IT・SaaS企業が営業代行を使うときは、リスト作成から商談化まで(電話・フォーム・インサイドセールス)を外に出し、デモ・提案・受注の判断は社内に残す分け方が基本になります。オンラインだけでは話が進みにくい中小企業や地方の顧客には、電話やDMで事前に接点を作ってから訪問する工程を足すと、会える商談を作りやすくなります。外に出す範囲を決める前に、製品資料や想定問答、商談として数える条件をそろえておくと、代行会社との認識のずれを抑えられます。

この記事は、SaaSやITサービスを法人に販売している会社の経営者・営業責任者に向けたものです。自社の製品やサービスを売る営業のうち、どの工程を外注し、首都圏以外の中小企業へどう広げるかを判断できるように整理しました。

この記事で分かること

  • リスト作成から導入後までの工程のうち、外に出しやすい工程と社内に残す工程の分け方
  • テレアポ・フォーム営業・インサイドセールス・訪問の使い分けと、地方の顧客へ訪問を組み合わせる進め方
  • 営業代行全体の費用の目安(出典つき)と、依頼前に渡す資料・決めておくこと

IT・SaaSの営業で外に出しやすい工程と社内に残す工程

SaaSやITサービスの営業は、対象企業のリストを作って接触し、商談の機会を作り、製品デモや提案を経て受注し、導入後の定着や追加契約につなげる流れで進みます。このうち外注に向くのは、手順を決めて量をこなすほど結果を比べやすい前半の工程です。製品の細かな仕様、価格の調整、導入できるかどうかの判断が絡む後半の工程は、社内の担当者が持っておくほうが、顧客への回答と契約の中身が食い違いにくくなります。

工程 主な中身 この記事で勧める分け方 外に出しても社内で決めておくこと
リスト作成 業種・規模・地域・利用中のツールなどで対象企業を絞る 外に出す 狙う顧客の条件と、除外する企業(既存顧客・商談中の企業など)
接触 架電、問い合わせフォームへの送信、SNSでのつながり申請やメッセージ 外に出す 訴求の軸、使ってよい事例と表現
商談化 課題と検討時期の聞き取り、資料送付後のフォロー、日程調整 外に出す 商談として数える条件と、社内へ引き継ぐ基準
デモ 製品画面を使った説明と質疑 社内に残す(代行側の同席は可) 技術的な質問への回答、デモ環境の管理
提案・見積 導入範囲と料金の提示、稟議に使う資料の用意 社内に残す 値引きや特別条件を出すかどうか
受注 契約条件の確定、申込みの受付 社内に残す 契約書と利用規約の説明
導入後 初期設定の支援、利用の定着、追加契約の提案 社内に残す 解約を防ぐ対応と追加提案の判断

出典: 編集部による工程の整理(数字を含まないため、外部資料の出典はありません)

前半を外に出すと、社内の営業担当はデモと提案に時間を使えるようになります。反対にデモまで外注すると、製品の機能追加や価格改定のたびに代行側への共有が必要になり、説明の質を保つ手間が増えます。

ただし、社内に営業担当がまだいない段階では、商談から成約までを含めて任せる頼み方もあります。その場合も、後半まで含めた見積と、前半だけを外に出す見積を並べて、社内に残す工程との費用と手間を比べてから決めると判断しやすくなります。業種ごとに営業代行が向くかどうかの見分け方は、営業代行が向いている業種・向かない業種で商材の条件から整理しています。

IT・SaaS企業が営業代行を検討する3つの場面

IT・SaaS企業で営業の外注を考えるのは、主に次の3つの場面です。どの場面かによって、外に出す工程と、代行会社に求める経験が変わります。

製品の立ち上げ期で、売れる相手をまだ絞り込めていない

製品を出したばかりで、どの業種・規模の企業が買ってくれるか分からない段階では、多くの企業に接触して反応を比べる工程を外に出すと、検証を早く進められます。この段階では件数よりも、どんな相手が話を聞いてくれたか、断られた理由は何だったかという記録が次の判断材料になります。報告してもらう項目は、稼働前に決めておきましょう。

新しい業界へ対象を広げる

すでに売れている業界とは別の業界へ広げるときは、相手の業務の流れや使う言葉が変わります。社内の担当者が既存顧客の対応で手一杯なら、新しい業界向けのリスト作成と最初の接触を外に出し、反応があった企業の商談は社内で受ける分け方にすると、既存顧客の対応を崩さずに試せます。

首都圏以外の顧客へ広げる

オンライン商談で決まる顧客が首都圏に偏っている場合は、地方の中小企業へどう届けるかが課題になります。電話やフォームだけでは接点ができにくい相手には、訪問を組み合わせる方法があり、進め方は後の章で扱います。

