BtoBの営業代行は、会社を比べる前に、①売り先と決裁の流れ、②外に出す工程、③手法、④料金の形と成果地点の順で決めます。ここが決まると、比べる会社と見積もりの条件が揃います。法人向けの商材は、相手が組織で、関わる人が複数いて、検討にも時間がかかります。そのため「どの代行会社がよいか」から考え始めると、見積もりの前提が会社ごとにばらばらになりやすく、判断がつきにくくなります。

この記事は、法人向けの商材を扱い、営業代行を初めて検討する経営者や営業責任者に向けて、発注先を探す前に社内で決めておくことを順番に整理したものです。

この記事で分かること

  • BtoBの営業代行で、BtoCと違って先に決めておくべきこと
  • 売り先と決裁の流れから、外に出す工程・手法・料金の形と成果地点を決める4段階の手順
  • 製造業・建設業・IT・SaaS・Web制作・不動産の業界別ガイドのどれを読めばよいか

BtoBの営業代行で先に決めること|BtoCとの違いから考える

営業代行は、自社の代わりに見込み客へ接触し、商談の機会をつくったり、商談そのものを担ったりするサービスです。個人のお客さまに売るBtoCと、法人に売るBtoBでは、同じ「営業を任せる」でも決めておくことが変わります。ここでは一般的に言われる違いを、2つの見出しに分けて整理します。

相手が組織で、関わる人が複数いる

BtoBの商談では、実際に商材を使う担当者、候補を集めて社内に提案する人、予算を承認する人が別々であることがよくあります。担当者が前向きでも、上長や経営者が納得しなければ話は進みません。営業代行に任せるときも、最初に誰へ連絡し、どの段階で誰に会うのかを決めておかないと、担当者との面談は増えても受注に近づかない状態になりがちです。

検討期間が長く、受注後も取引が続く

法人の購買は、情報収集、社内での比較、稟議、契約という段取りを踏むため、初回の接触から受注までに数か月かかることも珍しくありません。また、受注したあとも継続利用や追加発注、別の部署への紹介といった形で取引が続くことが多く、最初の営業での約束や説明が、その後の関係にも影響します。

この2つの違いがあるため、BtoBで営業代行を使うときは「何件のアポが取れるか」だけでなく、「誰と会えたか」「次の打合せに進んだか」「受注後に誰が顧客を引き継ぐか」まで、発注する側が先に決めておくことになります。

決める順番は4段階|代行会社を探す前に自社の条件を揃える

営業代行を初めて検討するときは、次の順番で決めていくと、途中で前提がずれにくくなります。前の段階の答えが、次の段階の選択肢を絞る関係になっているためです。

  1. 売り先と決裁の流れを書き出す。どんな会社の、どの部署の、どの立場の人に売るのか。誰が使い、誰が選び、誰が承認するのかを並べます。
  2. 外に出す工程を決める。リスト作成、初回接触、商談設定、商談、受注後の対応のうち、どこまでを代行会社に任せ、どこから社内で持つかを決めます。
  3. 手法を決める。1と2で決めた相手と工程に合わせて、電話、フォーム、訪問、展示会・交流会などから組み合わせを選びます。
  4. 料金の形と成果地点を決める。固定報酬型・成果報酬型・複合型のどれにするかと、何をもって「成果」と数えるかを、検討期間の長さに合わせて決めます。

この4つが決まってから、5段目として代行会社を並べて見ることになります。会社を並べるときの軸や見積もりの読み替え方は、営業代行の比較で揃える5つの軸と相見積もりの進め方で詳しく扱っています。

4つを一度に決めきれなくても問題ありません。1段目の売り先と決裁の流れだけでも社内で書き出しておくと、代行会社に相談するときに「誰に会いたいのか」を具体的に伝えられ、提案される工程や手法も自社の条件に沿ったものになりやすくなります。2段目以降は、相談しながら詰めていく進め方もあります。

売り先ごとに合う進め方|決裁者に届く経路から考える

1段目の「売り先と決裁の流れ」は、相手の種類によって大きく変わります。次の表は、BtoBの売り先を4つの型に分け、決裁者に届くまでの経路、向く手法、成果地点の例を並べたものです。あくまで考え方の目安で、同じ型でも商材や相手の社内事情によって変わります。

