工務店やリフォーム会社の集客は、施主から問い合わせを増やす経路と、管理会社・不動産会社・元請けといった法人から仕事を受ける経路の2つに分けて考えます。先に過去の受注を経路別に棚卸しし、足りない方の経路に手を打つと、何から始めるかが決まります。紹介や口コミが止まったときに慌てて広告を出す前に、自社の受注がどこから来ているかを数えるところから始めましょう。
この記事は、紹介や口コミに頼っていて問い合わせの数が月ごとに大きく揺れる工務店・リフォーム会社・外壁塗装会社の経営者に向けて書いています。Web集客のツールや広告サービスの比較、SNSの運用手順は扱いません。また、集客1件あたりの費用や広告費の相場、住宅・リフォーム市場の規模について、確かめられる公的な統計が見つからなかったため、そうした数字は載せていません。
この記事で分かること
- 施主向けと法人向けの2つの経路の違いと、受注の棚卸しで足りない方を見つける方法
- 施主向けの経路を、準備できるものと会社の状況から選ぶ考え方と、広告や営業メールで確かめておく法令
- 管理会社・不動産会社・元請けから仕事を受ける営業の進め方と、紹介を仕組みにする考え方
工務店の集客は経路が2つ|施主からの問い合わせと、法人から受ける仕事
工務店やリフォーム会社の仕事の入り口は、大きく2つに分かれます。1つは、家を建てたい人や自宅を直したい人、つまり施主から直接問い合わせを受ける経路です。紹介、過去に工事をした施主からの再依頼、自社サイトや広告を見た人からの問い合わせ、現場の看板やチラシを見た人からの相談がここに入ります。
もう1つは、法人から仕事を受ける経路です。賃貸住宅の管理会社からは退去後の原状回復や共用部の修繕、不動産会社からは売買の前後のリフォーム、ハウスメーカーやほかの建設会社からは協力会社としての工事の依頼、といった仕事が考えられます。どちらも工事の中身は似ていても、仕事が始まるきっかけと、そのために準備するものがまったく違います。
| 観点 | 施主から問い合わせを受ける経路 | 法人から仕事を受ける経路 |
|---|---|---|
| 相手 | 家を建てたい人、自宅を直したい人(個人) | 賃貸住宅の管理会社、不動産会社、ハウスメーカーや元請けの建設会社 |
| 仕事の始まり方 | 相手が困ったときや考え始めたときに、問い合わせが来る | こちらから会いに行き、取引先として知ってもらってから依頼が来る |
| 1つの相手との関係 | 1回の工事で終わることが多く、次は点検や数年後の相談になる | 対応がよければ、同じ相手から続けて依頼が来る可能性がある |
| 主に準備するもの | 施工事例、自社サイト、地域での認知、OB施主との連絡手段 | 対応できる工種とエリアの一覧、施工実績、見積と着工までの速さ、訪問先のリスト |
| 動き方 | 見つけてもらう、思い出してもらう | 電話や訪問でこちらから接点をつくる |
出典: 編集部による一般的な整理(統計にもとづくものではありません)。
「工務店 集客」で調べると、Webで施主を集める方法がたくさん出てきます。それ自体は大切ですが、施主向けの経路だけで問い合わせを安定させようとすると、季節や景気、紹介してくれる人の事情に左右されやすいままです。法人向けの経路を持っておくと、施主からの問い合わせが少ない月でも仕事の入り口が残ります。逆に、法人の仕事に偏っていて単価や工期を自社で決めにくいと感じている会社は、施主向けの経路を強める意味があります。どちらが正解かではなく、自社の今の受注がどちらに寄っているかで、打つ手が変わります。
先に受注の出どころを数える|どちらの経路が足りないかを決める
集客の手を打つ前に、過去12か月の受注を1件ずつ書き出します。書く項目は、工事の種類、金額、そして「その仕事がどこから来たか」の3つで足ります。来た場所は、紹介、OB施主からの再依頼、自社サイトや広告からの問い合わせ、看板やチラシ、管理会社や不動産会社などの法人、元請けからの依頼、のように分けます。
