営業代行のマッチングサービスは、①個人の営業人材と直接つながるプラットフォーム、②営業代行会社を紹介したり見積もりを集めたりする紹介型、③担当者が間に入って人選や調整をするエージェントの3つに分けて考えると整理しやすくなります。3つの違いは、契約の相手、手数料を誰が払うか、稼働中の管理を誰が担うかにあり、登録する前にこの3点を規約と契約書で確かめます。サービスの呼び方は運営元ごとに異なり、名前だけでは中身が分かりません。この記事は、営業代行会社や営業フリーランスを探す手段としてマッチングサービスを検討している、発注する側の経営者・営業責任者に向けて書いています。案件を探している営業フリーランスや、副業で営業の仕事を受けたい方向けの内容ではありません。
この記事で分かること
- 営業代行のマッチングサービスを3つの型に分ける見方と、型ごとの契約の相手・手数料・稼働中の管理の違い
- 個人と直接契約する場合や、顧客リストを渡す場合に、発注する側が押さえておく法令と契約の条項
- 登録する前に社内で決めることと、使い始めるときに確かめる6つの項目
営業代行のマッチングサービスは3つの型|契約の相手で分ける
「営業代行 マッチング」で探すと、個人の営業人材を探せるもの、営業代行会社を紹介したり見積もりを集めたりするものなど、性質の違うサービスが同じ言葉で並びます。どれも「発注したい会社と、営業を担う人や会社をつなぐ」点は同じですが、つないだあとに誰と契約し、誰が稼働中の面倒を見るのかが大きく違います。この記事では次の3つの型に分けて考えます。
| 型 | 契約の相手 | 手数料の確認点 | 稼働中の管理 | 向く依頼 |
|---|---|---|---|---|
| ①プラットフォーム型(個人の営業人材と直接つながる) | 登録している個人。自社と個人が直接契約する形かを規約で確かめる | 発注側に利用料や手数料がかかるか。報酬を個人へ直接払うのか、運営元を通して払うのか | 基本は発注する自社。進め方の確認や成果の確認を自社の担当者が行う | 任せる工程が狭く、1人で完結する営業。社内に進行を見る担当者がいる場合 |
| ②紹介型(営業代行会社を紹介する・見積もりを集める) | 紹介された営業代行会社。紹介した運営元とは契約しない形かを確かめる | 発注側の利用が無料か有料か。紹介の対価を代行会社側が払う仕組みか | 契約した営業代行会社。運営元が稼働中にどこまで関わるかを確かめる | チームでの稼働や、リスト作成から商談までのように複数の工程をまとめて任せたい場合 |
| ③エージェント型(担当者が人選や調整をする) | 運営会社と結ぶのか、紹介された個人や会社と結ぶのかを、サービスごとに確かめる | 手数料が発注側の支払額に含まれているか、別に請求されるか。内訳を出してもらえるか | 担当者が定期的に状況を確認する範囲と、発注側が自分で見る範囲の分担を確かめる | 求める人物像を言葉にするのが難しい場合や、途中で交代が起きたときの手当てを重く見る場合 |
表は、マッチングサービスを契約の相手で分けて考えるための整理です。特定のサービスの仕様を示すものではないため、実際の条件は各サービスの利用規約と契約書で確認してください。
名前ではなく、契約書に書かれる相手で型を見分ける
サービスの名前やトップページの説明に「マッチング」「プラットフォーム」「エージェント」とあっても、それだけで上の表のどれに当たるかは決まりません。上の3つの型は考え方の整理なので、1つのサービスが複数の型にまたがることも考えられます。見分けるときは、利用規約と契約書のひな形を開き、業務の委託契約を「誰と誰が」結ぶと書かれているかを確かめるのが早道です。
契約の相手が分かると、報酬を払う先、成果が出なかったときに話をする相手、トラブルが起きたときに条項を持ち出す相手が決まります。問い合わせの段階で「契約書の当事者はどこになりますか」と聞いてしまうのも、手間の少ない確かめ方です。
手数料を誰が払うかで、見積もりの見え方が変わる
マッチングサービスの手数料は、発注する側が払う形、受注する人や会社が払う形、両方が払う形があり得ます。発注側の画面に手数料が出ていなくても、支払う料金の中に何が含まれているかは、規約と見積書の内訳で確かめておきます。発注側が払う利用料が別にあれば、営業の費用とは分けて予算に入れる必要があります。
手数料の率や金額はサービスごとに違い、改定されることもあるため、この記事では数字を挙げません。登録前に規約の料金の項目を読み、「発注側が払うもの」「受注側が払うもの」「支払いの流れ(誰の口座に振り込むか)」の3つを書き出しておくと、後で見積もりを並べるときに迷いません。
