LinkedIn営業は、対象を絞ってプロフィールと投稿で信頼をつくり、つながった後の会話から電話やWeb商談の約束に移す進め方で、一斉送信には向きません。つながった直後に売り込みの文を送るより、相手の仕事に関係のある話題で数回やりとりしてから、短い打ち合わせをお願いするほうが、相手が話を聞く理由を持ったうえで依頼を受け取れるからです。
この記事は、取引先の決裁者や担当者とLinkedInで接点をつくりたい法人営業の責任者・経営者に向けて書いています。転職活動や求人探しでのLinkedInの使い方は扱いません。また、国内の利用者数や接続依頼の上限、有料プランの料金といった規約や仕様にかかわる数字は変わることがあり、確かめられる資料もそろわなかったため載せていません。利用の条件はLinkedInの公式ヘルプで確認してください。返信率などの割合も、根拠のある数字が無いため書いていません。
この記事で分かること
- LinkedIn営業(ソーシャルセリング)と、手紙・メール・電話との違い
- 対象の絞り込みから商談の約束までの5段階と、接続依頼・メッセージの例文3つ
- プロフィールの情報を扱うときの個人情報保護法の注意と、電話・メール・手紙・訪問との組み合わせ方
LinkedIn営業とは|つながりと会話から商談の約束をつくる営業
LinkedIn営業は、仕事上のつながりを前提にしたSNSであるLinkedInを使い、見込み客と接点をつくって商談につなげる営業のことです。似た言葉にソーシャルセリングがあります。ソーシャルセリングとは、SNS上で自分や自社の考え方を発信し、相手とのやりとりを重ねて関係をつくり、その関係を営業の機会に変えていく考え方を指します。LinkedIn営業は、その考え方をLinkedInという場で実行するものと考えると分かりやすいでしょう。
電話やメールとのいちばんの違いは、連絡する前に相手が自分のことを調べられる点です。LinkedInでは、接続依頼やメッセージを受け取った相手が、送り主のプロフィールや過去の投稿を見てから返事をするかどうかを決めます。つまり、送る文面の出来だけでなく、送る前にどんなプロフィールと投稿を積み上げてきたかが、返事をもらえるかどうかに影響します。
もう一つの違いは、つながること自体がゴールではない点です。つながった相手は、その時点ではまだ自社に関心を持っていません。やりとりを重ねて「この人の話なら一度聞いてもよい」と思ってもらえたところで、電話やWeb商談の約束に移します。商談そのものはLinkedInの外で行うことが多く、LinkedInは入口と関係づくりの場として使います。
| 観点 | 手紙 | 営業メール | 電話 | |
|---|---|---|---|---|
| 相手が送り主を確かめる手段 | プロフィールと過去の投稿を見られる | 封筒・便せんと同封物で判断する | 署名とWebサイトで判断する | その場の名乗りと話し方で判断する |
| 最初の接触で向くこと | 接続依頼と短い挨拶 | 担当者名あての丁寧な案内 | 要件を短くまとめた案内 | 要件を伝えて次の約束をもらう |
| やりとりの速さ | 相手が開いたときに読まれる。数日かかることもある | 届くまで日数がかかる | 相手の都合で読まれる | その場で答えが出る |
| 向かない使い方 | 同じ文面の一斉送信 | 宛名のない大量発送 | 同意や公表の確認をしない送信 | 相手の都合を聞かずに長く話す |
| 商談の約束の取り方 | 会話の流れで電話・Web商談をお願いする | 電話やメールで追いかけて約束をもらう | 返信の中で日程を決める | 通話の中で日程を決める |
出典: 編集部による一般的な整理(2026-09-15)。統計にもとづく比較ではありません。
LinkedIn営業が向く商材・向かない商材|単価と検討期間で見分ける
LinkedIn営業は、1件ずつ相手を選び、会話を重ねて進める手法です。1人の営業担当が同時に深く追える相手の数には限りがあるため、1件の受注で得られる金額が大きく、検討に時間がかかる商材ほど手間に見合いやすくなります。反対に、単価が低く、たくさんの相手に早く届けたい商材では、ほかの手法のほうが合うことが多いでしょう。