書き出したら、次の4点を見ます。1つ目は、紹介の割合が大きいかどうかです。2つ目は、紹介の中でも、特定の1人や1社からの紹介に偏っていないかです。紹介元が1つに偏っていると、その相手の事情ひとつで受注が止まります。3つ目は、月ごとの件数の波です。4つ目は、法人から受けた仕事が1件もないかどうかです。
| 棚卸しで見えた状態 | 先に手を打つ経路 |
|---|---|
| 受注のほとんどが紹介で、紹介元が数人に偏っている | 紹介を仕組みにしつつ、施主向けか法人向けのどちらかに新しい入り口を1つつくる |
| 施主からの問い合わせはあるが、月ごとの波が大きい | 法人向けの経路を足して、少ない月の底を上げる |
| 法人や元請けからの仕事が大半で、単価や工期を決めにくい | 施主向けの経路を強める(施工事例の公開、OB施主との連絡から) |
| OB施主からの再依頼がほとんどない | 新しい集客より先に、引き渡し後の連絡の仕組みを整える |
出典: 編集部による一般的な整理(統計にもとづくものではありません)。
建設業全体で紹介や元請けへの依存度を測る手順は、建設業が新規開拓できない理由と、紹介・元請け依存を測る受注棚卸しで詳しく書いています。
施主向けの経路の選び方|準備できるものと会社の状況から決める
施主向けの経路は、いくつもを同時に始めるより、自社がすでに持っているものを生かせるものから1つか2つ選ぶ方が続きます。下の表は、経路ごとに準備するものと、向いている会社の状況を並べたものです。リフォーム会社や外壁塗装会社の集客でも、考え方は同じです。
| 経路 | 準備するもの | 向く会社 |
|---|---|---|
| OB施主への連絡(点検の案内、手紙、メール) | 過去の施主の一覧と工事内容、連絡してよいかの確認 | 施工件数の積み重ねがあり、引き渡し後の接点が切れている会社 |
| 自社サイトと施工事例の公開 | 工事前後の写真、工事の内容と期間、施主の掲載同意 | 写真や記録が残っていて、紹介された人に見せる資料がない会社 |
| 地域での認知(現場の看板、近隣へのあいさつ、チラシ、見学会) | 対応エリアの範囲、現場ごとの段取り、配る物と配る範囲 | 商圏が狭く、同じ地域で工事を続けている会社 |
| Web広告 | 広告から来た人が見るページ、問い合わせにすぐ返す体制、毎月の予算の上限 | 施工事例と自社サイトがすでに整っていて、問い合わせの数を早く増やしたい会社 |
| SNSでの発信 | 現場の写真を撮って出す担当と、続ける頻度 | 社内に発信を続けられる人がいて、施工の様子を見せられる会社 |
出典: 編集部による一般的な整理(統計にもとづくものではありません。経路ごとの問い合わせ件数や費用の目安は、確かめられる統計が無いため載せていません)。
工務店のWeb集客というと広告やSNSが先に思い浮かびますが、紹介で仕事を受けてきた会社ほど、まず手元にある過去の施主と施工記録を生かす方が早く効くことがあります。紹介された人は、たいてい依頼の前に会社の名前で調べます。そのときに施工事例が見つからないと、紹介があっても相談まで進まないことがあるためです。広告は、問い合わせが来たあとに見せるページと、すぐに返事をする人が決まってから始めます。
広告や施工事例の表示は、実際の工事と条件に合わせる
個人の施主に向けた広告や施工事例は、一般消費者に向けた表示です。景品表示法では、工事の品質や内容について、実際のものや他社のものよりも著しく優良であると示し、一般消費者の選択を妨げるおそれのある表示を、優良誤認表示としています。また、価格その他の取引条件について、実際のものや他社のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示を、有利誤認表示としています。工事前後の写真に写っている範囲、価格に含まれる工事と含まれない工事、値引きの条件は、実際の工事に合わせて書きましょう。
OB施主へのメールは、同意の記録と配信停止を確かめる