どの場面でも、営業を担う人を社内ですぐに増やしにくいことが外注を考える理由になりがちです。日本商工会議所・東京商工会議所が会員企業を対象に2024年7月に行った調査では、情報通信・情報サービス業の56.2%が、人手が「不足している」と回答しました。営業職の求人倍率の推移は、営業の人手不足を公的統計で見る記事にまとめています。

テレアポ・フォーム営業・インサイドセールス・訪問の使い分け

接触から商談化までを外に出すといっても、手法によって向く場面が違います。1つに絞る必要はなく、目的に合わせて組み合わせることもできます。

テレアポ|担当部署や決裁者に直接つなぎたいとき

電話は相手の反応をその場で聞けるので、課題の有無や検討時期を短い時間で確かめられます。一方で、受付で担当者につながらないこともあるため、トークと断られたときの返し方を試しながら直していく期間を見込んでおく必要があります。料金の形と目安はテレアポ代行の費用相場で扱っています。

フォーム営業|多くの企業へ短期間で案内を届けたいとき

問い合わせフォームへの送信は、電話より少ない人手で多くの企業に案内を届けられます。返信があった企業との日程調整をインサイドセールスが引き継ぐ流れにすると、接触と商談化を分けて管理できます。送信件数の数え方や費用は、フォーム営業代行の費用と選び方を参照してください。

インサイドセールス|資料請求や展示会の接点を商談にしたいとき

資料をダウンロードした企業や、展示会・セミナーで名刺を交換した企業に、電話やメールで継続して連絡し、課題を聞いたうえで商談につなげる工程です。SaaSでは、無料トライアルを申し込んだ企業へのフォローをこの工程に含めて考える方法もあります。成果を何で測るかと費用の形は、インサイドセールス代行の費用相場で整理しています。

訪問|画面越しでは決めにくい商材や相手のとき

導入によって現場の業務の進め方が変わる製品や、複数の部署が導入に関わる製品では、実際に会って話を聞くほうが、導入の妨げになっている事情をつかみやすい場合があります。どんな商材で訪問が効くかは、訪問営業が有効な商材の特徴で詳しく書いています。

地方の中小企業へ訪問を組み合わせる進め方

首都圏以外の中小企業には、オンライン商談の案内だけでは話が進みにくい相手もいます。とはいえ、約束をせずに訪問しても、導入を決める立場の人に会えるとは限りません。訪問を組み合わせるときは、次の順番で工程を組むと、移動にかかる時間を商談につなげやすくなります。

  1. 業種・規模・エリア・決裁の仕組みで対象企業を絞り、訪問の優先度を決める
  2. 電話やDM、フォームで事前に接点を作り、日時を約束した「会える商談」にしてから訪問する
  3. 同じ地域の約束をまとめ、1回の出張で複数の企業を回れるように日程を組む
  4. 訪問では課題の聞き取りと導入後の姿の共有に絞り、詳しいデモや見積は社内の担当者がオンラインで引き継ぐ
  5. 訪問の結果をSFA/CRMに記録し、アポ率・商談率・受注率を週次で見て、対象企業や話し方を直す

当メディアを運営するLongWave株式会社の訪問エイギョウブも、サービスページで、訪問の優先度が高い企業を抽出し、電話やDMで事前接点を作って「会える商談」にしてから訪問し、訪問結果を週次で分析して改善する進め方を示しています。

SaaSの訪問では、訪問する担当者がすべての質問にその場で答えられるとは限りません。訪問で出た質問のうち、答えてよい範囲と社内へ持ち帰る範囲を事前に分けておくと、その場の誤った回答が契約後のトラブルにつながることを防げます。

地域ごとの営業代行の記事

地域ごとの企業数や業種の構成は、地域別の記事で公的統計をもとに整理しています。福岡県の企業へ広げる場合は、福岡の営業代行を参照してください。大阪府を中心とする関西の企業へ広げる場合は、大阪の営業代行で扱っています。東京都内の企業については東京の営業代行にまとめています。愛知県の企業へ広げる場合は名古屋の営業代行が参考になります。広島県の企業については広島の営業代行で扱っています。千葉県の企業へ広げる場合は千葉の営業代行を参照してください。

費用の考え方|営業代行全体の目安を外に出す工程に当てはめる

IT・SaaSの商材に限った営業代行の料金の目安を示した資料は、この記事を作るにあたって確認した範囲では見つかりませんでした。下の表は、比較メディアなどが営業代行全体の目安として示している数字です。SaaSだから高い、安いと読み替えず、外に出す工程と成果の数え方に当てはめて使ってください。