型ごとにかかわる契約と法令|誰と契約するかで確かめることが変わる
マッチングサービスを使っても、営業を委託する契約そのものは、自社と契約の相手との間に残ります。ここでは、発注する側が押さえておきたい法令と条項を、契約の相手ごとに分けて整理します。個別の契約書の判断は、弁護士に相談してください。
個人と直接契約するなら、取引条件の明示が自社の義務になる
プラットフォーム型などで、従業員を使用していない個人の営業フリーランスに営業業務を委託する場合は、フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)の対象になります。フリーランスに業務委託をしたら、直ちに、業務の内容・報酬の額・支払期日などを書面または電磁的方法で明示しなければなりません。この取引条件の明示は、従業員のいない発注者を含む全ての発注事業者にかかる義務です。
そのほかの義務の多くは「特定業務委託事業者」にかかります。特定業務委託事業者とは、従業員を使用する個人、または役員が2人以上いるか従業員を使用する法人のことで、「従業員を使用」とは1週間の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる労働者を雇用していることを指します。法人であれば、役員が2人以上いるか、この条件に当たる従業員が1人でもいれば該当するため、次の点も確認しておきます。
- 報酬の支払期日は、役務の提供を受けた日から60日以内のできる限り短い期間内で定め、その日までに支払います。
- 1か月以上の業務委託では、フリーランスに責任がないのに報酬を減額することや、通常より著しく低い報酬を不当に定めることなどが禁止されます。
- 6か月以上の業務委託では、契約を解除したり更新しなかったりする場合に、少なくとも30日前までに予告しなければなりません。
マッチングサービスを通して契約する形のときは、自社が個人に直接委託する立場なのかを、規約と契約書の当事者欄で確かめてから、明示の書面を誰が出すかを決めます。個人の営業フリーランスとの契約書で見る条項は、営業代行の契約書と業務委託契約書の見方で詳しく扱っています。
顧客リストを渡すなら、委託先の監督が自社に残る
既存顧客の名簿や、担当者の氏名が入った見込み客リストを営業の相手に渡すときは、個人情報保護法がかかわります。個人データの取扱いを委託する場合、委託元は委託先に対して必要かつ適切な監督を行わなければなりません。利用目的の達成に必要な範囲で取扱いを委託することに伴って提供する場合は、委託先は第三者に当たらないため本人の同意は不要ですが、監督の義務はなくなりません。
マッチングで見つけた個人や会社にリストを渡す前に、リストの保管場所、持ち出しの可否、契約終了後の返却や削除の方法を契約書に書いておきます。運営元のシステム上でリストをやり取りする場合は、そのデータを運営元がどう扱うかも規約で確かめておくと安心です。
紹介された会社がさらに外へ出すなら、再委託の条項を見る
紹介型で見つけた営業代行会社が、実際の稼働を別の会社や個人に任せる形も考えられます。委任・準委任の契約では、受任者は委任者の許諾を得たときか、やむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任できません。再委託を認めるか、認めるならどの範囲で誰に任せるのかを、契約書で明確にしておきます。
あわせて、稼働する営業担当者へ自社から直接指示を出してよいかも最初に決めておきます。発注者が顧客への営業上の対応方針などを受託側のスタッフに直接指示していると、契約の名前が業務委託でも労働者派遣事業と判断されることがあります。線引きの考え方は営業を業務委託で頼む方法と偽装請負を避ける条件にまとめています。
登録する前に社内で決めること|任せる工程・成果・報告・期間・予算
マッチングサービスに登録すると、候補を見始めることができます。その前に社内で次の5つを決めておかないと、候補を見るたびに条件が揺れ、比べようがなくなります。
- 任せる工程。リスト作成、初回の電話やフォーム送信、商談の設定、商談、受注後の引き継ぎのうち、どこからどこまでを外に出すかを決めます。工程が狭く1人で完結するなら個人、複数の工程をまとめるなら会社、というように、ここで型の当たりがつきます。
- 成果の定義。「アポイント1件」を何と数えるのか(決裁に関わる人と会えた場合だけか、日程が決まった段階か)を、社内の言葉で書いておきます。定義が曖昧なまま始めると、報酬の計算で揉めやすくなります。
- 報告の形。日次か週次か、架電数や接続数まで出してもらうのか、商談の記録をどこに残すのかを決めます。個人と直接契約する場合は、この報告を受け取って判断するのが自社の担当者になります。
