営業日報は、行動の数・相手の反応・次の約束を毎日同じ項目で残し、週に1回見直すと商談を増やす材料になります。毎日の報告として書くだけでは、読まれないまま積み上がり、やがて書く側も読む側も形だけになります。項目を固定し、週に1回数字と中身を並べて見る場を先に決めておくことが、日報を役に立つ記録にする近道です。

この記事は、日報が形だけになっている、または記録の型をこれから作りたい営業責任者と担当者に向けて書いています。日報アプリやSFA(営業支援システム)の製品比較は扱いません。表計算ソフトでも紙でも使える項目と書き方、見直し方に絞っています。なお、日報の作成時間や定着率を示す信頼できる統計は確認できなかったため、そうした数字は載せていません。

この記事で分かること

  • 営業日報に必ず書く項目と、必要に応じて足す項目の書き方と記入例
  • 訪問営業版と電話営業版のテンプレートと、良い例文・直したい例文の違い
  • 日報を形だけにしない運用と、週1回の見直しで商談につなげる手順

営業日報とは|週報・訪問記録との違い

営業日報は、営業担当がその日に行った活動と、その結果、次にやることを1日単位でまとめた記録です。上司への報告書として扱われがちですが、本来の役割は「次の一手を決めるための材料」を残すことにあります。誰に何回会い、相手がどう反応し、次にいつ何をする約束をしたか。この3点が毎日そろっていれば、1週間分を並べたときに、どこで商談が止まっているかが見えてきます。

週報とは粒度が違う

週報は1週間の活動をまとめて振り返る記録で、数字の合計や来週の方針を書くのに向いています。一方で、週末にまとめて書くと、個々の商談で相手が何を言ったか、どんな宿題をもらったかは記憶から抜け落ちやすくなります。日報はその日の事実をその日のうちに残すための記録、週報は日報を材料に傾向を読むための記録と分けて考えると、両方の役割がはっきりします。

訪問記録・商談記録とは単位が違う

訪問記録や商談記録は、1社・1回の商談ごとに内容を詳しく残すものです。営業日報はそれを1日分束ねたもので、1日の行動量と、各商談の要点と次の約束を一覧にします。商談の中身を細かく残す必要がある場合は、日報には要点だけを書き、詳しい内容は顧客ごとの記録に残すという分け方が扱いやすくなります。

営業日報に書く項目|必須6つと、足してよい項目

項目は多いほど丁寧に見えますが、毎日書く記録では項目が増えるほど空欄と定型文が増えます。まずは毎日必ず埋める項目を6つに絞り、それ以外は営業のやり方に合わせて足すのが続けやすい形です。

項目 区分 書き方 記入例
日付・担当者 必須 あとで週ごと・人ごとに集計できる形で書く 9月14日(月) 営業1課 担当者名
行動の数 必須 訪問・架電・商談など、数え方を決めた行動を件数で書く 訪問4件(うち新規2件)、架電12件
会った相手と目的 必須 会社名と相手の役職、その接点で何を達成したかったかを書く A社 工場長。導入可否の判断材料を聞く
相手の反応 必須 相手が言ったこと・出した条件を、感想ではなく発言として書く 「今期は予算がない。来期の計画は11月に固める」
次の約束 必須 誰が・いつまでに・何をするかを日付入りで書く 10月末までに概算見積りを送る(担当者)
困っていること・相談 必須 上司やチームに判断・助けを求めたいことを1行で書く。無ければ「なし」 値引きの可否を今週中に判断してほしい
商談の段階 任意 社内で決めた段階の名前をそのまま使う 初回商談済み→提案準備
競合・既存の取引先 任意 相手から聞けた範囲だけを書く。推測は推測と分かるように書く 現在は別の取引先から購入(相手の発言)
気づき・改善案 任意 トークや資料で試したこと、次に変えたいことを書く 導入手順の図を先に見せると質問が具体的になった

