、代理店は見込み客を自社に紹介したり、商談の場をつくったりする役割を担い、顧客との契約は自社が結ぶことが多くなります。代理店の取り分は、紹介や成約の件数、契約金額などに応じた手数料で決めるのが一般的です。

顧客との契約が自社の名義になるため、顧客情報は自社に残りやすくなります。一方で、商談の後半や契約手続きを自社で担う必要があり、紹介を受けた顧客への対応の手間は自社側に残ります。

このほかにも、両方を組み合わせた形や、商材や業界ごとの独自の呼び方があります。手数料の率、卸値の水準、担当する地域を独占させるかどうかは、どれも当事者どうしの契約で決める項目です。候補の会社と話を始める前に、自社が譲れる条件と譲れない条件を書き出しておきましょう。

代理店が向くケース・営業代行が向くケース

どちらが優れているかではなく、自社の商材と体制に合うかどうかで選びます。次の項目のうち、自社に当てはまる数が多いほうが候補になります。

代理店が向くケース

  • 商材の売り方と説明の仕方がすでに固まっていて、資料と勉強会で他社の営業担当者に伝えられる
  • 同じ顧客層に別の商材を売っている会社があり、その会社の既存顧客に「ついでに提案」してもらえる相性がある
  • 売れる前の固定費を増やさずに、販路を広げたい
  • 導入後の細かな対応や、地域に根ざした付き合いを、その地域の会社に担ってほしい

代理店は、相手の会社が長年かけて築いた信用に乗れるのが強みです。ただし、代理店は他社の商材もあわせて扱っている場合があり、自社の商材を優先して売ってもらえるとは限りません。売れ始めるまでの時期も、代理店側の事情に左右されます。

営業代行が向くケース

  • 顧客のリストと営業の記録を自社に残し、後で自社の営業担当者に引き継ぎたい
  • 価格、提案の内容、狙う業種や企業規模を自社で決めたい
  • 売り方がまだ固まっておらず、反応を見ながらトークや狙う先を直したい
  • 代理店に扱ってもらう前に、どんな相手にどう売れるかという型を自社でつかんでおきたい

営業代行は、代理店を探して口説く工程がない分、狙う先とやり方を決めれば動き出しやすいのが強みです。ただし、稼働に対して払う固定報酬型では、商談や受注が出る前から費用がかかります。成果報酬型を使う場合は、何を1件の成果と数えるかを契約前に決めておかないと、請求の段階で食い違いが起きやすくなります。

代理店開拓に営業代行を使う|候補への接触・説明・同行を任せる設計

両方を選択肢として持ったうえで、「代理店を増やす営業」そのものを営業代行に任せるという使い方も考えられます。代理店を募りたいのに、候補の会社に声をかける人手がないという場合の進め方です。

任せる工程と、自社に残す工程を分ける

代理店開拓の流れは、候補のリストづくり、最初の接触、代理店制度の説明、面談、条件の交渉、契約、契約後の立ち上げ支援に分けられます。このうち、リストづくりから面談の設定までを営業代行に任せ、条件の交渉と契約は自社で行うという分け方があります。面談に営業代行の担当者が同席し、自社の担当者が条件を説明する形にすると、代理店候補から見て「誰と契約するのか」が分かりやすくなります。

候補のリストは、「自社と同じ顧客層に、自社と競合しない商材を売っている会社」を軸に作ると、代理店になる理由を説明しやすくなります。最初の接触に電話・フォーム・紹介のどれを使うかは、候補の数と業界の慣習で変わります。手段ごとの比べ方は中小企業の新規開拓方法の比較を参考にしてください。

代理店候補に渡す資料をそろえておく

営業代行の担当者は、自社の社員ほど商材に詳しくありません。候補の会社に同じ説明をしてもらうには、次の資料を先にそろえておく必要があります。

  • 代理店向けの制度説明資料(商材の概要、代理店にとっての利点、販売店か取次かという形、取り分の考え方、担当範囲、申し込みの手順)
  • 代理店が顧客に見せる提案資料と、よく聞かれる質問への回答集
  • 自社が代理店に提供する支援の内容(勉強会、同行、販促物、問い合わせ窓口など)
  • 営業代行の担当者がその場で答えてよいことと、自社に持ち帰ることの線引き