もう一つの判断材料は、狙いたい相手がLinkedInにプロフィールを置いているかどうかです。業種や職種によっては、LinkedInを使っている人がほとんど見つからないこともあります。始める前に、狙いたい会社名や役職名で実際に検索し、何人くらい見つかるかを手で確かめておくと、判断を誤りにくくなります。
| 観点 | 向く | 向かない |
|---|---|---|
| 1件あたりの金額 | 年間契約や大口の取引など、1件の受注が大きい | 低単価で数を売る商材 |
| 検討期間 | 複数の部署が関わり、数か月かけて決まる | その場や数日で決まる |
| 相手の見つけやすさ | 狙う役職の人がLinkedInにプロフィールを置いている | 狙う相手がほとんどLinkedInを使っていない |
| 伝えたい内容 | 業界の課題や事例の考え方など、会話で深めたい話がある | 価格や在庫など、案内1通で伝わる |
| 社内の体制 | 担当者が投稿や返信に時間を割ける | 返信を数日放置してしまう |
出典: 編集部による一般的な整理(2026-09-15)。商材ごとの成果を比べた統計ではありません。
LinkedIn営業の始め方|対象、プロフィール、接続依頼、会話、約束の5段階
LinkedIn営業は、次の5段階で進めると考えると迷いにくくなります。各段階で何を終えたら次に進むかを決めておくと、担当者が替わっても同じ進め方を続けられます。
1. 対象を絞る
最初に決めるのは、誰とつながりたいかです。業種、会社の規模、地域、部署、役職を書き出し、優先して接触する会社と人の条件をはっきりさせます。LinkedInは検索で相手を探せますが、条件が曖昧なまま探すと、つながりの数だけが増えて商談につながりにくくなります。対象の条件の決め方や、接触する順番の付け方は、インサイドセールスのリスト作成と優先順位づけの記事で詳しく扱っています。
2. プロフィールを整える
相手は接続依頼を受け取ると、まず送り主のプロフィールを見ます。見出しには、自分が誰の、どんな課題を手伝っているのかを一文で書きます。自己紹介の欄には、担当している業界や、これまで扱ってきた課題の種類を、売り込みの言葉を使わずに書いておきます。顔写真、会社名、役職がそろっていないと、相手はどんな人からの依頼なのか判断できません。あわせて、担当する業界の人が読んで役に立つ投稿を少しずつ積み上げておくと、つながる前から自分の考え方を知ってもらえます。
3. 接続依頼を送る
接続依頼には、短い挨拶の文を添えられます。なぜその人とつながりたいのかを具体的に書き、商品の説明は入れません。同じ文面を多くの人に送ると、受け取った側にはすぐに分かります。相手の投稿や所属する業界にふれた一文を入れ、1人ずつ文面を変えるのが基本です。1日に送れる数などの条件は変わることがあるため、公式ヘルプで確認してください。
4. つながった後に会話する
つながったら、お礼と一緒に、相手の仕事に関係のある話題を一つだけ投げかけます。相手が投稿している内容への感想や、業界で話題になっている変化について意見を聞くといった形です。この段階では、自社の商品を説明しません。相手から質問が返ってきたときに、はじめて自社の取り組みを短く伝えます。
5. 電話やWeb商談の約束に移す
会話が何往復か続き、相手が課題を話してくれたら、LinkedInのメッセージの中で詳しい話を続けるより、15分から30分ほどの電話やWeb商談をお願いします。日時の候補を2つか3つ出し、話す内容と所要時間を先に伝えると、相手は予定を決めやすくなります。約束が決まったら、メールでも日時と内容を送り、当日までの連絡手段をそろえておきます。
接続依頼とメッセージの例文3つ|売り込まずに次の一歩を頼む
ここでは、段階ごとに使える文面の例を3つ紹介します。〇〇の部分は相手に合わせて書き換え、そのまま一斉に送ることはしないでください。
例文1: 接続依頼に添える挨拶
〇〇様
はじめまして。〇〇業界の企業の営業体制づくりをお手伝いしている△△と申します。〇〇様が先日投稿されていた、〇〇についてのお考えを拝見し、ぜひつながらせていただきたいと思いご連絡しました。よろしくお願いいたします。