出典: 編集部作成。記入例は説明のための架空のもので、実在の会社・商談ではありません。

必須の6項目は「数・反応・約束」に集まっている

6項目のうち、行動の数は「どれだけ動いたか」、相手の反応は「動いた結果どうだったか」、次の約束は「この先どう進むか」を表します。この3つがそろうと、週次で見直したときに、動いた量が足りないのか、反応が悪いのか、約束の取り付けで止まっているのかを切り分けられます。日付・担当者と、会った相手と目的は、その3つを集計し直すための土台です。困っていること・相談の欄は、日報を上司との連絡手段として使うための項目で、ここに書かれたことには上司がその日のうちに返事をする、と決めておくと機能します。

任意の項目は、使う場面が決まってから足す

商談の段階や競合の情報は、あとで集計や見立てに使う予定があるときだけ足します。段階を書く場合は、担当者ごとに言葉が違うと集計できないため、社内で段階の名前と条件を先にそろえておく必要があります。商談の数え方のそろえ方は商談数が増えない原因を工程ごとに特定する方法で扱っています。

営業日報のテンプレート|訪問営業版と電話営業版

同じ営業日報でも、訪問中心か電話中心かで、1日に扱う接点の数と、1件ごとに残すべき内容が変わります。ここでは表計算ソフトにそのまま写せる形で2つの見本を示します。1行を1件の接点にし、1日の終わりに合計欄を足す作り方です。

訪問営業版は、1件ごとの中身を厚めに残す

訪問営業は1日に会える件数が限られる一方で、1件ごとに聞ける情報が多くなります。そのため、相手の役職と、相手が出した条件、次回の日時を必ず残せる列を用意します。

列 記入例(1行分)
訪問先・種別 B社(製造業)・新規
面談相手の役職 総務部長(決裁は社長)
訪問の目的 現状の課題と検討時期を聞く
相手の発言・条件 「更新は来年3月。比較資料があれば社長に上げる」
結果 次回商談の約束あり
次の約束(誰が・いつ・何を) 担当者が9月25日までに比較資料を送付。10月2日に社長同席で再訪
1日の合計欄 訪問件数、面談できた件数、次回の約束が取れた件数

出典: 編集部作成。記入例は説明のための架空のものです。

電話営業版は、件数と結果の分類を先に決める

電話営業は1日の接点が多く、1件ごとに長く書くと続きません。結果をあらかじめ決めた分類から選ぶ形にし、自由記述は話ができた相手だけに絞ります。

列 記入例(1行分)
架電先・リスト名 C社・物流業リスト
結果の分類 不在/受付で終了/担当者と会話/アポ獲得/お断り(から1つ選ぶ)
話した相手 配車担当の課長
相手の発言(会話できた場合だけ) 「繁忙期が終わる11月なら話を聞ける」
次の約束 11月第1週に再架電。資料は先にメールで送付
1日の合計欄 架電件数、担当者と会話できた件数、アポ件数

出典: 編集部作成。記入例は説明のための架空のものです。

電話営業の数字を工程ごとにどう分けて追うかは、インサイドセールスのKPI設計(架電・接続・商談化を分けて追う指標)で詳しく扱っています。

営業日報の例文|良い例と直したい例

同じ商談を書いても、書き方によって週次の見直しに使えるかどうかが分かれます。違いが出やすいのは、相手の反応と次の約束の書き方です。

項目 直したい例 良い例
相手の反応 感触は良かった。前向きに検討してくれそう。 「今の業者の対応が遅いのが不満」と部長が発言。比較資料を求められた。
次の約束 引き続きフォローする。 担当者が9月25日までに比較資料を送付。部長から10月第1週の再訪日程の返事をもらう。
行動の数 終日外回り。 訪問5件(新規3・既存2)、面談できたのは4件。
困っていること (空欄) 導入事例の資料が製造業向けしかなく、物流業の相手に見せられない。

出典: 編集部作成。例文は説明のための架空のものです。

直したい例に共通するのは「読んだ人が次の手を決められない」こと

「感触は良かった」「引き続きフォロー」は、書いた本人には意味があっても、上司や同僚が読んでも次に何をすればよいかが分かりません。相手の反応は、相手が実際に言ったことや求めたものを書きます。次の約束は、誰が・いつまでに・何をするかの3点を入れます。この2つを守るだけで、担当者が休んだり異動したりしても、別の人が商談を引き継げる記録になります。