自社の工事の案内を載せたメールは、特定電子メール法の対象になる広告・宣伝のメールです。この法律では、原則として事前に送信を求めるか同意した相手にしか送れず、例外として名刺などの書面でアドレスを通知してきた相手や、取引関係にある相手などが挙げられています。同意を得て送る場合は同意を証する記録を保存し、送らないでほしいと求められたら、その意思に反して送ってはいけません。引き渡しから年数がたった施主をどう扱うかを示した公的な資料は確かめられなかったため、引き渡しのときに点検や案内の連絡をしてよいかを確かめ、その記録を残しておくと迷いません。
法人から仕事を受ける営業|管理会社・不動産会社・元請けへこちらから会いに行く
法人向けの経路は、待っていても問い合わせはほとんど来ません。管理会社や不動産会社、元請けの建設会社は、すでに付き合いのある業者に頼むことが多く、新しい業者を探すのは、手が足りないときや、今の業者の対応に不満があるときです。そのときに思い出してもらえるよう、先に顔を合わせておく営業が要ります。
進め方は、まず相手の種類を1つに絞ります。管理会社なのか、不動産会社なのか、元請けなのかで、窓口になる部署も、求められる工事も違うためです。次に、自社の対応エリアにある相手を一覧にし、電話で窓口と担当者を確かめてから訪ねます。訪問では、いきなり大きな工事を頼んでもらうより、対応できる工種とエリア、見積を出すまでの日数、急ぎの工事にどこまで応じられるかを伝え、小さな工事で一度試してもらうことを目指します。
法人に見せる資料は、施主向けの施工事例とは少し中身が変わります。相手が知りたいのは、仕上がりの美しさより、任せたときに手間が増えないかどうかです。対応できる工種と受けられない工事、動ける人数、連絡の速さ、報告の出し方を1枚にまとめておくと、担当者が社内で説明しやすくなります。
一方で、法人の仕事を受けるときは、自社で決められることが施主の仕事より少なくなります。1件あたりの単価、支払いの時期、工期の決め方、追加工事が出たときの扱いは相手ごとに違うため、最初の工事を受ける前に書面で確かめておきましょう。法人向けの経路を増やす目的は、施主からの問い合わせが少ない月の支えをつくることです。条件の合わない仕事で手が埋まり、施主の工事を断ることになっては逆効果なので、受ける工事の範囲と量の上限も先に決めておくと安心です。
元請けや協力会社という言葉の意味から確かめたい方は、元請けとは何か、下請けとの違いを先に読んでください。訪問先ごとのやり方は建設業の飛び込み営業|現場・支店・本社の訪問先別のやり方に、この営業を外部に任せる場合の手法と費用の考え方は建設業の営業代行|元請け開拓に向く手法と費用、任せる範囲の決め方にまとめています。
紹介を仕組みにする|頼み方と、紹介のあとの連絡を決めておく
紹介が多い会社は、それだけ施主や取引先から信頼されているということです。紹介をやめる必要はありません。問題は、紹介が来るかどうかを相手の事情に任せきりにしていることです。紹介を仕組みにするには、誰から何件の紹介が来たかを記録し、紹介してくれた人に結果を伝え、工事の区切りで紹介をお願いする場面を決めておきます。
もう1つ大切なのは、「今すぐではない」相談の扱いです。見積だけで止まった人や、数年後に外壁を直したいと言っていた人を記録しておき、時期が来たら連絡する流れをつくると、紹介や広告で得た相談を取りこぼしにくくなります。この考え方は、リードナーチャリングの基本|ツールなしで始める最小構成で、表計算ソフトとメールで回す手順として説明しています。紹介の頼み方そのものは、紹介営業の進め方で扱います。
建設のエイギョウブに相談する場合|法人向けの営業を任せる
当メディアを運営するLongWave株式会社の建設のエイギョウブは、ゼネコン・サブコン・地場工務店など工種や工事区分に応じて攻める先を抽出し、建設現場が分かるメンバーがスクリプトを作成したうえで、電話営業・訪問営業・DM/フォーム営業を組み合わせて開拓を進めるサービスです。この記事でいう法人から仕事を受ける経路を、外部に任せたいときの選択肢の1つになります。