売り先の型 決裁者に届く経路 向く手法 成果地点の例
中小企業の経営者 経営者本人が選び、承認までする場合が多い。代表電話や問い合わせ窓口から本人につながるかが分かれ目 電話、フォーム、手紙、地域の交流会、訪問 経営者本人との面談の実施
大企業の部門 現場の担当者、部門の責任者、購買・情報システムなどの関係部署、役員と段階を踏む。最初は担当者から入ることが多い 電話やフォームで担当部署を特定し、SNS(LinkedInなど)や展示会で接点を広げる 担当部署との初回打合せ、責任者が同席する2回目の打合せ
店舗・事業所が多い業態 店舗や事業所の責任者と、本部・本社の決裁者が別のことがある。どちらが導入を決めるかを先に確かめる 電話で決める人を確かめてから訪問、本部向けには手紙やフォーム 決裁者との面談、試験導入する店舗・事業所の決定
不動産会社など業界が絞れる相手 業界ごとに決裁者の肩書きや忙しい時期が似ていることが多い。業界の言葉で話せるかが届くかどうかに影響する 業界とエリアを絞ったリストへの電話、フォーム、業界の交流会 決裁者との商談の実施

売り先を考えるときは、その型の相手がどれくらいいるかも目安になります。全国の事業所は卸売業、小売業24.0%、医療、福祉10.8%、建設業9.9%(令和6年経済センサス‐基礎調査)です。店舗や事業所の数が多い業種ほど、リストの件数は確保しやすい一方で、1つずつの決裁の流れを確かめる手間は増えます。

出典: 総務省・経済産業省「令和6年経済センサス‐基礎調査」甲調査 確報 第5表(2024年6月1日現在、雇用者のいない個人経営の事業所を除く。構成比は同表の全産業(公務を除く)に対する割合を算出)(確認日 2026-09-15)

決裁の流れは3つの問いで書き出す

表のどの型に当てはまるか迷うときは、過去に受注した取引先を思い出して、「実際に使っている人は誰か」「候補を選んだ人は誰か」「最後に承認した人は誰か」の3つを書き出してみてください。同じ人の名前が3つとも入るなら中小企業の経営者に近い型、3つが別々の部署に分かれるなら大企業の部門に近い型です。受注した実績がまだ無い場合は、失注した商談や、話が止まった相手で同じことを書き出すと、どこで話が止まりやすいかが見えてきます。

外に出す工程と手法の組み合わせ|社内に残すものを先に決める

2段目と3段目では、営業の工程を分けて、どこまでを外に出すかと、その工程でどの手法を使うかを決めます。次の表は、工程ごとに外に出すときの手法の例と、社内に残しておくものを並べたものです。手法同士の優劣を示すものではなく、工程と手法の組み合わせを考えるための整理です。

工程 外に出すときの手法の例 社内に残すもの
リスト作成 業種・規模・エリアの条件を渡して作成してもらう 対象にする条件の決定、既存顧客や取引中の会社など除外する先の一覧
初回接触 電話、フォーム、DM・手紙、SNS、展示会・交流会 伝える内容の元になる資料、言ってはいけないことの一覧
商談設定 電話での日程調整、インサイドセールスによるヒアリング 商談に進めてよい相手の条件、商談を受ける社内の担当と空き日程
商談 オンライン商談、訪問、商談から成約まで一括で任せる 価格や納期など約束してよい範囲、技術的な質問に答える担当
受注後 導入後の連絡や追加提案の一部を任せる場合もある 契約、請求、顧客情報の管理、長く続く取引の窓口

初めて営業代行を使う場合は、リスト作成から商談設定までを外に出し、商談以降を社内に残す分け方が、社内に何が残るかを把握しやすい形です。反対に、社内に商談を担える人がいない場合は、商談や成約まで任せる選択肢もあります。そのときも、受注後の取引は自社で続くため、顧客情報と商談の記録を誰が持つかは契約前に決めておきます。

手法は、売り先の型と工程の組み合わせで絞る

3段目の手法は、単独で選ぶより、1段目の売り先の型と2段目の工程に当てはめて絞るほうが決めやすくなります。たとえば、決裁者が経営者本人の相手には、電話で本人につながる時間帯や窓口を確かめ、会う約束を取ってから訪問する組み立てが考えられます。担当部署から入る大企業の部門には、電話やフォームで窓口を特定し、資料を送ったうえで打合せを設定する流れが一般的です。1つの手法で全部を済ませようとせず、工程ごとに役割を分けて組み合わせると、どこで止まったかを後から確かめやすくなります。

