元請けとは、発注者(施主や国・自治体など)から直接工事を請け負い、下請けに任せた部分も含めて工事全体の完成を約束する会社のことです。その工事の一部を元請けから請け負うのが下請けで、元請けのすぐ下を一次下請け(一次請け)、その下を二次下請けと呼びます。両者の違いは会社の格の上下ではなく、発注者と直接契約しているかどうかと、工事の中で担う役割にあります。

この記事は、元請け・下請けの意味を確かめたい方と、専門工事・設備工事・工務店などを経営していて、元請けや発注者との直接の取引を増やしたい方に向けて書いています。システム開発などIT業界での元請けの営業については、システム開発・SES・受託開発の営業代行の記事で商流ごとに扱っています。

この記事で分かること

  • 発注者・元請け・一次下請け・二次下請けの関係を示した図と、それぞれのほかの呼び方
  • 元請けと下請けの違いを、契約の相手・約束する範囲・仕事の入口で比べた表
  • 下請けの会社が元請けとの取引を増やす4つの段階と、建設のエイギョウブの支援事例

元請けとは|発注者から直接工事を請け負う会社

建設工事には、工事を注文する側と、工事を完成させる側がいます。注文する側は発注者と呼ばれ、家を建てたい個人、店舗や工場を建てたい会社、道路や学校の工事を出す国や自治体などがこれにあたります。この発注者と直接契約を結び、工事を請け負う会社が元請けです。読み方は「もとうけ」で、送り仮名を省いて「元請」と書くこともあります。下請けの反対にあたる言葉が元請けです。

ある程度の規模の工事になると、元請けが1社ですべての作業をこなすことはあまりありません。基礎、鉄骨、電気、空調、内装といった工種ごとに、専門の会社へ仕事を分けて頼むのが一般的です。このとき元請けから仕事を受ける会社が下請けで、下請けからさらに仕事を受ける会社が出てくると、段が1つずつ増えていきます。

発注者から元請け、一次下請け、二次下請けへと請負契約がつながる関係の図発注者施主・発注元・発注機関工事を注文し、代金を払う請負契約元請け元請会社・元請業者工事全体の完成を約束する請負契約一次下請け一次請け・一次協力会社工事の一部を元請けから受ける請負契約二次下請け二次請け一次下請けから、さらに一部を受ける
図1: 発注者・元請け・下請けの関係。矢印は請負契約の向きで、元請けより下の段がすべて下請けです。
立場 ほかの呼び方 誰と契約するか 主な役割
発注者 施主、発注元、発注機関(公共工事) 元請け 工事を注文し、代金を支払う
元請け 元請、元請会社、元請業者 上は発注者、下は一次下請け 工事全体を取りまとめ、発注者に対して完成を約束する
一次下請け 一次請け、1次会社、一次協力会社 元請け 工種ごとなど、工事の一部を元請けから請け負う
二次下請け 二次請け、2次会社 一次下請け 一次下請けが受けた仕事の、さらに一部を請け負う

出典: 編集部による一般的な整理。呼び方や段の数は工事や会社によって異なります(2026-10-19)

同じ会社でも、工事によって立場が変わる点は押さえておきたいところです。ある現場では元請けとして発注者から受け、別の現場では他社の下請けとして入る会社は珍しくありません。元請けか下請けかは会社に付く肩書きではなく、その工事の契約で誰から仕事を受けているかで決まる、と考えると分かりやすくなります。

元請けと下請けの違い|上下ではなく、発注者との距離と役割の違い

元請けと下請けは、どちらも「請負」という契約でつながっています。民法第632条は、請負を、当事者の一方がある仕事の完成を約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約として定めています。発注者と元請けの間も、元請けと下請けの間も、この形の契約です。

国税庁は印紙税の質疑応答事例「請負の意義」の中で、請負は仕事が完成されるなら下請負に出してもよい契約だと説明しています。元請けは、下請けに任せた部分も含めて、発注者に対して仕事の完成を約束している立場だということです。ただし、建設工事を下請けに出すときの細かなルールや、許可・契約書・代金の支払いに関する決まりは、建設業法など、この記事では扱っていない法令に関わります。実際の取引では所管の窓口や専門家に確認してください。