建設のエイギョウブのサービスページには、建設・製造業の企業が、紹介・口コミ頼みの営業から脱却し、SNS運用・LP構築・広告運用による集客設計で問い合わせを倍増させた事例も載っています。これは営業代行ではなく集客支援の事例で、サービスページの注記のとおり、記載の内容・数値は対象期間や条件により異なります。料金は月額40万円〜で、支援範囲・体制に応じて提案します。
営業代行の公開事例を、相手・手法・成果・期間の4点で読む方法は、営業代行の事例|公開事例を読み、自社に置き換える方法にまとめています。
まとめ|受注を数えてから、足りない経路に1つずつ手を打つ
工務店やリフォーム会社の集客は、施主から問い合わせを受ける経路と、法人から仕事を受ける経路に分けて考えると整理できます。最初にやることは、過去12か月の受注を「どこから来たか」で書き出し、紹介への偏り、月ごとの波、法人の仕事の有無を確かめることです。
施主向けの経路は、OB施主への連絡や施工事例の公開のように手元にあるものから始め、広告は問い合わせを受ける体制が整ってから足します。広告や施工事例は実際の工事と条件に合わせ、OB施主へのメールは同意の記録と配信停止を守ります。法人向けの経路は、相手の種類を1つに絞り、電話で窓口を確かめてから訪ね、小さな工事で試してもらうところから始めましょう。紹介は記録と連絡の流れをつくり、相手の事情に任せきりにしないことが、問い合わせを安定させる近道です。
よくある質問(FAQ)
- 工務店の集客方法は、何から始めればいいですか?
- 過去12か月の受注を1件ずつ書き出し、紹介・OB施主・Webや広告・看板やチラシ・法人・元請けのどこから来たかを分けるところから始めます。紹介の割合や紹介元の偏り、月ごとの波、法人の仕事の有無が見えると、施主向けと法人向けのどちらの経路に手を打つべきかが決まります。施主向けなら、手元にある施工記録とOB施主の一覧を生かせる経路から始めると続けやすくなります。
- 工務店の集客単価や広告費の相場はどのくらいですか?
- 地域や工事の種類、単価によって大きく変わるため、他社の数字より、自社の受注額から逆算する方が判断を誤りにくいです。1件の工事で残る粗利と、問い合わせから契約に進む割合を自社の記録で出し、1件の問い合わせにいくらまでかけられるかを決めてから広告の予算を組みましょう。
- 紹介が減ってきたら、どうすればいいですか?
- まず、誰からの紹介が減ったのかを記録で確かめます。紹介元が数人に偏っていた場合は、その相手の事情で減っていることがあり、広告を増やしても同じ形の受注は戻りにくいです。紹介してくれた人へ結果を伝える、工事の区切りで紹介をお願いする場面を決める、といった形で紹介を仕組みにしつつ、法人から仕事を受ける経路やOB施主への連絡など、紹介以外の入り口を1つ足すことを考えましょう。
- 管理会社や不動産会社など、法人の仕事を増やすにはどうすればいいですか?
- 相手の種類を1つに絞り、対応エリアにある会社を一覧にして、電話で窓口と担当者を確かめてから訪ねるのが基本です。法人の担当者は、仕上がりより任せたときに手間が増えないかを見ています。対応できる工種と受けられない工事、見積までの日数、急ぎの工事への対応、報告の出し方を1枚にまとめて渡し、小さな工事で一度試してもらうことを目指しましょう。社内で手が回らない場合は、この営業を外部に任せる方法もあります。
出典
- 不当景品類及び不当表示防止法 第5条第1号・第2号(e-Gov法令検索)確認日 2026-09-19
- 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 第3条(e-Gov法令検索)確認日 2026-09-19
- 建設のエイギョウブ サービスページ(LongWave株式会社)確認日 2026-09-19