工程の境目で渡すものを決めておく

工程を分けると、代行会社から社内へ、または社内から代行会社へ引き継ぐ場面が生まれます。BtoBでは相手の社内で複数の人が関わるため、「誰と話したか」「相手の検討はどの段階か」「次にいつ連絡する約束をしたか」が抜けると、せっかくの接点が途切れます。引き継ぐときに書く項目を先に決め、共有する場所(SFAやCRM、スプレッドシートなど)もあわせて決めておくと、途中で担当が変わっても話を続けられます。

検討期間で料金の形と成果地点を選ぶ

4段目では、料金の形と、何を成果として数えるかを決めます。ここで大事なのは、自社の商材の検討期間の長さです。初回の接触から受注までが短い商材と、数か月かかる商材では、同じ料金の形でも発注する側に残るリスクが変わります。

料金の形ごとの目安

固定報酬型は、成果の件数にかかわらず毎月決まった額を払う形です。営業担当者1人あたり月50万〜60万円程度とするメディアが多く(Sales Marker、PRONIアイミツほか。税区分の記載なし)、テレアポ中心なら月50万〜70万円とする例もあります。

成果報酬型のうちアポイント課金は、アポイント1件あたり1万5,000円〜2万円程度(Sales Marker、PRONIアイミツ、BOXILの34サービス調査)から、1万〜3万円(グランドセントラル)、決裁者アポなど難易度が高いと3万〜5万円程度(アイドマ、ローカルマーケティングパートナーズ)まで幅があります。

成約時に売上の一定割合を払う形もあります。受注時の報酬は売上の20〜30%(グランドセントラル、アイドマ)とする媒体と、30〜50%(Sales Marker、PRONIアイミツ)とする媒体があり、定まった相場はありません。このほか、月額の固定費に成果報酬を上乗せする複合型もあり、固定部分と成果部分の割合は会社や契約によって異なります。いずれも媒体が紹介している目安で、実際の金額は商材や依頼範囲、成果の定義によって変わります。

検討が長い商材は、アポの先に成果地点を置く

アポイント課金は成果が見えやすい一方で、BtoBで検討期間が長い商材の場合、アポの件数だけで契約すると、受注までの距離が発注する側に残ります。初回の面談は増えても、決裁者が同席する打合せや見積もりの依頼に進まなければ、費用だけが積み上がるためです。

そのため、検討期間が長い商材では、「決裁者との面談」「2回目の打合せ」「見積もりの依頼」など、アポより受注に近い地点を成果として数えるか、少なくとも報告の項目に入れることが一般的な考え方です。成約時の売上比率で払う形は受注に直結しますが、受注までの期間が長いと代行会社側の負担が大きく、引き受ける条件や計算の元になる売上の定義を細かく詰める必要があります。固定報酬型を選ぶ場合も、毎月どの地点まで進んだかを数える項目を決めておくと、続けるかどうかを判断しやすくなります。

業界別ガイドの入口|自社の業界の記事で細部を確かめる

ここまでの4段階は、BtoBの営業代行に共通する決め方です。実際には、業界によって決裁者の肩書き、成果として数えやすい地点、社内に残すべき工程が変わります。自社の業界に近いガイドで、細かい部分を確かめてください。

業界 その記事で分かること 記事
製造業 技術営業のうち任せられる工程と自社に残す工程、見積依頼や試作依頼を成果として数える決め方 製造業の営業代行
建設業 元請け・ゼネコン・工務店など開拓先ごとの手法の違い、協力会社登録や見積依頼の数え方 建設業の営業代行
IT・SaaS 外に出しやすい工程と社内に残す工程、テレアポやフォーム、インサイドセールス、訪問をどう使い分けるか IT・SaaSの営業代行
Web制作 案件単価から1件の商談に払える上限を計算し、料金の形を決める考え方 Web制作会社の営業代行
不動産 不動産会社を相手にする営業代行の進め方と、宅地建物取引業法との線引き 不動産の営業代行

自社の商材がそもそも営業代行に合うかどうかを先に確かめたいときは、商材の条件から営業代行に向く業種・向かない業種を見分ける記事で確かめてください。

エイギョウブで頼める範囲

エイギョウブは、当メディアを運営するLongWave株式会社の営業支援サービスです。サービスページでは、支援企業は100社以上、営業チャネルは電話・DM・SNS・訪問・手紙・紹介・交流会の7以上と掲載しています。アポイント獲得だけでなく、商談から成約までを一括で請け負うこともできるため、この記事の工程の表でいえば、リスト作成から商談、成約までのどこまでを任せるかを相談しながら決められます。