観点 元請け 下請け(一次・二次)
契約の相手 発注者 元請け、または上の段の下請け
完成を約束する範囲 請け負った工事の全体(下請けに任せた部分を含む) 自社が請け負った工種・作業
現場での主な役割 工程や品質の取りまとめ、発注者との打ち合わせ 専門の工種の施工
仕事の入口 発注者からの相談・見積り依頼、公共工事の入札など 元請けからの依頼、付き合いのある会社からの紹介など
下の段との関係 下請けに対しては注文する側になる さらに下へ出す場合は、その会社に対して注文する側になる

出典: 本文で示した民法と国税庁の解説をもとに、編集部が一般的な関係として整理(2026-09-19確認)

一次請け・二次請けという呼び方

建設の現場では、元請けのすぐ下の会社を一次下請け、略して一次請けと呼ぶことが多く、その下を二次、三次と数えていきます。下請けの会社を「協力会社」と呼ぶ会社も多く、一次協力会社は一次下請けとほぼ同じ意味で使われます。一方で、IT業界などでは発注者から直接仕事を受ける会社を一次請けと呼ぶ使い方もあり、この場合は元請けとほぼ同じ意味になります。同じ言葉でも指す段がずれることがあるので、取引先と話すときは、相手がどちらの意味で使っているかを確かめておくと行き違いを防げます。

元請けと下請けは、どちらを目指すべきか

「元請けと下請けはどちらがよいのか」と検索する方もいますが、これは一律には答えられません。元請けは発注者と直接やり取りできる分、見積り、工程の取りまとめ、発注者との調整までを自社で抱えることになり、それを回せる人と体制が要ります。下請けは自社の専門の工種に集中しやすい一方で、仕事の量や時期が上の段の会社の受注に左右されます。

実際には「どちらか一方」を選ぶのではなく、下請けの仕事を続けながら、直接の取引先を少しずつ増やしていく会社もあります。自社の人数、得意な工種、見積りや現場管理を担える人がいるかどうかを並べてみて、元請けとしての受注と下請けとしての受注をどんな割合にしたいかを決めるのが現実的です。

立場ごとの営業の相手|誰に何を売り込むか

元請けと下請けでは、営業をかける相手がまったく違います。直接の取引先を増やしたいなら、まず「どの段の、誰に向けた営業なのか」を分けて考えることが出発点になります。

増やしたい取引 営業の相手 相手が確かめたいこと 主な接点
元請けとして発注者から受ける 個人や法人の施主、発注機関 費用、工期、施工例、任せて大丈夫な会社か 問い合わせ、紹介、入札の情報
一次下請けとして新しい元請けから受ける 元請けの工事担当・発注担当、経営者 対応できる工種と地域、人員の余裕、品質、単価 電話、訪問、DMや問い合わせフォーム、紹介
今の元請けとの取引を広げる 付き合いのある元請けの別の部署・別の支店 ほかの現場や地域でも頼めるか 今の担当者からの紹介

出典: 編集部による一般的な整理(2026-09-19)

下請けの仕事が中心の会社がつまずきやすいのは、施主向けの営業と元請け向けの営業を同じやり方で進めてしまうことです。施主は仕上がりや費用で判断しますが、元請けの担当者は「この工種を、この地域で、この時期に頼めるか」を早く確かめたいと考えています。相手が違えば、用意する資料も話す順番も変える必要があります。

元請けの中でも、窓口は1つではありません。現場を回す工事担当、見積りや発注をまとめる担当、経営者では、最初に聞きたい話が違います。立場ごとの話し方の違いは、建設業の営業方法とトーク例の記事で、現場・工事部・経営者別の会話例とともにまとめています。

建設業の事業所数|取引先の候補は絞ってから探す

「令和6年経済センサス‐基礎調査」によると、2024年6月1日時点の全国の建設業の民営事業所数は400,342事業所で、公務を除く全産業の9.9%でした(雇用者のいない個人経営の事業所を除く。構成比は同調査の数値をもとに算出)。

この数字は、元請けと下請けを分けて数えたものではありません。ただ、建設業の事業所が全国の民営事業所のおよそ10に1つにあたることを考えると、「建設会社ならどこでも」と広く当たるより、先に相手を絞る必要があることが分かります。