空欄より「なし」と書く

困っていることの欄が空欄だと、問題がなかったのか書き忘れたのかが区別できません。「なし」と書くルールにしておくと、上司は相談がある日報だけに目を止めればよくなり、読む手間も減ります。

日報を形だけにしない運用

日報が形だけになる理由は、多くの場合、書く側の意欲よりも仕組みにあります。書いても誰からも反応がない、何に使われているか分からない、項目が多すぎて毎日同じ定型文になる。この3つが重なると、日報は提出するためだけの作業になります。

読む人と返す時間を決める

日報を誰が読むのか、困っていること欄にはいつまでに返事をするのかを決めます。たとえば、上司が翌朝までに相談欄だけは必ず返す、と決めるだけでも、書く側は「書けば動いてもらえる」と分かります。すべての日報に長いコメントを返す必要はありません。

項目と言葉をそろえ、個人の頭の中に残さない

項目の名前、結果の分類、商談の段階の呼び方をチーム全員でそろえると、日報は担当者個人のメモではなく、チームで共有できる記録になります。担当者しか事情を知らない商談を減らすことは、営業の属人化を防ぐことにも直結します。進め方は営業の属人化を解消する4ステップで扱っています。

数字が低い日報を責める材料にしない

日報の数字が悪い日に強く注意されると、書く側は結果の悪い接点を書かなくなったり、反応を実際より良く書いたりしがちです。そうなると、週次の見直しで使う数字そのものが信用できなくなります。日報は評価のためではなく、次の手を決めるための記録だと伝え、数字が低いときは「どこで止まったか」を一緒に確かめる材料として扱うことが、正直な記録を続けてもらう条件になります。

個人名や連絡先を書くときは保管と閲覧の範囲を決める

日報に取引先担当者の氏名や連絡先を書く場合、それは個人情報保護法でいう個人情報にあたります。同法は個人情報を、生存する個人に関する情報で、氏名などにより特定の個人を識別できるもの(他の情報と容易に照合して識別できるものを含む)などと定めています。一方で、企業の財務情報のような法人そのものの情報は、個人情報に該当しない事例として個人情報保護委員会のQ&Aに挙げられています。日報をどこに保存し、誰が見られるようにするかは、社内の個人情報の扱いのルールに合わせて決めておきましょう。

週に1回の見直しで商談につなげる

日報が商談を増やす材料になるのは、週に1回まとめて見直したときです。毎日の日報を読むだけでは、その日の出来事への対応で終わります。1週間分を並べると、行動の量、反応の傾向、止まっている約束が見えてきます。

見直す観点 日報のどこを見るか 決めること
行動は足りているか 1日の合計欄を1週間分足した数 来週の訪問・架電の件数と時間の割り当て
どこで止まっているか 面談できた件数、次の約束が取れた件数の比率 リスト・トーク・提案のどれを先に直すか
よく出る相手の発言 相手の反応欄の断り文句・質問 トークや資料に足す答え
期限を過ぎた約束 次の約束欄の日付 誰がいつ連絡し直すか

出典: 編集部作成。

見直しの場は、担当者とその上司が30分程度で終えられる長さにしておくと続けやすくなります。事前に1週間分の合計欄と、期限を過ぎた約束の一覧だけを用意しておけば、当日は数字を読む時間より、次に何を変えるかを話す時間に充てられます。

行動の数と成果の数を分けて並べる

見直しでは、訪問件数や架電件数のような行動の数と、次回の約束や商談化のような成果の数を分けて並べます。行動が足りないのに成果だけを見ても直す場所が分からず、行動は十分なのに成果が出ていない場合は、やり方の見直しが必要だと分かります。この考え方と指標の置き方は営業KPIを行動量と成果に分けて管理する方法、商談が増えない原因の切り分けは商談数が増えない原因と増やす方法を参考にしてください。