- 期間。試しに動いてもらう期間と、続けるかどうかを判断する時期を決めます。前の節のとおり、特定業務委託事業者に当たる会社が個人に委託する場合は、1か月以上や6か月以上の委託でかかる義務が増えるので、期間は法令の面からも意味を持ちます。
- 予算の出し方。固定の月額で払うのか、成果に応じて払うのか、その組み合わせかを先に決め、サービスに払う手数料を別枠で見るかどうかも決めておきます。
この5つが決まったら、候補に送る依頼文にそのまま書き写します。各社や各人に同じ条件で見積もりを出してもらう書き方は、営業代行の見積もり依頼テンプレートで紹介しています。
使うときの確認事項|契約書・手数料・交代・リストの扱いを先に書面にする
候補が決まり、契約に進む前に確かめる項目を表にしました。どの型のサービスでも使えるように、「どこを見れば分かるか」も添えています。
| 確認事項 | 確かめる中身 | 見る場所 |
|---|---|---|
| 契約書を誰と結ぶか | 当事者は運営元か、個人か、営業代行会社か。個人なら取引条件の明示を誰がどの書面で行うか | 利用規約、契約書のひな形の当事者欄 |
| 手数料と支払の流れ | 発注側に手数料や利用料がかかるか。報酬の振込先はどこか。支払期日はいつか | 利用規約の料金の項目、見積書、請求の流れの説明 |
| 途中交代 | 担当者が合わない、稼働できなくなったときに交代を頼めるか。交代の費用と、引き継ぎの期間中の料金はどうなるか | 契約書の解除・変更の条項、担当者への質問 |
| 秘密保持 | 商材の情報や価格、商談の内容を外に出さない約束が、契約の相手と結べるか。運営元との間の扱いはどうか | 秘密保持契約、契約書の秘密保持条項、利用規約 |
| リストの扱い | 渡す顧客リストの保管・持ち出し・再委託先への共有の可否。作ってもらったリストの権利がどちらにあるか | 契約書の個人情報・成果物の条項、再委託の条項 |
| 終了時の引き継ぎ | 契約を終えるとき、商談中の案件、架電の記録、リストをどの形で返してもらうか。データの削除をどう確かめるか | 契約書の終了時の条項、報告の形式の取り決め |
表は発注前の確認用に整理したものです。個人と契約する場合の取引条件の明示はフリーランス・事業者間取引適正化等法第3条、リストの委託先の監督は個人情報保護法第25条、再委託は民法第644条の2を根拠にしています(いずれもe-Gov法令検索、2026-09-15確認)。
表のうち、特に後から揉めやすいのはリストの扱いと終了時の引き継ぎです。稼働中は問題がなくても、契約を終えたときに記録やリストがどこに残っているか分からなくなることがあります。顧客と情報をめぐって起きやすい問題と、その防ぎ方は営業代行のトラブルを契約前に防ぐ方法で整理しています。
マッチングを使わず会社に直接頼む場合との違い
マッチングサービスを使わず、営業代行会社を自社で探して直接問い合わせる方法もあります。この場合、候補を探して比べる手間は自社にかかりますが、契約の相手は最初から営業代行会社と決まります。作業の見直しなどの要望は代行会社に対して伝え、稼働する担当者への指示は代行会社から出す形になるため、担当者の交代も代行会社との契約の条項に沿って話し合うことになります。
一方、マッチングサービスは候補探しの一部をサービスに任せられますが、契約の相手や管理の担い手が型によって変わるため、その確認を自社で行う必要があります。どちらが向くかは、社内に進行を見る人がいるか、任せる工程が狭いか広いかで分かれます。個人に頼む場合と会社に頼む場合の違いは、営業代行をフリーランスに依頼する方法と個人事業主の営業代行で詳しく扱っています。
紹介型のサービスやランキング形式の比較サイトで候補を集めた場合も、最後に比べるのは会社名ではなく条件です。比較サイトの読み方と、候補を同じ表で並べる方法は営業代行の比較で揃える軸と比較表を参考にしてください。また、稼働する人に自社から直接指示を出して動いてもらいたい場合は、業務委託ではなく派遣という別の選択肢になります。違いは営業派遣と営業代行の違いで確かめられます。
エイギョウブに直接相談する場合
エイギョウブは、当メディアを運営するLongWave株式会社の営業支援サービスです。サービスページでは、営業人材の登録は1,000名以上と掲載しています。
実行支援のメニューには、電話営業(BDR/SDR)、フォームDM、SNS運用(LinkedIn)、交流会・展示会、マルチチャネルのほか、即戦力人材アサイン(最短数日で稼働)があります。進め方は、ヒアリングのあとに支援計画(KPI・PL設計、体制の提案)を作成し、契約、アサイン・稼働開始へと進みます。