進め方は、ヒアリングのあとに支援計画(KPI・PL設計、体制の提案)を作成し、契約、アサイン・稼働開始へと進みます。相談の前に、この記事の4段階のうち売り先と決裁の流れだけでも書き出しておくと、ヒアリングで自社の条件を伝えやすくなります。

契約の形は1つではありません。2026年7月時点で進行中の営業支援契約は31件で、月額固定型17件・成果報酬型11件・人材アサイン型3件です。料金は、総合のエイギョウブのサービスページに掲載している月額料金の目安で、トライアル30万円〜/月(税別)、標準50万円〜/月(税別)、上位は個別見積りです。支援範囲や体制に応じて提案する形なので、成果地点をどこに置くかとあわせて見積もりの場で確認してください。

まとめ|BtoBの営業代行は、会社を探す前に4つを決める

BtoBで営業代行を使うときは、相手が組織で、関わる人が複数いて、検討期間が長いという前提に合わせ、発注する側が先に条件を決めておくと、会社選びと見積もりの条件が揃います。

  • 決める順番は、①売り先と決裁の流れ、②外に出す工程、③手法、④料金の形と成果地点です。代行会社を並べて見るのは、その後の5段目です。
  • 売り先は、中小企業の経営者、大企業の部門、店舗・事業所が多い業態、業界が絞れる相手などの型で考え、決裁者に届く経路から手法と成果地点を選びます。
  • 工程を外に出すときは、社内に残すもの(除外先の一覧、約束してよい範囲、顧客情報の管理)と、工程の境目で渡す項目を先に決めます。
  • 料金の目安は媒体によって幅があり、税区分の記載もありません。検討期間が長い商材では、アポより受注に近い地点を成果か報告の項目に入れます。
  • 業界ごとの細かい違いは、製造業・建設業・IT・SaaS・Web制作・不動産の各ガイドで確かめます。

よくある質問(FAQ)

BtoBの営業代行とは?
BtoBの営業代行とは、法人向け商材を扱う会社に代わって、ほかの法人へ接触し、商談の機会をつくったり、商談や成約までを担ったりする外部サービスのことです。任せる範囲は、ターゲットのリスト作成、電話やフォームによる初回接触、商談の日程調整、商談の実施などに分かれ、どこまで頼むかは契約で決めます。法人の相手は検討に関わる人が多いうえ、受注までに時間がかかることもあるので、売り先と決裁の流れを先に整理してから、任せる工程と成果の数え方を決めると話が進みます。
BtoCの営業代行と何が違う?
大きな違いは、相手が組織であることです。BtoBでは、商材を使う担当者、候補を選ぶ人、予算を承認する人が別々のことが多く、担当者と会えても受注に進むとは限りません。検討期間が長く、受注後も継続利用や追加発注で取引が続くことも多いため、アポの件数だけでなく、誰と会えたか、次の打合せに進んだか、受注後に誰が顧客を引き継ぐかまで決めておく必要があります。個人のお客さまに売るBtoCは、購入を決める人と使う人が同じことが多いため、決めておくことの重みが変わります。
大企業向けと中小企業向けで代行会社の選び方は変わる?
売り先が大企業か中小企業かで、決裁者に届く経路と成果地点が変わるため、代行会社に求めることも変わります。中小企業の経営者が相手なら本人と会えるかが分かれ目になり、大企業の部門が相手なら担当部署の特定から責任者が同席する打合せまで、段階を踏んで進める力が求められます。なお、発注先の代行会社そのものが大手か中小かによる違いは、大手の営業代行と中小の営業代行の違いで、規模から推測せずに書面で確かめる点を整理しています。
自社の商材が営業代行に向くか分からないときは?
まず、商材の説明を社外の人が覚えて話せるか、売り先の条件をリストの形で書き出せるか、受注までの流れを工程に分けられるかを確かめてみてください。この3つが書き出せれば、少なくとも一部の工程は外に出す検討ができます。商材の条件から業種ごとに見分ける方法は、営業代行が向いている業種・向かない業種で詳しく扱っています。判断に迷う場合は、この記事の4段階のうち1段目の売り先と決裁の流れだけでも書き出してから相談すると、話が進めやすくなります。

出典