つながりたい理由を、相手の投稿や仕事の内容にもとづいて書いています。商品名や価格は入れていません。相手の投稿が見つからない場合は、所属している業界や役割にふれる一文に置き換えます。
例文2: つながった直後の最初のメッセージ
〇〇様
つながっていただきありがとうございます。〇〇業界では、最近〇〇の変化が話題になっていると聞きますが、〇〇様の会社ではどのように受け止めていらっしゃいますか。お時間のあるときにお考えを伺えるとうれしいです。
お礼と一緒に、答えやすい質問を一つだけ置いています。質問を重ねすぎると、相手は返事を書く手間を重く感じます。返事がない場合でも、同じ内容を何度も送り直すことはしません。
例文3: 会話から電話やWeb商談へ移すメッセージ
〇〇様
〇〇の件、詳しくお聞かせいただき助かりました。〇〇について、私どもで整理している進め方を20分ほどWebでお伝えできればと思っています。候補として〇月〇日(〇)の午前と〇月〇日(〇)の午後を挙げますので、合う枠があれば教えてください。
相手が話してくれた課題を受けて、時間と日時の候補をはっきり書いています。断られたら、無理に押さずにお礼を伝え、つながりは残したまま投稿などで接点を保ちます。メールで同じような依頼をする場合の文面の作り方は、営業メールのテンプレートと書き方の記事も参考になります。
プロフィール情報の扱い|公開されていても個人情報に当たる
LinkedInのプロフィールには、氏名、勤務先、役職などが載っています。個人情報保護法では、生存する個人に関する情報で、氏名などにより特定の個人を識別できるものを個人情報としています(個人情報保護法 第2条第1項)。そのため、LinkedInのプロフィールに書かれた情報も、多くの場合は個人情報に当たると考えておくのが安全です。
誰でも見られる状態で公開されている情報であっても、個人情報であることに変わりはなく、取得するなら利用目的の特定が必要とされています(個人情報保護委員会のQ&A Q1-5・Q2-4)。
プロフィールの情報を自社の顧客リストや営業の管理表に取り込むなら、偽りその他不正の手段で取得してはならず、取得したら、あらかじめ利用目的を公表している場合を除いて、速やかに本人に通知するか公表する必要があります(同法 第20条第1項・第21条第1項)。自社のプライバシーポリシーに営業活動での利用目的が書かれているかを、始める前に確かめておきましょう。
電話・メール・手紙・訪問と組み合わせる|LinkedInだけで完結させない
LinkedInでつながれる相手は、狙っている相手の一部にとどまることが多く、LinkedInだけで新規開拓の数をまかなうのは難しいでしょう。ほかの経路と役割を分けて組み合わせると、1つの経路で届かなかった相手にも別の入口から接触できます。自社から相手を選んで接触する営業の全体像と手法の選び方は、アウトバウンド営業の記事で整理しています。
組み合わせ方の例として、次のような役割分担が考えられます。
- 電話やメールで接点ができた相手に、LinkedInでも接続依頼を送り、投稿を通じて自社の考え方を知ってもらう
- LinkedInで返事がなかった決裁者には、担当者名あての手紙営業で改めて案内を送る
- LinkedInでの会話で課題が見えた相手には、電話やWeb商談で詳しく聞き、必要なら訪問につなげる
担当者の段階で話が止まり、決裁者にたどり着けないときの経路の選び方は、決裁者に会うための到達経路の記事で詳しく扱っています。また、すぐには検討していない相手とLinkedInで関係を続けるのは、見込み客を育てる活動の一部です。今すぐではない相手への情報提供の続け方は、リードナーチャリングの基本の記事が参考になります。
複数の経路を使うときは、同じ相手に誰がいつどの経路で連絡したかを1つの表にまとめておきます。LinkedInで返事を待っている間に別の担当者が電話をかけると、相手に営業されている印象だけが残ってしまうからです。
運用を任せる場合|ほかの経路とまとめて相談できるかを見る