次の約束を翌週の予定に落とし込む

見直しの最後には、期限が来る約束と、期限を過ぎた約束を翌週の予定に入れます。訪問後の連絡の間隔や内容は訪問営業後のフォロー方法、訪問営業全体の流れの中で日報をどこに置くかは訪問営業のやり方ガイドで確認できます。既存の取引先を決まった順番で回る営業の場合は、訪問の周期と日報の見直しをそろえると、回り忘れを防ぎやすくなります。回り方の考え方はルート営業とはで扱っています。

訪問営業を外に任せたときの記録の受け取り方

訪問営業を営業代行会社に任せる場合も、日報と同じ考え方で記録を受け取ることが大切です。発注側が見たいのは、何件訪問したかだけでなく、相手がどう反応し、次の約束がいくつ取れ、それが商談や受注にどうつながったかです。契約前に、どの項目を、どの頻度で、どの形で報告してもらえるかを確認しておきましょう。報告書で確認したい項目や読み方は営業代行の成果定義と、週次レポートで受け取る数字で詳しく扱っています。

訪問営業に特化したエイギョウブ(訪問エイギョウブ)では、業種・規模・エリア・決裁構造で訪問優先度の高い企業を抽出し、電話やDMで事前接点を作って「会える商談」にしてから訪問します。訪問トークを標準化したうえで、訪問結果を週次で分析し、アポ率・商談率・受注率を改善していく進め方です。不動産向けのエイギョウブ for 不動産でも、稼働開始後に週次定例で活動結果を見直し、改善する流れをサービスページに示しています。

訪問エイギョウブの料金は月額40万円〜です。支援範囲・体制によって変わります。

まとめ

営業日報は、上司に出す報告書としてではなく、次の一手を決めるための記録として作ると役に立ちます。毎日書く項目は、日付・担当者、行動の数、会った相手と目的、相手の反応、次の約束、困っていることの6つに絞り、相手の反応は発言で、次の約束は誰が・いつまでに・何をするかで書きます。

そのうえで、読む人と返事の期限を決め、項目と言葉をチームでそろえ、週に1回、行動の数と成果の数を分けて見直します。止まっている約束を翌週の予定に入れるところまで続けると、日報は形だけの作業ではなく、商談を増やすための材料になります。訪問営業を外に任せる場合も、同じ項目で記録を受け取れるかを契約前に確かめておきましょう。

よくある質問(FAQ)

営業日報には何を書けばよいですか?
日付・担当者、行動の数、会った相手と目的、相手の反応、次の約束、困っていることの6項目を毎日必ず書くのが基本です。相手の反応は「感触が良い」のような感想ではなく、相手が言ったことや求めたものを書きます。次の約束は、誰が・いつまでに・何をするかを入れます。商談の段階や競合の情報は、集計に使う予定が決まってから足すと、空欄や定型文が増えにくくなります。
営業日報は毎日必要ですか?週報だけではだめですか?
相手の発言や約束の中身を正確に残したいなら、日報のほうが向いています。週末にまとめて書く週報では、個々の商談で相手が何を言ったかが記憶から抜けやすいためです。一方で、毎日長く書く必要はありません。日報はその日の事実を短く残す記録、週報は1週間分の日報を材料に傾向を読む記録と分けると、両方の負担を抑えられます。
営業日報は表計算ソフトで作ってもよいですか?
表計算ソフトでも十分に使えます。1行を1件の訪問や架電にし、列を項目ごとに固定すると、週単位や担当者単位で集計しやすくなります。結果の分類は選択肢から選ぶ形にしておくと、書き方のばらつきが減ります。取引先担当者の氏名や連絡先を書く場合は個人情報にあたるので、保存場所と見られる人の範囲を社内のルールに合わせて決めておきましょう。
日報を書く時間がないときはどうすればよいですか?
項目を減らし、選んで埋める形にするのが先です。必須の6項目に絞り、行動の数や結果の分類は数字や選択肢で入れ、自由に書くのは相手の反応と次の約束だけにします。訪問や電話の直後に1件ずつ書き足すと、1日の終わりにまとめて思い出す手間も減ります。書いた日報が週次の見直しで使われていると分かれば、書く意味も伝わりやすくなります。

出典