とくに取り分や独占の可否は、営業代行の担当者がその場で約束すると後で困る項目です。「条件は面談で自社から説明する」と決めておき、担当者には興味の度合いと質問内容を記録してもらうようにしましょう。

何を成果と数えるかを先に決める

代理店開拓を営業代行に頼むときは、成果の数え方が普通の顧客開拓より難しくなります。面談の設定を1件と数えるのか、資料を送って関心が確認できた時点なのか、代理店契約の締結までを成果とするのかで、料金の組み方も変わるためです。代理店契約の締結は自社の条件交渉にも左右されるので、営業代行の成果にするかどうかは慎重に決めてください。成果報酬型の仕組みと成果定義の決め方は営業代行の成果報酬型の相場と成果定義で詳しく扱っています。

地方へ広げるときの選び方|顧客と記録を残すか、地域の信用に乗るか

地方や他の地域に商材を広げるときも、判断の軸は同じです。その地域の顧客と営業の記録を自社に残したいなら営業代行、その地域ですでに信用のある会社の顧客網に乗りたいなら代理店が候補になります。

まだその地域でどんな相手に売れるかが分かっていない段階では、先に営業代行で反応を確かめ、手応えのあった業種や地域で代理店を募るという順番も考えられます。反応の記録が自社にあれば、代理店候補に「この地域ではこういう顧客に売れている」と説明する材料にもなります。反対に、導入後に顔を合わせた対応が頻繁に要る商材で、自社が現地に人を置けない場合は、地域の会社に代理店として担ってもらうほうが合うことがあります。

その地域に営業担当者を置く方法としては、採用と個人への業務委託もあります。自社で人を採る場合の見通しと、4つの手段の選び方は営業職の人手不足データと採用・代行の選び方で整理しています。営業経験のある個人と契約する場合の契約形態と注意点は営業を業務委託で頼む方法を参考にしてください。

地域ごとの営業代行の探し方

地域ごとの商圏や営業代行の探し方は、福岡の営業代行大阪の営業代行東京の営業代行名古屋の営業代行広島の営業代行千葉の営業代行の各ページにまとめています。拠点を持たない会社が首都圏で反応を試す進め方は、東京の営業代行で扱っています。

併用するときの線引き|担当範囲を契約で決める

代理店と営業代行を同時に使うと、同じ地域の同じ顧客に、代理店と営業代行の両方から声がかかることがあります。顧客からは同じ会社の商材を別々の相手が売り込んでいるように見え、代理店からは自社の顧客を横取りされたように見えてしまいます。これを防ぐには、担当範囲を先に決めて、代理店との契約と営業代行との契約の両方に書いておくことが必要です。

契約で決めておく項目

  • 担当範囲の分け方(地域で分けるか、業種や企業規模で分けるか、既存顧客と新規顧客で分けるか)
  • 代理店がすでに付き合っている顧客のリストを、営業代行の接触先から外す手順
  • 同じ顧客に両方から接触してしまったときに、どちらの担当とするかの決め方
  • 一つの受注に対して、代理店の手数料と営業代行の成果報酬が両方発生しないようにするルール
  • 接触の記録をどこにまとめ、誰がいつ確認するか

担当範囲の境目で迷う顧客が出るのは避けられないので、「迷ったら自社の担当者が決める」という最後の判断者を決めておくと、もめごとが長引きにくくなります。

営業代行のスタッフへの要望は受注会社を通す

併用を始めると、担当範囲の調整のために、営業代行の現場のスタッフへ直接「この会社には電話しないで」「このトークに変えて」と伝えたくなる場面が出てきます。厚生労働省の疑義応答集では、発注者が受注会社に対して作業の見直しなど発注に関わる要求をするのは当事者間のやりとりとして問題ないとされています。一方、発注者が受注会社のスタッフに直接指示すれば、直接の指揮命令に当たり偽装請負と判断されるとしています。担当範囲の変更や接触先の除外は、営業代行会社の管理責任者に伝える運用にしてください。指示の出し方の詳しい線引きは営業を業務委託で頼む方法で整理しています。

