ルート営業とは、取引のある顧客を決まった頻度で回り、継続して注文をもらうことと追加の提案を担う営業です。新規開拓とは成果が出る地点が違うため、同じ担当が両方を持つと新規が後回しになりやすく、顧客を分けたうえで新規開拓の時間を先に割り当てることが解決の近道です。この記事は、既存顧客回りで手一杯になり新規開拓が進まない企業の経営者・営業責任者に向けて書いています。ルート営業職への転職や年収の話は扱いません。
この記事で分かること
- ルート営業・ルートセールス・外回り営業の意味の違いと、新規開拓との違い
- 既存顧客を分けて訪問頻度と手段を決める考え方
- 新規開拓の時間を確保する方法と、新規の訪問だけを外部に任せるときの確認点
ルート営業とは|取引のある顧客を決まった頻度で回る営業
ルート営業は、すでに取引のある顧客を、決まった順路や周期で訪ねる営業のやり方です。卸売・メーカー・商社などで、販売店や施工会社、病院、学校といった取引先を定期的に回る形がよく知られています。担当する顧客の一覧が先にあり、その中を回ることが仕事の中心になります。
訪問の目的は大きく2つあります。1つは、今の取引を続けてもらうことです。発注の状況を確かめ、納品や請求の行き違いがないかを聞き、困りごとがあれば早めに手を打ちます。もう1つは、取引を広げることです。まだ扱ってもらっていない商品を紹介したり、相手の事業の変化に合わせて別の提案をしたりします。
ルートセールス・外回り営業との違い
ルートセールスは、ルート営業とほぼ同じ意味で使われる言葉です。求人や社内の職種名で「ルートセールス」と書く会社もあれば、「ルート営業」と書く会社もあり、中身に大きな差はありません。
外回り営業は、社外に出て顧客を訪ねる営業全般を指す言い方です。既存顧客を回るルート営業も、まだ取引のない会社を訪ねる新規開拓の訪問も、どちらも外回り営業に含まれます。つまり外回り営業は「どこで営業するか」を表し、ルート営業は「誰を相手にするか」を表す言葉だと考えると整理しやすくなります。社内で役割を決めるときは、この2つを混ぜずに話すと、誰が何に時間を使っているかが見えやすくなります。
ルート営業と新規開拓の違い|成果が出る地点が違う
ルート営業と新規開拓は、同じ「営業」でも、相手も、仕事の起点も、成果として数えるものも違います。違いを並べると次のとおりです。
| 項目 | ルート営業 | 新規開拓 |
|---|---|---|
| 相手 | 取引のある顧客 | まだ取引のない会社 |
| 仕事の起点 | 担当顧客の一覧と訪問の予定 | 攻める先のリスト作りと最初の接点づくり |
| 成果が出る地点 | 継続受注・追加の受注・取引の維持 | 初回の商談・最初の受注 |
| 成果が見えるまで | 訪問のたびに発注や相談として見えやすい | 接点づくりから受注まで時間がかかり、途中で止まる先も多い |
| 見ておく数字の例 | 顧客ごとの取引額の増減、追加提案の件数、取引が止まった件数 | 接触した社数、アポ・商談の件数、商談から受注に進んだ件数 |
出典: 編集部による整理(数値の平均や相場ではありません)
ルート営業は、行けば相手が会ってくれ、その場で注文や相談が出ることも多い仕事です。新規開拓は、会ってもらうまでに何度も断られ、成果が数字に出るまで時間がかかります。どちらが上という話ではなく、成果の出方が違うので、同じものさしで評価しないことが大切です。行動の数と結果の数をどう分けて追うかは、営業KPIを行動と結果に分けて設計する方法で詳しく説明しています。
同じ担当が両方を持つと新規が後回しになる理由
1人の担当がルート営業と新規開拓の両方を持つと、多くの場合、新規開拓の時間が削られていきます。理由は3つあります。
- 既存顧客からの連絡は待ってくれません。急ぎの注文や納期の相談、トラブルの対応が入ると、予定していた新規の訪問や電話はずらされます。
- 成果が早く見えるほうに時間が流れます。既存顧客を回れば発注として手応えが返ってきますが、新規開拓は断られることが続きます。忙しい週ほど、手応えのある仕事が優先されます。
- 新規開拓は「今日やらなくても困らない」仕事です。既存顧客への対応を先に延ばすと苦情になりますが、新規の電話を延ばしても、その日は誰も困りません。
これは担当者の意欲の問題ではなく、仕事の性質から起きることです。だからこそ、気合いで両立させようとするより、顧客を分けて手のかけ方を決め、新規開拓の時間を仕組みとして先に確保するほうがうまくいきます。
ルート営業の仕事の流れ
ルート営業の1回の訪問は、おおむね次の流れで進みます。どこで時間がかかっているかを見るときの手がかりにしてください。
- 訪問の予定を組む。担当顧客の一覧から、今週どこを回るかを決め、移動の順番を組みます。
- 前回の記録を見返す。前回の話題、宿題になっていること、発注の周期、相手の担当者の変化などを確認します。
- 訪問して現状を聞く。発注や在庫の状況、納品の不具合、相手の事業で起きている変化を聞きます。