絞り込みの出発点は、自社が対応できる工種と、職人や資材を動かせる地域の範囲です。そこに、自社の工種を外に頼んでいそうな会社か、過去にどんな規模の工事を手がけているかを重ねていくと、最初に連絡すべき相手が見えてきます。数が多い業界だからこそ、名簿の件数より、1社ごとに「なぜこの会社に声をかけるのか」を言えるかどうかが、最初の接点の取りやすさを左右します。

下請けから元請けを増やすには|受注の入口を書き出し、相手を決めてから接点を作る

下請けの仕事を続けながら、取引する元請けや、直接受ける発注者を増やしたいときは、次の4つの段階で進めると迷いにくくなります。新しい元請けから一次下請けとして受ける場合も、元請けとして発注者から受ける場合も、順番は同じです。

段階 やること 決まったかを確かめる問い
1. 受注の入口を書き出す 過去1〜2年の受注を、元請け別・紹介元別に件数と金額で並べる いちばん大きい取引先の受注が落ちたら、仕事がどれだけ減るか
2. 狙う相手と受けたい仕事を決める 工種・地域・工事の規模と、ゼネコン・サブコン・地場工務店などの相手を決める 自社の人数で回せる規模と、動ける地域の範囲に入っているか
3. 自社を短く伝える説明を作る 対応できる工種、動ける地域、職人や施工管理の人数、直近の施工例をまとめる 元請けの担当者が、自社の現場に当てはめて考えられるか
4. 接点の作り方を組み合わせる 電話で担当者を確かめてから訪問する、DMや問い合わせフォーム、紹介を組み合わせる 誰が、毎月何社に声をかけるかが決まっているか

出典: 編集部による一般的な整理(2026-10-19)

受注の入口を書き出し、狙う相手を決める

最初にやることは、過去1〜2年の受注を、元請け別・紹介元別に書き出すことです。特定の1社や、特定の人からの紹介に受注が偏っていないかを、件数や金額で見える形にします。偏りがあること自体は悪いことではありませんが、その1社の受注が落ちたときに自社の仕事がどれだけ減るかを把握していないと、新しい取引先を探す優先度も決められません。紹介や元請けへの依存をどう測り、どこから直していくかは、建設業の新規開拓の記事で4つのステップに分けて扱っています。

次に、どの工種の、どの地域の、どの規模の工事を、どんな相手から受けたいのかを決めます。受けたい仕事を先に決めておくと、遠すぎる地域や、自社の人数では回せない規模の依頼が来たときに、その場で断るか受けるかを迷わずに済みます。反対に、ここがあいまいなまま接点だけを増やすと、見積りの手間ばかりが増えて受注につながりにくくなります。

接点の作り方を選ぶ

元請けとの最初の接点は、電話で担当者を確かめてから訪問する、事前の約束なしに営業所や現場事務所を訪ねる、DMや問い合わせフォームで案内を送る、付き合いのある会社から紹介してもらう、といった方法を組み合わせて作ります。約束なしに訪ねる進め方と、訪問先ごとの注意点は建設業の飛び込み営業の記事にまとめています。どの手法を自社でやり、どこを外部に任せるかの考え方と費用の目安は、建設業の営業代行の記事で詳しく扱っています。

個人の施主や地元の店舗から直接工事を受けたい場合は、元請け向けの営業とは経路がまったく違います。ホームページや地図サービス、チラシ、紹介など、施主に見つけてもらう集客の仕組みが中心になるため、元請け開拓とは別の計画として立てたほうが混乱しません。工務店やリフォーム会社が施主向けと法人向けの経路をどう分けるかは、工務店・リフォーム会社の集客方法の記事で扱っています。

建設のエイギョウブが元請け開拓を支援した事例

当メディアを運営するLongWave株式会社の「建設のエイギョウブ」では、元請けとの接点づくりを次のように支援してきました。工事会社だけでなく、建材メーカーのように元請けへ売り込む立場の会社でも、進め方は上の4つの段階と同じです。

支援先 取り組みと結果
レンガ建材メーカー 目的: 福岡エリアの販路拡大と、ゼネコンとのパイプづくり
進め方: テレアポと訪問を組み合わせ、大手ハウスメーカー・元請けへの販路を再構築した
結果: 稼働初月から有力な元請けとの接点を創出し、商談獲得数は従来比で約10倍になった。大手ゼネコンとのパイプ構築につながり、複数の案件が提案・検討の段階に進んでいる
建設会社 目的: 新しい元請けとの接点を増やす
結果: 4か月で、新しい元請けとの接点を0件から12件に増やした

