営業の採用が難しいのは、自社の求人の出し方だけが原因ではありません。2026年8月の全国の営業職の有効求人倍率は2.05倍で、職業計の1.06倍の約2倍あり、営業職は市場全体で人が足りない職種です。そのうえで、求人を出し続けながら採用以外の手で営業の手を増やす方法があります。この記事では、統計で裏が取れる「採用が難しい理由」と、採用が難航している今どう動くかの判断材料を整理しました。

この記事で分かること

  • 営業職の採用が難しい4つの理由と、それを裏づける公的統計・民間調査の数字
  • 採用を続けながら取れる4つの手(営業代行・業務委託・代理店・仕事の切り分け)の費用の形と向き不向き
  • 採用と外部の手のどちらを先に動かすかを決める目安と、両方を並行させる進め方

営業職の採用が難しい理由|統計で見ると「自社のせい」だけではない

営業職の求人に応募が来ないと、求人票や給与に原因を探しがちです。もちろん見直す点はありますが、統計を見ると、営業職はそもそも求人が求職者より大幅に多い職種です。ここでは理由を4つに分け、それぞれ数字で確かめられる範囲で説明します。

理由1: 営業職の求人は求職者の約2倍ある

厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、2026年8月の「営業職業従事者」の有効求人倍率は2.05倍でした(全国・常用(パートを含む)・原数値)。同じ月の職業計は1.06倍なので、営業職は全体の約2倍の水準です。件数で見ると、有効求人7万2,132件に対して有効求職者は3万5,167人で、求人のほうが約3.7万件多い計算になります。

パートを除く常用で見ても、営業職業従事者は2.20倍、職業計は1.17倍で、差は変わりません。前年同月からは0.06ポイント下がっていますが、2倍を超える水準は続いています。なお、この倍率はハローワークの求人と求職者だけを数えた数字で、転職サイトや人材紹介の求人は含みません。

2026年8月の有効求人倍率。営業職業従事者2.05倍、職業計1.06倍、営業・販売事務従事者0.88倍営業職業従事者2.05倍職業計(すべての職業)1.06倍営業・販売事務従事者0.88倍1倍2026年8月・全国・常用(パート含む)・原数値
図1: 営業職と営業事務の有効求人倍率。1倍を超えると求人が求職者より多い状態です。出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表7-1(2026-10-19確認)

理由2: 経験者は転職市場でも取り合いになっている

中途で営業経験者を採りたい会社が多いほど、競争はさらに厳しくなります。パーソルキャリアの「doda転職求人倍率」では、2026年8月の「営業」の転職求人倍率は3.14倍で、全体の2.86倍を上回りました。前年同月の2.71倍からも上がっています。この倍率はdodaの会員登録者をもとにした数字で、転職希望者の職種は直近に就いていた仕事で数えています。直近まで営業をしていた人1人を、営業の求人3件ほどが取り合っている状態と読めます。

経験者を条件にすると、知名度や給与で大手と同じ土俵に立つことになります。応募が来ないのは、求人の出し方より先に、この競争の中にいることが大きな要因です。

理由3: 採れても戦力になるまで時間がかかる

営業は、採用して入社した日から商談を任せられる仕事ではありません。自社の商材、売り先の業界、社内の見積や納期の決まりを覚えて、はじめて一人で商談を進められるようになります。経験者でも、前職と売る相手や商材が違えば覚え直しが要ります。求人を出してから応募・選考・入社までの期間に、この育成の期間が足されるため、売上計画の時期に間に合わないことが起きます。

理由4: 辞められると振り出しに戻る

エン株式会社が運営する『人事のミカタ』の調査(2026年1〜2月、人事担当者398名が回答)では、人材が不足している部門があると答えた企業は84%で、不足している職種の最多は営業職(34%)でした。不足の理由を複数回答で聞くと、上位は「退職による欠員」57%と「中途採用で人員確保ができなかった」49%です。採れないことと辞めることが重なって、営業の人手不足が続いている様子がうかがえます。

営業担当が1人辞めると、その人が持っていた顧客との関係や進めていた商談も一緒に止まります。もう一度求人を出し、育て直すところから始めることになります。

採用で打てる手|求人票・条件・選考スピード・未経験採用

市場の構造が厳しくても、自社で見直せることはあります。採用をやめる必要はなく、次の4点は外部の手を使う場合でも並行して進める価値があります。

求人票に「誰に何を売るか」を書く

「法人営業」「ルート営業」だけでは、仕事の中身が伝わりません。売る商材、主な売り先の業種と規模、新規と既存の割合、1日の動き方(訪問か電話か)、目標の決め方を具体的に書くと、合わない人の応募が減り、合う人が判断しやすくなります。