LinkedIn営業は、プロフィールの手入れ、投稿、接続依頼、返信、日程調整と、毎日少しずつ手を動かす作業が続きます。社内に時間を割ける人がいない場合は、運用を外部に任せる方法もあります。任せる場合は、LinkedInだけを切り出すより、電話やメール、手紙などほかの経路と合わせて、誰にどの順で接触するかまで一緒に設計できる相手かどうかを確かめると、経路どうしの連絡の重なりを防ぎやすくなります。
当メディアを運営するLongWave株式会社のエイギョウブは、電話・DM・SNS・訪問・手紙・紹介・交流会の7以上のチャネルを扱っています。実行支援のメニューには、電話営業(BDR/SDR)やフォームDMと並んで、SNS運用(LinkedIn)をサービスページに掲げています。料金は月額40万円〜で、支援範囲・体制に応じて提案します。
外に任せる前に、自社の営業の中でLinkedInをどこに置くかを決めておきたい場合は、インサイドセールスの立ち上げ方の記事で、接触から商談化までの役割分担の決め方を確認できます。
まとめ
LinkedIn営業は、対象を絞ってプロフィールと投稿で信頼をつくり、つながった後の会話から電話やWeb商談の約束に移す進め方です。同じ文面を多くの人に送る使い方には向かず、1件ずつ相手を選んで会話を重ねるため、単価が大きく検討期間の長い商材で手間に見合いやすくなります。
始めるときは、対象、プロフィール、接続依頼、会話、約束の5段階で、各段階を終えたと判断する基準を決めておきます。プロフィールの情報は公開されていても個人情報に当たるため、取り込むなら利用目的の公表か通知を確かめます。LinkedInだけで完結させず、電話・メール・手紙・訪問と役割を分け、誰にいつどの経路で連絡したかを1つの表で管理すると、相手に同じ営業が重なることを防げます。利用の条件や上限は変わることがあるので、公式ヘルプで確認してから始めてください。
よくある質問(FAQ)
- LinkedIn営業とは何ですか?
- LinkedIn営業は、仕事上のつながりを前提にしたSNSであるLinkedInで見込み客とつながり、やりとりを重ねてから電話やWeb商談の約束に移す営業の進め方です。SNSで関係をつくって営業の機会に変える考え方をソーシャルセリングと呼び、LinkedIn営業はそれをLinkedInで行うものと言えます。相手は送り主のプロフィールや投稿を見てから返事をするため、送る文面だけでなく、事前のプロフィールと投稿の積み上げが大切になります。
- LinkedIn営業は日本でも使えますか?
- 使えます。ただし、国内の利用者数について確かめられる公的な数字は見つからなかったため、この記事では載せていません。業種や職種によって、LinkedInにプロフィールを置いている人の多さは違います。始める前に、狙いたい会社名や役職名で実際に検索し、対象の人が見つかるかを手で確かめてから判断すると迷いにくくなります。見つかる人が少ない場合は、電話や手紙など別の経路を主にして、LinkedInは補助に回します。
- つながったらすぐ営業メッセージを送ってよいですか?
- おすすめしません。つながった直後の相手は、まだ自社に関心を持っていないことがほとんどです。最初はお礼と一緒に、相手の仕事に関係のある話題を一つだけ投げかけ、会話が続いて相手が課題を話してくれたところで、15分から30分ほどの電話やWeb商談をお願いします。断られた場合は押し返さず、つながりは残したまま投稿などで接点を保ちます。メッセージの送信数などの条件は公式ヘルプで確認してください。
- LinkedIn営業の運用は外部に任せられますか?
- 任せられます。任せるときは、LinkedInだけでなく、電話やメール、手紙などほかの経路と合わせて、誰にどの順で接触するかまで一緒に設計できるかを確かめましょう。LongWave株式会社のエイギョウブは、実行支援のメニューにSNS運用(LinkedIn)をサービスページで掲げています。料金は月額40万円〜で、支援範囲・体制に応じて提案します。
出典
- 個人情報の保護に関する法律 第2条第1項・第20条第1項・第21条第1項(e-Gov法令検索)確認日 2026-09-15
- 「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A Q1-5・Q2-4(個人情報保護委員会・令和7年7月1日更新版)確認日 2026-09-15