- 追加の提案をする。まだ使ってもらっていない商品や、相手の変化に合う提案があれば伝えます。
- 記録を残し、次回の予定を決める。聞いたこと、約束したこと、次に訪ねる時期を記録します。
この流れのうち、移動と記録は顧客の数に比例して増えます。担当顧客が多いほど、1社あたりにかけられる時間は減り、新規開拓に回す時間はさらに残りません。次の節で説明する「顧客を分ける」考え方は、この移動と訪問の時間を、手をかけるべき顧客に寄せるためのものです。
顧客を分けて訪問頻度を決める
すべての既存顧客を同じ頻度で回っていると、取引の小さい顧客にも大きい顧客と同じ時間を使うことになります。顧客をいくつかの群に分け、群ごとに訪問頻度と手段を決めると、同じ人数でも時間の使い方が変わります。分け方の一例を表にしました。
| 群 | 当てはまる顧客 | 訪問頻度の考え方 | 主な手段 |
|---|---|---|---|
| A | 取引額が大きい、または取引を広げられる余地が大きい顧客 | 3つの群で最も高い頻度にする。発注の周期や相手の予算を決める時期に合わせる | 訪問を中心に、間の連絡は電話やメール |
| B | 取引は安定しているが、大きく伸びる見込みは今のところ小さい顧客 | Aより間隔をあける。発注の周期に遅れがないかで見直す | 訪問とWeb商談を組み合わせる |
| C | 取引額が小さい、または発注がまれな顧客 | 定期訪問はしない。契約の更新や新商品の案内など節目だけ訪ねる | 電話・メール・Web商談が中心 |
出典: 編集部による整理。頻度の具体的な回数は、業種や取引の周期で変わるため示していません。
分けるときの基準
分けるときは、今の取引額だけで決めないことが大切です。取引額が小さくても、相手の事業が伸びていて、ほかの商品も使ってもらえそうな顧客は、Aに入れる価値があります。反対に、取引額は大きくても長年同じ注文が続いているだけの顧客は、訪問を減らしても取引が変わらないことがあります。
基準としては、今の取引額、取引を広げられる余地、発注の周期、相手の決裁者と話せているかの4つを見ておくと判断しやすくなります。分けた結果は一度決めて終わりにせず、半年や1年など期間を決めて見直します。
訪問頻度の数字は自社の取引の周期から決める
「月に何回訪問するのがよいか」に、どの会社にも当てはまる答えはありません。消耗品のように発注が細かく続く取引と、設備のように数年に一度の取引とでは、適した頻度がまったく違うからです。まず顧客ごとの発注の周期を調べ、次の発注の前に一度は話ができる頻度を目安にすると、自社に合った回数を決めやすくなります。
訪問をWeb商談に置き換える
BやCの顧客は、毎回訪ねなくても用件が済むことが多くあります。定例の確認や見積りの説明はWeb商談で行い、訪問は現物を見る必要があるときや、関係を深めたい節目に絞ると、移動の時間を大きく減らせます。Web商談を中心にした営業を外部に頼む方法は、オンライン営業の外注の進め方でまとめています。
記録を残して頻度を見直す
分け方や頻度が合っているかは、訪問の記録がないと判断できません。いつ誰を訪ね、何を聞き、何を約束したかを残しておくと、訪問を減らした顧客の取引が落ちていないか、Aの顧客に十分な時間を使えているかを確かめられます。記録を続けやすくする書き方は、営業日報の書き方で紹介しています。
新規開拓の時間を先につくる
顧客を分けて既存顧客回りの時間を減らしても、空いた時間を放っておくと、また既存顧客の対応で埋まります。新規開拓の時間は「余ったらやる」ではなく、先に予定として確保することが欠かせません。
予定表に新規開拓の枠を先に置く
週のうち決まった曜日や時間帯を新規開拓の枠として予定表に入れ、既存顧客の訪問はその枠を避けて組みます。急ぎの連絡があったときに誰が代わりに受けるかも決めておくと、枠が崩れにくくなります。新規開拓の枠で何件に接触し、何件の商談につながったかを記録しておくと、枠が守られているかどうかも見えます。
担当を分ける
社内に人数がいるなら、既存顧客を回る担当と新規開拓の担当を分ける方法もあります。成果の出方が違う仕事を別の人が持つので、評価のものさしも分けやすくなります。一方で、新規で受注した顧客をいつ既存顧客の担当に引き渡すかを決めておかないと、引き継ぎで話が抜けることがあります。引き渡しの時期と、渡すときに伝える内容を決めておきましょう。
新規開拓の手段を選び、社外の力も検討する
新規開拓には、訪問のほかに電話、DM、フォーム営業、紹介、展示会など、いくつもの手段があります。自社の顧客に届きやすい手段を選ぶことで、限られた時間でも接点を増やせます。手段ごとの向き不向きは新規開拓の手法の比較で整理しています。
社内の人数ではどうしても新規開拓の時間が取れない場合は、新規開拓だけを社外に任せる選択肢もあります。外注を考え始める時期の目安は営業を外注するタイミングで、法人向けの営業全体の進め方は法人営業とは何かを解説した記事で確認できます。