条件を同業・同地域の求人と見比べる

給与や休日が相場より低いと、経験者の比較の対象にも入りません。同じ地域・同じ業界の営業職の求人を数件並べ、自社の条件がどの位置にあるかを確かめてください。給与を上げられない場合は、インセンティブの決め方や働き方の柔軟さなど、ほかに示せる条件を整理します。

選考を速くする

経験者はほかの会社の選考も並行して受けています。応募への連絡、面接日程の調整、合否の連絡が遅いと、その間にほかの会社に決まります。面接の回数と、誰がいつまでに判断するかを先に決めておくと、選考の途中で離れる人を減らせます。

未経験者を採って育てる

経験者にこだわらず、未経験者やほかの職種からの転職者を採る方法もあります。応募の母数は広がりますが、そのぶん育てる人と時間が要ります。社内に教えられる営業担当がいて、売り方がトークや資料として書き出されていれば向いています。売り方が特定のベテランの頭の中にしかない場合は、先にそれを書き出す作業が必要です。

採用以外に取れる4つの手|費用の形・立ち上がり・社内に残るもの

採用の打ち手を進めても、人が決まるまでの期間は読めません。その間の商談づくりや営業の手を、採用以外の方法で補うことができます。ここでは、採用が難航しているときに選びやすい4つの手を比べます。採用・代理店・営業代行・業務委託を一般的に比べた整理は営業の人手不足の公的統計と四択の比較にまとめています。この記事では「採用を続けながら、今どれを足すか」の視点で見ていきます。

手段 費用の形 立ち上がりの早さ 社内に残るもの 向く会社/向かない会社
①営業代行 月額固定・成果報酬・その組み合わせ 契約後に計画・リスト・トークを準備して稼働。人を探す期間が要らない 報告・リスト・トークの記録(受け取り方を契約で決めた分) 向く: 売る相手と商材の強みが決まっていて、商談を早く増やしたい/向かない: 商材や売り先がまだ固まっていない
②業務委託・フリーランスの営業 個人と決める月額固定や成果報酬 人を探して条件を詰める期間が要る。早さは本人の経験で差が出る 契約で提出を決めた記録。決めないと個人に残る 向く: 任せる工程と成果物を契約で決められる/向かない: 社員と同じように日々の動きを直接指示したい
③代理店・販売パートナー 販売実績に応じた手数料が多く、変動費に寄る 代理店探し・契約・販売資料や勉強会の準備が要る。売る優先度は代理店が決める 売上。顧客との接点は代理店側に残りやすい 向く: 売り方が固まり、代理店の顧客網と相性がよい/向かない: 売り方をまだ試している新しい商材
④営業の仕事を分けて社内の手を空ける 営業事務の人件費、切り出した工程の外注費など 仕事の棚卸しが先に要る。分ける仕事が決まれば始めやすい 仕事の手順と、それを担う人が社内に残る 向く: 営業担当が事務や日程調整に時間を取られている/向かない: 商談をつくる人・決める人そのものが足りない

出典: エイギョウブ編集部の整理(2026-10-19)。料金の水準は依頼範囲や契約の形で大きく変わるため、表には費用の形だけを載せています。

①営業代行|商談づくりから成約までを外部のチームに任せる

テレアポやフォーム営業、訪問、商談など、営業の工程を営業代行会社に任せる方法です。採用と比べたときの違いは、人を探す期間が要らないことです。契約したあとは、売り先の整理、リストやトークの準備を経て稼働します。どこまで任せるかは会社によって違い、アポ獲得だけの会社もあれば、商談から成約まで請け負う会社もあります。

注意したいのは、何もしなければノウハウが社外に残りやすい点です。リスト、トーク、失注理由などの記録をどう受け取るかを契約前に決めておくと、のちに社員を採用できたときの引き継ぎに使えます。

②業務委託・フリーランスの営業|経験のある個人と契約する

営業経験のある個人と業務委託の契約を結び、仕事を任せる方法です。特定の業界に詳しい人を探せれば、立ち上がりは早くなります。一方で、人を探して条件を決める手間は自社で負います。また、契約の名前ではなく実態で判断されるため、発注側が日々の動きを直接指示すると、業務委託として扱えなくなるおそれがあります。報酬の決め方や契約の注意点は営業フリーランスに依頼する方法と費用で詳しく扱っています。社員と同じように指示したい場合は派遣という選択肢もあり、営業代行との違いは営業派遣と営業代行の違いで整理しています。

③代理店・販売パートナー|他社の販売網で売ってもらう

自社の商材を、代理店や販売パートナーの顧客網を使って売ってもらう方法です。売れた分に応じて手数料を払う形が多く、固定費を増やさずに販路を広げられます。ただし、代理店は複数の商材を扱っていることが多く、どれに力を入れるかは代理店側が決めます。売り方が固まっていて、代理店が勉強会や資料だけで売れる状態の商材に向いています。