出典: 建設のエイギョウブ・エイギョウブのサービスページに掲載の支援事例。数値は対象期間や条件により異なります(2026-10-19確認)

電話で担当者と用件を確かめてから訪問する組み合わせは、この1社に限らず、建設のエイギョウブが建設・建材の領域で標準にしている進め方です。ゼネコン・サブコン・地場工務店など、工種や工事区分に応じて攻める先を抽出し、建設現場が分かるメンバーがスクリプトを作成したうえで、電話営業・訪問営業・DM/フォーム営業を組み合わせて進めます。

外部に任せる前に確かめること

現場や見積りで手一杯になり、新しい元請けに声をかける時間が取れないときは、営業の一部を外部に任せる選択肢があります。任せる前には、工種や現場の言葉が通じる相手か、狙う先をどう選ぶのか、どこまでを代わりにやってもらい、何を自社に報告してもらうのかを確認しておくと、依頼した後の行き違いを減らせます。ほかの業種も含めた公開事例の読み方は、営業代行の事例の記事で紹介しています。

まとめ

元請けは発注者から直接工事を請け負う会社で、その工事の一部を元請けから請け負うのが下請けです。元請けのすぐ下が一次下請け、その下が二次下請けで、違いは会社の上下ではなく、発注者との距離と工事の中での役割にあります。同じ会社でも、工事ごとに元請けにも下請けにもなります。

下請けの会社が元請けとの取引を増やしたいときは、今の受注の入口を書き出し、狙う工種・地域・相手を決め、自社を短く伝える説明を用意してから、電話・訪問・DM・紹介を組み合わせて接点を作るのが基本の流れです。施主から直接受ける集客は、元請け開拓とは別の計画として分けて考えます。下請けに出すときの法令上のルールや許可の要否は、この記事では扱っていないため、所管の窓口や専門家に確認してください。

よくある質問(FAQ)

元請けと下請けの違いは何ですか?
違いは、発注者と直接契約しているかどうかと、工事の中で担う役割です。元請けは発注者から直接工事を請け負い、下請けに任せた部分も含めて工事全体の完成を約束します。下請けは元請けや上の段の会社から工事の一部を請け負い、自社が受けた工種や作業の完成を約束します。会社の格の上下を表す言葉ではなく、同じ会社でも工事によって元請けにも下請けにもなります。
元請けと一次請け(一次下請け)は同じ意味ですか?
建設の現場では、同じ意味ではないことが多いです。一次請けは一次下請けの略として、元請けのすぐ下で元請けから仕事を受ける会社を指すのが一般的です。一方、IT業界などでは発注者から直接仕事を受ける会社を一次請けと呼ぶ使い方もあり、その場合は元請けとほぼ同じ意味になります。取引先との会話では、相手がどちらの意味で使っているかを確かめておくと安心です。
元請けと発注者(発注元・施主)は同じですか?
同じではありません。発注者は工事を注文して代金を支払う側で、家を建てる個人や、建物を建てる会社、工事を出す国や自治体などがあたります。発注元や施主も、多くは発注者と同じ意味で使われます。元請けは、その発注者から工事を請け負って完成させる側の会社です。ただし元請けは、下請けに仕事を出すときには下請けに対して注文する側になるため、立場は契約ごとに見分ける必要があります。
「元受け」と「元請け」はどちらが正しい書き方ですか?
一般的な書き方は「元請け」です。請負(うけおい)の「請」の字を使い、送り仮名を省いて「元請」と書くこともあります。「元受け」「元受」という書き方も見かけますが、契約書や見積書など取引先に出す書類では「元請け」か「元請」にそろえておくと誤解がありません。下請けも同じように「下請け」「下請」と書きます。
下請けの会社が元請けとの取引を増やすには、何から始めればよいですか?
まず過去1〜2年の受注を元請け別・紹介元別に書き出し、特定の相手への偏りを件数と金額で確かめます。次に狙う工種・地域・相手と受けたい工事の規模を決め、対応できる工種・動ける地域・人数・施工例をまとめた短い説明を用意してから、電話・訪問・DM・紹介を組み合わせて接点を作ります。具体的な手順は建設業の新規開拓の記事で扱っています。元請けとして受けるときに必要な許可や契約の決まりは、所管の窓口や専門家に確認してください。

出典