新規開拓の訪問だけを外部に任せる場合
既存顧客は自社の担当が回り、新規開拓の訪問だけを外部に任せる分け方もあります。取引のある顧客との関係は社内に残しつつ、まだ取引のない会社への最初の接点づくりを社外の人手で進める形です。
任せる前に、訪問が向いている商材かどうかを確かめておきましょう。現物を見せたほうが伝わる商材や、地域を絞って回れる顧客層では訪問が生きますが、そうでない場合は電話やWeb商談のほうが早いこともあります。判断の目安は訪問営業が効果を出しやすい条件にまとめています。
訪問営業に特化したエイギョウブでは、業種・規模・エリア・決裁構造から訪問の優先度が高い企業を選び、電話やDMで事前に接点を作って「会える商談」にしてから訪問します。訪問のトークは標準化し、訪問の結果を週次で分析して、アポ率・商談率・受注率を改善していく進め方です。エイギョウブは、これまでに業務を依頼した営業人材が累計800名(サービスページの表記は「累計800人規模の部隊」)で、電話・DM・SNS・訪問・手紙・紹介・交流会の7以上のチャネルを扱っています。高校採用を強化したい上場企業の支援では、全国の高校を訪問して進路指導担当との接点を継続的に築き、年間100名以上のプロ人材が稼働しました。
費用の目安として、訪問エイギョウブの料金は月額40万円〜で、支援範囲・体制に応じて提案します。比較のために相場も見ておくと、比較ビズは訪問営業の代行の相場を固定報酬型で月額50万〜60万円、固定費と成果報酬を組み合わせた複合型で月額25万〜50万円としています。
なお、法人向けの訪問でも法律の確認は必要です。特定商取引法の訪問販売の規定は、相手が営業のために結ぶ契約には適用されませんが、相手が法人や個人事業主というだけで一律に外れるわけではありません。委託先に任せる範囲や報告の頻度など、発注前に確かめたい項目は訪問営業を外注する前のチェックリストで確認できます。
まとめ
ルート営業は、取引のある顧客を決まった頻度で回り、継続受注と追加の提案を担う営業です。新規開拓とは相手も成果が出る地点も違うため、同じ担当が両方を持つと、急ぎの連絡が入りやすく手応えも早い既存顧客回りに時間が流れ、新規開拓が後回しになります。
手を打つ順番は、まず既存顧客を取引額と伸びしろで分け、群ごとに訪問頻度と手段を決めることです。訪問の一部をWeb商談に置き換え、記録を残して見直せば、既存顧客回りにかかる時間を減らせます。そのうえで、新規開拓の時間を予定表に先に置き、担当を分けるか、新規の訪問だけを社外に任せるかを検討してください。
よくある質問(FAQ)
- ルート営業とは何ですか?
- ルート営業とは、すでに取引のある顧客を決まった順路や周期で訪ね、継続して注文をもらうことと追加の提案を担う営業です。発注や在庫の状況を確かめ、困りごとに早めに対応して取引を続けてもらうことと、まだ扱ってもらっていない商品を紹介して取引を広げることが主な役割です。ルートセールスもほぼ同じ意味で使われます。
- ルート営業と新規開拓営業の違いは何ですか?
- 相手と成果が出る地点が違います。ルート営業は取引のある顧客が相手で、継続受注や追加の受注が成果になります。新規開拓はまだ取引のない会社が相手で、初回の商談や最初の受注が成果になり、結果が出るまでに時間がかかります。成果の出方が違うため、同じものさしで評価せず、見る数字を分けて管理することをおすすめします。
- ルート営業の担当にも新規開拓は必要ですか?
- 会社として新規開拓は必要ですが、ルート営業の担当に「空いた時間でやる」形で任せると、既存顧客の急ぎの対応に押されて後回しになりやすくなります。担当に持たせるなら予定表に新規開拓の枠を先に置き、難しければ新規開拓の担当を分けるか、新規の訪問だけを社外に任せる方法を検討してください。
- ルート営業の訪問頻度はどう決めればよいですか?
- どの会社にも当てはまる回数はないため、顧客を分けたうえで自社の取引の周期から決めます。取引額が大きい顧客や取引を広げられる余地が大きい顧客は頻度を高くし、安定した顧客は訪問とWeb商談を組み合わせ、取引が小さい顧客は電話やメールを中心に節目だけ訪ねます。次の発注の前に一度は話ができる頻度を目安にすると決めやすくなります。
出典
- 訪問営業の代行業務に強い会社18選!依頼するメリットや費用相場も解説(比較ビズ・最終更新日2026年6月15日) 確認日 2026-09-19
- 特定商取引に関する法律 第26条第1項第1号(e-Gov法令検索) 確認日 2026-09-19
- 特定商取引に関する法律等の施行について(消費者庁・経済産業省、令和6年11月19日) 確認日 2026-09-14
- 訪問エイギョウブ(LongWave株式会社) 確認日 2026-09-14
- エイギョウブ(LongWave株式会社) 確認日 2026-09-14