④営業の仕事を分けて社内の手を空ける|営業事務・インサイドセールスの切り出し

営業担当を増やすのではなく、いる営業担当が商談に使える時間を増やす方法です。見積や受発注の事務、日程調整、資料づくり、見込み客への最初の電話やメールなどを営業担当から切り離し、営業事務やインサイドセールスの担当に任せます。

図1のとおり、2026年8月の「営業・販売事務従事者」の有効求人倍率は0.88倍で、求人より求職者のほうが多い職種です(パートを除く常用でも0.88倍)。営業職とは需給の向きが逆なので、商談を進める営業職を1人探すより、事務を担う人を募集するほうが条件を整えやすい場合があります。

ラクスル株式会社の調査(2026年2月、従業員2〜100名の中小企業の経営者・幹部300名)では、人手不足の影響を受けている経営者・幹部の76.4%が「業務の仕組みそのものを変えない限り根本的な解決は難しい」と感じていると答えています。同じ調査では、人手不足の影響を受けている経営者・幹部の88.1%が、人手不足が原因で商談や受注を逃した経験があると答えました。人を足す前に仕事の分け方を見直すことは、採用と並べて検討する価値があります。ただし、商談をつくる人や決める人そのものが足りない場合は、この方法だけでは埋まりません。

営業代行を選ぶ場合|営業を1人採用するのと同じ投資で営業部をつくる

4つの手のうち営業代行を選ぶ場合の一例として、LongWave株式会社が運営するエイギョウブ(営業代行・営業支援)の考え方と進め方を紹介します。エイギョウブは、採用との比較を「営業を1人採用するのと同じ投資で、営業部をつくる」という考え方で提案しています。

採用1人分の費用と並べる

当メディアの試算では、年収500万円の営業を1人正社員で採用すると、採用費や法定福利費などを含めて初年度に約713万円、月あたり約59万円かかります(試算の前提は営業代行の費用相場と正社員との比較に載せています)。これに対して、エイギョウブの料金は月額40万円〜で、初期費用は20万円(税別)、最低契約期間は6か月です(2026年9月時点)。月額は支援範囲と体制で変わる下限の目安で、成果を約束するものではありません。

違いが出るのは、同じ程度の費用で動く範囲です。1人を採用した場合は、その人が担当できる範囲が営業の体制になります。エイギョウブでは、電話・DM・SNS・訪問・手紙・紹介・交流会の7以上のチャネルを組み合わせ、アポイントの獲得だけでなく、商談から成約までを一括で請け負うこともできます。LongWaveがこれまでに業務を依頼した営業人材は累計800名です。採用・紹介手数料・育成期間まで足した正社員1人の総額は、営業職1人を正社員で採る総額で詳しく計算しています。

相談から稼働までの流れ

エイギョウブ(総合)の進め方は、ヒアリング、支援計画の作成(KPI・PL設計、体制の提案)、契約、アサイン・稼働開始の順です。採用を続けている会社であれば、ヒアリングの段階で「いつまで外部で動かし、採用できたらどう引き継ぐか」も一緒に決めておくと、のちの切り替えが進めやすくなります。

採用と外部、どちらを先に動かすか|判断の目安と並行策

採用か外部かは、どちらか一方を選ぶ話ではありません。決め手になるのは、自社の売上計画に対して、人が決まって戦力になるまで待てるかどうかです。次の2つの数字を出してから考えると、判断しやすくなります。

2つの数字を出す

  1. 営業職の求人を出してから何か月たったか: その間の応募数と面接数も数えます。応募がほとんど無いのか、面接まで進んでも決まらないのかで、見直す点が変わります。
  2. 売上計画の山場まで何か月あるか: 新商材の発売、繁忙期、年度末の目標など、商談が必要になる時期から逆算します。

2つ目の残り月数が、「これから人が決まるまでの見込み」と「入社後に一人で商談できるまでの見込み」を足した月数より短いなら、採用だけでは間に合いません。その場合は外部の手を先に動かすのが目安です。逆に、時期に余裕があり、社内に教える人がいるなら、採用の打ち手を見直して続ける選択も十分にあります。

自社の状況 先に動かす手の目安
売上計画の時期が近く、採用と育成を待つと間に合わない 採用は続けたまま、商談づくりを営業代行か業務委託で先に動かす
営業担当はいるが、事務や日程調整で商談の時間が足りない 営業事務やインサイドセールスを切り出し、営業担当の時間を空ける
売り方が固まっていて、相性のよい販売網を持つ会社がある 代理店・販売パートナーを並行して探す
時期に余裕があり、教える人と書き出した売り方がある 求人票・条件・選考スピードを見直して採用を続ける。未経験採用も候補にする
売り方がベテランの頭の中にしかない どの手を選ぶ前にも、売る相手・順番・伝える内容を書き出す