料金は、総合のエイギョウブのサービスページに掲載している月額料金の目安で、トライアル30万円〜/月(税別)、標準50万円〜/月(税別)、上位は個別見積りです。支援範囲や体制に応じて提案する形なので、この記事の確認表にある契約の形、途中交代、リストの扱いとあわせて、見積もりの場で書面にして確かめてください。
まとめ|マッチングサービスは、型より先に契約の相手を確かめる
営業代行のマッチングサービスは、個人の営業人材と直接つながるプラットフォーム型、営業代行会社を紹介する紹介型、担当者が人選や調整をするエージェント型に分けて考えると、比べる軸が揃います。3つの違いは、契約の相手、手数料を誰が払うか、稼働中の管理を誰が担うかの3点です。
個人と直接契約するなら取引条件の明示が自社の義務になり、顧客リストを渡すなら委託先の監督が自社に残ります。紹介された会社が再委託する場合は、許諾の条項を契約書で確かめます。登録する前に任せる工程・成果の定義・報告・期間・予算の出し方を社内で決め、使い始める前に契約の相手、手数料と支払の流れ、途中交代、秘密保持、リストの扱い、終了時の引き継ぎを書面にしておくと、サービスの名前に振り回されずに選べます。
よくある質問(FAQ)
- 営業代行のマッチングサービスとは?
- 営業を外に任せたい会社と、営業を担う個人や営業代行会社をつなぐサービスのことです。個人の営業人材を自社で探して直接つながるプラットフォーム型、営業代行会社を紹介したり見積もりを集めたりする紹介型、担当者が間に入って人選や調整をするエージェント型に分けて考えると整理しやすくなります。型によって契約の相手や稼働中の管理の担い手が変わるため、サービスの名前ではなく、利用規約と契約書で誰と契約するのかを確かめてから登録すると、後で困りにくくなります。
- 発注側にも手数料はかかる?
- サービスごとに違うため、利用規約の料金の項目で確かめる必要があります。手数料は発注する側が払う形、受注する人や会社が払う形、両方が払う形があり得ます。発注側の画面に手数料が出ていなくても、支払う料金に何が含まれているかは見積書の内訳で確かめておきます。登録前に「発注側が払うもの」「受注側が払うもの」「報酬を誰の口座に払うか」の3点を書き出しておくと、見積もりを並べるときに条件を揃えやすくなります。
- マッチングで見つけたフリーランスとの契約で注意することは?
- 自社が個人の営業フリーランスに直接業務委託をする立場なら、フリーランス法により、直ちに業務の内容・報酬の額・支払期日などを書面または電磁的方法で明示する義務があります。従業員を使用する会社であれば、役務の提供を受けた日から60日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定めることも必要です。顧客リストを渡す場合は委託先の監督の義務が残るため、リストの保管や返却の方法も契約書に書いておきます。
- エージェント型と営業代行会社はどう違う?
- 大きな違いは、誰と契約し、誰が稼働中の管理を担うかです。営業代行会社に直接頼む場合は、契約の相手は代行会社で、要望は代行会社に伝え、稼働する担当者への指示は代行会社から出す形になります。エージェント型は、担当者が人選や調整をしてくれますが、契約を運営会社と結ぶのか紹介された個人や会社と結ぶのかがサービスによって違います。そのため、担当者がどこまで稼働中の状況を見てくれるのか、交代のときに誰が手当てするのかを、契約前に確かめておくことが大切です。
出典
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)第2条・第3条・第4条・第5条・第16条(e-Gov法令検索・2024年11月1日施行版) 確認日 2026-09-15
- フリーランス・事業者間取引適正化等法 パンフレット 3・4・6・11ページ(公正取引委員会・厚生労働省ほか) 確認日 2026-09-15
- 個人情報の保護に関する法律 第25条・第27条第5項第1号(e-Gov法令検索) 確認日 2026-09-15
- 民法 第644条の2・第656条(e-Gov法令検索) 確認日 2026-09-15
- 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集(第2集)問1(厚生労働省) 確認日 2026-09-15
- 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集(第1集)2. 発注者からの注文(厚生労働省) 確認日 2026-09-14
- エイギョウブ(LongWave株式会社) 確認日 2026-09-14