料金の形 営業代行全体の目安 出典名
固定報酬型(1人あたり月額) 営業担当者1人あたり月50万〜60万円程度とするメディアが多い。テレアポ中心なら月50万〜70万円とする例もある Sales Marker、PRONIアイミツほか/テレアポ中心はローカルマーケティングパートナーズ
成果報酬型(アポイント1件) 1件あたり1万5,000円〜2万円程度から、1万〜3万円、決裁者アポなど難易度が高いと3万〜5万円以上まで幅がある Sales Marker、PRONIアイミツ、BOXIL(34サービス調査)/グランドセントラル/アイドマ・ホールディングス、ローカルマーケティングパートナーズ
複合型 月額10万〜50万円の固定費に成果報酬を上乗せする形が一般的。固定部分を20万〜50万円とする媒体もある Sales Marker、PRONIアイミツ、BowNow/固定20万円からはグランドセントラル
インサイドセールス代行(月額) 固定型で月40万〜80万円、月50万〜70万円が目安 InsideSales Magazine/BizFocus

出典: Sales Marker(2026年1月22日更新)、PRONIアイミツ(2026年3月3日更新)、BOXIL 営業代行主要34サービス調査(2026年5月1日更新)、グランドセントラル(2026年1月21日・7月31日更新)、アイドマ・ホールディングス(2026年5月26日更新)、ローカルマーケティングパートナーズ(2026年5月22日更新)、BowNow(2026年8月6日更新)、InsideSales Magazine(2026年8月27日更新)、BizFocus(2026年6月17日更新)。取得日 2026-09-14。いずれも税区分の記載はありません(BOXILは税区分不明の製品を税抜として算出と注記)。IT・SaaSに限った数字ではありません。

成約したときに売上の一定割合を払う形は、売上の20〜30%(グランドセントラル、アイドマ・ホールディングス)とする媒体と、30〜50%(Sales Marker、PRONIアイミツ)とする媒体があり、定まった相場はありません。月額課金のSaaSでは、計算の元になる「売上」を初月の請求額にするか、年額や一定期間の合計にするかで支払額が大きく変わります。成果報酬を検討するときは、元になる金額と対象期間を契約書に書いておきましょう。

料金体系ごとの費用対効果の見方は営業代行の費用相場と費用対効果の見極め方で、成果報酬型の仕組みと成果の定義は営業代行の成果報酬型の相場と成果定義で詳しく扱っています。

依頼前に渡す資料と決めておくこと

代行会社がIT・SaaSの商材を顧客に説明できるようになるまでの期間は、発注側が渡す資料と決めごとの量で変わります。稼働前に、次の項目をそろえておきましょう。

  • 製品資料と料金表: 顧客に送ってよい資料と、社内向けで外に出さない資料を分けて渡します。料金を電話や訪問の場でどこまで伝えてよいかも決めておきます。
  • 想定問答: よく聞かれる質問への答えと、セキュリティ・他システムとの連携・値引きなど、代行側では答えずに社内へ回す質問の一覧を用意します。
  • 導入事例の公開可否: 社名を出してよい事例、業種だけなら話してよい事例、話してはいけない事例を分けて伝えます。
  • 競合製品との比較で言ってよいこと: 根拠を示せる違いだけを伝えることにし、他社製品を下げる言い方をしない線を決めます。
  • 成果の定義: 何を満たせば商談1件と数えるか(例えば、導入の検討に関わる人が同席する、課題と検討時期を聞けているなど)と、社内の担当者へ引き継ぐ基準を文書にします。
  • SFA/CRMの使い方: 代行側に入力してもらう項目、閲覧や編集ができる範囲、アカウントの発行と停止の手順を決めます。

営業リストや顧客管理のデータを共有するときは、個人情報の扱いにも注意が必要です。担当者の氏名から作られたメールアドレスのように、それだけで特定の個人を識別できるものは、単独で個人情報に当たります(個人情報保護委員会のQ&A)。名簿業者からリストを買うこと自体は禁止されていませんが、相手がそのデータを取得した経緯などを確認し、記録する義務がかかります。代行会社がリストを用意する場合は、どこから取得したデータかを確認しておきましょう。

稼働後の要望の伝え方も決めておきます。代行会社のスタッフからの問い合わせに、業務に必要な範囲で情報を提供するだけなら、直ちに労働者派遣事業とはされません。一方、発注側が顧客への営業上の対応方針などをスタッフに直接指示している場合は、労働者派遣事業と判断されます(厚生労働省の37号告示関係疑義応答集)。トークの変更やリストの差し替えは、代行会社の責任者を通して依頼する流れにしておきましょう。