出典: エイギョウブ編集部の整理(2026-10-19)

外注に切り替えるべきサインをもう少し細かく確かめたい場合は、営業を外注するべきタイミングと判断基準も参考にしてください。

採用を続けながら、外部で先に商談を動かす

採用と外部の手は並行できます。たとえば、求人は出し続けたまま、新規の商談づくりを営業代行に任せ、出てきた商談は社内の担当が受け止める分け方です。外部で動いているあいだに、どの業種で商談になりやすいか、どのトークが通じたかという記録がたまります。人が採れたときは、その記録を新しい営業担当の教材として使えるので、育成の期間を短くする助けになります。

並行させるときは、3つのことを先に決めておきます。外部で動いた記録を誰がどの形で受け取るか、アポや商談の後を社内の誰が受け止めるか、採用できたらどの範囲から社内に戻すかです。LongWaveの支援でも、契約を縮小した理由の中には、自社で営業を採用できて内製に切り替えたという前向きな例があります。地方で営業を採れず、外部の営業人材で先に体制をつくった例は営業人材が足りない・採れないときの外部活用の事例で紹介しています。

まとめ|採用は続けながら、待てない分は別の手で補う

営業職の採用が難しいのは、2026年8月の有効求人倍率が2.05倍と職業計の約2倍あり、経験者は転職市場でも取り合いになっているという市場の構造があるからです。採れても戦力になるまで時間がかかり、辞められると振り出しに戻ることも、人手不足が長引く理由になっています。

求人票や条件、選考スピード、未経験採用といった採用の打ち手は続ける価値があります。そのうえで、売上計画まで待てない分は、営業代行、業務委託、代理店、仕事の切り分けの4つの手から自社に合うものを足して補えます。まずは求人を出してからの月数と売上計画までの月数を出し、どちらを先に動かすかを決めてください。

よくある質問(FAQ)

営業職の採用が難しいのはなぜですか?
営業職は、市場全体で求人が求職者より大幅に多い職種だからです。2026年8月の「営業職業従事者」の有効求人倍率は2.05倍(全国・常用(パート含む)・原数値)で、職業計の1.06倍の約2倍でした(厚生労働省「一般職業紹介状況」)。転職市場でも、doda転職求人倍率の「営業」は2026年8月に3.14倍で、全体の2.86倍を上回っています。採れても戦力になるまで時間がかかり、退職で欠員が出ると採用をやり直すことになる点も、人手不足が続く理由です。
営業職の求人に応募が来ないとき、まず何を見直せばいいですか?
求人票の中身と、同じ地域・同じ業界の求人と比べた条件の位置から見直すのが近道です。求人票には、売る商材、主な売り先、新規と既存の割合、1日の動き方を具体的に書きます。条件は、近い営業職の求人を数件並べて比べます。応募はあるのに決まらない場合は、選考の連絡や面接日程の調整が遅れていないかを確かめてください。経験者だけに絞っているなら、未経験者を採って育てる方法も候補になります。
未経験の営業を採用して育てるのはありですか?
社内に教えられる人と時間があれば、有力な選択肢です。経験者に比べて応募の母数が広がり、自社のやり方を最初から覚えてもらえます。一方で、一人で商談を進められるまでの期間は経験者より長くなるため、その間の売上をどう確保するかを先に考えておく必要があります。売り方がトークや資料として書き出されていない場合は、教える前にそれを書き出す作業から始めてください。
採用活動と営業代行は並行できますか?
並行できます。求人を出し続けたまま、新規の商談づくりを営業代行に任せ、出てきた商談を社内で受け止める分け方が考えられます。外部で動いた記録(リスト・トーク・失注理由など)を受け取る取り決めにしておけば、採用できたときに新しい営業担当の教材として使えます。並行させる場合は、記録の受け取り方、商談を受け止める担当、採用できたら社内に戻す範囲の3つを契約前に決めておくと、切り替えが進めやすくなります。
営業を1人採用するのと営業代行では、どちらが費用がかかりますか?
条件しだいですが、金額は近い水準になることがあります。当メディアの試算では、年収500万円の営業を1人正社員で採用すると、採用費や法定福利費を含めて初年度に約713万円、月あたり約59万円かかります。エイギョウブの料金は月額40万円〜、初期費用20万円(税別)、最低契約期間6か月です(2026年9月時点)。金額だけでなく、動き出すまでの早さ、動ける範囲、ノウハウが社内に残るかどうかを並べて比べてください。

出典