エイギョウブに頼む場合

エイギョウブは、LongWave株式会社が運営する営業支援サービスです。電話・DM・SNS・訪問・手紙・紹介・交流会の7以上のチャネルに対応し、アポイント獲得だけでなく、商談から成約までを一括で請け負うこともできます。

拠点は、本社が東京都千代田区麹町1丁目8-1 THE GATE HANZOMON、福岡支社が福岡県福岡市中央区天神2-2-12 T&Jビルディング7Fです。どの地域まで対応できるか、代理店候補への接触を任せられるかは、公開しているページに記載がありません。お見積りの際に確認してください。

相談のときに、この記事で整理した「顧客と記録を自社に残したいか」「広げたい地域と業種」「代理店と併用するか」を伝えておくと、任せる工程と成果の数え方を詰めやすくなります。

まとめ|顧客と記録を残すなら営業代行、相手の顧客網に乗るなら代理店

売る活動ごと相手に渡すのが代理店で、自社の方針のまま営業の手を借りるのが営業代行です。どちらにするかは、次の点を順に確かめると決めやすくなります。

  • 代理店は相手の顧客網で売ってもらう方法で、費用は売れた分の手数料や卸値と販売価格の差になりやすい。率や水準は契約で決まる
  • 営業代行は自社が決めたターゲットと価格で営業してもらう方法で、稼働や成果に払う。顧客との契約は自社が結び、記録も受け取れる
  • 代理店には販売店と取次の形があり、顧客との契約の名義と自社に残る情報が変わる
  • 代理店開拓そのものを営業代行に任せる場合は、任せる工程、代理店候補に渡す資料、成果の数え方を先に決める
  • 併用するなら、担当範囲と重複時のルールを両方の契約に書き、営業代行のスタッフへの要望は受注会社を通して伝える

よくある質問(FAQ)

代理店と営業代行の違いは何ですか?
代理店は相手の顧客網で自社の商材を売ってもらう方法で、営業代行は自社の方針で営業活動を任せる方法です。代理店は売れた分の手数料や卸値と販売価格の差で費用を組むことが多く、顧客との接点は代理店側に残りやすくなります。営業代行は稼働や成果に料金を払い、顧客との契約は自社が結ぶので、リストや営業の記録を自社で受け取れます。顧客と記録を残したいか、価格と売り方を自社で決めたいかで選び分けます。
代理店の手数料はどれくらいですか?
代理店の手数料率や卸値の水準について、公的な統計や複数の媒体で裏付けられた相場は確認できませんでした。率や金額は、商材の単価や利益の幅、販売店か取次かという契約の形、代理店が担う範囲などをもとに、当事者どうしの契約で決まります。候補の会社と話す前に、自社が払える上限と、代理店に担ってほしい範囲を決めておきましょう。なお、営業代行の成果報酬で受注時に売上の一定割合を払う形は、20〜30%(グランドセントラル、アイドマ)とする媒体と30〜50%(Sales Marker、PRONIアイミツ)とする媒体があり、こちらも定まった相場はありません。
営業代行に代理店開拓を頼めますか?
代理店候補への接触から面談の設定までを営業代行に任せ、条件の交渉と契約は自社で行う、という分け方で頼むことができます。頼む前に、代理店向けの制度説明資料、顧客向けの提案資料、担当者がその場で答えてよいことの線引きをそろえておく必要があります。成果を面談の設定で数えるのか、代理店契約の締結までとするのかで料金の組み方が変わるため、契約前に決めておきましょう。対応できるかどうかは営業代行会社ごとに確認してください。
代理店と営業代行は併用できますか?
併用できますが、担当範囲を先に決めておくことが前提です。同じ地域の同じ顧客に両方から声がかかると、顧客にも代理店にも不信感が生まれます。地域・業種・企業規模・既存顧客のどれで担当を分けるか、重複したときにどちらの担当とするか、手数料と成果報酬が二重に発生しないようにするルールを、両方の契約に書いておきましょう。営業代行のスタッフへの要望は、スタッフに直接ではなく受注会社の管理責任者に伝えます。

出典

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