エイギョウブに頼む場合

エイギョウブは、当メディアを運営するLongWave株式会社の営業支援サービスです。総合のエイギョウブのサービスページでは、実行支援のメニューとして、電話営業(BDR/SDR)、フォームDM(1日最大500件のアプローチ)、SNS運用(LinkedIn)、交流会・展示会、即戦力人材アサイン(最短数日で稼働)、マルチチャネルを挙げています。

この記事で外に出しやすいとした工程に当てはめると、接触は電話営業・フォームDM・LinkedInの運用で、社内のチームに加わる人手が足りない場合は即戦力人材アサインで補う形が考えられます。同じページでは、アポイント獲得だけでなく、商談から成約までを一括で請け負うことができるとしています。社内に営業担当がいない段階なら、どこまで任せるかを相談の場で比べて決められます。

SaaS企業の支援事例としては、不動産業界向けのサービスページ(エイギョウブ for 不動産)に、不動産向けSaaS企業の事例が掲載されています。中小〜中堅の不動産会社にテレアポとフォーム営業を実施し、商談獲得は月20件〜、受注率は30%以上という内容です。数値は対象期間・条件により異なります。不動産業界に向けた1つの事例なので、他の業界を相手にするSaaSで同じ結果になるとは限りません。

料金は、総合のエイギョウブのサービスページに掲載している月額料金の目安で、トライアル30万円〜/月(税別)、標準50万円〜/月(税別)、上位は個別見積りです。支援範囲や体制によって変わります。訪問を組み合わせられるか、対応できるエリアはどこかは、お見積り時に確認してください。

まとめ

IT・SaaS企業が営業代行を使うときは、リスト作成・接触・商談化を外に出し、デモ・提案・受注・導入後は社内に残す分け方から考えると、代行会社との役割がはっきりします。

  • 製品の立ち上げ期、新しい業界への展開、首都圏以外への展開のどれに当たるかで、外に出す工程と代行会社に求める経験が変わります。
  • テレアポ・フォーム営業・インサイドセールス・訪問は、目的に合わせて組み合わせます。
  • 地方の中小企業には、事前に接点を作って会える商談にしてから訪問し、詳しいデモは社内がオンラインで引き継ぐ流れにすると組みやすくなります。
  • IT・SaaSに限った料金の目安は確認した範囲では見つからなかったため、営業代行全体の目安を使い、成果の数え方と計算の元になる売上の定義をあわせて確認します。
  • 稼働前に、製品資料・想定問答・事例の公開可否・比較で言ってよいこと・成果の定義・SFA/CRMの権限をそろえておきます。

よくある質問(FAQ)

SaaSの営業代行の相場はいくらですか?
SaaSやITの商材に限った料金の目安を示した資料は、この記事を作るにあたって確認した範囲では見つかりませんでした。営業代行全体では、固定報酬型は営業担当者1人あたり月50万〜60万円程度とするメディアが多く(Sales Marker、PRONIアイミツほか)、アポイント1件の成果報酬は1万5,000円〜2万円程度から、難易度が高いと3万〜5万円以上まで幅があります。インサイドセールス代行は固定型で月40万〜80万円(InsideSales Magazine)が目安です。いずれも税区分の記載はありません。
商材の理解が浅いまま架電されることはありませんか?
起こり得るので、稼働前の準備で防ぎます。製品資料と料金表、よく聞かれる質問への答え、代行側では答えずに社内へ回す質問の一覧を渡し、使ってよい導入事例と比較の言い方も決めておきます。稼働の初めのうちは、取れた商談の中身を社内の担当者が確認し、ずれがあればトークやリストの直しを代行会社の責任者を通して依頼すると、説明の質をそろえやすくなります。
インサイドセールス代行とテレアポ代行は何が違いますか?
主な違いは、接触する相手と、商談にするまでの連絡の続け方です。テレアポ代行は、リストの企業に電話をかけてアポイントを取ることが中心です。インサイドセールス代行は、資料請求や展示会などで接点を持った企業に、電話やメールで継続して連絡し、課題を聞いたうえで商談につなげる工程を担います。ただし呼び方の定義は会社ごとに揃っていないので、サービス名ではなく、どの工程までを担うかで見積を比べてください。
地方の中小企業へ訪問してもらうことはできますか?
訪問を含めて請け負う営業代行はありますが、対応できるエリアや交通費の扱いは会社ごとに違うため、見積の段階で確認が必要です。エイギョウブの対応エリアは、お見積り時に確認してください。訪問を組み合わせる場合は、電話やDMで事前に接点を作り、日時を約束した商談にしてから訪問し、詳しいデモや見積は社内の担当者がオンラインで引き継ぐ流れにすると、移動の手間を商談につなげやすくなります。

出典

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